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三度目の首都㉓
私達は少し下がる。騎乗した騎士達が手綱を操り、前にたつオスヴァルドさんを見下し、嫌な笑いを浮かべている。しかし、派手と言うか、機能性が低そうと言うか。白を基調にした、金ぴかの飾りが縁取り、マントはオスヴァルドさん達と同じ赤いが、肩とかに金色の紐、あれなんていうの? 軍服とかの肩にあるやつ。マントの色も鮮やかな赤で、なにより重そう。オスヴァルドさん達のマントは落ち着いた色で、飾りなんてない。ただ、オスヴァルドさんは准将のために、右肩に剣と盾が刺繍が施されている。
教会も騒ぎを聞き付けたのか、若いシスターが顔を出して、慌てて顔を引っ込めている。
「トビアス、騒ぎになるかもしれない。家族を連れて離れろ」
エドワルドさんの声を拾う。
一際派手な馬車が止まる。女の子が乗せられている馬車だ。うーん、ビアンカに言って、馬車の側面だけ、こう、ぱかっ、とできんかな? なんて短絡的な事を思ってしまう。
豪華な馬車が止まると、別の馬車から、数人のフットマンっぽい格好をしたが、なにやら絨毯を敷き始める。え? レッドカーペット? こんなところに?
回りの人たちもざわめく。
そこにさらに出てきたのは、神官っぽい格好の人達。白い高帽子に白いローブ、そでの膨らみは腰よりさらにした。こちらも派手な金色のラインがいくつも入り、裾には凝った刺繍が施されている。そして、チラッと見えるのは、金装飾の指輪がキラキラしている。
本当に宗教関係の人? なんだか品のない、成金集団みたいだけど。
「何をモタモタしているさっさとせぬかっ」
と、成金神官が、フットマンさん達に罵声をあげる。フットマンさん達は急いで赤い絨毯を敷き詰めていく。絨毯の先には私達だ。絶対、突っかかってくる。そして、敷き詰められるとフットマンさん達は下がる。変わりに成金神官や数人の機能性が低そうな鎧の騎士達が魔法馬から降り、ズラリと並ぶ。魔法馬も金ぴかの飾りがある。ノワールは黒を基調として、機能性重視で武骨な感じになっている。
『ユイ、めんどくさそうなのです、黙らせるのです?』
『その方が早いわよ』
そうしたいが、それしたら、こっちがお尋ね者や。
私はビアンカとルージュに、しー、とする。
「姉ちゃん、出て来たばい」
晃太が小声でしらせてくれる。
「革新派聖女、セルーナ様であるっ。皆の者控えよっ」
いつの時代劇やねん。
機能性の低そうな鎧を騎士が声を張り上げる。
すでに周囲の人達は異常を察知して、まばらにしかのこっていない。
馬車からゆったりとした動作で出てきたのは、
「けばっ」
思わず呟く。
聖女の勝手なイメージって、楚々とした、品のある方なんだけど。いやいや、化粧、濃いって。唇は真っ赤だし、目もしっかり縁取りしている。爪も真っ赤で魔女だよ、あれ。年はたぶん私より上だろうけど、白のローブをこれでもかとカスタマイズしているので、原型が分からない。あれだけの化粧して似合わないわけではないから、元は悪くない顔だと思うけど。
『うぷっ、あの雌、臭いのですっ』
『なに? 草を煮詰めて腐らせたような臭いは?』
ビアンカとルージュが前肢で鼻を押さえている。
「そんな変な臭い?」
『嫌な臭いよ。火を当てたら、倍増しそう』
『水をぶっ放してもいいのですか?』
「そんなに嫌ね。ちょっと我慢して」
ケバい聖女は、若い機能性の低そうな鎧の騎士の手を借りて降りてきている。
「優衣」
後ろで黙ったままだった父がそっと耳打ち。ゴニョゴニョ。ああ、なるほど。
魔女みたいな聖女は、オスヴァルドさんの向こうにいる、私達の姿を見て、顔を歪める。あれは偶然みたけてって、感じではなく、いるのが分かってから顔を歪めるようや。友達にはなれない、と直感する。側にいたホークさんが、私を隠そうと移動。ビアンカとルージュは臭いから眉を寄せている。知らない人から見たら、恐ろしいだろうなあ。
真っ赤に尖った指を、私達に突き立てる。人を指差しちゃダメなんよ。
「穢らわしい魔物めっ、神聖な私の視界を汚すとは許しがたし所業っ。忠実なる聖騎士達よっ、切り捨てておしまいっ」
いきなりっ。
「神は我らに祝福を下さるっ、恐れてなど必要ないっ」
朗々とよく聞こえる声が響く。私はビアンカとルージュに目配せ。
『臭いのですが、吹き飛ばせばいいのです』
『問題ないわ、ユイに指一本触れさせないわ』
頼もしい。
「待たれよっ、このご婦人は正式に従魔契約されいる。かような暴力をユリアレーナでは許されぬ事っ。私はユリアレーナ王国赤騎士団准将オスヴァルド・ウルガー。ご婦人に対する無礼、これ以上は見逃せぬ事になりますぞっ」
オスヴァルドさんが制止をかける。おそらく、これ以上あれば、オスヴァルドさんが応戦する。なんとか避けたい。街中ではさけたい。
回りが悲鳴をあげる。
機能性の低そうな鎧の騎士達が、いきなり抜刀。
「さあっ、誇り高き聖騎士達よっ。我らの神の為に、穢らわしい魔物を排除せよっ」
魔女みたいな聖女が、大袈裟な動作で手をかざす。
「向こうが先に手を出したんや」
そう言って晃太が小声で「ダウン」と呟く。
そう、魔女みたいな聖女が使ったのは、支援魔法だ。
父が馬車から降りる瞬間に、魔女みたいな聖女を鑑定した。人の鑑定なんて、プライバシーの問題があるから、父は向こうが望まない限りおこなわない。ハジェル君の時はお願いされたからね。
今回は、さっきの始祖神様からの話があって思う事があったから。
あの魔女みたいな聖女は、聖女を名乗っているケバい人は聖女ではない。晃太よりランクの高い支援魔法と再生魔法を使う、魔道師だった。
教会も騒ぎを聞き付けたのか、若いシスターが顔を出して、慌てて顔を引っ込めている。
「トビアス、騒ぎになるかもしれない。家族を連れて離れろ」
エドワルドさんの声を拾う。
一際派手な馬車が止まる。女の子が乗せられている馬車だ。うーん、ビアンカに言って、馬車の側面だけ、こう、ぱかっ、とできんかな? なんて短絡的な事を思ってしまう。
豪華な馬車が止まると、別の馬車から、数人のフットマンっぽい格好をしたが、なにやら絨毯を敷き始める。え? レッドカーペット? こんなところに?
回りの人たちもざわめく。
そこにさらに出てきたのは、神官っぽい格好の人達。白い高帽子に白いローブ、そでの膨らみは腰よりさらにした。こちらも派手な金色のラインがいくつも入り、裾には凝った刺繍が施されている。そして、チラッと見えるのは、金装飾の指輪がキラキラしている。
本当に宗教関係の人? なんだか品のない、成金集団みたいだけど。
「何をモタモタしているさっさとせぬかっ」
と、成金神官が、フットマンさん達に罵声をあげる。フットマンさん達は急いで赤い絨毯を敷き詰めていく。絨毯の先には私達だ。絶対、突っかかってくる。そして、敷き詰められるとフットマンさん達は下がる。変わりに成金神官や数人の機能性が低そうな鎧の騎士達が魔法馬から降り、ズラリと並ぶ。魔法馬も金ぴかの飾りがある。ノワールは黒を基調として、機能性重視で武骨な感じになっている。
『ユイ、めんどくさそうなのです、黙らせるのです?』
『その方が早いわよ』
そうしたいが、それしたら、こっちがお尋ね者や。
私はビアンカとルージュに、しー、とする。
「姉ちゃん、出て来たばい」
晃太が小声でしらせてくれる。
「革新派聖女、セルーナ様であるっ。皆の者控えよっ」
いつの時代劇やねん。
機能性の低そうな鎧を騎士が声を張り上げる。
すでに周囲の人達は異常を察知して、まばらにしかのこっていない。
馬車からゆったりとした動作で出てきたのは、
「けばっ」
思わず呟く。
聖女の勝手なイメージって、楚々とした、品のある方なんだけど。いやいや、化粧、濃いって。唇は真っ赤だし、目もしっかり縁取りしている。爪も真っ赤で魔女だよ、あれ。年はたぶん私より上だろうけど、白のローブをこれでもかとカスタマイズしているので、原型が分からない。あれだけの化粧して似合わないわけではないから、元は悪くない顔だと思うけど。
『うぷっ、あの雌、臭いのですっ』
『なに? 草を煮詰めて腐らせたような臭いは?』
ビアンカとルージュが前肢で鼻を押さえている。
「そんな変な臭い?」
『嫌な臭いよ。火を当てたら、倍増しそう』
『水をぶっ放してもいいのですか?』
「そんなに嫌ね。ちょっと我慢して」
ケバい聖女は、若い機能性の低そうな鎧の騎士の手を借りて降りてきている。
「優衣」
後ろで黙ったままだった父がそっと耳打ち。ゴニョゴニョ。ああ、なるほど。
魔女みたいな聖女は、オスヴァルドさんの向こうにいる、私達の姿を見て、顔を歪める。あれは偶然みたけてって、感じではなく、いるのが分かってから顔を歪めるようや。友達にはなれない、と直感する。側にいたホークさんが、私を隠そうと移動。ビアンカとルージュは臭いから眉を寄せている。知らない人から見たら、恐ろしいだろうなあ。
真っ赤に尖った指を、私達に突き立てる。人を指差しちゃダメなんよ。
「穢らわしい魔物めっ、神聖な私の視界を汚すとは許しがたし所業っ。忠実なる聖騎士達よっ、切り捨てておしまいっ」
いきなりっ。
「神は我らに祝福を下さるっ、恐れてなど必要ないっ」
朗々とよく聞こえる声が響く。私はビアンカとルージュに目配せ。
『臭いのですが、吹き飛ばせばいいのです』
『問題ないわ、ユイに指一本触れさせないわ』
頼もしい。
「待たれよっ、このご婦人は正式に従魔契約されいる。かような暴力をユリアレーナでは許されぬ事っ。私はユリアレーナ王国赤騎士団准将オスヴァルド・ウルガー。ご婦人に対する無礼、これ以上は見逃せぬ事になりますぞっ」
オスヴァルドさんが制止をかける。おそらく、これ以上あれば、オスヴァルドさんが応戦する。なんとか避けたい。街中ではさけたい。
回りが悲鳴をあげる。
機能性の低そうな鎧の騎士達が、いきなり抜刀。
「さあっ、誇り高き聖騎士達よっ。我らの神の為に、穢らわしい魔物を排除せよっ」
魔女みたいな聖女が、大袈裟な動作で手をかざす。
「向こうが先に手を出したんや」
そう言って晃太が小声で「ダウン」と呟く。
そう、魔女みたいな聖女が使ったのは、支援魔法だ。
父が馬車から降りる瞬間に、魔女みたいな聖女を鑑定した。人の鑑定なんて、プライバシーの問題があるから、父は向こうが望まない限りおこなわない。ハジェル君の時はお願いされたからね。
今回は、さっきの始祖神様からの話があって思う事があったから。
あの魔女みたいな聖女は、聖女を名乗っているケバい人は聖女ではない。晃太よりランクの高い支援魔法と再生魔法を使う、魔道師だった。
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