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事例八の末路⑥

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「ローザさんっ、よかった~」

 と、アンネが半泣きで私の元に駆け寄ってきた。いつも心配してくれる、ありがたい。

「アンネさん、いつも心配かけてごめんなさい」

「いいのよっ、所でケガは? 痛くない?」

「痣は残っているけどこの内消えるわ、大丈夫よ」

 さ、お茶会会場にご案内。アンネの叔父様、ロート子爵ともご挨拶、マークもだ。マークは多分学園で貸してくれるレンタルスーツみたい。次にロッティさんがお母様とやって来た。ロッティさんの家は伯爵で、お父様がお城の分官。スクールは一般人だけど、両親は元貴族、継げる爵位がなかっただけ。父親は医者、母親はバイオリン奏者で本日付き添いで来てくれている。最後にリーナ嬢が母親と共に来てくれた。
 私についているのはアンジェリカ様だから、びっくりされてしまったけどね。
 大人と子供の席に別れる。もう、騒ぎを起こすようなとしではないからね。
 お茶会はお昼がついて、約二時間だ。
 わいわい、と話が続く。
 やっぱり、リーナ嬢が綺麗に召し上がっている。
 どうやらマークもテーブルマナーに自信がないようで、仲間が出来た気分だ。
 ゆっくり時間がある食事なんて初めてだから、お互いの近況報告する。
 リーナ嬢の耳を飾る薔薇のイヤリングに始まり、スクールが弦楽器クラブの発表会の練習など。
 わいわい、楽しい。

「ねえ、ローザさん、あの素敵な男性は?」

 ぶっ。
 アンネが純粋に聞くので噴き出す。

「アンネさん、そう言ったのは聞かないの」

 リーナ嬢が助け船を出してくれる。
 助かった。ロッティさんまで、「えー、聞きたーい」と顔に出てるし。

「ローザ嬢から話したいように仕向けのよっ」

 ぶーっ。

「いや、あの、私の年齢的にっ」

「あれで隠せるわけないだろう」

 スクールがポテトサラダを一口、うまっ、と声が出たけど、次には落ち着いている。

「父親でも兄でもないのに、堂々と抱えて学園内突っ切ったんだぞ。ばればれだぞ」

 でしたねーっ。

「まあ、年齢もあるから、あからさまに言う生徒はいないが」

 パクパク、ポテトサラダ、パクパク。

「マーク、それ食べないらくれ」

「嫌だよ」

 ハムにもこだわったポテトサラダ好評だ。
 私は、アンネとリーナ嬢、ロッティのきらきらした目で見られて、あー、うー、と呟く。
 結局、レオナルド・キーファーの出生は伏せて、仮の婚約者であること白状する。
 
「えー、仮なの?」

「そんな風に見えなかったわ」

「何か隠してない?」

 女子三人はキャッキャと笑う。

「これ、美味しい。マーク、食べないならくれ」 

「嫌だって」

 男子二人は食い気だ。
 保護者は暖かい眼差しで、お茶会はぐだぐだで終わった。
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