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自分は⑧
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『魅了』
発生起源は諸説あるが、かなり血なまぐさい話で、ウィンティアの中の知識もその程度。いずれ調べればいいので、一旦保留。
魅了された者は、その間術者の言いなりとなる。その術者のレベルにもよるし、中には簡単に魅了状態から抜け出す者もいる。ピンからキリまである。
ローザ伯爵家一堂の場合、かなり深く魅了されていた。誰が魅了していたか。
ローザ伯爵家長女、キャサリン。
発覚と同時にキャサリンも拘束され、すぐさま高位神官による『魅了封じ』が行われた。
『魅了封じ』の作業中、泣き叫んで嫌がるキャサリンの姿を、魅了状態にあった両親や使用人達に見せつけた。拘束されながらも、キャサリンを助けようとした両親達は、『魅了封じ』が終わった途端、強烈な目眩に襲われた。そして、ウィンティアに対して行って来たさまざまな仕打ちが、頭痛となり脳裏に甦る。
「魅了からの解放は、苦痛を伴う」
キャサリンに『魅了封じ』を施した高位神官は、苦痛に喘ぐローザ伯爵家一堂に、事務的に告げる。
「どれだけ魅了されていたかで、それが変わるが、己が何をしたのか反省しなさい」
それだけ言って、去っていった。
『魅了』は生まれつきの能力だが、特にルルディ王国では貴族の子女に多い傾向にある。ほとんどが自然消滅する能力で、元『魅了』持ちは少なからずいる。発動しても誰かが気付いて、通報で発覚がだいたいのパターンだが。中には魅了されたと言って、相手が貴族子女だからと無闇に絡み、金を要求することが後を立たず『魅了封じ』の処置を望んで受けている。体裁を大事にする貴族にしてみたら、『魅了封じ』は免罪符となっていた。
そしてこの『魅了』は発生時期は12歳前後。キャサリンの場合は、後の調査でウィンティアが生まれた頃ではないかと推察された。
次女として生まれたウィンティアに、周りの大人の興味が集中したのが、許せなかったようだ。初めは第二子が生まれた事による、上の子の赤ちゃん帰りかと、思われ、そのような対応した。だからと言ってほったらかしにはしなかった。そこまではローザ伯爵家一堂は、まだ『魅了』されていなかった。
ただ、それが許せなかったキャサリンは、我が儘をエスカレート。ものにあたり、喚く、お茶をわざとこぼし、お菓子を投げつける。ある日、癇癪を起こしたキャサリンは、フォークでメイドを刺そうとした。子供用のフォーク、当時三歳の幼児のキャサリンの力はたかがしれている。ベテランメイドはさっ、とフォークを取り上げた。だが、当然当主に報告。今まで見守っていた父親が、とうとう声を上げて叱った。
「いい加減にしなさいっ。ウィンティアはまだ赤ちゃんなんだぞっ。お前だって、こうやって周りの世話で大きくなったんだっ。今はウィンティアの番なんだ」
キャサリンは金切り声を上げた。
今まで、自分中心だったのに、後から生まれたウィンティアに取られた。
ウィンティアさえいなければ、ウィンティアさえいなければ、ウィンティアさえいなければ、ウィンティアさえいなければ、ウィンティアさえいなければ。
キャサリンが『魅了』を発動させたきっかけだった。
三歳での『魅了』発動は、極めて異例で、その強さは類を見ない程異常だった。
瞬く間に、ローザ伯爵家一堂は『魅了』され、キャサリンの望む生活となる。
生まれたばかりのウィンティアを放置して。それがキャサリンの望む事であれば、道端にでも捨てようとまで話が上がった。実の両親がそんな考えをなんの抵抗もなく思い付かせる程に、キャサリンの『魅了』は強かった。
ウィンティアはそのままだったら、衰弱死を迎えるだけだったが、幸運な事に元々予定があり訪れた祖母により保護された。
何故か祖母、ティーナ・ローザ元伯爵夫人には、キャサリンの『魅了』が一切効果がなかった。
発生起源は諸説あるが、かなり血なまぐさい話で、ウィンティアの中の知識もその程度。いずれ調べればいいので、一旦保留。
魅了された者は、その間術者の言いなりとなる。その術者のレベルにもよるし、中には簡単に魅了状態から抜け出す者もいる。ピンからキリまである。
ローザ伯爵家一堂の場合、かなり深く魅了されていた。誰が魅了していたか。
ローザ伯爵家長女、キャサリン。
発覚と同時にキャサリンも拘束され、すぐさま高位神官による『魅了封じ』が行われた。
『魅了封じ』の作業中、泣き叫んで嫌がるキャサリンの姿を、魅了状態にあった両親や使用人達に見せつけた。拘束されながらも、キャサリンを助けようとした両親達は、『魅了封じ』が終わった途端、強烈な目眩に襲われた。そして、ウィンティアに対して行って来たさまざまな仕打ちが、頭痛となり脳裏に甦る。
「魅了からの解放は、苦痛を伴う」
キャサリンに『魅了封じ』を施した高位神官は、苦痛に喘ぐローザ伯爵家一堂に、事務的に告げる。
「どれだけ魅了されていたかで、それが変わるが、己が何をしたのか反省しなさい」
それだけ言って、去っていった。
『魅了』は生まれつきの能力だが、特にルルディ王国では貴族の子女に多い傾向にある。ほとんどが自然消滅する能力で、元『魅了』持ちは少なからずいる。発動しても誰かが気付いて、通報で発覚がだいたいのパターンだが。中には魅了されたと言って、相手が貴族子女だからと無闇に絡み、金を要求することが後を立たず『魅了封じ』の処置を望んで受けている。体裁を大事にする貴族にしてみたら、『魅了封じ』は免罪符となっていた。
そしてこの『魅了』は発生時期は12歳前後。キャサリンの場合は、後の調査でウィンティアが生まれた頃ではないかと推察された。
次女として生まれたウィンティアに、周りの大人の興味が集中したのが、許せなかったようだ。初めは第二子が生まれた事による、上の子の赤ちゃん帰りかと、思われ、そのような対応した。だからと言ってほったらかしにはしなかった。そこまではローザ伯爵家一堂は、まだ『魅了』されていなかった。
ただ、それが許せなかったキャサリンは、我が儘をエスカレート。ものにあたり、喚く、お茶をわざとこぼし、お菓子を投げつける。ある日、癇癪を起こしたキャサリンは、フォークでメイドを刺そうとした。子供用のフォーク、当時三歳の幼児のキャサリンの力はたかがしれている。ベテランメイドはさっ、とフォークを取り上げた。だが、当然当主に報告。今まで見守っていた父親が、とうとう声を上げて叱った。
「いい加減にしなさいっ。ウィンティアはまだ赤ちゃんなんだぞっ。お前だって、こうやって周りの世話で大きくなったんだっ。今はウィンティアの番なんだ」
キャサリンは金切り声を上げた。
今まで、自分中心だったのに、後から生まれたウィンティアに取られた。
ウィンティアさえいなければ、ウィンティアさえいなければ、ウィンティアさえいなければ、ウィンティアさえいなければ、ウィンティアさえいなければ。
キャサリンが『魅了』を発動させたきっかけだった。
三歳での『魅了』発動は、極めて異例で、その強さは類を見ない程異常だった。
瞬く間に、ローザ伯爵家一堂は『魅了』され、キャサリンの望む生活となる。
生まれたばかりのウィンティアを放置して。それがキャサリンの望む事であれば、道端にでも捨てようとまで話が上がった。実の両親がそんな考えをなんの抵抗もなく思い付かせる程に、キャサリンの『魅了』は強かった。
ウィンティアはそのままだったら、衰弱死を迎えるだけだったが、幸運な事に元々予定があり訪れた祖母により保護された。
何故か祖母、ティーナ・ローザ元伯爵夫人には、キャサリンの『魅了』が一切効果がなかった。
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