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神からの依頼⑤
シルフィ達はお乳に吸い付いてて、魔の森の中なんだけど、ほのぼの。尻尾ぷりぷりで、かわいか。
私は皆さんに声をかけていく。水分補給や、追加治療が必要ないかだ。治療はいいと言われたが、数人は、特にフェリクスさんの顔色が悪い。
「本当に大丈夫ですか? 顔色真っ青やないですか」
「言い難いですが、鎧を少しはずしてもよろしいですか? 本来、こんな魔の森のなかで装備品を外してはいけないんですが」
「構いませんよ。うちのビアンカやルージュ達に、勝てっこないんですから」
「ははは、そうですな」
フェリクスさんはパーティーメンバーに手伝ってもらい、鎧を外す。やっぱり痛そうな感じやけど、ヒーラーのドーラさんが確認しながら治癒を始めるから、引っ込む。
それから私はお茶を配り、ケルンさんのパーティーともご挨拶する。
ケルンさん率いるラスチャーニエはAランクの冒険者パーティー。リーダーのケルンさんはエルフの魔法剣士。弓も魔法も使えてヒーラーまで兼務する、Sランク冒険者。で、耳が気になる獣人さんはヒェリさん。肌が綺麗だなあと思ったら、なんとエルフとの獣人のハーフ。獣人の種族はカンガルーなんだって。なるほど、耳がカンガルーだったんだね。種族的に魔力の高いエルフの血も引き、身体能力の高い獣人の身体を持つため、魔法闘士だって。よくみたら、筋肉ムキムキ。ごわっとした髪のドワーフでタンクのツヴァイクさん。グーデオークションでお会いした事があるが、一度しか会ってないから記憶が曖昧。で、最後にエドワルドさん。こちらはオスヴァルトさんそっくりのユリアレーナ最強冒険者。魔法剣士。オスヴァルトさんより細身の細マッチョさん。元気がぷりぷりとご挨拶に向かう。アレスはエドワルドさんにふんがふんがいいながら迫り、ビアンカとルージュに押さえられている。そのうちイシスが出撃やな。
ハジェル君とマアデン君と話しをする。これまでの経緯だ。
もともと大討伐に参加していた山風と金の虎は、一緒に魔の森に入る予定だった。大討伐は単独のパーティーではなく複数のパーティーで臨む。私との依頼で仲良くなったので一緒に、ってね。そこにフェリクスさんがロッシュさんに声をかけて来た。ロッシュさんはフェリクスさんの元で新人時代を過ごしたそうで顔見知り。金の虎ともギルドからの依頼で顔見知りだからね。フェリクスさん率いる蒼の麓もAランク冒険者パーティー。ロッシュさんもファングさんも異論がない為に、同行することになった。そこにケルンさんがやって来た。フェリクスさんとケルンさんは昔から知り合いらしく、トントン拍子に話が進み、合計4つのパーティーで大討伐に参加した。
これだけの戦力もあったが、食糧とポーションの残量から撤退を決めたのは2日前。撤退を決めた翌日、オルクの集団に襲われ、何とか撃退したが、無傷で終わるわけない。それぞれがキズを抱えていた今日、いろんな魔物は来るわ、トロールを引き連れたオルク達が来るわ。そこにビアンカとアレス達が助太刀したわけだ。
「本当に助かったっす」
「ビアンカさんの姿見た瞬間、泣きそうになりました」
しみじみとハジェル君とマアデン君が呟く。アレスを見たときは、元気がでっかくなったかと勘違いしたら、本物の元気が雷飛ばしながら来たので、ちょっと混乱したそうだ。まあ、アレスと元気、そっくりだからねえ。
「間に合って良かった」
「ユイさんも大討伐っすか? じゃない、ですか?」
「そうだね」
話しながら思う、皆さんとここでお別れなら、ポーションとか食糧とか分けた方がいいよね? 昨日の戦闘で使用し、恐らくかなり少ないだろうし。ダンジョンでかなりの本数を手に入れてあるしね。なんて考えていると、ハジェル君がおずおずと聞いてくる。
「あの、ユイさん。あのグリフォン達どうしたんすか? あ、ですか? まさか従魔?」
「まあ、いろいろあってね。期間限定で契約しとるんよ」
「へ、へえ~」
言葉を濁すと、察してくれたのか、それ以上は聞かない。
シルフィ達が落ち着いた頃、各リーダーさんが集まり話をしている。フェリクスさんもずいぶん落ち着いたようだし。無理にポーションでキズを治して戦闘を繰り返した影響で、体力が削られているのだろうとチュアンさんが。ポーションも使い方次第だけど、そうしないといけない状況やったんやろうね。後はしっかり身体を休めて栄養つけるのが、一番の治療だって。ここ魔の森の中だけど。どうやら今日はここで夜を明かすようだ、ルージュの魔法のカーテンもあるしね。ポーション以外にも食事の提供しようかな。私達もここで過ごして明日の朝まで食事提供したら、ずいぶん違うはず。よし、フレアタートルのスープでもだそう。腰を上げて向かうと、シュタインさんが話しかけて来た。
不覚にも、動揺するのは、自分のメンタルの未熟さ。そっとホークさんが間に立とうとしてくれるが、私は下がってもらう。
「ユイさんはカルーラにこのまま戻りますか?」
「いえ、もう少し魔の森を回りますが」
「カルーラに戻られてからで、いいのですが、お時間頂けませんか?」
何の為の時間か分かる。だけど、シュタインさんの灰色の目が、真剣さを現している。変に言い訳のように答えてはならない。私はそう感じた。
ちゃんと話さんといかん。そう、感じた。
「分かりました。カルーラに帰ってからで」
いいですか? と、答えた時。遠くでゴロゴロと雷が鳴る。さっきまで晴れてたのに。雨はややなあ。なんて思っていると、我関せずと伏せていたイシスが顔を上げる。ぶわわわわっ、と体積が増す。
『何ダ、コノ気配ハ?』
え、どうしたん?
「イシス、どうしたん?」
シュタインさんと話している途中で申し訳ないが、私はイシスの元に。
『妙ナ、気配ヲ感ジル、イヤ、視線ダ』
イシスが警戒するように、喉の奥から唸り声が上がる。本当になんやろ? 厄災クラスで元魔境のエリアボスのイシスがイヤに感じる視線って。何が視線を送っているんやろ。
「そうや、ビアンカとルージュは何か感じる?」
特にルージュは気配感知能力は高いし、ここは森の中、フォレストガーディアンウルフのビアンカの得意フィールドのはず。
『分からないのです』
『私は感じないわ』
そう答えた瞬間、アレスがいきなり吼える。アリスにべたべたしていたアレスが、突然立ち上がり背中の毛を総立ちさせてる。
『何なのだっ、この気持ち悪い気配はっ』
えっ? アレスまでっ。
同時に向こうで聞こえていたゴロゴロが、一気に近くに。
イシスとアレスの様子に回りの皆さんも、何だ何だとこちらを見ている。
だけど、これ、異常やない。まさかこれが始祖神様が言ってた事? 異常は従魔にしかわからないって。厄災クラスのイシスとアレスが、あからさまに警戒の表情だ。
「姉ちゃん、どうする?」
晃太が聞いてくる。本来ならルームを開けて、すぐに報告だけど、現状無理や。後ろでホークさんや、エマちゃん達が心配そうに見ている。
どうすべきか、迷う。
『ヌシヨ、撤退ヲ提案スル。コノ視線カラ逃レタ方ガイイ』
『悔しいが、そうするのだ』
「「嘘やろ」」
短い付き合いだが、2人の強さは分かっているつもりだけど。その2人からのこの提案。ものすごく、嫌な予感。
『ユイ、アレスはともかくイシスの言うことなのです』
『撤退した方がいいわ』
「分かった。撤退しよう」
ビアンカとルージュの後押しもあったが、私は決断する。雷の音がどんどん近くになり、とうとうポツポツと雨が落ち始める。
「皆さん、お疲れでしょうけど撤退しましょう」
私の提案に顔を見合わせる皆さん。
「あの、ユイさん。どうしたんすか?」
ハジェル君が聞いてくる。
「イシス達がここから撤退した方がよかって」
「え? そうなんすか?」
付き合いの長い山風の皆さんは腰を上げるが、他はどうしたものかと、悩む様子。
「皆さん、うちのイシスとアレスは魔境のエリアボスクラスです。今は従ってください」
その一言で、顔を見合わせて、腰を上げた。
私は皆さんに声をかけていく。水分補給や、追加治療が必要ないかだ。治療はいいと言われたが、数人は、特にフェリクスさんの顔色が悪い。
「本当に大丈夫ですか? 顔色真っ青やないですか」
「言い難いですが、鎧を少しはずしてもよろしいですか? 本来、こんな魔の森のなかで装備品を外してはいけないんですが」
「構いませんよ。うちのビアンカやルージュ達に、勝てっこないんですから」
「ははは、そうですな」
フェリクスさんはパーティーメンバーに手伝ってもらい、鎧を外す。やっぱり痛そうな感じやけど、ヒーラーのドーラさんが確認しながら治癒を始めるから、引っ込む。
それから私はお茶を配り、ケルンさんのパーティーともご挨拶する。
ケルンさん率いるラスチャーニエはAランクの冒険者パーティー。リーダーのケルンさんはエルフの魔法剣士。弓も魔法も使えてヒーラーまで兼務する、Sランク冒険者。で、耳が気になる獣人さんはヒェリさん。肌が綺麗だなあと思ったら、なんとエルフとの獣人のハーフ。獣人の種族はカンガルーなんだって。なるほど、耳がカンガルーだったんだね。種族的に魔力の高いエルフの血も引き、身体能力の高い獣人の身体を持つため、魔法闘士だって。よくみたら、筋肉ムキムキ。ごわっとした髪のドワーフでタンクのツヴァイクさん。グーデオークションでお会いした事があるが、一度しか会ってないから記憶が曖昧。で、最後にエドワルドさん。こちらはオスヴァルトさんそっくりのユリアレーナ最強冒険者。魔法剣士。オスヴァルトさんより細身の細マッチョさん。元気がぷりぷりとご挨拶に向かう。アレスはエドワルドさんにふんがふんがいいながら迫り、ビアンカとルージュに押さえられている。そのうちイシスが出撃やな。
ハジェル君とマアデン君と話しをする。これまでの経緯だ。
もともと大討伐に参加していた山風と金の虎は、一緒に魔の森に入る予定だった。大討伐は単独のパーティーではなく複数のパーティーで臨む。私との依頼で仲良くなったので一緒に、ってね。そこにフェリクスさんがロッシュさんに声をかけて来た。ロッシュさんはフェリクスさんの元で新人時代を過ごしたそうで顔見知り。金の虎ともギルドからの依頼で顔見知りだからね。フェリクスさん率いる蒼の麓もAランク冒険者パーティー。ロッシュさんもファングさんも異論がない為に、同行することになった。そこにケルンさんがやって来た。フェリクスさんとケルンさんは昔から知り合いらしく、トントン拍子に話が進み、合計4つのパーティーで大討伐に参加した。
これだけの戦力もあったが、食糧とポーションの残量から撤退を決めたのは2日前。撤退を決めた翌日、オルクの集団に襲われ、何とか撃退したが、無傷で終わるわけない。それぞれがキズを抱えていた今日、いろんな魔物は来るわ、トロールを引き連れたオルク達が来るわ。そこにビアンカとアレス達が助太刀したわけだ。
「本当に助かったっす」
「ビアンカさんの姿見た瞬間、泣きそうになりました」
しみじみとハジェル君とマアデン君が呟く。アレスを見たときは、元気がでっかくなったかと勘違いしたら、本物の元気が雷飛ばしながら来たので、ちょっと混乱したそうだ。まあ、アレスと元気、そっくりだからねえ。
「間に合って良かった」
「ユイさんも大討伐っすか? じゃない、ですか?」
「そうだね」
話しながら思う、皆さんとここでお別れなら、ポーションとか食糧とか分けた方がいいよね? 昨日の戦闘で使用し、恐らくかなり少ないだろうし。ダンジョンでかなりの本数を手に入れてあるしね。なんて考えていると、ハジェル君がおずおずと聞いてくる。
「あの、ユイさん。あのグリフォン達どうしたんすか? あ、ですか? まさか従魔?」
「まあ、いろいろあってね。期間限定で契約しとるんよ」
「へ、へえ~」
言葉を濁すと、察してくれたのか、それ以上は聞かない。
シルフィ達が落ち着いた頃、各リーダーさんが集まり話をしている。フェリクスさんもずいぶん落ち着いたようだし。無理にポーションでキズを治して戦闘を繰り返した影響で、体力が削られているのだろうとチュアンさんが。ポーションも使い方次第だけど、そうしないといけない状況やったんやろうね。後はしっかり身体を休めて栄養つけるのが、一番の治療だって。ここ魔の森の中だけど。どうやら今日はここで夜を明かすようだ、ルージュの魔法のカーテンもあるしね。ポーション以外にも食事の提供しようかな。私達もここで過ごして明日の朝まで食事提供したら、ずいぶん違うはず。よし、フレアタートルのスープでもだそう。腰を上げて向かうと、シュタインさんが話しかけて来た。
不覚にも、動揺するのは、自分のメンタルの未熟さ。そっとホークさんが間に立とうとしてくれるが、私は下がってもらう。
「ユイさんはカルーラにこのまま戻りますか?」
「いえ、もう少し魔の森を回りますが」
「カルーラに戻られてからで、いいのですが、お時間頂けませんか?」
何の為の時間か分かる。だけど、シュタインさんの灰色の目が、真剣さを現している。変に言い訳のように答えてはならない。私はそう感じた。
ちゃんと話さんといかん。そう、感じた。
「分かりました。カルーラに帰ってからで」
いいですか? と、答えた時。遠くでゴロゴロと雷が鳴る。さっきまで晴れてたのに。雨はややなあ。なんて思っていると、我関せずと伏せていたイシスが顔を上げる。ぶわわわわっ、と体積が増す。
『何ダ、コノ気配ハ?』
え、どうしたん?
「イシス、どうしたん?」
シュタインさんと話している途中で申し訳ないが、私はイシスの元に。
『妙ナ、気配ヲ感ジル、イヤ、視線ダ』
イシスが警戒するように、喉の奥から唸り声が上がる。本当になんやろ? 厄災クラスで元魔境のエリアボスのイシスがイヤに感じる視線って。何が視線を送っているんやろ。
「そうや、ビアンカとルージュは何か感じる?」
特にルージュは気配感知能力は高いし、ここは森の中、フォレストガーディアンウルフのビアンカの得意フィールドのはず。
『分からないのです』
『私は感じないわ』
そう答えた瞬間、アレスがいきなり吼える。アリスにべたべたしていたアレスが、突然立ち上がり背中の毛を総立ちさせてる。
『何なのだっ、この気持ち悪い気配はっ』
えっ? アレスまでっ。
同時に向こうで聞こえていたゴロゴロが、一気に近くに。
イシスとアレスの様子に回りの皆さんも、何だ何だとこちらを見ている。
だけど、これ、異常やない。まさかこれが始祖神様が言ってた事? 異常は従魔にしかわからないって。厄災クラスのイシスとアレスが、あからさまに警戒の表情だ。
「姉ちゃん、どうする?」
晃太が聞いてくる。本来ならルームを開けて、すぐに報告だけど、現状無理や。後ろでホークさんや、エマちゃん達が心配そうに見ている。
どうすべきか、迷う。
『ヌシヨ、撤退ヲ提案スル。コノ視線カラ逃レタ方ガイイ』
『悔しいが、そうするのだ』
「「嘘やろ」」
短い付き合いだが、2人の強さは分かっているつもりだけど。その2人からのこの提案。ものすごく、嫌な予感。
『ユイ、アレスはともかくイシスの言うことなのです』
『撤退した方がいいわ』
「分かった。撤退しよう」
ビアンカとルージュの後押しもあったが、私は決断する。雷の音がどんどん近くになり、とうとうポツポツと雨が落ち始める。
「皆さん、お疲れでしょうけど撤退しましょう」
私の提案に顔を見合わせる皆さん。
「あの、ユイさん。どうしたんすか?」
ハジェル君が聞いてくる。
「イシス達がここから撤退した方がよかって」
「え? そうなんすか?」
付き合いの長い山風の皆さんは腰を上げるが、他はどうしたものかと、悩む様子。
「皆さん、うちのイシスとアレスは魔境のエリアボスクラスです。今は従ってください」
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