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ウーヴァ公爵の事情③
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怯えている?
確かにレオナルド・キーファーの件では、首吊り自殺の言葉がちらつくけど。顔には出してないはず。
「私がですか?」
「そうよ、貴女は怯えているわ。レオナルドとの婚約の話になると。特にあの時、婚約が保留になった時は如実に出てたわ。それに嘘まで付いていたわね」
嘘。あれだ、死にたくないを、家族を作るのが怖いって、言った気がする。咄嗟についた嘘。
「私にバレてないと思って? それに貴女、先ほどレオナルドが公爵の血筋と聞いて驚かなかったわね。まるで最初から知っていたみたい。どこで知ったの?」
「え? えっと」
レオナルド・キーファーのことは皆知ってるんじゃないの? なんで知らないの? ほら、ウーヴァ公爵が後見しているならそうだと思わないの?
しどろもどろに言うと、セシリア・ウーヴァ女公爵は目を細める。
「レオナルドが私の甥だと言うのを知っているのは極一部よ。ウーヴァ公爵家別荘を管理していた使用人の遺児として世間には通していたのよ。何故、そちらを知らないの?」
嘘っ。なんでそんなめんどくさい設定にっ。そもそも実の兄の子供なのに、隠すみたいなことを。
「お母様、言い方」
そっとアンジェリカ様が嗜めるように言う。
「はあ」
ため息を付くセシリア・ウーヴァ女公爵。
「レオナルドの血筋を隠しているのはこちらの事情。だけど、貴女が怯え、嘘をつき、『遺言書』まで準備して、私達ウーヴァ公爵に楯突くには理由があるはず。レオナルドが生理的にダメではないのなら、相応の理由は何? 何故、貴女を捨てる前提で話を話をしているの?」
ぐ、理由なんて話せる訳がないじゃん。ばか正直に、半世紀も先に発行される赤い本の話なんてして、この人信じるわけ? こちらの事情を聞いて、はい、それだけでおしまいにならない? ナタリアが裁判に必要な後見にこの人が付いてくれたらなんて思っていたけど、事情を話し、全て差し出しても、私が頭下げても、付くわけない。
「話したくありません。貴女を、ウーヴァ公爵を信じられませんから」
アンジェリカ様には申し訳ないけど。
目を細めるセシリア・ウーヴァ女公爵。
「我ウーヴァ公爵にこれ程楯突くのも珍しいわね」
「違います、軽蔑しているんです」
私は資料をハインリヒ様の手から、そっと抜き取る。
「何が王家の盾ですか。賢王フリージア女王陛下の名に泥を塗った連中をのさばらせておくなんて、支配階級にいるのなら、相応の態度や行動で示すべきではないのですか? 貴女は、旨味がないと、そう確かにおっしゃいましたよね」
私は息を吸う。何故か、セシリア・ウーヴァ女公爵の目が爛々としてる気がする。
「何か勘違いしてないかしら? 我々がこのおバカな連中を見逃すと思っているの?」
「旨味はないのでしょう?」
「あーっ、お母様っ、いい加減、回りくどい言い方はやめてくださいっ」
アンジェリカ様が再び私をホールド。メ、メロンパンがあたるっ。じたばた、じたばた、じたばた。
「私が説明しますっ、お母様は黙っててっ」
メロンパンがっ、く、苦しいっ。
「アンジェリカ、落ち着きなさい。ウィンティア嬢が窒息しそうだよ」
じたばた、じたばた。
確かにレオナルド・キーファーの件では、首吊り自殺の言葉がちらつくけど。顔には出してないはず。
「私がですか?」
「そうよ、貴女は怯えているわ。レオナルドとの婚約の話になると。特にあの時、婚約が保留になった時は如実に出てたわ。それに嘘まで付いていたわね」
嘘。あれだ、死にたくないを、家族を作るのが怖いって、言った気がする。咄嗟についた嘘。
「私にバレてないと思って? それに貴女、先ほどレオナルドが公爵の血筋と聞いて驚かなかったわね。まるで最初から知っていたみたい。どこで知ったの?」
「え? えっと」
レオナルド・キーファーのことは皆知ってるんじゃないの? なんで知らないの? ほら、ウーヴァ公爵が後見しているならそうだと思わないの?
しどろもどろに言うと、セシリア・ウーヴァ女公爵は目を細める。
「レオナルドが私の甥だと言うのを知っているのは極一部よ。ウーヴァ公爵家別荘を管理していた使用人の遺児として世間には通していたのよ。何故、そちらを知らないの?」
嘘っ。なんでそんなめんどくさい設定にっ。そもそも実の兄の子供なのに、隠すみたいなことを。
「お母様、言い方」
そっとアンジェリカ様が嗜めるように言う。
「はあ」
ため息を付くセシリア・ウーヴァ女公爵。
「レオナルドの血筋を隠しているのはこちらの事情。だけど、貴女が怯え、嘘をつき、『遺言書』まで準備して、私達ウーヴァ公爵に楯突くには理由があるはず。レオナルドが生理的にダメではないのなら、相応の理由は何? 何故、貴女を捨てる前提で話を話をしているの?」
ぐ、理由なんて話せる訳がないじゃん。ばか正直に、半世紀も先に発行される赤い本の話なんてして、この人信じるわけ? こちらの事情を聞いて、はい、それだけでおしまいにならない? ナタリアが裁判に必要な後見にこの人が付いてくれたらなんて思っていたけど、事情を話し、全て差し出しても、私が頭下げても、付くわけない。
「話したくありません。貴女を、ウーヴァ公爵を信じられませんから」
アンジェリカ様には申し訳ないけど。
目を細めるセシリア・ウーヴァ女公爵。
「我ウーヴァ公爵にこれ程楯突くのも珍しいわね」
「違います、軽蔑しているんです」
私は資料をハインリヒ様の手から、そっと抜き取る。
「何が王家の盾ですか。賢王フリージア女王陛下の名に泥を塗った連中をのさばらせておくなんて、支配階級にいるのなら、相応の態度や行動で示すべきではないのですか? 貴女は、旨味がないと、そう確かにおっしゃいましたよね」
私は息を吸う。何故か、セシリア・ウーヴァ女公爵の目が爛々としてる気がする。
「何か勘違いしてないかしら? 我々がこのおバカな連中を見逃すと思っているの?」
「旨味はないのでしょう?」
「あーっ、お母様っ、いい加減、回りくどい言い方はやめてくださいっ」
アンジェリカ様が再び私をホールド。メ、メロンパンがあたるっ。じたばた、じたばた、じたばた。
「私が説明しますっ、お母様は黙っててっ」
メロンパンがっ、く、苦しいっ。
「アンジェリカ、落ち着きなさい。ウィンティア嬢が窒息しそうだよ」
じたばた、じたばた。
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