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キャサリンの裁判②

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「ま、キャサリンに着いた弁護士は、キャサリンの妄言を信じていると言うか、彼女の狂信者のような者ね。彼のような男は少なくないわ。パトロン的な貴族もいるわ。こちらが把握しているけど」

「パ、パトロン」

「鼻の下伸ばしたバカよ。あの見た目だけがキャサリンの強みだからね。ただね、あのキャサリンは男に希望を持たせて、焦らせるのが上手いわ。まだ純潔なのが不思議なくらいに、あちこちの男達を手玉にしているわ」

 へー。
 白けた目になる。
 そう言えば、キャサリンの仮の婚約者はどうなったのかな? 父方の又従兄弟。

「とっくに解消されてるわよ。キャサリンは嫌だから、貴女に鞍替えしようとしたらしいけど。はっきりローザ伯爵がお断りしているわ」

 なんじゃそりゃ。

「裁判は直ぐに始まるわ。ウィンティア嬢にも出廷を要求されるかもしれないけど、心配しないで、ウーヴァ公爵家の使用人が付き添いますからね」

 なら、心配ないかな。

「ローザ伯爵が負けはしないわ。ただ、心配なのは貴女よ。しばらくは屋敷に大人しくしていなさい」

「はい」

 裁判が始まり、私にキャサリン側の弁護士から出廷要請が来たが、裁判所が許可しなかった。キャサリンが訴えているのは、ローザ伯爵家であり、次女であり、ほとんどローザ伯爵家にいない私は関係ないからね。
 なので、課題以外やることない。
 小豆に似た豆が手に入ったので、加工に専念している。薬膳に使われていて、ウーヴァ公爵領、エヴァエニエス領、グラーフ領でも栽培されて、健康食や病人食としてお粥に使われている。
 どら焼きにしたいなあ。ゼリーはあるから、加工次第で羊羹なんて出来るかも。
 
「あのー」

「はいっ、ウィンティアお嬢様っ」

「なんでしょう、ウィンティアお嬢様っ」

 振り返るとウーヴァ公爵家のシェフと、ホテルのシェフがガン見している。

「あんまり、見られると緊張しまして」

「「すみません」」

 と、ちょっぴり離れる。ちょっぴりね。
 もう。
 その後、何だかんだとアンコもどきできて、なんちゃってどら焼き出来上がり。あら、うまく出来たね。
 レオナルド・キーファーも喜んでくれたし。
 そして、何やらセシリア女公爵が書類を出してきた。

「どら焼きのお店を出しますから、アドバイザーとして、ウィンティア嬢に売り上げの一部が来ます」

「え? 別に大したものではないですから、お使いください」

「そうは行かないわ。そう言って、カレーパンの権利も向こうなんでしょう」

「まあ、そうですけど」

 そうカレーパンのお店は相変わらず大行列だ。だけど、私は金銭を受け取ってない。テヘロンにはお世話になってますからね。特にキリール・ザーデクの件では。
 代わりなのか、たまにテヘロンから香辛料が届く。なかなか手に入らないから、嬉しい。

「これはケジメよ、さ、書きなさい。貴女には負債が行くようなものではないわ。好きにお使いなさい」

 私は少し考えて受けた。
 このお金は、コクーン修道院で保護されている子供達の絵本を送るための資金にした。
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