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再出発②
パーティーハウスに戻り、のんびりしていると、お客さんが。
御用聞きの冒険者を伴って来たのは、あの日、あの馬車を護衛していた冒険者のリーダーだ。
気になってはいた。だって、鷹の目の皆さんみたいに、酷い目に合いそうだったからね。立ち話もなんだし、パーティーハウスにご案内しようとしたけど、丁寧にお断りされた。直ぐに失礼しますって。ビアンカとルージュ、ホークさんとチュアンさんが私の後ろに控えているし、側にはヒスイが張り付いているから、御用聞きの冒険者には帰ってもらった。
冒険者のリーダーは、中年に差し掛かった人族男性スペリビアさん。
「テイマーさん。先日はありがとうございます。おかげで我々はこれからも冒険者として活動出来ます」
「いえ、酷い依頼に当たりましたね」
「はい。しかし、我らにも落ち度はありましたから」
スペリビアさんは自嘲気味。スペリビアさん達はBランクの冒険者パーティー。拠点はアスラ王国でルーティからカルーラまで、あのズロー商会の護衛をした。
「アスラ王国とユリアレーナ王国の架け橋となる荷の護衛と言われ、浮かれてしまったのがいけませんでした」
本来、そういった荷の護衛は、短期ではなく長期に渡る。特に王家が居を構えている首都までの長い護衛を依頼するのが普通なんだって。
「ズロー商会は、もともと護衛していた冒険者パーティーに、ひどい体調不良者が出たから急遽代わりを探していると言われました」
実際に、引き継ぎの際に、その護衛冒険者パーティーの半数が体調を崩していたのを見ていた為に、話を信じてしまった。今でもルーティで療養しているけど、今回の件でおかしいと思ったギルドが、色々調べた。
「どうやら、毒を盛られていたようです」
「それは、ひどかですね。でも、どうして」
「彼らの中に、荷を怪しんでいる節があったそうで。手っ取り早く、切り離す為に毒を盛り、動けないようにしたんです。我々は短期でしたが、働き次第では、首都まで延長を考えると」
はあ、とスペリビアさんがため息。
「そこでおかしいと思うべきでした。そんな重要な荷を護衛しているのに、同時に複数人が体調不良を起こすなんて。ただ、全く無事なメンバーもいたので、そこまで思えず」
ズロー商会は、護衛冒険者パーティーすべてに毒を盛ったわけではなかったみたい。ぴんぴんしている人もいて、その人からスペリビアさんは引き継ぎを受けた。その引き継ぎをした冒険者が、スペリビアさんにくれぐれもよろしくと言って来たので、余計に疑わなかったそうだ。現在、毒を盛られていた冒険者は、ルーティの治療院で治療を受けているそうだ。
「あのまま気が付かなかったら、俺達全員犯罪奴隷行きでした。いくら、荷に子供達を隠されていたのを知らなかったとはいえ、首都に無事に届いたら、確実にそうなっていたはずです」
「結構ヘビーな罰ですね」
だって、スペリビアさん達、なんにも知らなかったはずなのに。
「それくらい処罰は当たり前ですよ。だけど、あの時、テイマーさんが、我々は知らされていないって断言してくれました。あれがなければ、我々は冒険者資格を返上しなくてはならなかったはず」
しみじみとスペリビアさんが続ける。
あの色んな人達が見ている中で、私はルージュの判断を信じて断言した。それで周りの人達のスペリビアさん達を見る目がガラリと変わった。それに、スペリビアさんのメンバーが私に向かって「ありがとうございます、信じてくれて」が、更に周囲の人達のイメージを変えた。質の悪い依頼を受けてしまった冒険者だと思われている。あのまま私が何も言わなかったり、後日釈放されたとしたら、人々の目は冷たかったはず。やっぱり印象って、大事よね。勿論すべてが同情的ではないけどね。
「ランクは下がりましたが、これは仕方ないと受け入れています。皆と、また、仕切り直そうって話をしました」
「え? ランク、下がるんですか?」
「はい」
スペリビアさんのパーティーは7人の大所帯。スペリビアさんとサブ・リーダーがBランク、Cランクが3名、Dランクが2名。全員ランクが1つ下がり、パーティーランクはCになる。3年は誰もランクアップはないが、3年過ぎたら直ぐにランクアップの査定を受けられるそうだ。ランクが下がると、受けられる依頼も狭まるが仕方ないって。
「これくらいで済んだのは、あの時、あのテイマーさんの言葉のお陰です。本当にありがとうございます」
スペリビアさんは深く頭を下げる。
「皆さんはこれからはどうされるんですか?」
「ギルドよりしばらくはカルーラから離れないように通達が来ました。ズロー商会の処遇が決まるまでは、我々はカルーラに留まりますが、冒険者活動までは制限されていません。なので、大討伐の参加許可を貰いました。しばらくこれで食いつないでいきます」
「そうですか。気をつけてくださいね」
スペリビアさんはもう一度、ありがとうございますと言って帰って行った。
気になっていた彼らの待遇関連の話を聞けて良かった。
「ホークさん、本来はこれくらいの処罰なんですかね?」
「まあ、妥当かなって感じですね。仲介したギルドにも責はあります。何よりユイさんが、子供達を知らされていなかったと言ったのは、大きいと思いますよ」
やっぱり、人の目があるなかで、私が言いきったのが、こうなったみたい。あのまま、私が何も言わずにいたとして、スペリビアさん達が無事に釈放されたとして。
「誰も同情はしなかったでしょうね。違法奴隷が乗った馬車を護衛した、碌な冒険者じゃないって世間から言われるはずです。そうなれば、パーティーとしての活動は厳しくなって、解散、となるはず」
「そ、そうなんですね」
私がなんとなくほおっておけなくて言った言葉が、スペリビアさん達の今後の活動に影響を及ぼしたんやね。いい方に取ってもよかかな。
後の気掛かりは、あの14人の子供達や。特に狼の獣人少年が気になってる。
保護されとるから、そう簡単には会えないし、どうなったか安易に話してくれそうにない。ただ、キズが塞がり、ご飯を受け付けてくれていればいいけど。それだけでも、シスター・アモルに聞けんかなあ。
『ユイ、お腹減ったのです』
『私はエビがいいわ、あ、貝柱もね』
「はいはい」
夕御飯の準備せんと。
『ねえね、ひすい、卵と赤いお刺身がたべたい~』
「はいはい」
すりすりと来るので、もふもふと返す。
さ、準備しよっと。
御用聞きの冒険者を伴って来たのは、あの日、あの馬車を護衛していた冒険者のリーダーだ。
気になってはいた。だって、鷹の目の皆さんみたいに、酷い目に合いそうだったからね。立ち話もなんだし、パーティーハウスにご案内しようとしたけど、丁寧にお断りされた。直ぐに失礼しますって。ビアンカとルージュ、ホークさんとチュアンさんが私の後ろに控えているし、側にはヒスイが張り付いているから、御用聞きの冒険者には帰ってもらった。
冒険者のリーダーは、中年に差し掛かった人族男性スペリビアさん。
「テイマーさん。先日はありがとうございます。おかげで我々はこれからも冒険者として活動出来ます」
「いえ、酷い依頼に当たりましたね」
「はい。しかし、我らにも落ち度はありましたから」
スペリビアさんは自嘲気味。スペリビアさん達はBランクの冒険者パーティー。拠点はアスラ王国でルーティからカルーラまで、あのズロー商会の護衛をした。
「アスラ王国とユリアレーナ王国の架け橋となる荷の護衛と言われ、浮かれてしまったのがいけませんでした」
本来、そういった荷の護衛は、短期ではなく長期に渡る。特に王家が居を構えている首都までの長い護衛を依頼するのが普通なんだって。
「ズロー商会は、もともと護衛していた冒険者パーティーに、ひどい体調不良者が出たから急遽代わりを探していると言われました」
実際に、引き継ぎの際に、その護衛冒険者パーティーの半数が体調を崩していたのを見ていた為に、話を信じてしまった。今でもルーティで療養しているけど、今回の件でおかしいと思ったギルドが、色々調べた。
「どうやら、毒を盛られていたようです」
「それは、ひどかですね。でも、どうして」
「彼らの中に、荷を怪しんでいる節があったそうで。手っ取り早く、切り離す為に毒を盛り、動けないようにしたんです。我々は短期でしたが、働き次第では、首都まで延長を考えると」
はあ、とスペリビアさんがため息。
「そこでおかしいと思うべきでした。そんな重要な荷を護衛しているのに、同時に複数人が体調不良を起こすなんて。ただ、全く無事なメンバーもいたので、そこまで思えず」
ズロー商会は、護衛冒険者パーティーすべてに毒を盛ったわけではなかったみたい。ぴんぴんしている人もいて、その人からスペリビアさんは引き継ぎを受けた。その引き継ぎをした冒険者が、スペリビアさんにくれぐれもよろしくと言って来たので、余計に疑わなかったそうだ。現在、毒を盛られていた冒険者は、ルーティの治療院で治療を受けているそうだ。
「あのまま気が付かなかったら、俺達全員犯罪奴隷行きでした。いくら、荷に子供達を隠されていたのを知らなかったとはいえ、首都に無事に届いたら、確実にそうなっていたはずです」
「結構ヘビーな罰ですね」
だって、スペリビアさん達、なんにも知らなかったはずなのに。
「それくらい処罰は当たり前ですよ。だけど、あの時、テイマーさんが、我々は知らされていないって断言してくれました。あれがなければ、我々は冒険者資格を返上しなくてはならなかったはず」
しみじみとスペリビアさんが続ける。
あの色んな人達が見ている中で、私はルージュの判断を信じて断言した。それで周りの人達のスペリビアさん達を見る目がガラリと変わった。それに、スペリビアさんのメンバーが私に向かって「ありがとうございます、信じてくれて」が、更に周囲の人達のイメージを変えた。質の悪い依頼を受けてしまった冒険者だと思われている。あのまま私が何も言わなかったり、後日釈放されたとしたら、人々の目は冷たかったはず。やっぱり印象って、大事よね。勿論すべてが同情的ではないけどね。
「ランクは下がりましたが、これは仕方ないと受け入れています。皆と、また、仕切り直そうって話をしました」
「え? ランク、下がるんですか?」
「はい」
スペリビアさんのパーティーは7人の大所帯。スペリビアさんとサブ・リーダーがBランク、Cランクが3名、Dランクが2名。全員ランクが1つ下がり、パーティーランクはCになる。3年は誰もランクアップはないが、3年過ぎたら直ぐにランクアップの査定を受けられるそうだ。ランクが下がると、受けられる依頼も狭まるが仕方ないって。
「これくらいで済んだのは、あの時、あのテイマーさんの言葉のお陰です。本当にありがとうございます」
スペリビアさんは深く頭を下げる。
「皆さんはこれからはどうされるんですか?」
「ギルドよりしばらくはカルーラから離れないように通達が来ました。ズロー商会の処遇が決まるまでは、我々はカルーラに留まりますが、冒険者活動までは制限されていません。なので、大討伐の参加許可を貰いました。しばらくこれで食いつないでいきます」
「そうですか。気をつけてくださいね」
スペリビアさんはもう一度、ありがとうございますと言って帰って行った。
気になっていた彼らの待遇関連の話を聞けて良かった。
「ホークさん、本来はこれくらいの処罰なんですかね?」
「まあ、妥当かなって感じですね。仲介したギルドにも責はあります。何よりユイさんが、子供達を知らされていなかったと言ったのは、大きいと思いますよ」
やっぱり、人の目があるなかで、私が言いきったのが、こうなったみたい。あのまま、私が何も言わずにいたとして、スペリビアさん達が無事に釈放されたとして。
「誰も同情はしなかったでしょうね。違法奴隷が乗った馬車を護衛した、碌な冒険者じゃないって世間から言われるはずです。そうなれば、パーティーとしての活動は厳しくなって、解散、となるはず」
「そ、そうなんですね」
私がなんとなくほおっておけなくて言った言葉が、スペリビアさん達の今後の活動に影響を及ぼしたんやね。いい方に取ってもよかかな。
後の気掛かりは、あの14人の子供達や。特に狼の獣人少年が気になってる。
保護されとるから、そう簡単には会えないし、どうなったか安易に話してくれそうにない。ただ、キズが塞がり、ご飯を受け付けてくれていればいいけど。それだけでも、シスター・アモルに聞けんかなあ。
『ユイ、お腹減ったのです』
『私はエビがいいわ、あ、貝柱もね』
「はいはい」
夕御飯の準備せんと。
『ねえね、ひすい、卵と赤いお刺身がたべたい~』
「はいはい」
すりすりと来るので、もふもふと返す。
さ、準備しよっと。
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