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披露宴は出したくない③
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それから周りの行動は早かった。
俺は控え室から追い出された。
そんなあっ。
ドアを蹴破れないわけではないが、そんなことしたらエミリアが恐がるしなあ。
「ご主人様、さ、貴方もお着替えなさいませ」
モーリスに背中を押されて、しぶしぶ移動。黒の正装だ。うちポケットには若草色のチーフ。エミリアの目の色だ。
「ご主人様」
襟をただしてくれていたモーリスが感慨深く呟く。
「なんだ?」
「このモーリス、嬉しく思ってています」
「? 無事結婚式が終わったからか?」
「違いますよっ。まさか、ご主人様が、あんなにエミリア嬢を気に入ってくれるとは思っていなくて」
「……………………」
前回は教会で初顔合わせ、言葉を送り、それっきりで、別行動だった。そういえば、モーリスとセバス、マギーが全てが終わって聞いてきたな、エミリアを、どう対応するか、と。
適当に、任せる。
だけだった。
はい、あの時の自分を殴りたい。
「本当に、どんな茸を食べたんですか?」
「茸から離れろ」
「超猛毒のヒ素茸を食べてもけろっとしてくせに。あれ一つで何十人死ぬと思って」
「昔の事だ」
「昔も今も変わりませんよ。茸でなければ、その心境の変化をお聞きしたいのですが、野暮ですからね。ご主人様、せっかく来てくれた花嫁様です。どうか、大事になさってください」
「分かっている」
それからもお小言が続くが全て耳がいたい内容なので、黙って聞く。
披露宴会場には招待客の全てが入ったと。会場は辺境伯の庭だ。立食タイプのパーティーだ。両親と屋敷の使用人達が、我がフォン辺境伯家に恥じないような会場設定をしてくれている。招待客全ても全て両親任せだ。ミュンヘナー王国内でも重要な位置に立つフォン辺境伯の自分の婚姻式なのだ、招待客もそうそうたるメンバーだ。セバスを筆頭に粗相がないようにと、使用人達は全員出勤して、走り回っている。
前回はめんどくさくて、話しかけてくる連中を適当に挨拶をしただけ。話を繋げる事はしなかった。後で、母に叱られた。中には今後のフォン辺境伯の力になるだろう者もいれば、幼くして嫁いできたエミリアの味方になる令嬢もいたはずだ、と。それにわざわざ数日間時間と金を使って参列してくれた人達に無礼だと。
はい、正論です。
コンコン
モーリスが対応する。
「ご主人様、マギーさんです」
「入れ」
「ご主人様、エミリア様の支度が整いました」
「わかった、迎えにいく」
モーリスとマギーを引き連れて、控え室に向かう。
「バルド伯爵は、エミリアの元に来たか?」
来るわけない、バージンロードを一人で歩かせ、古着にもならないドレスを着せた連中。しかも、自分達は場違いの様に飾り立てていた。
「いいえ」
マギーは事務的に言葉を発する。激おこの時の声だ。 珍しいな、マギーのこの声は。
「モーリス、バルド伯爵連中に『影』を付けろ。エミリアのこれまでの境遇を詳しく」
「はっ」
理由も聞かず、モーリスが動いてくれる。
控え室に着いて、マギーが扉を開けると、そこには可憐な妖精がいた。
俺は控え室から追い出された。
そんなあっ。
ドアを蹴破れないわけではないが、そんなことしたらエミリアが恐がるしなあ。
「ご主人様、さ、貴方もお着替えなさいませ」
モーリスに背中を押されて、しぶしぶ移動。黒の正装だ。うちポケットには若草色のチーフ。エミリアの目の色だ。
「ご主人様」
襟をただしてくれていたモーリスが感慨深く呟く。
「なんだ?」
「このモーリス、嬉しく思ってています」
「? 無事結婚式が終わったからか?」
「違いますよっ。まさか、ご主人様が、あんなにエミリア嬢を気に入ってくれるとは思っていなくて」
「……………………」
前回は教会で初顔合わせ、言葉を送り、それっきりで、別行動だった。そういえば、モーリスとセバス、マギーが全てが終わって聞いてきたな、エミリアを、どう対応するか、と。
適当に、任せる。
だけだった。
はい、あの時の自分を殴りたい。
「本当に、どんな茸を食べたんですか?」
「茸から離れろ」
「超猛毒のヒ素茸を食べてもけろっとしてくせに。あれ一つで何十人死ぬと思って」
「昔の事だ」
「昔も今も変わりませんよ。茸でなければ、その心境の変化をお聞きしたいのですが、野暮ですからね。ご主人様、せっかく来てくれた花嫁様です。どうか、大事になさってください」
「分かっている」
それからもお小言が続くが全て耳がいたい内容なので、黙って聞く。
披露宴会場には招待客の全てが入ったと。会場は辺境伯の庭だ。立食タイプのパーティーだ。両親と屋敷の使用人達が、我がフォン辺境伯家に恥じないような会場設定をしてくれている。招待客全ても全て両親任せだ。ミュンヘナー王国内でも重要な位置に立つフォン辺境伯の自分の婚姻式なのだ、招待客もそうそうたるメンバーだ。セバスを筆頭に粗相がないようにと、使用人達は全員出勤して、走り回っている。
前回はめんどくさくて、話しかけてくる連中を適当に挨拶をしただけ。話を繋げる事はしなかった。後で、母に叱られた。中には今後のフォン辺境伯の力になるだろう者もいれば、幼くして嫁いできたエミリアの味方になる令嬢もいたはずだ、と。それにわざわざ数日間時間と金を使って参列してくれた人達に無礼だと。
はい、正論です。
コンコン
モーリスが対応する。
「ご主人様、マギーさんです」
「入れ」
「ご主人様、エミリア様の支度が整いました」
「わかった、迎えにいく」
モーリスとマギーを引き連れて、控え室に向かう。
「バルド伯爵は、エミリアの元に来たか?」
来るわけない、バージンロードを一人で歩かせ、古着にもならないドレスを着せた連中。しかも、自分達は場違いの様に飾り立てていた。
「いいえ」
マギーは事務的に言葉を発する。激おこの時の声だ。 珍しいな、マギーのこの声は。
「モーリス、バルド伯爵連中に『影』を付けろ。エミリアのこれまでの境遇を詳しく」
「はっ」
理由も聞かず、モーリスが動いてくれる。
控え室に着いて、マギーが扉を開けると、そこには可憐な妖精がいた。
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