413 / 876
連載
神からの依頼②
神様からの依頼は、あの山の周囲を回ること。何事もなければ、それでオッケーだ。
あの山は王冠山と地元では言われていて、標高もおそらく富士山並み、いや、それ以上ある。もちろん魔物もわんさかいるし、向こうみたいに登山家が臨むようなこともない。位置も、魔の森の奥で半分は魔境にかかっているため、冒険者も寄り付けない。ビアンカやルージュが爆走したのは、魔境側ね。
『ユイ、大丈夫なのです』
『辺りに誰もいないわ』
「ありがとう、ホークさん、お願いします」
「はい」
私達は森に入り数日徒歩移動する。今は大討伐が行われているため、冒険者パーティーと騎士団が多数魔の森に入っている。初日に遭遇して、ちょっと騒ぎになった。アレスが元気と共にわーっと行って、向こうもわーっとなってしまい、平謝り。そうだよね、厄災クラスの魔物で、700キロ越えの体躯が、わーっと来たら、誰でも恐いわ。
なんとか帰宅途中だった冒険者パーティーを、無事にお見送りする。元気はビアンカが叱り、アレスはアリスに叱ってもらった。
念のため、数日間は徒歩移動してから、ノワールに騎乗した。魔の森の中を騎乗しているのをみられるのは避けたい。もし、見られたら、他のメンバーは?ってことになるしね。ルームがばれないとは限らないし、念のため。
私は餃子の具材になり、皮のホークさんにおとなしく包まれる。うーん、ドキドキしてしまい恥ずかしか。
晃太達とアリスとシルフィ達はルーム。ビアンカとルージュ、アレスと仔達は並走し、イシス達飛行部隊は木々の上を飛行しながら着いてくる。
ノワールは順調に進む、途中でいろんな魔物と遭遇したが、うちの従魔ズに勝てっこない。晃太がせっせと回収する。
山に向かっているが、私にはルームがあるので、カルーラのパーティーハウス、魔境を行ったり来たりしている。父の暖房器具も試作品が出来て、とりあえず1台設置した。夜は冷えるので、夕食時にスイッチオンして、次の日の朝ごはんの時にオフするようにしている。魔境のウルフ達は魔法を使えるが、涼しくしやすくできるが、適温に温かくするのは苦手だそうだ。そこら辺にある石を加熱すればいいんやないかな?って思ったが、そこに着目点がなかったようや。赤ちゃんウルフが間違って踏んだら火傷やからね。やらないように注意した。代わりに湯タンポくらいに温かく出来ないか、ルージュと鼻水君が挑戦しているが、なかなか上手くいかないみたい。持続して湯タンポ温度に保つのが難しいみたい。
父的には今は魔石にエネルギーを頼っているが、いずれ魔力補填タイプにしたいそうだ。暖房器具がおかれているのは、木々が密集して出来た半ドーム型で、そとの風を遮断するからずいぶん違うが、真冬の寒さは堪える。この暖房器具1台では焼け石に水だけど、今年中には更に追加設置予定だ。連続使用してトラブル起きたらいややし、複数台設置し、昼間と夜間で使用する暖房器具を変えて対応することになる。水呑場も無事に設置済んだしね。行くたびに弱ったお母さんウルフや赤ちゃんウルフがいないかチェック。すでに息を引き取っているのを発見した事も一度や二度やない。出来たら具合が悪ければルームで様子を見たいけど、そう上手くいかない。ルームに入らないのだ。それからやはりあちこちおかしな魔物がいるらしく、それの迎撃に忙しくて、狩りの方まで手が回らないと。食べられる魔物ではないし、無理して食べたら母乳にものすごく悪いんだって。ビアンカとルージュ曰く、十数年おきにあるらしく、今年が当たり年のようだ。お父さんウルフ達が晃太に無心に来たのもこれのせいだ。本来プライドと警戒心の高いウルフが、お肉欲しさに来るわけない。狩りが上手くいかず、お母さんウルフと赤ちゃんウルフの為に、いろんなものを捨てて、晃太に無心していただけ。なので、これが治まれば、しっかり狩りに勤しめ、自力で栄養補給できる。暖房器具も無事に稼働すれば、来年はこんなに頻繁に来なくても大丈夫だと。それでも出来ることをする。母が滋養にいいフレアタートルの鍋を作ったり、私はチーズクリームで子犬用の栄養ゼリーを舐めさせたりと、毎日忙しく過ぎていった。
鼻水君がエリアボスになったけど、それに関しては問題は起きてないようだ。補佐役のウルフ達もよく働いているみたい。ただ、視線を感じる。まさかね、と思いながら、ワンコのおやつを見せると、尻尾がバタバタしている。
もう、かわいかね。
なんね、待っとったんね、たくさんあるけん、よかよか。
ノワールに騎乗し移動開始して1週間して、やっと王冠山付近に到着する。到着したが、特に問題はない。
時折猪やら蛇やらなんやらかんやら襲ってくるが、ものの数分もかからず、倒れ伏している。
『やっぱりおかしいのです』
『私達にケンカを売るなんて。イシスもいるのに』
『わーっはっはっはーっ、次行くぞーっ』
テンションが高いアレスはいつもの調子で、元気とコハクを引き連れて爆走している。
私はホークさんに抱えられてノワールを降りる。恥ずかしか。
「ねえ、なんか感じる?」
『特にないのです』
『そうねえ。いつもは襲って来ないのが、襲ってくるくらいかしら』
「イシスはー?」
私は空に向かって聞くと、旋回していたイシスは小さく首を横に振る。アレスはあっちに行ったままやし。
ルームから出て魔物を回収していた晃太が、戻って来る。
「まだ来たばっかりやん。もう少し様子を見たら?」
「そうやな」
ぐるっと一周が始まったばっかりやしなあ。
「さて、行こうかね。アレスー、帰って来んと強制送還よー」
………………………………………ズザザザザザザッ
げふうっ、土煙が凄かっ。
『帰って来たのだーっ、強制送還は嫌なのだーっ』
ビアンカとルージュが、小さく舌打ちしてる。
すりすりっ、と来る。かわいかけど、元気とコハクは? あ、帰って来た。良かった。
「もう勝手にどっかに行ったらダメよ」
『分かったのだっ』
すりすりっ、おととっ、押し倒されそうっ。
返事はいいが。まあ、すぐに忘れて、走り回ってた。
魔の森側をノワールに騎乗して順調に進む。今のところ異常はない。
取り越し苦労になってくれたらいいなあ。
すでに一週間経ってるけど、異常なし。本日の報告済み、と。
さ、サブ・ドア使用して、ウルフ達のお世話も済んだし。ご飯にするかね。
シルフィ達はお乳に吸い付いてる。かわいかあ。鷹の目の皆さんはブラッシングをしてくれてる。
本日は休肝日。
ドラゴンのスジ肉カレーだ。イシス達は嘴なので、ご飯ではなく食パンに乗せる。
くうっ、いい匂いやっ。
ノワールの野菜と果物と準備してから、せっせと母と手分けしてドラゴンのスジ肉カレーを盛っていく。晃太と父は食パンをチンして並べる。ビアンカとルージュのご飯にはしらたき混ぜたの。
『おかわりなのです~』
『ユイ~、私も~』
『我も~』
『私モ所望スル』
「くうっ」
従魔の部屋からもおかわりコールが。はいはい。皆で手分けして搬送する。せっかくしらたき混ぜたのに、おかわりしてもう。やっと落ち着いて私達も夕御飯となる。
ドラゴンのスジ肉カレーとみつよしのI市特産野菜のサラダもオッケー。
「いただきます」
「「「「「「いただきます」」」」」」
見た目ビーフカレーなドラゴンのスジ肉カレーを一口、わあっ、奥深い味わい、スジ肉とろとろ。スプーンが止まらないっ。ばくばく。あっという間にお皿が空になる。両親と晃太、鷹の目の皆さんも綺麗に平らげる。珍しく母までおかわりして、ドラゴンのスジ肉カレー完売御礼。
ふう、満腹。
『お母さん、これ美味しいのです~』
『また食べたいわ~』
『母よ~』
『所望スル』
「くうっ、くうっ」
仔達もばあばコールが湧き、母がでれでれしている。でも、大丈夫な? このドラゴンのスジ肉処理結構大変やけど。
「そうやね、鼻水君にも食べさせんとね」
それから数日間。母はドラゴンのスジ肉処理に取りかかる。ルーム開ける度に、芳しい香りが流れ出て、その度に涎出そうになった。
あの山は王冠山と地元では言われていて、標高もおそらく富士山並み、いや、それ以上ある。もちろん魔物もわんさかいるし、向こうみたいに登山家が臨むようなこともない。位置も、魔の森の奥で半分は魔境にかかっているため、冒険者も寄り付けない。ビアンカやルージュが爆走したのは、魔境側ね。
『ユイ、大丈夫なのです』
『辺りに誰もいないわ』
「ありがとう、ホークさん、お願いします」
「はい」
私達は森に入り数日徒歩移動する。今は大討伐が行われているため、冒険者パーティーと騎士団が多数魔の森に入っている。初日に遭遇して、ちょっと騒ぎになった。アレスが元気と共にわーっと行って、向こうもわーっとなってしまい、平謝り。そうだよね、厄災クラスの魔物で、700キロ越えの体躯が、わーっと来たら、誰でも恐いわ。
なんとか帰宅途中だった冒険者パーティーを、無事にお見送りする。元気はビアンカが叱り、アレスはアリスに叱ってもらった。
念のため、数日間は徒歩移動してから、ノワールに騎乗した。魔の森の中を騎乗しているのをみられるのは避けたい。もし、見られたら、他のメンバーは?ってことになるしね。ルームがばれないとは限らないし、念のため。
私は餃子の具材になり、皮のホークさんにおとなしく包まれる。うーん、ドキドキしてしまい恥ずかしか。
晃太達とアリスとシルフィ達はルーム。ビアンカとルージュ、アレスと仔達は並走し、イシス達飛行部隊は木々の上を飛行しながら着いてくる。
ノワールは順調に進む、途中でいろんな魔物と遭遇したが、うちの従魔ズに勝てっこない。晃太がせっせと回収する。
山に向かっているが、私にはルームがあるので、カルーラのパーティーハウス、魔境を行ったり来たりしている。父の暖房器具も試作品が出来て、とりあえず1台設置した。夜は冷えるので、夕食時にスイッチオンして、次の日の朝ごはんの時にオフするようにしている。魔境のウルフ達は魔法を使えるが、涼しくしやすくできるが、適温に温かくするのは苦手だそうだ。そこら辺にある石を加熱すればいいんやないかな?って思ったが、そこに着目点がなかったようや。赤ちゃんウルフが間違って踏んだら火傷やからね。やらないように注意した。代わりに湯タンポくらいに温かく出来ないか、ルージュと鼻水君が挑戦しているが、なかなか上手くいかないみたい。持続して湯タンポ温度に保つのが難しいみたい。
父的には今は魔石にエネルギーを頼っているが、いずれ魔力補填タイプにしたいそうだ。暖房器具がおかれているのは、木々が密集して出来た半ドーム型で、そとの風を遮断するからずいぶん違うが、真冬の寒さは堪える。この暖房器具1台では焼け石に水だけど、今年中には更に追加設置予定だ。連続使用してトラブル起きたらいややし、複数台設置し、昼間と夜間で使用する暖房器具を変えて対応することになる。水呑場も無事に設置済んだしね。行くたびに弱ったお母さんウルフや赤ちゃんウルフがいないかチェック。すでに息を引き取っているのを発見した事も一度や二度やない。出来たら具合が悪ければルームで様子を見たいけど、そう上手くいかない。ルームに入らないのだ。それからやはりあちこちおかしな魔物がいるらしく、それの迎撃に忙しくて、狩りの方まで手が回らないと。食べられる魔物ではないし、無理して食べたら母乳にものすごく悪いんだって。ビアンカとルージュ曰く、十数年おきにあるらしく、今年が当たり年のようだ。お父さんウルフ達が晃太に無心に来たのもこれのせいだ。本来プライドと警戒心の高いウルフが、お肉欲しさに来るわけない。狩りが上手くいかず、お母さんウルフと赤ちゃんウルフの為に、いろんなものを捨てて、晃太に無心していただけ。なので、これが治まれば、しっかり狩りに勤しめ、自力で栄養補給できる。暖房器具も無事に稼働すれば、来年はこんなに頻繁に来なくても大丈夫だと。それでも出来ることをする。母が滋養にいいフレアタートルの鍋を作ったり、私はチーズクリームで子犬用の栄養ゼリーを舐めさせたりと、毎日忙しく過ぎていった。
鼻水君がエリアボスになったけど、それに関しては問題は起きてないようだ。補佐役のウルフ達もよく働いているみたい。ただ、視線を感じる。まさかね、と思いながら、ワンコのおやつを見せると、尻尾がバタバタしている。
もう、かわいかね。
なんね、待っとったんね、たくさんあるけん、よかよか。
ノワールに騎乗し移動開始して1週間して、やっと王冠山付近に到着する。到着したが、特に問題はない。
時折猪やら蛇やらなんやらかんやら襲ってくるが、ものの数分もかからず、倒れ伏している。
『やっぱりおかしいのです』
『私達にケンカを売るなんて。イシスもいるのに』
『わーっはっはっはーっ、次行くぞーっ』
テンションが高いアレスはいつもの調子で、元気とコハクを引き連れて爆走している。
私はホークさんに抱えられてノワールを降りる。恥ずかしか。
「ねえ、なんか感じる?」
『特にないのです』
『そうねえ。いつもは襲って来ないのが、襲ってくるくらいかしら』
「イシスはー?」
私は空に向かって聞くと、旋回していたイシスは小さく首を横に振る。アレスはあっちに行ったままやし。
ルームから出て魔物を回収していた晃太が、戻って来る。
「まだ来たばっかりやん。もう少し様子を見たら?」
「そうやな」
ぐるっと一周が始まったばっかりやしなあ。
「さて、行こうかね。アレスー、帰って来んと強制送還よー」
………………………………………ズザザザザザザッ
げふうっ、土煙が凄かっ。
『帰って来たのだーっ、強制送還は嫌なのだーっ』
ビアンカとルージュが、小さく舌打ちしてる。
すりすりっ、と来る。かわいかけど、元気とコハクは? あ、帰って来た。良かった。
「もう勝手にどっかに行ったらダメよ」
『分かったのだっ』
すりすりっ、おととっ、押し倒されそうっ。
返事はいいが。まあ、すぐに忘れて、走り回ってた。
魔の森側をノワールに騎乗して順調に進む。今のところ異常はない。
取り越し苦労になってくれたらいいなあ。
すでに一週間経ってるけど、異常なし。本日の報告済み、と。
さ、サブ・ドア使用して、ウルフ達のお世話も済んだし。ご飯にするかね。
シルフィ達はお乳に吸い付いてる。かわいかあ。鷹の目の皆さんはブラッシングをしてくれてる。
本日は休肝日。
ドラゴンのスジ肉カレーだ。イシス達は嘴なので、ご飯ではなく食パンに乗せる。
くうっ、いい匂いやっ。
ノワールの野菜と果物と準備してから、せっせと母と手分けしてドラゴンのスジ肉カレーを盛っていく。晃太と父は食パンをチンして並べる。ビアンカとルージュのご飯にはしらたき混ぜたの。
『おかわりなのです~』
『ユイ~、私も~』
『我も~』
『私モ所望スル』
「くうっ」
従魔の部屋からもおかわりコールが。はいはい。皆で手分けして搬送する。せっかくしらたき混ぜたのに、おかわりしてもう。やっと落ち着いて私達も夕御飯となる。
ドラゴンのスジ肉カレーとみつよしのI市特産野菜のサラダもオッケー。
「いただきます」
「「「「「「いただきます」」」」」」
見た目ビーフカレーなドラゴンのスジ肉カレーを一口、わあっ、奥深い味わい、スジ肉とろとろ。スプーンが止まらないっ。ばくばく。あっという間にお皿が空になる。両親と晃太、鷹の目の皆さんも綺麗に平らげる。珍しく母までおかわりして、ドラゴンのスジ肉カレー完売御礼。
ふう、満腹。
『お母さん、これ美味しいのです~』
『また食べたいわ~』
『母よ~』
『所望スル』
「くうっ、くうっ」
仔達もばあばコールが湧き、母がでれでれしている。でも、大丈夫な? このドラゴンのスジ肉処理結構大変やけど。
「そうやね、鼻水君にも食べさせんとね」
それから数日間。母はドラゴンのスジ肉処理に取りかかる。ルーム開ける度に、芳しい香りが流れ出て、その度に涎出そうになった。
あなたにおすすめの小説
「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました
歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜
なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。
家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。
向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。
一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!
山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった
歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。