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鉱山の魔物④
次の日。朝、まったりしていたら、約束していた迎えが来てくれた。
ソルトの坑道に向かう。わざわざ冒険者ギルドマスターのビオーザさんが案内してくれた。馬車で30分程の場所だ。ノワールも案内してくれる馬車と同じスピードで進む。
まず、連れていかれたのは、坑道を監視している人達が詰めている場所だ。ビアンカにルージュを連れている私達は、じろじろ見られた。
あちこちテントが張られ、色んな人達が休んだり、食事したり、話したり、こちらを見たり。この寒い中、夜警なんて大変だ。
「テイマー殿、こちらに」
ビオーザさんが、馬車を降りて、誘導してくれる。私は晃太、ビアンカ、ルージュ、ホークさんと一番大きなテントに向かう。ノワールの手綱をミゲル君に託す。元気とコハクはリードを着ける。大型のリードなんだけど、ちょっときついかな? これより大きいサイズあったっけ? リードはチュアンさんに託す。三人娘はマデリーンさんとテオ君、エマちゃんが付いてくれる。
テントの中には、テーブルと椅子が数脚。一番奥の椅子に、高齢の女性が一人だけ、白髪を頭のてっぺんで団子にしている。
誰だろう。高齢だけど、カッコいい感じだ。
「お連れしたぞ」
ビオーザさんが声をかけると、高齢女性が立ち上がる。
「ご足労感謝します、テイマー様。私は鍛冶師ギルドマスター、ディンジィです」
丁寧にご挨拶して頂くので、私も丁寧にご挨拶する。
「お座りください」
「ありがとうございます」
私と晃太は着席、ホークさんはすぐ後ろに待機する。ごろり、する場所ではないので、ビアンカとルージュはお座りの体勢。
「軍隊ダンジョンから出たばかりで、お疲れの所、申し訳ないのですが、説明させていただけますか?」
「ビアンカ、ルージュ、よか?」
『いいのです』
『構わないわ』
「お願いします」
鍛冶師ギルドマスターのディンジィさんの説明が始まる。と言っても、このテント群の向こうにある坑道に出たアイアンゴーレムの説明。内容は昨日聞いたものと同じだ。
「今はメインの坑道と新しく出た坑道の境に居座っている。体長は約2メートル、1体のみ。確認出来ているのはこれだけ」
「他にアイアンゴーレムは出てきたりは?」
「今のところはありません。居座っているアイアンゴーレムは動く様子もなく、本当に座っているだけ」
「なんとかなる? アイアンゴーレムの高さはチュアンさんより少し高いくらいよ」
私はちら、とビアンカとルージュに聞く。
『一体なら一撃でなんとかなるのです』
『それくらいのサイズならね』
問題は。
『それが一体ではなく、複数体いたら、手こずるのです』
『そうね。もし母体がいれば、それがどれくらいの大きさか、ね』
「どれくらいのサイズならいける?」
『そうなのですね』
『あの、マーファで出たドラゴンの倍のサイズならいけるわ。もし、それ以上な場合』
『私達では厳しいのです』
母体となるアイアンゴーレムが大きければ、大きい程、分裂体が多くいるそうだ。巨体な母体と、多数の分裂体を全て排除するなら、かなりの魔力がいる。今のビアンカとルージュだけでは厳しいと。
『兄がいたら、突っ込ませて、危なそうならフォローだけで済むのですが』
『そうね、魔力保有量と体力だけは、凄まじいからねえ』
なんやねん、そのお兄さんは? 何気にビアンカとルージュが扱い方雑な気がする。
「とりあえず、現場に行ってみる?」
『そうなのですね』
『一度調べて考えましょう』
こうして、私達は現場となった坑道に向かった。
「ここです」
ディンジィさん自ら案内してくれて、徒歩で移動、数分で坑道に到着する。ビオーザさんと数人の警備の人も同行。
凄い、迫力、圧巻。まさに映画の世界や。
坑道は露天堀で、かなり広く深い。穴の直径百メートル以上は優にあり、大きなマンションがすっぽり入りそう。すり鉢状に掘られ、壁には螺旋階段が掘られ、レールが敷かれている。昔の手こぎの台車でもあるのかと思ったら、なんと自転車に、台車がくっついている。思わず二度見、え? 自転車。
「自転車は初めて見ますか?」
まんま自転車なんやね。
「え? まあ、そうですね」
晃太と自転車を見ているのに、気がついたのか、ディンジィさんが説明してくれる。
あれはちゃんとした魔道具。ここで掘り出された鉱石を、台車に積んで自転車漕いで地上まで運ぶと。魔法の世界だから、付与が色々かけられていて、かなりの重量の鉱石を運べるそうだ。あれができるまでは、人力で運ぶしかなく、運ぶ途中の転倒による事故が絶えなかったが、今では安全に運び出せていると。ちなみに1台で外国の高級車買えちゃう。
「あれが出来てから、随分作業効率が上がりました。原型を考えたのはシーラに移住した、ユリ・サエキ様のかつてのパーティーメンバーの大魔道師。始めは畑を耕す為の魔道具でしたが、今では多種類が開発されているんですよ」
「へえ」
佐伯ゆりさんと一緒にこちらに来た人かな。おそらく農業用のトラクターみたいな感じだったんだろうけど。自転車でペダル漕ぐのが原動力なんやね。
「エンジンがないから、自転車で代用したんやね」
晃太がぽつり。
これは気軽に購入出来ない為、ソルトのギルドが購入して使用している。他にも、耕運機のような物もあり、こちらはギルドと行政が共同購入し、必要な時期になったら各農家にレンタルしていると。これにより収穫量が格段に増えているそうだ。
「マーファになら、そこそこの台数があるはずですよ。それに北にある国営農場は、農耕の魔道具を投入し、人力で細かく微調整したことで、軌道に乗った様なものです」
「凄いですね。あの魔道具、地上に上げた方がいいかもしれません。戦闘の余波で壊れたら大変ですから」
「そうですね」
ディンジィさんが指示を出す。
さて。
「例のメインの坑道は?」
「あの一番大きな穴です」
示された先には、一番底にある、大きく空いた入り口。ここからでも大きく感じるなら、かなり大きいはず。いつもなら坑夫達の活気であふれ、地上では鉱石の選別に女性の坑婦が世話しなく働いているはずなのに、誰もいないので静かだ。
『行ってみるのです』
『そうね、まずは何体いるか確認ね』
『ユイはここで、待つのです。ノワールもなのですよ』
『コハク達もよ。ここにいなさい。ヒスイ、ユイのそばにいなさい』
「わかってるけど、気を付けてよ」
『大丈夫なのです』
『ええ、行きましょう』
元気のリードはホークさん、コハクはチュアンさん。三人娘は不安そうに私にぴったり。よしよし、ビアンカとルージュなら大丈夫よ。
ビアンカとルージュは身軽にレールの敷かれた道を駆け降りていく。程なくして、一番下層に到着。やっぱりメインの坑道って大きいんだね、ビアンカとルージュが小さく見える。
大丈夫かな?
見守るしかない。
ビアンカとルージュが、メインの坑道に入っていった。
ソルトの坑道に向かう。わざわざ冒険者ギルドマスターのビオーザさんが案内してくれた。馬車で30分程の場所だ。ノワールも案内してくれる馬車と同じスピードで進む。
まず、連れていかれたのは、坑道を監視している人達が詰めている場所だ。ビアンカにルージュを連れている私達は、じろじろ見られた。
あちこちテントが張られ、色んな人達が休んだり、食事したり、話したり、こちらを見たり。この寒い中、夜警なんて大変だ。
「テイマー殿、こちらに」
ビオーザさんが、馬車を降りて、誘導してくれる。私は晃太、ビアンカ、ルージュ、ホークさんと一番大きなテントに向かう。ノワールの手綱をミゲル君に託す。元気とコハクはリードを着ける。大型のリードなんだけど、ちょっときついかな? これより大きいサイズあったっけ? リードはチュアンさんに託す。三人娘はマデリーンさんとテオ君、エマちゃんが付いてくれる。
テントの中には、テーブルと椅子が数脚。一番奥の椅子に、高齢の女性が一人だけ、白髪を頭のてっぺんで団子にしている。
誰だろう。高齢だけど、カッコいい感じだ。
「お連れしたぞ」
ビオーザさんが声をかけると、高齢女性が立ち上がる。
「ご足労感謝します、テイマー様。私は鍛冶師ギルドマスター、ディンジィです」
丁寧にご挨拶して頂くので、私も丁寧にご挨拶する。
「お座りください」
「ありがとうございます」
私と晃太は着席、ホークさんはすぐ後ろに待機する。ごろり、する場所ではないので、ビアンカとルージュはお座りの体勢。
「軍隊ダンジョンから出たばかりで、お疲れの所、申し訳ないのですが、説明させていただけますか?」
「ビアンカ、ルージュ、よか?」
『いいのです』
『構わないわ』
「お願いします」
鍛冶師ギルドマスターのディンジィさんの説明が始まる。と言っても、このテント群の向こうにある坑道に出たアイアンゴーレムの説明。内容は昨日聞いたものと同じだ。
「今はメインの坑道と新しく出た坑道の境に居座っている。体長は約2メートル、1体のみ。確認出来ているのはこれだけ」
「他にアイアンゴーレムは出てきたりは?」
「今のところはありません。居座っているアイアンゴーレムは動く様子もなく、本当に座っているだけ」
「なんとかなる? アイアンゴーレムの高さはチュアンさんより少し高いくらいよ」
私はちら、とビアンカとルージュに聞く。
『一体なら一撃でなんとかなるのです』
『それくらいのサイズならね』
問題は。
『それが一体ではなく、複数体いたら、手こずるのです』
『そうね。もし母体がいれば、それがどれくらいの大きさか、ね』
「どれくらいのサイズならいける?」
『そうなのですね』
『あの、マーファで出たドラゴンの倍のサイズならいけるわ。もし、それ以上な場合』
『私達では厳しいのです』
母体となるアイアンゴーレムが大きければ、大きい程、分裂体が多くいるそうだ。巨体な母体と、多数の分裂体を全て排除するなら、かなりの魔力がいる。今のビアンカとルージュだけでは厳しいと。
『兄がいたら、突っ込ませて、危なそうならフォローだけで済むのですが』
『そうね、魔力保有量と体力だけは、凄まじいからねえ』
なんやねん、そのお兄さんは? 何気にビアンカとルージュが扱い方雑な気がする。
「とりあえず、現場に行ってみる?」
『そうなのですね』
『一度調べて考えましょう』
こうして、私達は現場となった坑道に向かった。
「ここです」
ディンジィさん自ら案内してくれて、徒歩で移動、数分で坑道に到着する。ビオーザさんと数人の警備の人も同行。
凄い、迫力、圧巻。まさに映画の世界や。
坑道は露天堀で、かなり広く深い。穴の直径百メートル以上は優にあり、大きなマンションがすっぽり入りそう。すり鉢状に掘られ、壁には螺旋階段が掘られ、レールが敷かれている。昔の手こぎの台車でもあるのかと思ったら、なんと自転車に、台車がくっついている。思わず二度見、え? 自転車。
「自転車は初めて見ますか?」
まんま自転車なんやね。
「え? まあ、そうですね」
晃太と自転車を見ているのに、気がついたのか、ディンジィさんが説明してくれる。
あれはちゃんとした魔道具。ここで掘り出された鉱石を、台車に積んで自転車漕いで地上まで運ぶと。魔法の世界だから、付与が色々かけられていて、かなりの重量の鉱石を運べるそうだ。あれができるまでは、人力で運ぶしかなく、運ぶ途中の転倒による事故が絶えなかったが、今では安全に運び出せていると。ちなみに1台で外国の高級車買えちゃう。
「あれが出来てから、随分作業効率が上がりました。原型を考えたのはシーラに移住した、ユリ・サエキ様のかつてのパーティーメンバーの大魔道師。始めは畑を耕す為の魔道具でしたが、今では多種類が開発されているんですよ」
「へえ」
佐伯ゆりさんと一緒にこちらに来た人かな。おそらく農業用のトラクターみたいな感じだったんだろうけど。自転車でペダル漕ぐのが原動力なんやね。
「エンジンがないから、自転車で代用したんやね」
晃太がぽつり。
これは気軽に購入出来ない為、ソルトのギルドが購入して使用している。他にも、耕運機のような物もあり、こちらはギルドと行政が共同購入し、必要な時期になったら各農家にレンタルしていると。これにより収穫量が格段に増えているそうだ。
「マーファになら、そこそこの台数があるはずですよ。それに北にある国営農場は、農耕の魔道具を投入し、人力で細かく微調整したことで、軌道に乗った様なものです」
「凄いですね。あの魔道具、地上に上げた方がいいかもしれません。戦闘の余波で壊れたら大変ですから」
「そうですね」
ディンジィさんが指示を出す。
さて。
「例のメインの坑道は?」
「あの一番大きな穴です」
示された先には、一番底にある、大きく空いた入り口。ここからでも大きく感じるなら、かなり大きいはず。いつもなら坑夫達の活気であふれ、地上では鉱石の選別に女性の坑婦が世話しなく働いているはずなのに、誰もいないので静かだ。
『行ってみるのです』
『そうね、まずは何体いるか確認ね』
『ユイはここで、待つのです。ノワールもなのですよ』
『コハク達もよ。ここにいなさい。ヒスイ、ユイのそばにいなさい』
「わかってるけど、気を付けてよ」
『大丈夫なのです』
『ええ、行きましょう』
元気のリードはホークさん、コハクはチュアンさん。三人娘は不安そうに私にぴったり。よしよし、ビアンカとルージュなら大丈夫よ。
ビアンカとルージュは身軽にレールの敷かれた道を駆け降りていく。程なくして、一番下層に到着。やっぱりメインの坑道って大きいんだね、ビアンカとルージュが小さく見える。
大丈夫かな?
見守るしかない。
ビアンカとルージュが、メインの坑道に入っていった。
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