もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
852 / 873
連載

騒がしい始まり⑧

 ホークさんの手を借り、ボルデさんに案内されてギルド内に。ノワールは警備の方が手綱を預かってくれたので、全員でギルド内に入った。
 石造りの建物内は、石床で寒々とした印象を初めに受けたが、十分に光がはいり明るく、広々としている。奥にカウンター、掲示板には依頼の紙、これはどこも一緒。ギルドなので、たくさんの人達がいるけど、皆さん息を呑んで見てくる。まあ、仕方ないよね。皆大きいし、何より威風堂々で、迫力満点のイシスがいるからね。思わず後ずさりしている人までいる。
 そのおかげで、誰も鷹の目の皆さんの奴隷紋には気が付かない。
「元気、おとなしくしとってね」
 すでに興味津々に尻尾ぷりぷりしている元気。ビアンカが鼻先で誘導してくれる。アレスにはアリスが張り付いてくれている。アレスはそれだけでご機嫌になってくれておとなしい。シルフィ達はアリスにぴったりだ。
『ばぁば、ルリが一緒にいるからねっ』
『クリスも一緒だよっ』
「よしよし、かわいかねえ」 
 えっへんとなってるルリとクリス。かわいかね。
『ヒスイはねえねといるっ』
『わいはにーちゃんを守ったるっ』
 おぉ、よしよし、かわいかね。ぴったりと張り付いてくるコハクを晃太もよしよししている。
 ボルデさんの案内でカウンターで到着報告がスムーズに終わる。晃太が搬送物の為に別室に、警備の方が一人、イシス、コハク、ミゲル君、テオ君が付いてくれる。父も職人ギルドに呼ばれて行く。こちらにも警備の方が一人、チュアンさん、マデリーンさん、ルージュが付いてくれる。金の虎は、モノコのスライムダンジョンのドロップ品のリストをカウンターに提出して、そのままロビーで待つことになる。
 私はホークさん、ボルデさん、ビアンカとヒスイでいつもの様に、奥の応接間に案内された。
 通された応接間は、凝った刺繍が施されたクッションカバーやタペストリー、テーブルクロスが目に入る。わぁ、流石首都のギルドの応接間。小物も素敵。この絨毯も草花が複雑に絡むきめ細やな柄でとても素敵。ソファの一つに、ドワーフの男性が二人。二人共に民族衣装みたいな制服だけど、胸のバッジは、共通やね。一人は真っ白な髪がポヤポヤしているおじいちゃんみたいな感じで、もう一人は見ただけで頑固そうな見た目の中年男性。見た目でどうこうは駄目よね。
 二人はすっと立ち上がり会釈する。
「ようこそテイマー・ユイ・ミズサワ様。私は冒険者ギルド事務局長イーゴリでございます」
 と、真っ白おじいちゃんが自己紹介。なるほど、リティアさんと同じ立場ね。
「職員のジョレスです」
 と、頑固そうな中年男性も自己紹介される。あ、丁寧な仕草から、悪い感じがなくなる。
「ユイ・ミズサワです」
 私もご挨拶。ホークさんやビアンカ達の事は連絡があっただろうしね。高位商会の会頭なんかは常に護衛がいる為、いちいち紹介しない。
「どうぞ、お座りください」
 イーゴリさんが勧めてくれる。
「ありがとうございます。失礼します」
 私は対面のソファに着席する。ホークさんはソファの後ろ、ビアンカはそこらへんにゴロリ。
「改めてまして、ユイ・ミズサワ様、ようこそアウデに。お噂はここシーラまで届いております」
 どんな噂?
「今回、シーラへの来訪目的は『試練のダンジョン』ではないかと愚考しましたが」
 確認する様に聞いてくる。
「そうですね、こちらの『試練のダンジョン』は難易度が高いと聞いて、従魔達がどうしても挑みたいと」
 蛇の親玉が出るくらいだからね。
「おおっ、なんと頼もしいっ。是非ともドロップ品を回していただきたいのですが」
 まあ、それが目的よね。
「それはもちろん。私には販路がありませんので。他所のダンジョンのドロップ品があるのですが、こちらでも買い取って頂けますか?」
「それはもちろん」
「こちらがそのリストになります」
「拝見します」
 私は数枚のリストを提出。
 冷蔵庫ダンジョンのドロップ品はすでにない、私達に必要なものを差し引いた分は、首都サエーキやモノコなどで既に買い取りしてもらっている。残りはルーティのドロップ品、王冠山のフィールド型ダンジョンのドロップ品、スライムダンジョンのドロップ品や薬草類だ。
「これは、素晴らしいですな」
 ふわぁ、と笑うイーゴリさん。
「こちら、依頼が出ているものあるか照らし合わせてもよろしいですか?」
「はい」
「では、ジョレス、確認を」
 イーゴリさんからリストがジョレスさんに渡る。
「では、確認させて頂きます」
 ジョレスさんはポケットから眼鏡を取り出し装着し、何処からか分厚い書類を取り出す。そして、リストを見ながら、書類を抜き出していく。わぁ、リティアさんにも負けない書類捌きや。
「ミズサワ様、試練のダンジョンに挑まれるのでしたら、パーティハウスはいかがしましょうか?」
「できればお願いしたいです。両親がいますので」
 大きな街やダンジョンを有する街には、ギルド管理のパーティハウスがある。
「では、ヤーズのギルドに連絡しておきましょう」
 ぱちん、とイーゴリさんが指を鳴らすと、コンコンとノックされる。
「失礼します」
 と、入って来たのは、獣人の女性、三角形の耳だけど、種族はなんだろう? イーゴリさんは獣人女性に耳打ちしていると、視界の隅で寝そべっていたビアンカの耳がピクピクッ、と動く。あ、何かあったね。
「どうしたん?」
 ビアンカは首を上げる。
『エマに害意が向いているのです。それでアレスが対抗しようとしているのです』
「一大事やんっ」
感想 843

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました

由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。 ——皇子を産めるかどうか。 けれど私は、産めない。 ならば—— 「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」 そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。 毒を盛られても、捨てられず。 皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。 「お前は、ここにいろ」 これは、子を産めない女が ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。 そして—— その寵愛は、やがて狂気に変わる。

「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~

水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」 夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。 王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。 「左様でございますか」 彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。