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連載
フィールド型ダンジョン⑯
ボス部屋はビアンカにいいとこ見せようと、シヴァが飛ばす飛ばす。当然火魔法使うため、危ないので、私は扉から離れ、下がって見守る。
ちゅどどどどん
ドカン、ドカン、ドカーン
いい音。
しばらくして、扉が開く。ぶはあっ、熱気がっ。
『あっついのです』
『堪らないわ、ユイ、冷たい水飲みたいわ』
ビアンカとルージュが、ひーひー言いながら出てきた。ルームを開けると、一直線に従魔の部屋に向かい水分補給している。
「くうーん」
ビアンカがさっさとボス部屋出ていったので、シヴァが鼻水垂らしながら情けない顔に。多分、シヴァが頑張っちゃった結果の熱気なんだろうが、ビアンカとルージュにはきつかったみたい。
シヴァは嫌われたのではと、心配してるのかな?
「シヴァ、ビアンカは水を飲みに行っただけやけんね」
「くうーん」
情けない顔のシヴァ、鼻水垂れそう。ハンカチで拭いて上げる。私はシヴァにも水分補給させる。ルームに誘導すると、おずおずとビアンカにすり寄っていく。
『ふう、やっぱりシヴァの火魔法は凄いのですね』
一息ついて、ビアンカがシヴァを讃えている。
ほら、嫌われてないやん。
「わふんっ、わふーんっ」
途端に嬉しそうに尻尾バタバタ。
しばらくビアンカにすり寄っていくが、そろそろアレスを戻さないと、補佐ウルフ達が悲鳴を上げそう。晃太がワイバーンの大きな肉塊をシヴァに渡して、名残惜しい感じ丸出しのシヴァをサブ・ドアの向こうに見送る。
『待ちくたびれたのだー』
サブ・ドアの向こう、二匹の補佐ウルフが、ひーひー言ってた。お疲れ様。
『主よ、ボス部屋なのだ』
きゅるん。
「今、クールダウン中や」
『そんなー、なら、ルーティの方に行ってもいいのだ?』
きゅるん。
「はあ、夕御飯までには帰って来てよ」
『分かったのだっ、妹よっ、共に行くのだっ』
『一人で行ってくるのです』
『私達疲れてるの』
きっぱり断られて、アレスがしょげてる。
「ほらほらアレス、マジックバッグよ。ルーティの方でイシスが元気や若手達の訓練に行っとるから合流し。それから一緒に戻ってきて」
『ぐすん、分かったのだ』
次の階層次第では、ノワールではなくオシリスの騎乗が必要だ。オシリスはイシスにくっついてルーティのダンジョンの方に行っている。
とぼとぼとルーティのダンジョンに繋いでいるサブ・ドアの向こうに。アレスのお尻、しゅっ、としている。ビアンカやルージュより食べるのに、ぽちゃぽちゃにならない。あんだけ動いているからかな?
ビアンカとルージュは水分補給後、休憩の体勢になる。
この間、ホークさんはノワールのブラッシングをしている。ノワールは相変わらず気持ち良さそう。
「お疲れ様ノワール、頑張ってくれてありがとうね」
「ぶひひんっ」
「ホークさん、いつもありがとうございます。ホークさんに負担ばっかかけてすみません」
毎回移動するには、必ずホークさんの騎乗能力に頼りっぱなしや。通報レベルにブラック臭が、自分から漂っている。
「ユイさん、気にしないでください、これは俺の役割なんですから」
そうホークさんは言ってくれる。
ホークさんの立場、形式上私が購入した戦闘奴隷。いつになっても好きになれない響きや。
私がリティアさんから戦闘奴隷の話を持ちかけられた時に付けた条件に、当てはまったのが、鷹の目だった。
・冒険者パーティーランクがC以上
・攻守揃い、女性がいる
・ノワールを乗りこなせる程の騎乗能力
最後の条件に当てはまったのが、ホークさんだった。偶然が重なっただけかもしれないが、時々思う。
あの護衛依頼を、鷹の目にお願いしなければ、カルーラに向かうタイミングがずれて、あんなひどい依頼に、鷹の目が当たらなかったのではって。もちろんあのワイン護衛依頼は、発生しないわけないし、鷹の目が受けなければ、別の冒険者パーティーが被害に遭っていたはず。それなれば、私はその被害に遭うパーティーをどうにかしたか? とならない。私の知らない、感知しない所で処理されていたはず。
なら? 私の判断は正しかったのか? もっと別の手段があったのではなかったか? と、一人になると悶々と考えてしまう。答えが明確に分かりもしないのに。
「ユイさん? どうしました?」
「あ、いえ。あっ、そうやっ。いっつもホークさんにお世話かけっぱなしなので、ヤマタノオロチの件が済んだら特別ボーナスを出そうって思っているんですよっ」
せめてこれくらいせんとね。ブラック臭ぷんぷんやもん。
「えっ、貰いすぎですよっ」
「いえいえ、これは私の気持ちですから。あ、新しい弓とかは必要経費ですからね」
と、言うとホークさんが、ふわっと笑う。嬉しそうや。そして、ちょっと照れるように言う。あら、珍しか、ホークさんの照れ。よく見とこう。
「じゃ、じゃあ、ユイさん、時間貰えますか?」
「時間?」
「そ、うです、ゆっくり話したくて、その二人で」
「あ、いいですよ」
なんだそんなことかあ、それくらいならばっちり。私もゆっくりホークさんとお話したかもん。ちょっとウキウキしてしまう。なら、ホークさんが好きなお菓子ば準備しよっと。ホークさんは抹茶系やおかきみたいなのが好む傾向にあるし。
ぱぁぁっ、と珍しくホークさんの顔が輝く。
「いっぱいお菓子ば準備しますねっ」
張り切ります。
途端にがっくり、と肩を落としている、なぜ?
「ど、どうしましたっ?」
「あ、いえ、何でもないです、楽しみにしてます」
そう言って、ノワールのブラッシングを再開する。
「ぶひひんっ」
と、気持ちいいのか首を振るノワール。その目は、もう、至極のブラッシングタイムば邪魔せんでー、だ。
はいはい、私がお邪魔虫でしたね。
「じゃあ、ホークさん、ご飯出来たら呼びますね」
「………はい」
なんなろ? 声に元気がないけど。やっぱり疲れとるんやね。
よしっ、今日はホークさんが好きなメニューにしよっと。
ちゅどどどどん
ドカン、ドカン、ドカーン
いい音。
しばらくして、扉が開く。ぶはあっ、熱気がっ。
『あっついのです』
『堪らないわ、ユイ、冷たい水飲みたいわ』
ビアンカとルージュが、ひーひー言いながら出てきた。ルームを開けると、一直線に従魔の部屋に向かい水分補給している。
「くうーん」
ビアンカがさっさとボス部屋出ていったので、シヴァが鼻水垂らしながら情けない顔に。多分、シヴァが頑張っちゃった結果の熱気なんだろうが、ビアンカとルージュにはきつかったみたい。
シヴァは嫌われたのではと、心配してるのかな?
「シヴァ、ビアンカは水を飲みに行っただけやけんね」
「くうーん」
情けない顔のシヴァ、鼻水垂れそう。ハンカチで拭いて上げる。私はシヴァにも水分補給させる。ルームに誘導すると、おずおずとビアンカにすり寄っていく。
『ふう、やっぱりシヴァの火魔法は凄いのですね』
一息ついて、ビアンカがシヴァを讃えている。
ほら、嫌われてないやん。
「わふんっ、わふーんっ」
途端に嬉しそうに尻尾バタバタ。
しばらくビアンカにすり寄っていくが、そろそろアレスを戻さないと、補佐ウルフ達が悲鳴を上げそう。晃太がワイバーンの大きな肉塊をシヴァに渡して、名残惜しい感じ丸出しのシヴァをサブ・ドアの向こうに見送る。
『待ちくたびれたのだー』
サブ・ドアの向こう、二匹の補佐ウルフが、ひーひー言ってた。お疲れ様。
『主よ、ボス部屋なのだ』
きゅるん。
「今、クールダウン中や」
『そんなー、なら、ルーティの方に行ってもいいのだ?』
きゅるん。
「はあ、夕御飯までには帰って来てよ」
『分かったのだっ、妹よっ、共に行くのだっ』
『一人で行ってくるのです』
『私達疲れてるの』
きっぱり断られて、アレスがしょげてる。
「ほらほらアレス、マジックバッグよ。ルーティの方でイシスが元気や若手達の訓練に行っとるから合流し。それから一緒に戻ってきて」
『ぐすん、分かったのだ』
次の階層次第では、ノワールではなくオシリスの騎乗が必要だ。オシリスはイシスにくっついてルーティのダンジョンの方に行っている。
とぼとぼとルーティのダンジョンに繋いでいるサブ・ドアの向こうに。アレスのお尻、しゅっ、としている。ビアンカやルージュより食べるのに、ぽちゃぽちゃにならない。あんだけ動いているからかな?
ビアンカとルージュは水分補給後、休憩の体勢になる。
この間、ホークさんはノワールのブラッシングをしている。ノワールは相変わらず気持ち良さそう。
「お疲れ様ノワール、頑張ってくれてありがとうね」
「ぶひひんっ」
「ホークさん、いつもありがとうございます。ホークさんに負担ばっかかけてすみません」
毎回移動するには、必ずホークさんの騎乗能力に頼りっぱなしや。通報レベルにブラック臭が、自分から漂っている。
「ユイさん、気にしないでください、これは俺の役割なんですから」
そうホークさんは言ってくれる。
ホークさんの立場、形式上私が購入した戦闘奴隷。いつになっても好きになれない響きや。
私がリティアさんから戦闘奴隷の話を持ちかけられた時に付けた条件に、当てはまったのが、鷹の目だった。
・冒険者パーティーランクがC以上
・攻守揃い、女性がいる
・ノワールを乗りこなせる程の騎乗能力
最後の条件に当てはまったのが、ホークさんだった。偶然が重なっただけかもしれないが、時々思う。
あの護衛依頼を、鷹の目にお願いしなければ、カルーラに向かうタイミングがずれて、あんなひどい依頼に、鷹の目が当たらなかったのではって。もちろんあのワイン護衛依頼は、発生しないわけないし、鷹の目が受けなければ、別の冒険者パーティーが被害に遭っていたはず。それなれば、私はその被害に遭うパーティーをどうにかしたか? とならない。私の知らない、感知しない所で処理されていたはず。
なら? 私の判断は正しかったのか? もっと別の手段があったのではなかったか? と、一人になると悶々と考えてしまう。答えが明確に分かりもしないのに。
「ユイさん? どうしました?」
「あ、いえ。あっ、そうやっ。いっつもホークさんにお世話かけっぱなしなので、ヤマタノオロチの件が済んだら特別ボーナスを出そうって思っているんですよっ」
せめてこれくらいせんとね。ブラック臭ぷんぷんやもん。
「えっ、貰いすぎですよっ」
「いえいえ、これは私の気持ちですから。あ、新しい弓とかは必要経費ですからね」
と、言うとホークさんが、ふわっと笑う。嬉しそうや。そして、ちょっと照れるように言う。あら、珍しか、ホークさんの照れ。よく見とこう。
「じゃ、じゃあ、ユイさん、時間貰えますか?」
「時間?」
「そ、うです、ゆっくり話したくて、その二人で」
「あ、いいですよ」
なんだそんなことかあ、それくらいならばっちり。私もゆっくりホークさんとお話したかもん。ちょっとウキウキしてしまう。なら、ホークさんが好きなお菓子ば準備しよっと。ホークさんは抹茶系やおかきみたいなのが好む傾向にあるし。
ぱぁぁっ、と珍しくホークさんの顔が輝く。
「いっぱいお菓子ば準備しますねっ」
張り切ります。
途端にがっくり、と肩を落としている、なぜ?
「ど、どうしましたっ?」
「あ、いえ、何でもないです、楽しみにしてます」
そう言って、ノワールのブラッシングを再開する。
「ぶひひんっ」
と、気持ちいいのか首を振るノワール。その目は、もう、至極のブラッシングタイムば邪魔せんでー、だ。
はいはい、私がお邪魔虫でしたね。
「じゃあ、ホークさん、ご飯出来たら呼びますね」
「………はい」
なんなろ? 声に元気がないけど。やっぱり疲れとるんやね。
よしっ、今日はホークさんが好きなメニューにしよっと。
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