576 / 876
連載
○○説②
「おおっ、立派な桶がっ」
夕御飯の後、5メートルを超える桶のお披露目。感じ的に寿司桶だけど、高さが2メートル位ある。
「いやいや、儂だけの力ではないですからなぁ」
言いながらも、どやっ、としたツヴァイクさん。何故かアレスも大人しく指示に従い、木魔法を使いアシスタントしている。
念のために耐久性を見るため、アレスに水魔法で桶に8割程になるように水を入れてもらう。
少し離れて様子を見るが、大丈夫みたいや。
「凄いですツヴァイクさんっ」
「いやいやぁ」
照れるツヴァイクさん。
「アレスも凄かやん」
『木を操るのは楽しいのだっ』
フォレストガーディアンウルフだからかな。
「次から7メートルに取り掛かります。それで、あまり戦闘に参加が…………」
ツヴァイクさんが申し訳ない顔だけど、桶に関しては、こちらがお願いしている立場だ。
「気になさらないでください。桶の作業に専念してくださいね」
「はい」
その分、エドワルドさんが戦いますって。十分な戦力だよ。
「それで、その材料がですな…………」
おずおずとツヴァイクさんから申請があり。どうやら、サイズアップに伴い、失敗率も高くなってるみたい。丁度明日から25階のボス部屋に挑んでいる予定だ。
「はい、分かりました。必要な物は遠慮なく使ってください」
予定としては28階まで行く予定にしていたけど、25階メインで数日過ごして、合間に26階にマジックベリー目的で挑もう。26階の化粧品材料のドロップ品はリティアさんが待ってる。こちらの女性も美意識が高い。
エドワルドさんとロッシュさんと相談すると、快く受けてくれた。
桶はアレスの魔法でひっくり返し、張っていた水を破棄して、晃太のアイテムボックスに入れる。
よし、着々とヤマタノオロチ対策が整い出したかな。予定では後1週間で、ビアンカとルージュ達が帰ってくる。予定は予定だからね。多少の前後はするはず。
1度も警報器が鳴らないから、無事なんだろうと思うけど。
母はそろそろ帰って来るからと、私達が今回冷蔵庫ダンジョンに挑む前から、色々準備している。私もルームにいると、ちらほらサブ・ドアを見てしまう。帰って来たら、一杯好きなご飯を食べさせよう。シャンプーにも連れてって、もふもふして。一杯、甘やかそう。
なんて、考えていると、頭をちょんちょんされる。
「なんね、アレス君や」
『ボス部屋行きたいのだっ、食後の運動なのだっ』
確かにそんな約束やったね。
振り返ると、察しのいい皆さんが、準備していた。
「わふんっ」
「ありがとうアリス」
出てきた宝箱の罠をアリスが解除。時間は掛かったけど解除。成功率が9割を超えている。
只今、26階。この宝箱を確認したら、25階にとって帰す。必要なマジックベリーはゲットしたしね。
宝箱は小ぶりだけど、開けると横長のビロードの箱と化粧ポーチ。厄災クラスのアレスが開けると、わさわさなボス部屋になるけど、宝箱がゴージャスになる。
化粧ポーチはポーチやないはず。ビロードの箱にはシンプルな指輪が3つ。
「アリス、魔力感じる?」
「わふんっ」
頷くアリス。父の鑑定待ちやね。
晃太のアイテムボックスへ。
さて、ボス部屋から出て、皆さんにルームに入ってもらわないと。25階まで戻るので、ぶひひん特急ノワールの出番だ。
既にホークさんがノワールの準備してくれているからね。
今からなら25階まで移動して、ちゅどんドカンして、そろそろシヴァ達のレベルアップのちゅどんドカンもしないと。あ、今日の夕御飯どうしよう? 寒いから鍋にしようかな? 今回のダンジョンアタックで、貝柱も手に入ってるから、海鮮鍋にして、〆におじやにして。
「ユイさん、どうしたの?」
ぶつぶつ言ってた私をエマちゃんが心配してくれる。
「ん? 夕御飯どうしようかなってね。寒いから、海鮮鍋とかどうかな? 〆はおじやにしようかなって」
「わぁ、私、トマトの海鮮鍋がいいなぁ」
あ、トマトの海鮮鍋か。
トマト鍋はウインナーやかしわ、もしくはルーティのウサギ肉等の肉系を使用しているけど、海鮮もいいかも。貝柱とエビと白身魚とかいいかも。〆はおじややなくて、リゾットやね。
「じゃあ、海鮮トマト鍋にしようか」
「うんっ」
かわいか。ボス部屋の外から、ホークさんのお馴染みの、こら、が飛ぶ。
「テオ君は? 海鮮でよか?」
すぐ近くにいたテオ君にも聞く。
「え、えっと。その…………」
「ん?」
「お、お肉も食べたい、かなって」
もじもじ、と遠慮がちに。
くっ、かわいかっ。
「よしっ、鍋、二種類にしようねっ」
海鮮トマト鍋と、もう1つは旨辛鍋がセレクトショップダリアで見たことあるからあれにしよう。旨辛鍋にスープが違うだけで、野菜はトマト鍋とほぼ変わらない。海鮮ではなく、ルーティのウサギ肉やウインナーを入れよう。こちらの〆は麺かな? あ、半熟玉子とかいいかも。
テオ君が、にこっとするから、私の判断は間違いではなかったみたいや。
野菜が足りないかも知れないから、ディレックスに買い物に行かないと。
キャベツと玉ねぎと人参とトマトとキノコと、ブロッコリーは彩りがいいかな? あ、水菜やパプリカとかもいれちゃえ。冷やご飯は晃太のアイテムボックスに、ある程度の量があるし。チーズもあるし。もうないけど、初夏の首都で手に入れたあの黒い小玉ねぎ。あれがあったら、まるごといれるんだけどなあ。それから、あの甘いとうもろこし、ノワールが気に入っていたから欲しいけど、仕方ないね。今年は首都は無理だし。
「姉ちゃん、今日鍋なん?」
「そうよ」
「わい、〆は麺がよか、後、わいは旨辛鍋がよか」
「はいはい。ちゃんと作るけん」
晃太がおらんと、ドロップ品の大部分は諦めないといけないからね。私と晃太は一人用鍋にトマト鍋と旨辛鍋にして、つつけばいいしね。鷹の目の皆さんも、しっかり食べるし、エドワルドさんとツヴァイクさん、山風の皆さんも食べるからね。特にハジェル君がね。
鍋なら、アルコール解禁しよう。明日、少しゆっくりしてから出発しよう。
具材はどうしようかね、なんて話しながら、エマちゃんとちょっぴりくっつきながらボス部屋を出る。
既に、ノワールが鞍を着けてスタンバっている。
「じゃあ、皆さん、ルームに入ってくだ」
さいねー。
ジリィィィィィィィィィッ
警報音が、頭のなかで鳴り響く。
きつかっ。
「いっ」
言いかけた私は思わず頭を抱える。
「ユイさんっ」
エマちゃんが悲鳴のような声を上げる。テオ君や他の皆さんもだ。
「姉ちゃんっ」
晃太も慌てている。
『主よっ、どうしたのだっ』
早く走りたいとボス部屋の外でうろうろしていたアレスまで、すっとんで来てくれる。
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ちょっと待って、なんで、連続やねんっ。きっとあの警報器を連打しているんやろうけどっ。
あ、頭、痛かっ。
やけど、これはきっと、あれやっ。
予定より早いけどっ。
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
魔境に籠っていたビアンカやルージュ達が、帰って来るんやっ。それでなければ、シヴァ達に何かあったからだろうけど。
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
頭、頭が痛かっ。割れるように痛かっ。いかん、立てんっ。
「ユイさんっ」
ノワールの手綱を放り出して、ホークさんが駆け寄ってくれる。
「姉ちゃんどうしたなっ」
「け、警報器がっ、ルームッ」
私は必死にルームを開ける。
私の一言で察したのか、ホークさんが私を抱き抱える。そのままルームに入ると、サブ・ドアからなにやら引っ掻く音が。
二つのサブ・ドアはわずかにだけど開いている。ダンジョン内からでは一度完全に閉めると、外に出ない限りドアは開かないからだ。なので、指一本分はいるくらいに開けている。それでも時間が過ぎると勝手に閉まるので、適宜ドアノブに触れてリセットしている。そして、このサブ・ドアは、私にしか操作できない。
片方のサブ・ドア。魔境に繋がるドアから覗くのは、必死にサブ・ドアをこじ開けようとする白い前肢の先と爪。そして、声。
『ねえね~っ、ゆいねえね~っ』
『ねぇねっ、ねぇねっ』
『ねーねーっ、ねーねーっ』
かわいか三人娘やっ。
無事に、魔境での訓練が終わったんやっ。
一気に私の中で、溢れんばかりの嬉しさが沸き上がる。
沸き上がるのだけど、あ、頭に響き渡る警報が、きつかっ。
三人娘の声はするが、元気達、三人衆の声が聞こえない、ビアンカとルージュも。早く無事を確かめたいっ。
ホークさんが私を抱えて、サブ・ドアに駆け寄る。すぐ後ろに晃太が続く。
待ってて、今、ドアを開けるけんねっ。
止まらない響き渡る警報音。
余りの痛さに、私の手元が狂う。
ぱたり。
「「「あ」」」
指が当たり、サブ・ドアが閉まってしまう。
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ぷつん、と視界がブラックアウトした。
夕御飯の後、5メートルを超える桶のお披露目。感じ的に寿司桶だけど、高さが2メートル位ある。
「いやいや、儂だけの力ではないですからなぁ」
言いながらも、どやっ、としたツヴァイクさん。何故かアレスも大人しく指示に従い、木魔法を使いアシスタントしている。
念のために耐久性を見るため、アレスに水魔法で桶に8割程になるように水を入れてもらう。
少し離れて様子を見るが、大丈夫みたいや。
「凄いですツヴァイクさんっ」
「いやいやぁ」
照れるツヴァイクさん。
「アレスも凄かやん」
『木を操るのは楽しいのだっ』
フォレストガーディアンウルフだからかな。
「次から7メートルに取り掛かります。それで、あまり戦闘に参加が…………」
ツヴァイクさんが申し訳ない顔だけど、桶に関しては、こちらがお願いしている立場だ。
「気になさらないでください。桶の作業に専念してくださいね」
「はい」
その分、エドワルドさんが戦いますって。十分な戦力だよ。
「それで、その材料がですな…………」
おずおずとツヴァイクさんから申請があり。どうやら、サイズアップに伴い、失敗率も高くなってるみたい。丁度明日から25階のボス部屋に挑んでいる予定だ。
「はい、分かりました。必要な物は遠慮なく使ってください」
予定としては28階まで行く予定にしていたけど、25階メインで数日過ごして、合間に26階にマジックベリー目的で挑もう。26階の化粧品材料のドロップ品はリティアさんが待ってる。こちらの女性も美意識が高い。
エドワルドさんとロッシュさんと相談すると、快く受けてくれた。
桶はアレスの魔法でひっくり返し、張っていた水を破棄して、晃太のアイテムボックスに入れる。
よし、着々とヤマタノオロチ対策が整い出したかな。予定では後1週間で、ビアンカとルージュ達が帰ってくる。予定は予定だからね。多少の前後はするはず。
1度も警報器が鳴らないから、無事なんだろうと思うけど。
母はそろそろ帰って来るからと、私達が今回冷蔵庫ダンジョンに挑む前から、色々準備している。私もルームにいると、ちらほらサブ・ドアを見てしまう。帰って来たら、一杯好きなご飯を食べさせよう。シャンプーにも連れてって、もふもふして。一杯、甘やかそう。
なんて、考えていると、頭をちょんちょんされる。
「なんね、アレス君や」
『ボス部屋行きたいのだっ、食後の運動なのだっ』
確かにそんな約束やったね。
振り返ると、察しのいい皆さんが、準備していた。
「わふんっ」
「ありがとうアリス」
出てきた宝箱の罠をアリスが解除。時間は掛かったけど解除。成功率が9割を超えている。
只今、26階。この宝箱を確認したら、25階にとって帰す。必要なマジックベリーはゲットしたしね。
宝箱は小ぶりだけど、開けると横長のビロードの箱と化粧ポーチ。厄災クラスのアレスが開けると、わさわさなボス部屋になるけど、宝箱がゴージャスになる。
化粧ポーチはポーチやないはず。ビロードの箱にはシンプルな指輪が3つ。
「アリス、魔力感じる?」
「わふんっ」
頷くアリス。父の鑑定待ちやね。
晃太のアイテムボックスへ。
さて、ボス部屋から出て、皆さんにルームに入ってもらわないと。25階まで戻るので、ぶひひん特急ノワールの出番だ。
既にホークさんがノワールの準備してくれているからね。
今からなら25階まで移動して、ちゅどんドカンして、そろそろシヴァ達のレベルアップのちゅどんドカンもしないと。あ、今日の夕御飯どうしよう? 寒いから鍋にしようかな? 今回のダンジョンアタックで、貝柱も手に入ってるから、海鮮鍋にして、〆におじやにして。
「ユイさん、どうしたの?」
ぶつぶつ言ってた私をエマちゃんが心配してくれる。
「ん? 夕御飯どうしようかなってね。寒いから、海鮮鍋とかどうかな? 〆はおじやにしようかなって」
「わぁ、私、トマトの海鮮鍋がいいなぁ」
あ、トマトの海鮮鍋か。
トマト鍋はウインナーやかしわ、もしくはルーティのウサギ肉等の肉系を使用しているけど、海鮮もいいかも。貝柱とエビと白身魚とかいいかも。〆はおじややなくて、リゾットやね。
「じゃあ、海鮮トマト鍋にしようか」
「うんっ」
かわいか。ボス部屋の外から、ホークさんのお馴染みの、こら、が飛ぶ。
「テオ君は? 海鮮でよか?」
すぐ近くにいたテオ君にも聞く。
「え、えっと。その…………」
「ん?」
「お、お肉も食べたい、かなって」
もじもじ、と遠慮がちに。
くっ、かわいかっ。
「よしっ、鍋、二種類にしようねっ」
海鮮トマト鍋と、もう1つは旨辛鍋がセレクトショップダリアで見たことあるからあれにしよう。旨辛鍋にスープが違うだけで、野菜はトマト鍋とほぼ変わらない。海鮮ではなく、ルーティのウサギ肉やウインナーを入れよう。こちらの〆は麺かな? あ、半熟玉子とかいいかも。
テオ君が、にこっとするから、私の判断は間違いではなかったみたいや。
野菜が足りないかも知れないから、ディレックスに買い物に行かないと。
キャベツと玉ねぎと人参とトマトとキノコと、ブロッコリーは彩りがいいかな? あ、水菜やパプリカとかもいれちゃえ。冷やご飯は晃太のアイテムボックスに、ある程度の量があるし。チーズもあるし。もうないけど、初夏の首都で手に入れたあの黒い小玉ねぎ。あれがあったら、まるごといれるんだけどなあ。それから、あの甘いとうもろこし、ノワールが気に入っていたから欲しいけど、仕方ないね。今年は首都は無理だし。
「姉ちゃん、今日鍋なん?」
「そうよ」
「わい、〆は麺がよか、後、わいは旨辛鍋がよか」
「はいはい。ちゃんと作るけん」
晃太がおらんと、ドロップ品の大部分は諦めないといけないからね。私と晃太は一人用鍋にトマト鍋と旨辛鍋にして、つつけばいいしね。鷹の目の皆さんも、しっかり食べるし、エドワルドさんとツヴァイクさん、山風の皆さんも食べるからね。特にハジェル君がね。
鍋なら、アルコール解禁しよう。明日、少しゆっくりしてから出発しよう。
具材はどうしようかね、なんて話しながら、エマちゃんとちょっぴりくっつきながらボス部屋を出る。
既に、ノワールが鞍を着けてスタンバっている。
「じゃあ、皆さん、ルームに入ってくだ」
さいねー。
ジリィィィィィィィィィッ
警報音が、頭のなかで鳴り響く。
きつかっ。
「いっ」
言いかけた私は思わず頭を抱える。
「ユイさんっ」
エマちゃんが悲鳴のような声を上げる。テオ君や他の皆さんもだ。
「姉ちゃんっ」
晃太も慌てている。
『主よっ、どうしたのだっ』
早く走りたいとボス部屋の外でうろうろしていたアレスまで、すっとんで来てくれる。
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ちょっと待って、なんで、連続やねんっ。きっとあの警報器を連打しているんやろうけどっ。
あ、頭、痛かっ。
やけど、これはきっと、あれやっ。
予定より早いけどっ。
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
魔境に籠っていたビアンカやルージュ達が、帰って来るんやっ。それでなければ、シヴァ達に何かあったからだろうけど。
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
頭、頭が痛かっ。割れるように痛かっ。いかん、立てんっ。
「ユイさんっ」
ノワールの手綱を放り出して、ホークさんが駆け寄ってくれる。
「姉ちゃんどうしたなっ」
「け、警報器がっ、ルームッ」
私は必死にルームを開ける。
私の一言で察したのか、ホークさんが私を抱き抱える。そのままルームに入ると、サブ・ドアからなにやら引っ掻く音が。
二つのサブ・ドアはわずかにだけど開いている。ダンジョン内からでは一度完全に閉めると、外に出ない限りドアは開かないからだ。なので、指一本分はいるくらいに開けている。それでも時間が過ぎると勝手に閉まるので、適宜ドアノブに触れてリセットしている。そして、このサブ・ドアは、私にしか操作できない。
片方のサブ・ドア。魔境に繋がるドアから覗くのは、必死にサブ・ドアをこじ開けようとする白い前肢の先と爪。そして、声。
『ねえね~っ、ゆいねえね~っ』
『ねぇねっ、ねぇねっ』
『ねーねーっ、ねーねーっ』
かわいか三人娘やっ。
無事に、魔境での訓練が終わったんやっ。
一気に私の中で、溢れんばかりの嬉しさが沸き上がる。
沸き上がるのだけど、あ、頭に響き渡る警報が、きつかっ。
三人娘の声はするが、元気達、三人衆の声が聞こえない、ビアンカとルージュも。早く無事を確かめたいっ。
ホークさんが私を抱えて、サブ・ドアに駆け寄る。すぐ後ろに晃太が続く。
待ってて、今、ドアを開けるけんねっ。
止まらない響き渡る警報音。
余りの痛さに、私の手元が狂う。
ぱたり。
「「「あ」」」
指が当たり、サブ・ドアが閉まってしまう。
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ジリィィィィィィィィィッ
ぷつん、と視界がブラックアウトした。
あなたにおすすめの小説
「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました
歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜
なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。
家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。
向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。
一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!
山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった
歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。