もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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いつものダンジョン調査⑩

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 ホークさんもうーん、な顔になる。
「複雑?」
「ええ、きっとね」
 柵越しに、私とホークさんはこそこそ話す。
「ミゲルのひい婆さんは典型的なドワーフなんでしょうけど、確かに、頑固なんだろうけどそれが悪いことじゃない。そうでもしないと、ひい婆さんは挫けてしまったはず」
「確かに、私もそうは思います」
 ミゲル君のひいお婆さんの話を聞いてしまい、想像以上に大変な思いをしてきたんだろう。娘さんと孫娘さんを育て上げた、そこには深い愛情があったはずだって。お店も切り盛りしながらだ。そりゃ、頑固だと呼ばれるような、しっかりした芯がなければ、倒れてしまうようなことだったはず。
 ただ、ミゲル君のお姉さんのギルド職員への就職を反対したのは、やりすぎな気がするけどね。
 それにはホークさんも同意する。
「ユイさんは、彼女をどう思います?」
「実際、会ってみてないですけで、私にしてみたらスーパーウーマンですね。それにミゲル君を見ていたら、意地悪なイメージはありません」
 ミゲル君って、世話焼きお兄さんって感じ。私達が最初に出した護衛依頼の時、よくテオ君やエマちゃんのお世話をしていた。エマちゃんの話だと、冒険者になってすぐに、エマちゃんとテオ君の服を古着から夜なべして作り直してくれたって。それだけでも、ミゲル君の人となりが分かる。ミゲル君からあまりひいお婆さんの事は聞かないが、お姉さんの事があっても、嫌っている様子はない。きっとミゲル君は、ひいお婆さんの事が嫌いになりきれないんだろうなって。
「そうですね。本当に意地悪ではないと思います」
 そっとホークさんが私の耳に顔を寄せる。おっと、ドキドキ。
「実は俺、ミゲルのひい婆さん、見た事があるんです」
 息がかかる。ドキドキ、って、あれ?
「え?」
 しー、とされる。思わず、口を押さえる。
「ちらっとだけです。先代のリーダーと知り合いみたいだったみたいで、滞在先の宿に訪ねて来たんですよ。よく聞こえなかったんですけど、預かってってとか何とか言ってて。何のことかなってその時は思いました。もしかした、手紙でも預かったのかなって思っていたんです」
「それって」
 ミゲルには内緒ですよ、と続けるホークさん。
「そうです。先代のリーダーワゾーに、家出したミゲルを新人として引き受けて欲しいって頼み込んでいたんです。もし三年見て、無理そうならシーラに帰るように言ってくれって。ミゲルは合格点に達した。その時点でワゾーは引退して、ミゲルの事情をリーダーになった時に俺が引き継いだんです。おそらくシーラに帰ったワゾーから、ミゲルのひい婆さんにその事は伝わっているはず」
「そうだったんですね」
 やっぱり、ミゲル君のひいお婆さんは、意地悪な頑固さんではなかった。ミゲル君のお姉さんは家出までしなかったけど、本当に家出してしまったミゲル君を心配して、ワゾーさんにお願いしたのは、ミゲル君への愛情なんやろうなあ。
「ミゲルの冒険者になることを反対していたから、大っぴらに、ワゾーに頼んだことを周りに話せない。反対しているのに、知り合い引き受けてもらったなんてバレたくない手前もあるんだと思いますよ」
 見栄、とかもあるんだね。
「それでも、ミゲル君に対して、見放したとかはないんですよね」
「ええ、俺はそう思っています。しかし、シーラには奴隷に対する厳しい視線がありますから、面会するにしても慎重になるべきだと思います。ミゲルの為にも、ミゲルの家族の為にも」
「そう、ですね」
 本当にもどかしいなあ。ホークさんの面会について繰り返される言葉で、さっきの自分の考えが浅かったかもと思う。
 だけどなあミゲル君も、ミゲル君のひいお婆さんも、しっかり話したほうが、色々良さそうやけど、シーラの奴隷に対する考え方がネックやな。
 シーラの奴隷事情を知った時に、奴隷解放の話はしたけど、断られてしまった。あのワイン護送依頼をした商人達が未だに見つからないからだ。ホークさん達は、この件が片付かない限りは解放は望まないって。解放されても、私達の付いてきてくれるって。
 ミゲル君が私達が大切って言ってくれた、とても嬉しかったが、どこかに申し訳ない思いもあって。ネックのシーラの奴隷事情があって。ひいお婆さんの愛情や、ミゲル君がご家族に会いたい思いがあって。
 うーん。うーん。うーん。
 駄目や、いい解決策が思いつかん。ミゲル君が言うように、遠目でチラ見がベストな気がしてしまう。
「とにかく、シーラについて、どうするかは改めて考えます。ミゲル君とご家族にとって一番いい形になるように」
 行き当たりばったりだけど、慎重になった方がよさそうやしね。
 私の決断に、ホークさんは嬉しそうに微笑む。
「ミゲルの為に、ありがとうございます」
「ミゲル君には、皆さんにはお世話になってますからね。出来れば、気持ちのいい形になってほしいだけですから」
 てへへ、と笑う私に、ホークさんは目を優しく細める。
「ユイさん」
 なんやろ? あららっ、再び耳元にホークさんが顔を寄せる。ドキドキッ。
「貴女に、受け入れてもらって、俺達は世界一幸せな冒険者です」
 わあ、嬉しかっ。
「いや、皆さんには想像以上によく働いてもらっていますし、こちらも助かってますし」
 わたわた言うと、ふふ、と耳元でホークさんが笑い、離れていく。もうちょっと、くっついていたいが、ノワールがブラッシングの催促を始めてしまい。ホークさんは再びブラッシングに入ってしまった。
 気持ちよさそうなノワールと、手際よくブラッシングするホークさんを見ながら、どうすれば最良な形で面会出来るようになるかを、あまり回らない頭でもんもんと考えた。
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