もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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連載

開花⑬

 次の日。
 朝早くからバトルジャンキー達が、サブ・ドアの向こうでちゅどんドカン。朝御飯を済ませたリィマさんとアルスさんがやって来て、アルスさんはドロップ品拾いに行ってくれた。
「アルス、勝手にうろうろするんじゃないよ、ミズサワさんの従魔がいてもダンジョン内だからねっ」
「んっ、わかったっ」
 たたた、とアルスさんがサブ・ドアに向かう。
「アリス、ごめんけど、アルスさんば見てやって」
「わふんっ」
 ちょっとリィマさんと話がしたかったので、シルフィ達が寝ぼけているのと、従魔の部屋の柵を確認してアリスに託す。賢いアリスはすぐにアルスさんを追いかけて行ってくれた。
「リィマさん、あんまり寝れてないですね」
 何となくリィマさんの顔に精神的な消耗が見てとれる。
「そうだね、安全だってわかっていても流石に眠れなかったね」
「ファングさん達が来るまで、今から仮眠します?」
「いや、いいよ。匿ってくれてるのに、詳しい事情も話してないからね」
「だいたいはファングさんから聞いてますが。もう少し、事情を知りたいかなって思っていますが」
「なら、お茶でも飲みながら」
 私はリィマさんをダイニングキッチンにご案内。母がお茶を淹れてくれる。以前頂いた、カルーラ産の葡萄入りの紅茶だ。父は職人ギルドに行ってる。花がケージのクッションから起き出して、リィマさんに歓迎のはみはみからのローリングを披露し、満足してから再びケージに戻っていく。
「ミズサワさん、詳しい事情も話してないのに、匿ってくれたこと、ありがとうございます」
 深々と感謝してくるリィマさん。
「いいんですよ。私達には、その失礼なんですが、リィマさんのお父さんの考えが受け入れないだけです」
「まあ、そうだね。私達を助けてくれたファング達も、そうだったし」
 ふう、とリィマさんがため息。
「何から話そうかね」
「そうですね。今のところ、向こうがリィマさん達の存在には気がついてはいない、で合ってますか?」
「そうだね」
「前回、ルーティに来たときは問題なかったですよね」
「そうだね。まさか、くそ親父がここまで来るなんて思わなかったよ」
 くそ親父って。まあ、リィマさんにしてはそうなんかな。
「なら、リィマさん達だけ先にカルーラに戻ります? ルームをのサブ・ドアは、パーティーハウスに繋いでいるから、向こう経由でルームに避難できますよ。ただ、心配なのは、リィマさんのお父さんが引き渡しの条約とか使って来ないかって事で」
「ああ、あれは犯罪者とかに適応されるやつだね。それはないから心配ないよ。そんなことやったら、向こうの首が絞まるからね」
 やはり、当時成人していたリィマさんが、お父さんがアルスさんを呪い持ちだからと、魔物に始末させようとしていた、と証言したら、扱っている商会がイメージダウンだからね。
 なら、大丈夫かな。
「カルーラに先に帰るかどうかは、ファングと話しとからだけど、恐らく向こうは長くルーティには滞在しないはずだよ。その間、隠れているのが得策かなって思ってる」
「理由は?」
「くそ親父の商会は、宝石を扱うんだけど。アスラ王国の首都に店を構えててね」
 アスラ王国の首都は、ここから馬車で三週間くらいかかる。リィマさんのお父さんの商会は、中小企業以上、大企業未満。そこそこの老舗の宝石商会。主に首都の西側にある鉱山やダンジョン産の宝石を扱う。しかも、商会長も勤めているから、そう長い期間空けずに、部下の人達が買い付けとかに遠方に向かう。
「だから、東側の離れたルーティに来るなんて思ってなくてさ。だけど、今回のダンジョン改修があったし、ミズサワさん達が潜るって知ったから来たんじゃないかな?」
 うっ。確かにいつも凄い数のドロップ品を卸している。しかも今回ダンジョン改修後の調査もあり、長期間潜った。当然比例してドロップ品が出る。それを見越して色々な商会がこのルーティに集まっているって晃太が言ってた。
「ミズサワさんのせいじゃないよ。恐らく首都だけじゃない、アスラ王国の大きな商会のトップか、それに近い立場の者がこのルーティに集まっているんだ。来ていても不思議じゃないよ。ただ、私達の気が抜けてただけだし、忘れようって思っていたのに、アルスがあまりにもくそ親父に似ているのがショックで、昔の不安とかが沸き上がっただけなんだ」
 それでも、怖い思いをしたんやろうし。何より、ファングさんのあの様子からして、用心に越したことはないと思うけど。
「長くは滞在はしないはずだよ。今回のダンジョンからのドロップ品を見てから、一旦首都に戻るはずだよ、あまり商会を空けられないからね」
「その滞在期間さえなんとかなればいいんですかね?」
「まあ、ね」
 なんや、なんか隠してない?
「リィマさん、本当に心配なのは?」
 私の問いにしばらくリィマさんは沈黙。
「実はね、私がアルスを連れて逃げた時に、ファング達が商会の連中から隠してくれたんだ。フリンダやガリストは人族だから珍しい存在じゃないんだけど。ただ、ファングの様な金虎は珍しいんだよ」
 リィマさんとアルスさんは赤虎、こちらは虎系の獣人さんは珍しくはない。そう言えば、虎系以外でも金髪の獣人さんって、ファングさんしか見たことない。だいたい茶髪だ。種族的に黒髪や赤髪は珍しくないらしいが、金髪は獣人全種族的に珍しいって。
「だから、もしその時の商会の連中がルーティにいて、ファングに気がついたらって。もし、あの時の口封じとかって悪い方にばっかり考えて、さ。恐くてね」
 あ、なんや。昨日のファングさん見てる感じ。お互いに心配してる。
 なんや、本当に家族みたいやな。
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