ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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テヘロン大使館②

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「大丈夫かいっ」

 駆け付けて来たのは、初老の男性だった。
 私は支えられてなんとか座る。
 男性は学園に連絡するかって動いてくれたが、私は拒否した。だってさっきまで地下に入れられていたんだよ。また、あそこに入れられるって言う恐怖が根底に潜んでいて、拒否した。初老の男性は、馬車に備え付けの傘を差してくれた。男性は断ってからポシェットを探り、学生証を発見。ローザ伯爵家の娘だと分かったから、そちらに連れてってくれるって言ったけど。

「殺される」

 掠れるように呟いた。
 ウィンティアを散々苦しめたローザ伯爵家に戻るなんて、絶対に嫌だった。確かにあの赤い本とは流れは変わって来ているが、私はどうしてもあの生物学上の両親を信じきれていない。
 あれだけ、嫌がっているのに、レオナルド・キーファーとの婚約は保留とは言え継続している。しかも、キャサリンに散々妨害までされているのに。いくら相手がルルディ王国最大の公爵って言っても限度ってもんがある。向こうは私にある何かしらの権利だけがほしいだけの婚約だ。ウーヴァ公爵にしたら、私なんてその権利のおまけ、必要なくなれば、捨てられる。
 貴族にしてみたら、そうなんだろうけどね。
 貴族令嬢として致命的な顔のキズ。十二橋でやっと貴族としてユミル学園に入ったウィンティアは、向こうにしてみたら、搾取の対象であり、その程度の価値なんだから。ローザ伯爵家としても、地雷である私を使って、ウーヴァ公爵家にうまいこと繋がりたいだけのはずだしね。
 こんな状況になったら、さらにウィンティアの貴族令嬢としての価値がなくなる。そうなれば、あのローザ伯爵はどうするのか?
 私の中のウィンティアが警戒心を出した。
 絶対ろくなことにならない。
 男性は私の呟きに絶句した。絶句したが、ポシェットの中に、一枚の名刺を見つける。

「じゃあ、ここに行くかい? それともおじさんの知り合いの治療院に」

 私は熱のある頭で考えて答えを出す。
 名刺に記された場所に、と。
 そこには数日前に尋ねた新聞社の住所が書かれていた。ナタリアの父親の件で尋ねた記者、デルダさんの名前の名刺だった。
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