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魔境⑥
その日の昼過ぎ。
「よかやん、久し振りなんやけん、ちょっと付き合ってやらんね」
『嫌なのです~』
『行きたくないわ~』
ひーん、とビアンカとルージュが私に訴える。
さっき、お兄さんから久し振りに散歩しようと誘われたようで、即断っていたが、あまりにもお兄さんがかわいそうに鳴くので、思わず言った。
『それに、ユイ達をここに残していけないのです。ね、ルージュ』
『そうよ、そうよ』
「ルームにおるよ」
嫌がるビアンカとルージュ。珍しか。いつも散歩散歩と言うのに。
『そ、それに、彼女だって、兄がいないと心細いはずなのですっ』
『そうねっ』
私はお母さんウルフを見ると、顔を横に振ってる。
バサバサッと音がする。
見上げると、『彼女さん』だ。相変わらず、デカかあ。
『ドウシタ?』
説明すると、なんだ、みたいな顔。
『行ッテコイ。ソノ横ニ広ガッタノヲ引キ締メテコイ』
『『そんなーっ』』
結構、ハッキリ言うね。
『でもっ、ユイをここに残してはいけないのですっ』
『そうよ、心配だわっ』
『私ガイル』
はよ、いかんね。と、『彼女さん』がせっつき、結局泣く泣くお兄さんに着いていくビアンカとルージュ。
いってらっしゃい。
『………………3日ハ帰ラナイダロウナ』
「えっ?」
本当に3日間、ビアンカとルージュは帰って来なかった。
その3日間で毎日お母さんウルフと赤ちゃん達のお世話。お乳も無事に出始めたようだ。良かった。赤ちゃん、かわいか。やっと歩き出して、ぽてぽて、ぽてん、と歩く姿が悶絶するほどかわいか。のほほーんと、見てるとヒスイが私の前に陣取る。なんね、嫉妬したとね? かわいかね。もふもふ。
何故か、他のウルフ達が断続的に来るので、お肉を放出。奥にある巣に持って行っているんだろう。他のお母さんウルフや赤ちゃんウルフが心配だが、入るのは止められた。子育て中のお母さんウルフは警戒心が高い。普通は私みたいな余所者が来たら迎撃ものだ。ビアンカとルージュがいて、説得してくれたからオッドアイお母さんウルフは受けてくれただけ。私達だけで行ったら混乱する原因になるかもしれないからね。お父さんウルフがお肉をお母さんウルフに運んでいることで、役に立つなら、それでよか。たくさんあるしね。
ビアンカとルージュが、お兄さんと散歩に出た次の日、別のグリフォンが来た。一体はまだみた感じ幼い感じがする羽角のあるグリフォンと、羽角のないつるっとした頭のグリフォンだ。『彼女さん』より小さい。
『私ノ伴侶ト仔ダ』
羽角のあるのが仔で、ないのが伴侶ね。これはどうもどうも。なんで蜘蛛の時いなかったのかな?って思ったら、『彼女さん』に言われて別の場所を調べていたそうだ。
お近づきのしるしに、お肉やお菓子をお出しすると、好評だ。クッキーやサンドウィッチが食べやすいのか、せっせとつついて食べてる。お肉も引きちぎって食べてる。
『彼女さん』の仔は雄で、元気とコハクに興味津々に見られているけど、物怖じせず、首を伸ばすようにしてこちらを見ている。伴侶は、首を傾げながらもお食事を食べてる。しばらく報告と家族団欒してから、伴侶と仔は帰って行った。もふもふしたかった。毎日それから来てくれて、獅子の尻尾ふりふりしながら楽しみにしてそうなので、色々出した。そのうち、あのもこもこのお尻に頬擦りばっ。
3日後。
すっかり元気とコハクが『彼女さん』の仔と仲良くなった頃に、ビアンカとルージュが帰って来た。
まさにホウホウの体だ。
くたびれたビアンカとルージュと対照的に、元気一杯のお兄さん。えー、どんな体力やねん。
『ぜぇぜぇ、つ、疲れたのです……………』
『み、水………………』
慌ててルームを開けると、従魔の部屋で水分補給してから、ぱたり。そして泥のように眠る。
うわあ、ビアンカとルージュがこんなに疲労するなんて。
「わおんっわおんっ」
「わんわんっ」
「がるうっ」
お兄さんは元気とコハクと遊んでいる。
ビアンカとルージュが言いよったけど、体力と魔力、ずば抜けてるって。
『マア、コウナルナ』
ルームから出てきた私に、『彼女さん』が色々教えてくれる。
本来、このエリアは代々ウルフ系のボスを出していた。だが、先代のリルさんが早めに引退することになり、後続をどうするかとなった。順当ならお兄さんになるはずだが、立派なバトルジャンキーのお兄さん。散歩と言ったが、何日もの行軍を、へいへいやるぜ、みたいな感じで、毎回付き合わされるウルフ達はホウホウの体。そのお陰か、他のエリアの魔物より格段に強いと。だが、もしこれがエリアボスとなったら、行軍は強制参加になる。身体がいくつあっても足りない。
そこでリルさんはウルフ達を集めて言った。次のエリアボスを『彼女さん』かお兄さんかどちらか、と。もし、リルさんがいなくなったら、実力でお兄さんを押さえられるのは『彼女さん』だけ。ウルフ達は意思まとめて訴えたのは、エリアボスを『彼女さん』に、だ。それでエリアボスは『彼女さん』になった。
そもそも『彼女さん』が何故、ウルフのエリアにいるんだろう?
『ソウ思ウダロウナ。私ハグリフォンノ中デハ異端児ナノダ』
話を聞きたいが、それ以上話してくれない。無理に聞くのも嫌がるかも知れないしね。
そんなこんなで1週間。
特別オプションはなんと警報器だった。サブ・ドアなら外側にも付けられると、父の鑑定であり。試しにカルーラ側に付けて見る。クイズ番組とかのボタンや。押して見ると、火事とかの警報音が頭の中で鳴り響く。音は頭に響くが、便利や。今まで何かあってもサブ・ドアの向こう側は分からなかったし、心配だったから。早速設置のままに。設置・撤去はそれぞれ5万HPが必要。
それから魔境だけど、骨休めも兼ねてのんびり過ごす。
あの鼻水ウルフは毎日何かしらビアンカに献上している。熱心やね。だけど、ビアンカも困った顔だ。
ビアンカとルージュがノワールと仔達の戦闘訓練の散歩をする。『彼女さん』の仔と、お兄さんまで着いていく。
『イイ経験ダ』
「クルクルッ」
かわいかあ。『彼女さん』の仔も綺麗な黄金色。ご機嫌なのか、翼をバサバサやってる。『彼女さん』よりは小さいが、そこそこデカイ。体躯はルージュより一回り小さいくらいだ。翼は広がると多分両翼合わせて3メートルは越す。だけど、鳴き声がかわいか。そしてお尻がもこもこ。
『着いてくるだけなのですよ』
『絶対に邪魔しないでね』
ビアンカとルージュが、お兄さんにたくさん釘を刺す。
だけど、帰って来たら、かなりお小言言われてる。
『じっとしてろと言ったのですっ』
『邪魔しないでって言ったわよねっ』
ですって。何があったか、何となく分かる。
それから、ビアンカとルージュ、『彼女さん』で戦闘強化の話をしている。
『ソウダナ、ポリポリ』
私が差し入れしたクッキーを摘まみながら悩んでいる。無くなると、器用に前肢で皿を私の方に押し出す。何回もね。皿にクッキーを出していると、晃太がこそこそと、ストックなくなりそうや、と。なら買いに行こうかね。
『あのですね』
『催促してるけど、ユイがいないと食べれないからね』
当たり前のようにクッキーを食べる『彼女さん』に、ビアンカとルージュは呆れ顔。
『ヌ、ソウダッタナ』
それでも食べる『彼女さん』。
『もっと色々美味しいのが、あるのですよ~』
『エビがオススメよ~』
『果実のケーキもなのです~』
『パリパリの皮に包まっているのもよ~』
『ヌッ』
ビアンカとルージュが悪い顔。なるほど、胃袋に訴えますか。てか、全部私のルームのスキルじゃないと、提供できないんやけど。
うーん。
悪くない。
私は悪代官の気分になる。
ほら。お兄さんがルームに入った時にびーびー鳴って、ボーナスポイントが30万も来た。あれからお兄さんが入ってもびーびーのみで、ポイントは追加されない。あれはきっと従魔契約してないからだと思うんだよね。それからどれだけ強いかに寄ると思う。『彼女さん』の仔が入り込んだ時は【魔物侵入を確認しました】だけだったし。
『彼女さん』はお兄さんより、強い。つまり、絶対【厄災クラス】や。ルームにご案内したら、ポイントポイントがっぽりがっぽり、ぬっふっふ。
『どうしたのですユイ』
『その顔、どうしたの?』
私の悪い顔に引く、ビアンカとルージュ。『彼女さん』も、ん? みたいだ。いけないいけない。ここはリティアさんを見習ってスマイル炸裂。
「せっかくやしさ、『彼女さん』達をルームにご招待してご馳走しようかなって。好きなの食べてよかよ~」
『大賛成なのですッ』
『妙案だわッ』
「よかやん、久し振りなんやけん、ちょっと付き合ってやらんね」
『嫌なのです~』
『行きたくないわ~』
ひーん、とビアンカとルージュが私に訴える。
さっき、お兄さんから久し振りに散歩しようと誘われたようで、即断っていたが、あまりにもお兄さんがかわいそうに鳴くので、思わず言った。
『それに、ユイ達をここに残していけないのです。ね、ルージュ』
『そうよ、そうよ』
「ルームにおるよ」
嫌がるビアンカとルージュ。珍しか。いつも散歩散歩と言うのに。
『そ、それに、彼女だって、兄がいないと心細いはずなのですっ』
『そうねっ』
私はお母さんウルフを見ると、顔を横に振ってる。
バサバサッと音がする。
見上げると、『彼女さん』だ。相変わらず、デカかあ。
『ドウシタ?』
説明すると、なんだ、みたいな顔。
『行ッテコイ。ソノ横ニ広ガッタノヲ引キ締メテコイ』
『『そんなーっ』』
結構、ハッキリ言うね。
『でもっ、ユイをここに残してはいけないのですっ』
『そうよ、心配だわっ』
『私ガイル』
はよ、いかんね。と、『彼女さん』がせっつき、結局泣く泣くお兄さんに着いていくビアンカとルージュ。
いってらっしゃい。
『………………3日ハ帰ラナイダロウナ』
「えっ?」
本当に3日間、ビアンカとルージュは帰って来なかった。
その3日間で毎日お母さんウルフと赤ちゃん達のお世話。お乳も無事に出始めたようだ。良かった。赤ちゃん、かわいか。やっと歩き出して、ぽてぽて、ぽてん、と歩く姿が悶絶するほどかわいか。のほほーんと、見てるとヒスイが私の前に陣取る。なんね、嫉妬したとね? かわいかね。もふもふ。
何故か、他のウルフ達が断続的に来るので、お肉を放出。奥にある巣に持って行っているんだろう。他のお母さんウルフや赤ちゃんウルフが心配だが、入るのは止められた。子育て中のお母さんウルフは警戒心が高い。普通は私みたいな余所者が来たら迎撃ものだ。ビアンカとルージュがいて、説得してくれたからオッドアイお母さんウルフは受けてくれただけ。私達だけで行ったら混乱する原因になるかもしれないからね。お父さんウルフがお肉をお母さんウルフに運んでいることで、役に立つなら、それでよか。たくさんあるしね。
ビアンカとルージュが、お兄さんと散歩に出た次の日、別のグリフォンが来た。一体はまだみた感じ幼い感じがする羽角のあるグリフォンと、羽角のないつるっとした頭のグリフォンだ。『彼女さん』より小さい。
『私ノ伴侶ト仔ダ』
羽角のあるのが仔で、ないのが伴侶ね。これはどうもどうも。なんで蜘蛛の時いなかったのかな?って思ったら、『彼女さん』に言われて別の場所を調べていたそうだ。
お近づきのしるしに、お肉やお菓子をお出しすると、好評だ。クッキーやサンドウィッチが食べやすいのか、せっせとつついて食べてる。お肉も引きちぎって食べてる。
『彼女さん』の仔は雄で、元気とコハクに興味津々に見られているけど、物怖じせず、首を伸ばすようにしてこちらを見ている。伴侶は、首を傾げながらもお食事を食べてる。しばらく報告と家族団欒してから、伴侶と仔は帰って行った。もふもふしたかった。毎日それから来てくれて、獅子の尻尾ふりふりしながら楽しみにしてそうなので、色々出した。そのうち、あのもこもこのお尻に頬擦りばっ。
3日後。
すっかり元気とコハクが『彼女さん』の仔と仲良くなった頃に、ビアンカとルージュが帰って来た。
まさにホウホウの体だ。
くたびれたビアンカとルージュと対照的に、元気一杯のお兄さん。えー、どんな体力やねん。
『ぜぇぜぇ、つ、疲れたのです……………』
『み、水………………』
慌ててルームを開けると、従魔の部屋で水分補給してから、ぱたり。そして泥のように眠る。
うわあ、ビアンカとルージュがこんなに疲労するなんて。
「わおんっわおんっ」
「わんわんっ」
「がるうっ」
お兄さんは元気とコハクと遊んでいる。
ビアンカとルージュが言いよったけど、体力と魔力、ずば抜けてるって。
『マア、コウナルナ』
ルームから出てきた私に、『彼女さん』が色々教えてくれる。
本来、このエリアは代々ウルフ系のボスを出していた。だが、先代のリルさんが早めに引退することになり、後続をどうするかとなった。順当ならお兄さんになるはずだが、立派なバトルジャンキーのお兄さん。散歩と言ったが、何日もの行軍を、へいへいやるぜ、みたいな感じで、毎回付き合わされるウルフ達はホウホウの体。そのお陰か、他のエリアの魔物より格段に強いと。だが、もしこれがエリアボスとなったら、行軍は強制参加になる。身体がいくつあっても足りない。
そこでリルさんはウルフ達を集めて言った。次のエリアボスを『彼女さん』かお兄さんかどちらか、と。もし、リルさんがいなくなったら、実力でお兄さんを押さえられるのは『彼女さん』だけ。ウルフ達は意思まとめて訴えたのは、エリアボスを『彼女さん』に、だ。それでエリアボスは『彼女さん』になった。
そもそも『彼女さん』が何故、ウルフのエリアにいるんだろう?
『ソウ思ウダロウナ。私ハグリフォンノ中デハ異端児ナノダ』
話を聞きたいが、それ以上話してくれない。無理に聞くのも嫌がるかも知れないしね。
そんなこんなで1週間。
特別オプションはなんと警報器だった。サブ・ドアなら外側にも付けられると、父の鑑定であり。試しにカルーラ側に付けて見る。クイズ番組とかのボタンや。押して見ると、火事とかの警報音が頭の中で鳴り響く。音は頭に響くが、便利や。今まで何かあってもサブ・ドアの向こう側は分からなかったし、心配だったから。早速設置のままに。設置・撤去はそれぞれ5万HPが必要。
それから魔境だけど、骨休めも兼ねてのんびり過ごす。
あの鼻水ウルフは毎日何かしらビアンカに献上している。熱心やね。だけど、ビアンカも困った顔だ。
ビアンカとルージュがノワールと仔達の戦闘訓練の散歩をする。『彼女さん』の仔と、お兄さんまで着いていく。
『イイ経験ダ』
「クルクルッ」
かわいかあ。『彼女さん』の仔も綺麗な黄金色。ご機嫌なのか、翼をバサバサやってる。『彼女さん』よりは小さいが、そこそこデカイ。体躯はルージュより一回り小さいくらいだ。翼は広がると多分両翼合わせて3メートルは越す。だけど、鳴き声がかわいか。そしてお尻がもこもこ。
『着いてくるだけなのですよ』
『絶対に邪魔しないでね』
ビアンカとルージュが、お兄さんにたくさん釘を刺す。
だけど、帰って来たら、かなりお小言言われてる。
『じっとしてろと言ったのですっ』
『邪魔しないでって言ったわよねっ』
ですって。何があったか、何となく分かる。
それから、ビアンカとルージュ、『彼女さん』で戦闘強化の話をしている。
『ソウダナ、ポリポリ』
私が差し入れしたクッキーを摘まみながら悩んでいる。無くなると、器用に前肢で皿を私の方に押し出す。何回もね。皿にクッキーを出していると、晃太がこそこそと、ストックなくなりそうや、と。なら買いに行こうかね。
『あのですね』
『催促してるけど、ユイがいないと食べれないからね』
当たり前のようにクッキーを食べる『彼女さん』に、ビアンカとルージュは呆れ顔。
『ヌ、ソウダッタナ』
それでも食べる『彼女さん』。
『もっと色々美味しいのが、あるのですよ~』
『エビがオススメよ~』
『果実のケーキもなのです~』
『パリパリの皮に包まっているのもよ~』
『ヌッ』
ビアンカとルージュが悪い顔。なるほど、胃袋に訴えますか。てか、全部私のルームのスキルじゃないと、提供できないんやけど。
うーん。
悪くない。
私は悪代官の気分になる。
ほら。お兄さんがルームに入った時にびーびー鳴って、ボーナスポイントが30万も来た。あれからお兄さんが入ってもびーびーのみで、ポイントは追加されない。あれはきっと従魔契約してないからだと思うんだよね。それからどれだけ強いかに寄ると思う。『彼女さん』の仔が入り込んだ時は【魔物侵入を確認しました】だけだったし。
『彼女さん』はお兄さんより、強い。つまり、絶対【厄災クラス】や。ルームにご案内したら、ポイントポイントがっぽりがっぽり、ぬっふっふ。
『どうしたのですユイ』
『その顔、どうしたの?』
私の悪い顔に引く、ビアンカとルージュ。『彼女さん』も、ん? みたいだ。いけないいけない。ここはリティアさんを見習ってスマイル炸裂。
「せっかくやしさ、『彼女さん』達をルームにご招待してご馳走しようかなって。好きなの食べてよかよ~」
『大賛成なのですッ』
『妙案だわッ』
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