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2巻
2-3
「では、早速ですが、毛皮は八十万Gです」
おお、いい額だ。剥製にされるのだろうか。
「肉は傷や破裂がありましたので、合計三百九十万G。残念なことに肝が破裂しておりましたから。これが無事ならプラス六十万Gになりましたが、この状態では買い取りは不可能でした」
上空から墜落死させたから、内臓が破裂したんだね。
「魔石はかなり質のいいものでしたので百三十万Gです。これだけの大型魔石ですからね」
魔石とは、魔物の心臓の横にある石で、魔物のレベルによって質が変わる。主に魔道具の燃料になるらしい。ディレナスでお世話になった騎士のディードリアンさん情報です。
「最後に討伐料です」
「と、討伐料?」
「はい。Aランク以上の魔物の場合、討伐料と報告義務が発生します。討伐料はその魔物のランクや被害状況、討伐されなかった場合に予想される被害等を考慮し支払われます。あれだけの大物です、もし人里近くに出たら被害は甚大ですからね」
もし、あの熊を討伐するとしたらAランクパーティがいくつも必要と、『鷹の目』のリーダーさんも言っていた。
「今回も討伐依頼が出る時には、すでに犠牲者が出ていた可能性があります。更にあれだけランクの高い魔物だと、冒険者にも犠牲が出たことでしょう」
「ヘエー」
私は冷や汗が出そうだ。
その熊を一撃で倒せるのが後ろにいるよ、二匹も。いや、今の健康状態だと後れは取らない、だっけ。どちらにしても怖かあ。父は表情を変えない。
「討伐料は三百万G。合計九百万Gです。解体料を引いて、八百五十万Gのお支払いとなります。今お作りしている冒険者カードに入金できますが」
「カードへの入金って、あとでもできます?」
父が質問。
「はい、冒険者ギルドカードでしたら冒険者ギルドで入金、出金できます」
「なら、あとで入金しますので一旦現金でお願いします」
「はい。承知しました。大金貨でよろしいですか?」
「はい」
カウンターにさっと並べられる大金貨八枚、金貨五十枚。
金貨一枚が一万G、大金貨は金貨百枚分だ。確認し、受け取りの印として書類にサインをし、魔力を流して父がアイテムボックスに入れる。
ああ、良かった、これでしばらくお金は大丈夫だ。
私はなにげなく聞いてみる。
「もし、被害が出てたら、討伐料ってどうなります?」
「……一千万は下らないでしょうね」
「被害、出なくて良かったです」
「そうですね」
ヒスイが腕を食べられたけどね。ビアンカとルージュも重症だったけどね。
ちなみにもしAランク以上の魔物と遭遇後、報告義務を怠るとかなりの罪状になるそうだ。特に冒険者はその危険性をわざと見逃し、他人の生命をおびやかしたとみなされ、下手したら一発で重犯罪奴隷おちだという。これは当然のこととして、一般生活に根付いている。
さて、これでお金はなんとかなった。しばらく、あのログハウスの宿泊を延長して、ビアンカとルージュの体力回復に努めよう。
男性職員さんにお礼を言って、待ち合い室に戻る。
「どうやった?」
母が抱っこ紐に入っている花を抱え直して聞いてくる。
「しばらく生活は大丈夫や。とりあえずあのログハウスを今月いっぱい延長しよう。ずっと移動しとったから、休憩もかねてしばらくゆっくりせん?」
「いいね。そうしようかね」
こうしてアルブレン滞在が決まった。
ほどなくして、呼ばれる
「新規冒険者ギルドカード作成の方、お待たせしました」
私と晃太が腰を上げる。
カウンターに向かうと、若い男の子三人、女の子二人がいた。
受付のスマイルお姉さんがカードを出す。電子マネー機能の付いたカード。なんだかすごい技術。これはなんでも、何百年か前にダンジョンから発掘された魔道具をコピーして作られた技術らしい。
基本的に魔道具は、ダンジョンから出たアイテムの知識を利用して作られている。なので、父のように一から作る技術者は少ない。なんてったってダンジョンから出てきたのを、いじるだけらしいから。
「では、こちらに魔力を流してください」
早速昨日覚えた魔力を流す方法を実践。案外簡単だ、脈を感じたらできる、という父の一言でできた。私は自分の脈を触知しながら、カードに指を当てる。心の中で魔力魔力と念じると、カードに私の名前が浮かび上がった。
ユイ・ミズサワ ランクH ユリアレーナ
従魔 フォレストガーディアンウルフ 成体一体 幼体三体
クリムゾンジャガー 成体一体 幼体二体
良かった、できた。ちょっと感動。晃太もできたようだ。
さ、今日はこれで帰ろうかな。
「ねえ、お姉さん」
声をかけられた。一緒にカードを受け取るために並んでいた男の子の一人だ。
「なに?」
「あの二匹、お姉さんの従魔? 超かっこいいんですけど」
男の子はキラキラした目で聞いてくる。うん、純粋にそう思っているようだ。ビアンカとルージュは、微動だにしない。
「そう? ありがとう」
「いいなあ、あんな強そうなのいて」
キラキラ目の男の子を、別の男の子がよせよ、と止める。
「ほら、薬草摘みに行こうぜ」
「あ、わかった。お姉さん、今度従魔触らせて」
キラキラ目の男の子は、他の男の子と女の子達と一緒にギルドを出ていく。冒険者登録をしてすぐに薬草摘みとは、ヤル気満々だね。頑張りなさい、少年少女よ。
私達も失効しない程度になにかしないと。
「姉ちゃん、ちょっと掲示板見とかん?」
「そやな」
晃太も同じように思っていたのか、早速依頼が貼られた掲示板を指した。
「なにがあるかだけでも、見とこうか」
掲示板に行こうとしたその時、そこそこの年齢の男性ギルド職員が慌てた様子でこちらに駆け寄ってきた。
「あの、ミズサワ様。昨日は当ギルド職員が大変失礼なことをしました」
昨日? あ、馬車の件かな? ギルドで借りていた馬車に傷をつけてしまったので修理代を払おうとしたら、修理不可能だからと買い取りを迫られ、挙げ句、元気達を売るよう仕向けてきた件。結局、五千万G払って馬車を買い取ったけれど。
「その件を含め、ミズサワ様にお願いしたいことがあるのです。昨日の今日で大変失礼かと思いますが、話だけでも聞いていただけないでしょうか」
なんだか必死な様子。
「どうする?」
晃太に尋ねる。
「姉ちゃんに任せるばい」
どうしようかな?
馬車を返してなんて言われたら困る。実は昨日、馬車をどうするか決めたのだ。
私達が使っていた座席を取り払い、後ろの荷台と繋げて広くすることにした。広くしたら元気達がゆっくり寛げると思ったのだ。更に、もへじ生活でラグやソファなんか揃えて設置しようなんて話をしたばっかりだ。
よし、ここはしっかり馬車は返しません、という態度で望もう。大事な移動手段だ。
「では、話だけ」
家族全員でギルドの応接間に移動した。
ビアンカとルージュが歩くと床がミシミシいってますけど、大丈夫?
通りすがりの職員さんはプロ意識全開で、廊下を譲ってくれた。脂汗、浮かんでますよ。
応接間はなかなか広くて、ビアンカとルージュも入れた。花は母から晃太にバトンタッチ。五匹の仔達は部屋の匂いを嗅いで歩き回る。
「お時間をいただき、ありがとうございます、ミズサワ様。私はこのアルブレン商人ギルド、買い取り主任のバーズです。昨日は当商人ギルドの職員が失礼な態度を取りまして申し訳ありません。件の馬車につきまして、正式な買い取りとして手筈を整え、差額をお返ししたいのです」
深く頭を下げるバーズさん。
やっぱり適正な価格じゃなかったんだね。お金が返ってくるならいいか。必要だしね。
了承の旨を伝えると、すぐに返却手続きがされる。
返却額は三千五百万G。てことは馬車の売却価格は千五百万Gなんや。支払い額の五千万からあの男性が提示した元気達の金額――合計額四千七百万を差し引いた額が馬車の買い取り額だと思っていたけど。
それでも普通は五千万なんてすぐに揃えられないし、ぼったくりや詐欺や。
そうだ、昨日対応したあの二人はどうしたんやろう? お説教では済まされていないはず。いや、どうでもよか。
「あの、お話とは?」
馬車の話を含めてお願いしたいことがある、ということだったから、他にも用件があるのだろう。
「はい、実は、ビーランの商人ギルドのボナさんから、くれぐれもミズサワ様に失礼のないように、と連絡が来ていまして」
「ボナさんから?」
「はい」
なぜ?
旅の途中で通過した国マーラン。その国境の街ビーランで、巧みな話術で晃太のアイテムボックス内の毛糸や布すべてを買い取り、試飲したワインを大変喜んでくれたボナさんの姿が浮かぶ。
バーズさんの説明によると、ボナさんはつい最近までマーランの商人ギルド全体の代表を務めていたが、高齢になったため故郷のビーランに戻り、たまに商人ギルドで嘱託職員として働いているらしい。ただ、嘱託職員とはいえ、何年も商人ギルドの長を務め上げた人だ。査定や鑑定の技術で叩き上げた人にただの下っ端仕事をさせるわけもなく、買い取り主任を任されているし、その名は隣国アルブレンの商人ギルドにも届いている。
そんな人から、くれぐれも失礼のないように、なんて連絡が来ていたのに、昨日のあれだ。
「ボナさんはなんと?」
「失礼のないように、とだけです。ただ、あのボナさんが失礼のないように、などとわざわざ連絡をする方々です。勝手な推察で恐縮ですが、ミズサワ様は良質な交易品をお持ちではないかと」
私達は顔を見合わせる。
「本当に勝手だと思われるでしょうが、我々ともお取り引きしていただけないでしょうか」
それは渡りに船だけど。
「――やはり、虫のいい話ですよね」
バーズさんは額に浮かんだ汗を拭く。
「ちょっと、待ってください」
こそこそ家族会議。
「どうする?」
こそこそ、こそこそ。
「――あの、買い取りしていただけるなら、こちらもありがたいのですが、一つお願いがあります」
「なんでしょう?」
「腕のいい、信頼できる馬車職人を紹介してください。実はあの馬車を改修したくて」
「馬車職人でございますね。承知いたしました。職人ギルドに確認を取りますので、お待ちください」
バーズさんが一旦退室。
それを見送って、ホッとする。
良かった。馬車を返してくれ、とかじゃなくて。そしてボナさんに感謝。ワイン効果かな?
『あの四角の木の塊をどうにかするのですか?』
「そうよ、広々と使えるようにしようと思ってね」
ビアンカは元気のリードを足で押さえている。
「姉ちゃん、どれ出すと?」
「そうやね。まず蜂蜜とメープルシロップやね。布と刺繍糸は聞いてみて、毛糸もやね。確か、アルブレンの北にワインの産地があるから、そのへんはやめとこうか。どうかね?」
私は父と母に確認。
「任せるよ」
一任されました。
しばらくして、バーズさんが戻ってきた。
「お待たせしました。馬車職人については職人ギルドの職員がご案内します。ところで、買い取り品はどういったものがございますか?」
「蜂蜜とメープルシロップです。私達はここでどういったものが好まれるかわかりませんので、今、出せるのはこれくらいです」
「他にもございましたら、品目を教えていただけると助かります」
「布、刺繍糸、毛糸があります」
「香辛料などはありませんか?」
「香辛料? 胡椒とかです?」
「そうです、お持ちですか?」
バーズさんの目が輝く。
「多少はありますが……」
香辛料は管理が厳しいんじゃないん? どこで手に入れたのか追及されると困る。
「実は香辛料の最大輸出国のディレナスで大変な厄災が起きまして。おそらく今後数年間、香辛料の価格が高騰しますので、少しでも確保しておきたいのです」
華憐達が引き起こしたあれか。薬草だけじゃなくて、香辛料も打撃を受けたんだ。
ならば通わなくてはディレックス。確かあったはず。挽いていない、そのまんまの胡椒を見たことある。
「二、三日待っていただけますか?」
「はい、買い取りさせていただけるのなら」
とりあえず、三日後改めて伺うことに。今出したら、元気達がなにかやらかしそうだしね。バーズさんもわかってくれた。
「では、馬車職人の工房までご案内します」
職人ギルドの男性職員さんが、馬車職人の工房まで案内してくれた。
父と母は花とともに先に帰ってもらう。
「こちらです」
馬車職人の工房は大通りから少し入ったところにあった。
途中、ちらちらとビアンカとルージュが見られたけど、当人達はまったく反応しない。
工房の人に引き合わせてくれる。
無精髭のある工房主は、こちらをちらっと見て、びくり。ビアンカとルージュね。
「ミズサワ様です。馬車の改修依頼です。お願いします」
「わかった。伺おう」
「ありがとうございます」
案内してくれた職員にお礼を言う。
男性職員さんが、会釈して帰っていく。
「ミズサワです、よろしくお願いします」
「儂がこの工房主のカルロだ。では、改修する馬車は?」
「晃太、出して」
「ん」
晃太がアイテムボックスから、馬車を出す。
「おお、すごい容量のアイテムボックスだな」
カルロさんが感嘆の声を上げる。
「まず、ドアの修繕。あと、馬車の中を後ろの荷台と繋げて広くしたいんです。できますか?」
カルロさんは馬車の周りをチェック。中もチェック。
「できる。ただ、このドアは付け替えが必要だ。中は座席を取り外して、後ろの荷台と段差がないようにしたほうがいいか?」
「はい、お願いします」
「床板は厚いほうがいいか? このちびどもを乗せるんだろ?」
カルロさんが、他の馬車職人さんにじゃれついている元気を見て聞く。
「そうですね」
「少し値が張るが、トレントの床板はどうだ? ツメ研ぎをしても、そうそう剥がれることはない」
あ、そうか、猫系ならツメ研ぎをするか。猫を飼った経験はないけど、コハクとヒスイがそのうちするかも。
「どうする?」
晃太に尋ねる。
「任せるばい」
「なら、お願いします」
「わかった。じゃあ予算の話だな。まず、ドア一枚、内側にトレント木材使用、二十万。座席取り外し、床と壁はトレントを使用で二百九十万。まあ、ギルドの紹介だ、きっかり三百万G」
適正価格かわからないけど、商人ギルドを信用しよう。
あの熊、いい金額で売れて良かった。
「はい、お願いします」
「じゃあ、手続きするか。おーい、契約書を作ってくれ」
カルロさんが大きめの声を上げると、奥から中年の女性が出てきた。カルロさんが指示し、書類作成。
「これが預り証の木札。もし、作業途中で大幅に改修費が上がりそうな場合は、まず使いを出してどうするか確認を取る。商人ギルド経由でいいか?」
「はい、大丈夫です」
「そして料金だが、一括前払いか、半額を前払いか、出来上がり時に一括支払いだ。もし差額が出れば、引き渡しの際に精算する。どうする?」
「半額前払いで」
「わかった。もし追加したい作業がある場合や、改修自体をやめたい場合はすぐに連絡をくれ。あと、改修期間は一週間を予定する。まあ、二、三日は余裕をみてくれ。出来上がったら使いを出す」
「はい」
「じゃあ、契約のサインと魔力。まず、儂が、よし。ここにサインと魔力を」
「はい」
内容を確認する。大丈夫のようだ。サインして魔力を流す。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ。で、あのウルフ、触ってもいいか?」
カルロさんがウズウズしながら聞いてくる。
頷く前に元気がカルロさんに飛びかかった。
「わんわんっ」
「おうおう、かわいいなあ、お前がちょっと引っ掻いても大丈夫なやつにしてやるからなあ」
無精髭のカルロさんがでれでれしてる。書類作成をした女性もだ。コハクも来たので、カルロさんは両手でもふもふする。
もふもふは世界共通で愛されるのだ。
半額前払いし、ログハウスに向かう。
途中にある小さな露店で、私は立ち止まった。
気になったのは、小さな木彫りのお地蔵さん。その両サイドに更に小さなお地蔵さんが寄り添っている。優しい顔のお地蔵さんだ。
なんだか、旅の途中で会った老人と男児と女児を彷彿とさせ、私は咄嗟に手に取った。
「これは?」
露店の店主はビアンカとルージュに引っくり返りそうになりながらも、教えてくれる。
「始祖神と、時空神と雨の女神の神像ですよ。私が作りました。自宅で毎日祈りを捧げる方がお求めになります」
店主は神像と言うが、フォルム的には丸くて優しい顔のお地蔵さんにしか見えない。始祖神様は私達が身につけている木製ブレスレットにいろいろしてくださって、新たなスキルも得ることができた。ブレスレットをしているせいか、勝手だけど身近に感じてしまう。
始祖神様の左右に寄り添う時空神様と雨の女神様は、この世界創生時からいる最古の神様で、最もメジャーな神様だとディードリアンさんから教えてもらったっけ。
「始祖神様、ですか。これください」
よし、即決。
「二千Gになります」
「はい」
銀貨を二枚渡す。
「姉ちゃんどうするん?」
「そのうち神棚作るやろ? そん時に飾ろうと思ってね」
「そうなあ」
アイテムボックスに入れて、ログハウスに戻る。
「ただいま」
花が尻尾を振りながらお出迎えしてくれる。
「クンクンッ」
私と晃太は存分に花を撫で回す。かわいかあ。
「花ちゃん、毛が伸びたなあ」
「そうやねえ。『異世界への扉』でカットできるか試してみるかね」
この何気ない一言が、あとで大問題を引き起こす。
ルージュに魔法のカーテンを発動してもらい、ルームを開ける。
「お腹減ったね、なににする?」
熊がいい金額で売れたので、お昼は『異世界のメニュー』で注文することになった。
私は壁の液晶画面を取る。
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