文字の大きさ
大
中
小
355 / 877
連載
確保と依頼⑤
次の春祭りの準備をしながら、日々が過ぎていく。依頼の為にダンジョンに行ったり、孤児院の炊き出しの手伝いをしたり、薬草を摘んだり、アノに魚介類を買いに行ったり、教会の戦闘部隊の皆さんと冷蔵庫ダンジョン10階で共闘したりと何だかんだと忙しい日々。
寒さも随分いいけど。
私と晃太もせっせとフライパンを振り回す。
「だあああぁぁぁぁぁっ」
「ひいいぃぃぃぃぃぃっ」
20階のボス部屋で、私と晃太は悲鳴を上げる。嫌な手応えがっ。
てってれってー
【レベルが81にアップしました】
レベルが上がったけど、ひー、ひー。息が上がる。
『ユイ、これくらいで悲鳴を上げてはいけないのですよ』
『そうよ、魔境に行く途中、こんな蛇なんてわんさかいるんだから』
やめて、その情報。
だいたいね、レベル500が何ばいいようとよ。毎回ちゅどん、ドカンしているけどさ。今さらだけど、その魔境に行くのに不安が。例の『彼女さん』にたどり着くまでに、喉が悲鳴で潰れんかね? わんさかといるなんて、物凄く嫌やなあ。まあ、一番大変なのは、手綱を握るホークさんだけどさ。
「わい、ルームにおる」
おのれ。
ルーム内にいれば、自動的に私と一緒に移動できるからね。
ぶーぶー、と思いながらせっせとドロップ品を拾う。
みてません、目玉なんて見てません。
それからも戦闘したけど、なかなかレベルが上がらず。まあ、しょうがないか、なんだかんだと私のレベルはかなり高い。レベルって高くなると上がりにくくなる。神様から頂いた経験値5倍があるからね。それにかなりずるいレベルアップをしている。ビアンカとルージュのガッチリ援護の、接待戦闘だもんね。ホークさんに聞いたら、私のレベルにびっくりされた。ちなみに自分のレベルは他の人には話さない。それ以前に自分のレベルは、大まかにしか分からない。中にはレベルを詐称して、色々やらかす冒険者がいたらしく、しゃべらないんだって。それに私達には自己鑑定Sがあるから分かるだけ。ある程度の実力を確認したい場合は、冒険者ギルドにレベルを鑑定する魔道具がある。多少の誤差があるが分かるそうだ。
レベルの話は置いとこう。私の場合はルームや『異世界のメニュー』絡みが多いからね。
「ユイさん、宝箱出ました」
ミゲル君が教えてくれる。
「ありがとう、ルージュ、お願い」
『分かったわ』
さ、何が出るかな。
「姉ちゃん、今回のドロップ品どうする?」
「そうやね」
私は夕飯のカレーを準備しながら思案する。そろそろノワールの装具品が出来上がり、晃太の支援魔法のスキルアップもしそうだし。うーん、そうなればカルーラに移動だ。準備出来次第出発したい、下手したら魔境にいる『彼女さん』に会いに行くのが冬になる。それだけは避けたいし。冬は魔境の天候が厳しいから。
マーファには戻るつもりだけど、移動期間を考える。アルブレンを経由してカルーラへの移動、ノワールの馬力で約1ヶ月。それからノワールに乗って、ビアンカとルージュに守られて魔境を目指す。最低4~5ヵ月。もし、途中で天候やトラブルがあれば、半年は越す。無事に『彼女さん』に会えて、戦力強化のお願いがスムーズに出来れば問題ないけど。下手したら、断られる可能性もある。無理なら、時間をおいてもう一度お願いするしかないと、ビアンカとルージュから言われた。下手したら、次年度にまたお伺いだ。
『彼女さん』も気になるが、そのちょーっとシスコン臭のするお兄さんにもお会いしたい。きっとビアンカ以上の体躯のもふもふフォレストガーディアンウルフだしね。
そうそうドロップ品。
おそらくお祭りの終わった後くらいに、装備品が出来上がる。お祭りのバザーに私達は参加予定だから、しばらくその準備で冷蔵庫ダンジョンには来ない。つまり今回が、じっくり臨む最後になる。ビアンカとルージュ、サイズアップした仔達、そしてノワールの為にたくさんゲットしないと。ダンジョン内にあちこち植えた果樹がたわわに実っている。それも回収しなくては。甘い果実はみんな大好きだ。特にノワールが食べるからね。私達が派手にちゅどん、ドカン、バキバキしているからか、次の日には同じ量が実っている。試しに苺やメロンも植えてみたら、ちゃんと実っていたから、せっせと収穫しなくては。不思議とダンジョンの魔物は、果物は食べていない。お腹減らないのかね?
「残りの日程で出る、食べ物系ドロップ品は出来るだけ引き取るかね。果物の収穫しながらね。晃太、引き取る分のリストは別に作ってくれる?」
「ん」
夕食時に説明すると、みんな理解してくれた。
「ブヒヒヒン、バリバリ」
収穫という名の摘まみ食いをしているノワール、いい音立てて、実っているリンゴをそのまま食べている。もう。
『戦闘モード使った後だから、何時もより美味しいって言っているのです』
『確かに、ノワールは肉は食べないから消費が違うのかしらね』
ノワールは草食魔物だから、ルージュの言うように、エネルギーの消費が違うのかね? 以前より、運動力の多いノワールを心配して、たんぱく質を補う為に、食事に大豆とか混ぜてるけど、足りないかもしれない。よし、大豆、増やそう。そう思いながら、視界の隅で仔達がモグモグ。あーあー、苺をたべて口の回りが真っ赤やん。もう、かわいかね。
「ユイさん、リンゴ、洋梨、無花果、みかん、柿、キウイ、バナナ、苺、メロンの収穫終わりました」
ホークさんが報告に来てくれる。試しに色々植えたけど、季節感無視して実ってくれてありがたい。
「ありがとうございます。この辺りの果物は収穫終了ですね。晃太、次」
「場所覚える気はないんやね」
リストに書き加えていた晃太がぽつり。
「地図読めんもん、さ、次々」
「はいはい」
私達はダンジョン内をぞろぞろ移動。上層階なので、他の冒険者は皆さんもいないので気楽だ。次では巨峰やマスカット、梨、マンゴーを収穫。
「ブヒヒヒン、バリバリ」
収穫している横で、ノワールが景気よく食べている。ま、いっか、食べ盛りの男の子やからね。
残り日程を果物収穫と、食品系ドロップ品のボス部屋に挑んだりして過ごす。
「わうん、わうん」
「がうぅ」
「くうーん」
「くうーん」
『ねえね、いちご、いちご食べたい』
「はいはい」
仔達がすっかり苺の味をしめて、よくおねだりに来る。かわいかね、おっとっ、押し潰されそうっ。やめて、元気や、あんた体重いくらやと。すでに大型犬で表現していいものか。コハクもだ、2人とも無事に?なのかな、体重がなんと100キロ越えた。すでに抱っこ出来ない。すくすく成長していると思おう。
……………………………………………………………………
よく考えたら、ビアンカもルージュもでかいから、そのうちみんなこれくらいにはなるよね? あ、元気、下手したらビアンカより大きくなるかもって。コハクもルージュより大きくなる? ルリとクリスとヒスイもいるから、わー、もふもふー、海が発生するもふもふの海が。いや、大海が。じゃない、神様のお陰で従魔の部屋は拡張して今は問題ないけど、いずれ更なる拡張必要やな。ポイント大事にせんと。
仔達の催促大合唱。はいはい、分かったがな、私はおやつの苺を洗った。
最終日、コラーゲン部屋。
「ブヒヒヒーンッ」
支援を受けたノワールが風蹄(ヴァンオーブ)で大爆走。フレアタートルの首がへし折れ、あっという間にドロップ品に。合掌。
晃太はデバフを連発。ルージュが援護に回り、仔達は魔法を連発し、鷹の目の皆さんも奮闘している。私にはビアンカが付いてくれる。目の前で氷漬け状態のフレアタートルが転がる。完全に接待だよ。だけど、申し訳ないが、すまん、コラーゲンよ。私はフライパンでちょいちょい。ドロップ品になる。あー、罪悪感ー。
てってれってー
【レベルが82にアップしました】
あー、罪悪感ー。
すべてのフレアタートルがドロップ品になった瞬間。
「ブヒヒヒーンッ」
「来たーッ」
ノワールとフライパンを掲げて晃太が叫ぶ。
どうした、どうした。
「ブヒヒン、ブヒヒヒンッ」
『レベルが上がったようなのです』
『200になったみたい』
「そうね」
ノワールは確か、馬車牽くための、いや、もう違うね。戦車馬(チャリオット・ホース)やもんね。
「で、晃太は?」
「支援魔法のスキルがDになったばいっ」
「おおっ、やったやん」
かなり詰め込みでやったけど、凄かやん。本来なら15年コースなのに。
「なら帰ってからお祝いかね」
なんて言いながら、『彼女さん』に会いに行くのが、実感が沸いてきた。後はノワールの装備品だけだ。アトリスさんに確認せんと。あ、リティアさんにも言わんとね。祭りもあるし、春先の薬草もゲットせんと。やっぱり忙しかな。
後ろで、ビアンカとルージュとノワールの荒い鼻息をスルーしながら、頭の中で簡単な行動計画を立てた。
寒さも随分いいけど。
私と晃太もせっせとフライパンを振り回す。
「だあああぁぁぁぁぁっ」
「ひいいぃぃぃぃぃぃっ」
20階のボス部屋で、私と晃太は悲鳴を上げる。嫌な手応えがっ。
てってれってー
【レベルが81にアップしました】
レベルが上がったけど、ひー、ひー。息が上がる。
『ユイ、これくらいで悲鳴を上げてはいけないのですよ』
『そうよ、魔境に行く途中、こんな蛇なんてわんさかいるんだから』
やめて、その情報。
だいたいね、レベル500が何ばいいようとよ。毎回ちゅどん、ドカンしているけどさ。今さらだけど、その魔境に行くのに不安が。例の『彼女さん』にたどり着くまでに、喉が悲鳴で潰れんかね? わんさかといるなんて、物凄く嫌やなあ。まあ、一番大変なのは、手綱を握るホークさんだけどさ。
「わい、ルームにおる」
おのれ。
ルーム内にいれば、自動的に私と一緒に移動できるからね。
ぶーぶー、と思いながらせっせとドロップ品を拾う。
みてません、目玉なんて見てません。
それからも戦闘したけど、なかなかレベルが上がらず。まあ、しょうがないか、なんだかんだと私のレベルはかなり高い。レベルって高くなると上がりにくくなる。神様から頂いた経験値5倍があるからね。それにかなりずるいレベルアップをしている。ビアンカとルージュのガッチリ援護の、接待戦闘だもんね。ホークさんに聞いたら、私のレベルにびっくりされた。ちなみに自分のレベルは他の人には話さない。それ以前に自分のレベルは、大まかにしか分からない。中にはレベルを詐称して、色々やらかす冒険者がいたらしく、しゃべらないんだって。それに私達には自己鑑定Sがあるから分かるだけ。ある程度の実力を確認したい場合は、冒険者ギルドにレベルを鑑定する魔道具がある。多少の誤差があるが分かるそうだ。
レベルの話は置いとこう。私の場合はルームや『異世界のメニュー』絡みが多いからね。
「ユイさん、宝箱出ました」
ミゲル君が教えてくれる。
「ありがとう、ルージュ、お願い」
『分かったわ』
さ、何が出るかな。
「姉ちゃん、今回のドロップ品どうする?」
「そうやね」
私は夕飯のカレーを準備しながら思案する。そろそろノワールの装具品が出来上がり、晃太の支援魔法のスキルアップもしそうだし。うーん、そうなればカルーラに移動だ。準備出来次第出発したい、下手したら魔境にいる『彼女さん』に会いに行くのが冬になる。それだけは避けたいし。冬は魔境の天候が厳しいから。
マーファには戻るつもりだけど、移動期間を考える。アルブレンを経由してカルーラへの移動、ノワールの馬力で約1ヶ月。それからノワールに乗って、ビアンカとルージュに守られて魔境を目指す。最低4~5ヵ月。もし、途中で天候やトラブルがあれば、半年は越す。無事に『彼女さん』に会えて、戦力強化のお願いがスムーズに出来れば問題ないけど。下手したら、断られる可能性もある。無理なら、時間をおいてもう一度お願いするしかないと、ビアンカとルージュから言われた。下手したら、次年度にまたお伺いだ。
『彼女さん』も気になるが、そのちょーっとシスコン臭のするお兄さんにもお会いしたい。きっとビアンカ以上の体躯のもふもふフォレストガーディアンウルフだしね。
そうそうドロップ品。
おそらくお祭りの終わった後くらいに、装備品が出来上がる。お祭りのバザーに私達は参加予定だから、しばらくその準備で冷蔵庫ダンジョンには来ない。つまり今回が、じっくり臨む最後になる。ビアンカとルージュ、サイズアップした仔達、そしてノワールの為にたくさんゲットしないと。ダンジョン内にあちこち植えた果樹がたわわに実っている。それも回収しなくては。甘い果実はみんな大好きだ。特にノワールが食べるからね。私達が派手にちゅどん、ドカン、バキバキしているからか、次の日には同じ量が実っている。試しに苺やメロンも植えてみたら、ちゃんと実っていたから、せっせと収穫しなくては。不思議とダンジョンの魔物は、果物は食べていない。お腹減らないのかね?
「残りの日程で出る、食べ物系ドロップ品は出来るだけ引き取るかね。果物の収穫しながらね。晃太、引き取る分のリストは別に作ってくれる?」
「ん」
夕食時に説明すると、みんな理解してくれた。
「ブヒヒヒン、バリバリ」
収穫という名の摘まみ食いをしているノワール、いい音立てて、実っているリンゴをそのまま食べている。もう。
『戦闘モード使った後だから、何時もより美味しいって言っているのです』
『確かに、ノワールは肉は食べないから消費が違うのかしらね』
ノワールは草食魔物だから、ルージュの言うように、エネルギーの消費が違うのかね? 以前より、運動力の多いノワールを心配して、たんぱく質を補う為に、食事に大豆とか混ぜてるけど、足りないかもしれない。よし、大豆、増やそう。そう思いながら、視界の隅で仔達がモグモグ。あーあー、苺をたべて口の回りが真っ赤やん。もう、かわいかね。
「ユイさん、リンゴ、洋梨、無花果、みかん、柿、キウイ、バナナ、苺、メロンの収穫終わりました」
ホークさんが報告に来てくれる。試しに色々植えたけど、季節感無視して実ってくれてありがたい。
「ありがとうございます。この辺りの果物は収穫終了ですね。晃太、次」
「場所覚える気はないんやね」
リストに書き加えていた晃太がぽつり。
「地図読めんもん、さ、次々」
「はいはい」
私達はダンジョン内をぞろぞろ移動。上層階なので、他の冒険者は皆さんもいないので気楽だ。次では巨峰やマスカット、梨、マンゴーを収穫。
「ブヒヒヒン、バリバリ」
収穫している横で、ノワールが景気よく食べている。ま、いっか、食べ盛りの男の子やからね。
残り日程を果物収穫と、食品系ドロップ品のボス部屋に挑んだりして過ごす。
「わうん、わうん」
「がうぅ」
「くうーん」
「くうーん」
『ねえね、いちご、いちご食べたい』
「はいはい」
仔達がすっかり苺の味をしめて、よくおねだりに来る。かわいかね、おっとっ、押し潰されそうっ。やめて、元気や、あんた体重いくらやと。すでに大型犬で表現していいものか。コハクもだ、2人とも無事に?なのかな、体重がなんと100キロ越えた。すでに抱っこ出来ない。すくすく成長していると思おう。
……………………………………………………………………
よく考えたら、ビアンカもルージュもでかいから、そのうちみんなこれくらいにはなるよね? あ、元気、下手したらビアンカより大きくなるかもって。コハクもルージュより大きくなる? ルリとクリスとヒスイもいるから、わー、もふもふー、海が発生するもふもふの海が。いや、大海が。じゃない、神様のお陰で従魔の部屋は拡張して今は問題ないけど、いずれ更なる拡張必要やな。ポイント大事にせんと。
仔達の催促大合唱。はいはい、分かったがな、私はおやつの苺を洗った。
最終日、コラーゲン部屋。
「ブヒヒヒーンッ」
支援を受けたノワールが風蹄(ヴァンオーブ)で大爆走。フレアタートルの首がへし折れ、あっという間にドロップ品に。合掌。
晃太はデバフを連発。ルージュが援護に回り、仔達は魔法を連発し、鷹の目の皆さんも奮闘している。私にはビアンカが付いてくれる。目の前で氷漬け状態のフレアタートルが転がる。完全に接待だよ。だけど、申し訳ないが、すまん、コラーゲンよ。私はフライパンでちょいちょい。ドロップ品になる。あー、罪悪感ー。
てってれってー
【レベルが82にアップしました】
あー、罪悪感ー。
すべてのフレアタートルがドロップ品になった瞬間。
「ブヒヒヒーンッ」
「来たーッ」
ノワールとフライパンを掲げて晃太が叫ぶ。
どうした、どうした。
「ブヒヒン、ブヒヒヒンッ」
『レベルが上がったようなのです』
『200になったみたい』
「そうね」
ノワールは確か、馬車牽くための、いや、もう違うね。戦車馬(チャリオット・ホース)やもんね。
「で、晃太は?」
「支援魔法のスキルがDになったばいっ」
「おおっ、やったやん」
かなり詰め込みでやったけど、凄かやん。本来なら15年コースなのに。
「なら帰ってからお祝いかね」
なんて言いながら、『彼女さん』に会いに行くのが、実感が沸いてきた。後はノワールの装備品だけだ。アトリスさんに確認せんと。あ、リティアさんにも言わんとね。祭りもあるし、春先の薬草もゲットせんと。やっぱり忙しかな。
後ろで、ビアンカとルージュとノワールの荒い鼻息をスルーしながら、頭の中で簡単な行動計画を立てた。
感想 854
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
妹を踏みにじった奴らに、復讐の花束を
楠ノ木雫 妹を傷つけたやつは誰だ。
隣国に嫁いだこの国の王女であり双子の妹でもあるクラリスが2年後に亡き人となって帰ってきた。死因すら伝えられず嫁ぎ先の墓にも入れてもらえずに隣国の使者が連れてきた。
この事実に信じられずにいると、クラリスが帰ってくる半年前に戻っていた。
一体隣国でクラリスの身に何があったのか。
絶対に、もうクラリスのあんな姿を見たくない。堅く決意し使節団の使者として隣国に乗りこむ事になった。
※一話で過激なシーンがあります。
【第1回新エンタメ小説大賞】にエントリー中です。
五年も笑わなかった辺境伯の娘が、追放された保育係の令嬢の前で初めて笑った
歩人(あゆと)侯爵令嬢クラリスは、五年間、兄夫婦の公爵家で三人の御子の保育を任されてきた。表向きは「下女扱い」だったが、彼女の保育記録には毎日の歌・手作りの絵札・夜泣きの記録が綿密に綴られていた。「育児など侍女の手伝い。本物の貴族のすることではないわ」兄嫁の侮辱に、クラリスは保育記録帳を置いて去る。訪ねた先は、妻を亡くした辺境伯ロタールの屋敷だった。彼の娘リーリャは六歳、母を亡くして以来、誰の前でも笑わなかった。「五年、御子さま方を見続けたあなたなら、リーリャの心も読めるだろうか」ロタールの不器用な依頼に、クラリスは静かに頷く。春が来る頃、リーリャは初めて声を上げて笑った。クラリスの隣で、ロタールも気づくと微笑んでいた——五年ぶりに。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!