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披露宴は出したくない⑥
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「ふふっ、可愛らしいわ。私、女の子が欲しくなってしまうわ」
と、イドゥン妃殿下がコロコロ笑う。自分にしたら又従姉妹に当たる。彼女の最後は分からないが、録な最後ではないはず。
直接、エミリアの死因に関連していないが、カシアンの手綱をしっかり握ってさえいれば、あんな悲惨な結末にはならかったはず。
そうだ、エミリアを喪った騒動では、犠牲者はエミリアだけではなかったのだ。
駄目だ、思い出そうとすると頭痛がする。
「バルド様?」
心配そうなエミリアの声が、頭痛を吹き飛ばす。今は披露宴に集中だ。
「ビスマルク王太子殿下、イドゥン妃殿下、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます」
定型文で答える。
「しかし、銀の鬼神が妖精を抱えているとは、にわかに信じられんな」
「ええ、目の届かぬ所におくつもりはありません。醜悪な連中が蔓延っておりますからね」
「おや、溺愛だな。だが、本当に前辺境伯夫妻も安心されているだろう」
それから貴族の義務的な話が続く。
「かわいい辺境伯の妖精のお嫁さん。いつか私のお茶会にいらしてね」
と、イドゥン妃殿下が気を利かせて、エミリアに声をかけてくれる。まだ、エミリアが幼いから、ある程度になったら王城の妃殿下主催のお茶会に、いずれ招待すると言う事だろう。前回はなかった。エミリアは遠巻きに見られて、嘲笑われていたからだ。
エミリアを抱えたままで礼をすると、笑顔のまま二人は離れていく。
それからも挨拶を進む。
先ほどの王太子殿下夫妻との会話で、友好的だとわかったのか、ほとんどが祝福の言葉と、エミリアを妖精と讃えた。エミリアが恥ずかしそうにはみかむので、見逃さないように、ガン見してしまう。すると、更にエミリアは恥ずかしから、そんなに、見ないでくださいと囁く。
やっぱり、どっかに隠そうっ。
「いやあ、フォン辺境伯様、うちのエミリアをお気に召していただいて良かった良かった」
と、場違いに明るい声が耳を着いた。
エミリアの表情が凍り付く。
ゆっくり、振りかえると、ベルド伯爵の三人がいた。
と、イドゥン妃殿下がコロコロ笑う。自分にしたら又従姉妹に当たる。彼女の最後は分からないが、録な最後ではないはず。
直接、エミリアの死因に関連していないが、カシアンの手綱をしっかり握ってさえいれば、あんな悲惨な結末にはならかったはず。
そうだ、エミリアを喪った騒動では、犠牲者はエミリアだけではなかったのだ。
駄目だ、思い出そうとすると頭痛がする。
「バルド様?」
心配そうなエミリアの声が、頭痛を吹き飛ばす。今は披露宴に集中だ。
「ビスマルク王太子殿下、イドゥン妃殿下、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます」
定型文で答える。
「しかし、銀の鬼神が妖精を抱えているとは、にわかに信じられんな」
「ええ、目の届かぬ所におくつもりはありません。醜悪な連中が蔓延っておりますからね」
「おや、溺愛だな。だが、本当に前辺境伯夫妻も安心されているだろう」
それから貴族の義務的な話が続く。
「かわいい辺境伯の妖精のお嫁さん。いつか私のお茶会にいらしてね」
と、イドゥン妃殿下が気を利かせて、エミリアに声をかけてくれる。まだ、エミリアが幼いから、ある程度になったら王城の妃殿下主催のお茶会に、いずれ招待すると言う事だろう。前回はなかった。エミリアは遠巻きに見られて、嘲笑われていたからだ。
エミリアを抱えたままで礼をすると、笑顔のまま二人は離れていく。
それからも挨拶を進む。
先ほどの王太子殿下夫妻との会話で、友好的だとわかったのか、ほとんどが祝福の言葉と、エミリアを妖精と讃えた。エミリアが恥ずかしそうにはみかむので、見逃さないように、ガン見してしまう。すると、更にエミリアは恥ずかしから、そんなに、見ないでくださいと囁く。
やっぱり、どっかに隠そうっ。
「いやあ、フォン辺境伯様、うちのエミリアをお気に召していただいて良かった良かった」
と、場違いに明るい声が耳を着いた。
エミリアの表情が凍り付く。
ゆっくり、振りかえると、ベルド伯爵の三人がいた。
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