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行動計画⑪
「どうやら、手段を得たようじゃな、お嬢さん」
優しい笑みを浮かべる始祖神様。その後ろには時空神様、雨の女神様。ぴったり張り付く闘神様、魔法の三柱神様、樹の女神様。
「はい、始祖神様。目視と討伐の算段がつきました」
「聞かせてもらおうかの」
「はい。ヤマタノオロチの父の鑑定結果、アルコールに弱い事が判明しました。まずはその準備を行います。アルコールを入れる桶は、あちらのツヴァイクさんの協力を得て作成します」
「ふむ」
ちらり、と始祖神様がツヴァイクさんに視線を流すと、ツヴァイクさんは更に深く頭を下げる。
「材料の関係で一度マーファに戻ります。そして実際にヤマタノオロチと対峙するのは、イシス、アレス。そして、補佐としてルージュと」
私はプルプルしてる鼻水君を示す。
「アーマーキングウルフの鼻水、あ、彼が入ります」
いかん、ずっと鼻水君呼びしていたから、定着してしまった。
「くぅーん……………」
プルプル、プルプル鼻水君。
「ふむ。アーマー系雄の中では、この大陸最強のようじゃな。よかろう」
いま、ちらっと怖いワードがっ。
鼻水たらたらの鼻水君。え、君、種族的に大陸最強なの? 鼻水垂らして、プルプルしながら、ビアンカにジリジリと寄ってる。アレスやないけど、近すぎやない?
「お嬢さん、これだけかの?」
「いいえ、無事に討伐出来た後に出る、王冠山のダンジョンのボス部屋。モンスターボックスの掃討作業に入ります」
ふう、と息をつく、始祖神様。
「やはり気がついたようじゃな」
「はい。父の鑑定で。始祖神様の仰った意味を理解しました」
最後まで、あの冒険者達を、って話ね。
「ここにある戦力だけでは厳しいので、魔境の若手のウルフ、12体が参加予定です。その若手と元気をはじめとした仔達は、ビアンカ、ルージュ、イシスの指導の元、魔境で訓練に入ります」
「よろしい。よく、考えたのお嬢さん」
「従魔や、皆さんのご協力があっての事です」
ふふふ、と笑う始祖神様。
「では儂等も約束通り。ブーストを授けよう」
来た。アレスの尻尾のバタバタが開始。
「まずは桶の作業に携わる者、前に」
見ると、ツヴァイクさん、動揺している。後ろにいたエドワルドさんがつついて、おずおずと前に。気を利かせて、ビアンカとルージュが横にずれて場所を作る。ツヴァイクさんは膝を突き、胸に手を当てて、深く頭を下げる。
「鋼の精神と身体を持つ、誇り高きドワーフの民よ。汝に」
始祖神様が、手招きしたのは樹の女神様。
たたた、と来て、ツヴァイクさんにタッチ。頭を下げていたから分からないけど、ごついツヴァイクさんの肩が僅かだけど揺れた。
樹の女神様は、すぐに雨の女神様の元に。
「樹の女神のブーストは、木を扱う作業の際にその効果を現す。実際に作業をし、確認をしておくように。それと、装備品に一部でも木材が使用されている場合、戦闘時、そのポテンシャル以上の力を発揮する。それに傲らず精進せよ」
ツヴァイクさんは深く頭を下げる。
「神の御心のままに」
満足そうに頷く、始祖神様。
「では、次に。ここにおるS、Aランク冒険者達よ、前に」
びくり、と震える皆さん。
ビアンカとルージュが完全に下がり、アリス達と並ぶ。ちゃっかり鼻水君も。アレスはしっかりイシスが頭を押さえている。
おずおずとしながらも、さっ、と並ぶ皆さん。フェリクスさんとエドワルドさんの額に浮かぶ汗。大丈夫かね?
この中でSランクはケルンさん、フェリクスさん、エドワルドさん、エリアンさん。Aランクはヒェリさん、ツヴァイクさん、ドーラさん。
「此度の件で、最後までテイマーユイ・ミズサワと共にあるお前達に」
始祖神様が手招き。
「「「「はーいっ」」」」
元気に闘神様と魔法の三柱神様が、わーっと走って来た。
ペシペシ、ペシペシ、ペシペシ。
「ッッッッ」
「うぅぅっ」
「あつぅっ」
「くわあっっ」
皆さん、一斉に悶絶、あ、やっぱり。フェリクスさんとエドワルドさん、態勢を保てず両手を床について、踞ってるしっ。
「じきに慣れるじゃろう」
軽く言ってるけど。
唸る皆さんを、鷹の目や他の皆さんが手分けして後ろに。大丈夫よね?
「では、次に」
よし、いよいよ本命のイシスとアレスかな?
「アーマーキングウルフ、アーマークイーンウルフよ、前に」
鼻水君とアリス?
きょとん、としていたけど、アリスはそそくさと前に。鼻水君はビアンカにつんつん、されて前に鼻水と耳が垂れてるけど。鼻水、拭いてあげたい。
「おのが力で殻を破りし姉弟に」
ペシペシ。
闘神様と右の魔法神様がアリスと鼻水君をタッチ。
ぶわわわわっ、と背中の毛が立つ。
「あ、ありがとうございます」
「「いいよー」」
かわいか。
「では」
お、今度こそ。
「一族より追放されながらも、己の信念を曲げず、高みに挑み続けしエンペラーグリフォン、イシスよ」
『ハイ、神ヨ』
す、とイシスが前に。なんや気になるワードが。
「魔狼の始祖の血を引き、類いまれなる愛情を持つ奇跡のフォレストガーディアンウルフ、アレスよ」
『はいっ、神よっ』
奇跡だって。確かにアレスってアリスやシルフィ達にでれでれだけど、ビアンカやルージュ、仔達も大好き。保護対象だからと、エマちゃんやテオ君にもへっへと優しい。それから見知らぬ小さな子供にも。いい例があの誘拐された14人の子供達だ。ビアンカとルージュに言わせたら、魔物としたら普通じゃないって。そうだわな。仲間内ならいざ知らず、知らない子供の為に牙剥き出しにしてなんとかしようとした。普通ならスルーするんだって。妙な魔力で覆われていたからビアンカとルージュには、ハッキリ分からなかったけど、あの場合私に指示を受けるまでは動かないそうだ。アレスは、見知らぬ子供が拘束され、泣いているからと激怒した。魔物からしたら、それは異常なんだと。きっと、リルさんの教育方針の影響かな。
「そなた達には最も危険な役目を負わせる。この世界を創造せし、我がその力の一筋を授けよう」
時空神様が、始祖神様のブーストは桁違いって言ってたけど。確かに闘神様や魔法の三柱神様がペシペシだったのに対して、始祖神様はそっと臥せているイシスとアレスの額に触れる。
「さあ、主の力となれ」
そう始祖神様が言った瞬間。
イシスとアレスの巨大な身体が、痙攣を起こしたように震える。えっ? 痙攣?
「グワァァァァァァッ」
「ガアァァァァァァッ」
イシスとアレスが顎を上げて咆哮を上げる。
「イ、イシス、アレスッ」
私が思わず駆け寄ろうとすると、時空神様に腕を捕まれ止まる。
「時空神様っ」
「言ったろう? 始祖神様のブーストは桁違いだと」
「そうかもしれませんが…………」
イシスとアレスは白目を剥いたまま、ガタガタと身体を震わせ、咆哮し続け、ふいに止まる。
ドシンッ
そのまま倒れる。
「イシスッ、アレスッ」
私はぐったりとしたイシスとアレスに駆け寄る。頭を抱えたいが、何せ重い無理。イシスにはおろおろとオシリスが身体を寄せ、アレスの顔をアリスが必死に舐める。
「お嬢さん」
慌てている私達に、始祖神様が穏やかにいつものように続ける。
「明日まで眠ったままじゃろう。しばらく付与された力のコントロールに集中するようにな」
「あ、はい、始」
ジリィィィィィィィィッ
ひーっ、なんでこんな時に警報がっ。まさか、魔境の方やないね? エリアボスの鼻水君がおらんけん。さー、と頭から血が落ちる。
「母親の方じゃな。行きなさい」
私とは反対に冷静に始祖神様が告げる。
「すみません、始祖神様」
私は警報で痛んだ頭を抱えて、サブ・ドアに走る。カルーラのパーティーハウスに繋がっている方だ。現在、パーティーハウスには母と花。父はあの後、修道院に暖房器具の設置と説明の為にいない。しかし、まさかと思ってけど、カルーラの方から警報が鳴るなんて。
慌ててドアを開けると、動揺した様子の母が。
「あ、優衣」
「どうしたん?」
「実はな、さっきパーヴェルさんの使いの人が来て」
「パーヴェルさんの?」
私達がカルーラにいないのは知ってるはずなのに。なんや、嫌な予感。今日神様と会う可能性があると母が知っているはず。大概の事には対応している母が、非常時の警報機を押した。
パーヴェルさん絡みとしたら。
「レディ・ロストークが急に容態が悪くなったみたいで、ホークさんがいつ帰って来ますかって」
優しい笑みを浮かべる始祖神様。その後ろには時空神様、雨の女神様。ぴったり張り付く闘神様、魔法の三柱神様、樹の女神様。
「はい、始祖神様。目視と討伐の算段がつきました」
「聞かせてもらおうかの」
「はい。ヤマタノオロチの父の鑑定結果、アルコールに弱い事が判明しました。まずはその準備を行います。アルコールを入れる桶は、あちらのツヴァイクさんの協力を得て作成します」
「ふむ」
ちらり、と始祖神様がツヴァイクさんに視線を流すと、ツヴァイクさんは更に深く頭を下げる。
「材料の関係で一度マーファに戻ります。そして実際にヤマタノオロチと対峙するのは、イシス、アレス。そして、補佐としてルージュと」
私はプルプルしてる鼻水君を示す。
「アーマーキングウルフの鼻水、あ、彼が入ります」
いかん、ずっと鼻水君呼びしていたから、定着してしまった。
「くぅーん……………」
プルプル、プルプル鼻水君。
「ふむ。アーマー系雄の中では、この大陸最強のようじゃな。よかろう」
いま、ちらっと怖いワードがっ。
鼻水たらたらの鼻水君。え、君、種族的に大陸最強なの? 鼻水垂らして、プルプルしながら、ビアンカにジリジリと寄ってる。アレスやないけど、近すぎやない?
「お嬢さん、これだけかの?」
「いいえ、無事に討伐出来た後に出る、王冠山のダンジョンのボス部屋。モンスターボックスの掃討作業に入ります」
ふう、と息をつく、始祖神様。
「やはり気がついたようじゃな」
「はい。父の鑑定で。始祖神様の仰った意味を理解しました」
最後まで、あの冒険者達を、って話ね。
「ここにある戦力だけでは厳しいので、魔境の若手のウルフ、12体が参加予定です。その若手と元気をはじめとした仔達は、ビアンカ、ルージュ、イシスの指導の元、魔境で訓練に入ります」
「よろしい。よく、考えたのお嬢さん」
「従魔や、皆さんのご協力があっての事です」
ふふふ、と笑う始祖神様。
「では儂等も約束通り。ブーストを授けよう」
来た。アレスの尻尾のバタバタが開始。
「まずは桶の作業に携わる者、前に」
見ると、ツヴァイクさん、動揺している。後ろにいたエドワルドさんがつついて、おずおずと前に。気を利かせて、ビアンカとルージュが横にずれて場所を作る。ツヴァイクさんは膝を突き、胸に手を当てて、深く頭を下げる。
「鋼の精神と身体を持つ、誇り高きドワーフの民よ。汝に」
始祖神様が、手招きしたのは樹の女神様。
たたた、と来て、ツヴァイクさんにタッチ。頭を下げていたから分からないけど、ごついツヴァイクさんの肩が僅かだけど揺れた。
樹の女神様は、すぐに雨の女神様の元に。
「樹の女神のブーストは、木を扱う作業の際にその効果を現す。実際に作業をし、確認をしておくように。それと、装備品に一部でも木材が使用されている場合、戦闘時、そのポテンシャル以上の力を発揮する。それに傲らず精進せよ」
ツヴァイクさんは深く頭を下げる。
「神の御心のままに」
満足そうに頷く、始祖神様。
「では、次に。ここにおるS、Aランク冒険者達よ、前に」
びくり、と震える皆さん。
ビアンカとルージュが完全に下がり、アリス達と並ぶ。ちゃっかり鼻水君も。アレスはしっかりイシスが頭を押さえている。
おずおずとしながらも、さっ、と並ぶ皆さん。フェリクスさんとエドワルドさんの額に浮かぶ汗。大丈夫かね?
この中でSランクはケルンさん、フェリクスさん、エドワルドさん、エリアンさん。Aランクはヒェリさん、ツヴァイクさん、ドーラさん。
「此度の件で、最後までテイマーユイ・ミズサワと共にあるお前達に」
始祖神様が手招き。
「「「「はーいっ」」」」
元気に闘神様と魔法の三柱神様が、わーっと走って来た。
ペシペシ、ペシペシ、ペシペシ。
「ッッッッ」
「うぅぅっ」
「あつぅっ」
「くわあっっ」
皆さん、一斉に悶絶、あ、やっぱり。フェリクスさんとエドワルドさん、態勢を保てず両手を床について、踞ってるしっ。
「じきに慣れるじゃろう」
軽く言ってるけど。
唸る皆さんを、鷹の目や他の皆さんが手分けして後ろに。大丈夫よね?
「では、次に」
よし、いよいよ本命のイシスとアレスかな?
「アーマーキングウルフ、アーマークイーンウルフよ、前に」
鼻水君とアリス?
きょとん、としていたけど、アリスはそそくさと前に。鼻水君はビアンカにつんつん、されて前に鼻水と耳が垂れてるけど。鼻水、拭いてあげたい。
「おのが力で殻を破りし姉弟に」
ペシペシ。
闘神様と右の魔法神様がアリスと鼻水君をタッチ。
ぶわわわわっ、と背中の毛が立つ。
「あ、ありがとうございます」
「「いいよー」」
かわいか。
「では」
お、今度こそ。
「一族より追放されながらも、己の信念を曲げず、高みに挑み続けしエンペラーグリフォン、イシスよ」
『ハイ、神ヨ』
す、とイシスが前に。なんや気になるワードが。
「魔狼の始祖の血を引き、類いまれなる愛情を持つ奇跡のフォレストガーディアンウルフ、アレスよ」
『はいっ、神よっ』
奇跡だって。確かにアレスってアリスやシルフィ達にでれでれだけど、ビアンカやルージュ、仔達も大好き。保護対象だからと、エマちゃんやテオ君にもへっへと優しい。それから見知らぬ小さな子供にも。いい例があの誘拐された14人の子供達だ。ビアンカとルージュに言わせたら、魔物としたら普通じゃないって。そうだわな。仲間内ならいざ知らず、知らない子供の為に牙剥き出しにしてなんとかしようとした。普通ならスルーするんだって。妙な魔力で覆われていたからビアンカとルージュには、ハッキリ分からなかったけど、あの場合私に指示を受けるまでは動かないそうだ。アレスは、見知らぬ子供が拘束され、泣いているからと激怒した。魔物からしたら、それは異常なんだと。きっと、リルさんの教育方針の影響かな。
「そなた達には最も危険な役目を負わせる。この世界を創造せし、我がその力の一筋を授けよう」
時空神様が、始祖神様のブーストは桁違いって言ってたけど。確かに闘神様や魔法の三柱神様がペシペシだったのに対して、始祖神様はそっと臥せているイシスとアレスの額に触れる。
「さあ、主の力となれ」
そう始祖神様が言った瞬間。
イシスとアレスの巨大な身体が、痙攣を起こしたように震える。えっ? 痙攣?
「グワァァァァァァッ」
「ガアァァァァァァッ」
イシスとアレスが顎を上げて咆哮を上げる。
「イ、イシス、アレスッ」
私が思わず駆け寄ろうとすると、時空神様に腕を捕まれ止まる。
「時空神様っ」
「言ったろう? 始祖神様のブーストは桁違いだと」
「そうかもしれませんが…………」
イシスとアレスは白目を剥いたまま、ガタガタと身体を震わせ、咆哮し続け、ふいに止まる。
ドシンッ
そのまま倒れる。
「イシスッ、アレスッ」
私はぐったりとしたイシスとアレスに駆け寄る。頭を抱えたいが、何せ重い無理。イシスにはおろおろとオシリスが身体を寄せ、アレスの顔をアリスが必死に舐める。
「お嬢さん」
慌てている私達に、始祖神様が穏やかにいつものように続ける。
「明日まで眠ったままじゃろう。しばらく付与された力のコントロールに集中するようにな」
「あ、はい、始」
ジリィィィィィィィィッ
ひーっ、なんでこんな時に警報がっ。まさか、魔境の方やないね? エリアボスの鼻水君がおらんけん。さー、と頭から血が落ちる。
「母親の方じゃな。行きなさい」
私とは反対に冷静に始祖神様が告げる。
「すみません、始祖神様」
私は警報で痛んだ頭を抱えて、サブ・ドアに走る。カルーラのパーティーハウスに繋がっている方だ。現在、パーティーハウスには母と花。父はあの後、修道院に暖房器具の設置と説明の為にいない。しかし、まさかと思ってけど、カルーラの方から警報が鳴るなんて。
慌ててドアを開けると、動揺した様子の母が。
「あ、優衣」
「どうしたん?」
「実はな、さっきパーヴェルさんの使いの人が来て」
「パーヴェルさんの?」
私達がカルーラにいないのは知ってるはずなのに。なんや、嫌な予感。今日神様と会う可能性があると母が知っているはず。大概の事には対応している母が、非常時の警報機を押した。
パーヴェルさん絡みとしたら。
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