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第五章
新たなドラゴン
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ある日の学園。
皆が授業を受けていると何か巨大なものが空から降りてきた。
「「「わぁぁあドラゴンだぁぁ!」」」
青いドラゴンだ。
ドラゴンは校庭に着陸すると、
『アイズ!いるんでしょう!下りてきなさいよ!』
と叫んだ。
アイズ?
・・やがて。
アイズが面倒くさそうに校庭に出てきた。
「こんなとこまで追ってこないでよね。エリス。」
エリスと呼ばれたドラゴンは光を発すると、美しい青髪の少女の姿になった。
「あんたが私から逃げて人間界なんかに行っちゃうからでしょう?さぁ勝負よ!」
エリスは体からバチバチと放電している。
やる気満々なようだ。
「いくわよ!雷の息吹!」
「氷の息吹!」
雷と氷の息吹が中央で交差する。
威力は同等の様だ。ちょうど中央付近で息吹がぶつかりあっている。
「やるわね・・さすが私のライバルね!」
「僕もうやりたくないんだけど。」
「そんなこと言ってられないようにしてあげるわ。まだまだ威力は上げられるのよ!複息吹」
今度は複数の雷閃がアイズを襲う。
「ふーん。君も修業してきたんだね。氷槍!」
アイズが氷の槍を複数出して迎え撃つ。
「ふふふ!やるわね!でも・・まだまだこれからよ!」
・・そして
「はーい、そこまでだよー」
と間延びした声が聞こえてきた。
キース・・いやトールだ。雷神の姿になっている。
「!あなたは雷神トール様!なぜあなたがここに・・」
「魔王様の命令でここにいるんだよ。はいはい、エリス、これ以上は校舎が壊れちゃうからここまでね。」
「むぅ・・仕方ありません。アイズ、この決着はつけるわよ!」
「僕はやだ。」
「!やだじゃないでしょう!子供の頃から散々やりあってきたじゃない!」
「それは子供の頃の話。もう僕はここでベンキョーしてるから。」
「なら私もここで勉強するわ!」
えええ!?
――――――――
やがて。
食堂にて。
「と言うわけでエリスもここで勉強することになった。」
キースが言う。
「ロイド学園長もあきらめたように認めてくれたよ。もう竜人族が一人でも二人でも変わらないと思ったんだろうね。」
「エリスと申しますわ!皆さんお見知りおきを!」
エリスがその青髪を垂らして優雅に一礼する。
「エリスは、一応、雷竜族の姫。僕とは幼なじみ。」
アイズが面倒くさそうに紹介する。
「ちょっとアイズ!そんなぞんざいな紹介はないでしょう?もっと優雅とか美しいとか色々あるでしょう?」
「面倒くさい。」
「あなたは、全くもう・・それだから私は・・!」
「はいはーい。そこまでだよー。」
キースが止めに入る。
「そのキース・・なんでエリスを知っているんだ?」
「俺は昔から雷竜王と馴染みなのさ。まぁ雷繋がりというか・・。エリスは子供の頃から知ってるんだ。」
「その・・アイズとライバル関係って・・?」
アカネが聞く。
「ライバルじゃない。昔から僕にちょっかいかけてきては戦いを挑んできてたから相手してただけ。」
「あはは・・ケンカ友達みたいなもんだね?」
アイリスが苦笑する。
「なによ!私があなたをわざわざ相手してあげてたんじゃない!」
エリスが優雅な所作から素に戻る。
「僕は街の人と仲良くしてた。毎回絡んできたのはエリスの方。わざわざ遠い雷竜国から飛んできてはちょっかいかけてくるから面倒くさい。」
「面倒くさいですって!」
「本当の事。」
「やっぱりあなたとは勝負つけなきゃいけないわね!表に出なさい!」
「やだ。」
「じゃあここでやるわよ!」
「はいはーい。だから押さえてってば。」
キースが間に入る。
「んで、エリス、なんでまたロームまで来たんだ?」
一応聞いてみる。
「久しぶりに氷竜国までアイズに会いにいったのですわ。そうしたらなんとロームの人間族の学校に行ったと聞いて、追ってきましたの。まさかトール様までいらっしゃるとは思いませんでしたわ。」
「キースがいなきゃ大変なことになってたな・・」
俺がつぶやくと、
「ちょっとアナタ。ずいぶん偉そうじゃありませんこと?私はこれでも雷竜族の姫なのですよ?」
「ああ、ユージはちょっと特別で・・氷竜王から名誉騎士の位を与えられてるんだ。」
キースがとりなしてくれた。
「え?じゃああなたが氷竜族の反乱を収めたっていう、ユージ・ミカヅチ様ですの?」
「ええ・・うーん・・まぁそういうことになるのかなぁ・・」
「お会いできて光栄ですわ!あのヒューリック将軍を倒したのでしょう?」
ヒューリック・・確か反乱族の首魁だったドラゴンか。
「まぁ俺はとどめをさしただけだ。反乱軍はアイズを含めてアカネやアイリス、ここにいる皆で倒したんだ。」
「皆さま、改めてエリスと申します。以後、お見知りおきを!」
なんかまた個性的なメンバーが加わったなぁ。
「それで、エリスは国を出てきちゃって大丈夫なのか?その・・一応姫なんだろう?」
俺が聞くと、
「ああ、それなら後ほど手紙を送っておきますわ。大丈夫ですわ。」
アイズと言い、エリスと言い、竜人族は放任主義なんだろうか?
――――――――
やがて、エリスは試験を受けて、なんと俺と同じBクラスになった。
朝礼の前。
「おかしいですわ・・私勉強は得意ですのに・・」
エリスはそれでも不満げだ。
「いや、人間族の試験だからだろう。アイズなんかFクラスからだぞ。」
「あの子が勉強なんかに興味あるわけありませんもの、当然ですわ。昔から下々のものと遊んでばかりいて碌に王城にいなかったんですから。」
なるほど。なんとなくアイズが竜人族の皆に慕われている理由がわかった。
「エリスさん、よろしくお願いしますね。私はレイン・コルトンと申します。このクラスの委員長をやらせていただいておりますわ。」
「えっあのコルトン家?是非お近づきになりたいわ!雷竜族も財政が厳しいんですの!」
「あらあら・・ではそのうちにお仕事の話もいたしましょうね?」
「是非、お願いします!ああ、そういえば、氷竜族の国にスキーとかいう新しい遊戯施設ができて評判だとか・・?」
「ああ、それはこちらのユージさんの考えですわ。」
「ユージ様!事業にも通じていらっしゃいますの?」
「ああ、それは・・実は俺は転移者なんだ。それで、俺の故郷にあったものを新しい遊びとして提案しただけだよ。実際の事業はコルトン家、ローム王国、氷竜族がやっているはずだ。」
「我が雷竜族にもなにか提案してくださいませ!」
「うーん・・氷竜族の場合は現地にいったから考えが浮かんだだけで・・雷竜国に行ってみないとなんとも言えないなぁ・・」
「では、是非いらしてくださいませ!」
「まぁ、そのうちに、ね。」
「お待ちしておりますわ!」
エリスは食い気味にそう言った。
雷竜国かぁ・・なにか特徴があればアイデアも出るかもしれないけど・・。
「エリス、よろしくな。私はフレンダ。風紀委員をやっている。風魔法研究部と兼任だがな。」
「おう、俺はダース。家は武器商人だ。」
「さっきも会ったけど、改めて。私はアイリス。アイリス・ローム・ヴァレンティだよ。」
「え?あのヴァレンティ家?」
「あはは・・そう、多分そのヴァレンティ家だよ。私は七女だけどね。」
「あなた様には是非政治面でのご助言をいただきたいですわ!」
「うーん、私は政治に触れてないから・・そのうち家族に紹介するね?」
「是非お願いいたしますわ!ああ、いいクラスに入りましたわ!こんなに人脈ができるなんて!」
フレンダとダースはスルーの方向のようだ。まぁ、姫なんてそんなものなんだろう。アイズは氷竜国の財政に興味を持ってなさそうだったが・・まぁアイズが変わっているのかもしれない。
その点、エリスは逆に雷竜国の事を一生懸命に考えているんだな。そこはむしろ好感をもてるかもな。
エリスは皆と挨拶をかわすと指定された席にしゃなりと座った。いきなりきてアイズと暴れているときはどうなるかと思ったが、こうしてみるときちんとしたお姫様だな。
「やぁもう一部は挨拶は済んでるようだね。今日からこのクラスに加わることになったエリス君だ。皆、仲良くするように。」
マーティン先生が来て皆に伝える。
エリスは立って優雅に一礼すると、
「皆さま、エリスですわ。よろしくお願いいたします。」
と優雅にお辞儀をした。
クラスから「「わぁぁああ!」」と声が上がる。
さっき挨拶できなかった連中だ。
そうだな、いきなり暴れたりしなければ良家のお嬢様風だし。美少女だし。
ダースが
「おい、やべぇ、結構あのクールな感じが俺のツボなんだけど・・。アカネちゃんから乗り換えちゃおうかな・・」
などと話しかけてきた。
いや、多分アカネは何も気にしないと思うぞ。
エリスはその美しい青髪をはらりとかき上げると再び席に着いた。
またこのクラスの美少女偏差値があがったな。
――――――――
「と、まぁこんなことがあったんだ。」
俺は風魔法研究部でアカネに報告していた。
「ふーん。まぁ確かに綺麗な子だもんね。私も初めの暴れっぷりを見てなければ誤解したかもしれないわ。」
「まぁ、一部には既に人気が出てるみたいだしな。」
「ふーん・・ユージも嬉しいんじゃない?そんな子に頼られて?」
「いや、そんなことはない。事業の提案っていっても現地に行ってみないことには何もわからないし・・」
とそこまで言って俺は一つの考えが浮かんだ。
「あ、そうか雷竜・・雷・・もしかしたら・・」
「何か考えが浮かんだの?」
「いや、まだ考えってほどじゃないんだが・・ちょっと信長様に相談してみようかな・・。」
「あなたってなんだかんだ国のお偉いさんと繋がってるわよね。」
「そうかな?うーん・・言われてみれば・・でもアカネも同じだろう?」
「私はユージのおまけみたいなもんだからね。そんなに認識されてないと思うわ。」
「いや、そんなことはないと思うぞ。実際領地ももらってるわけだしな。」
「・・それもそうね。でもそれもユージのおかげだけどね。」
「というかアカネが一緒に戦ってくれてたおかげだ。」
「なんかそう考えるとこれからもずっと戦いが続く気がしてきたわ。」
「うーん、望ましいことじゃないけど、俺一人ではできることは限られてるし、やっぱりアカネには傍にいて一緒に戦ってほしいな。」
「ふふ・・わかったわよ。」
「頼む。」
「ねぇ・・ところで、この前の龍翔戦の後、ベッドに倒れこんだでしょう?」
「ああ、もう意識がもうろうとしてた。」
「それで・・その・・覚えてることって何かない?」
・・頬へのキスのことか!
もちろん覚えているけど・・アカネがモジモジしてるので言わない方がいいかな、と思った。
「い・・いや、覚えてないな・・すぐに寝ちゃったから・・」
「そ・・そう。それならいいんだけど・・」
なんか甘酸っぱいな・・。
そんな話をしていると、ウェイ部長がやってきて、
「お、今日はみな揃っているみたいだな。じゃあ練習をはじめるよ!」
と声がけして皆練習を始めた。
俺はアカネの事を考えてしまい、ろくに集中できないで叱られた。
皆が授業を受けていると何か巨大なものが空から降りてきた。
「「「わぁぁあドラゴンだぁぁ!」」」
青いドラゴンだ。
ドラゴンは校庭に着陸すると、
『アイズ!いるんでしょう!下りてきなさいよ!』
と叫んだ。
アイズ?
・・やがて。
アイズが面倒くさそうに校庭に出てきた。
「こんなとこまで追ってこないでよね。エリス。」
エリスと呼ばれたドラゴンは光を発すると、美しい青髪の少女の姿になった。
「あんたが私から逃げて人間界なんかに行っちゃうからでしょう?さぁ勝負よ!」
エリスは体からバチバチと放電している。
やる気満々なようだ。
「いくわよ!雷の息吹!」
「氷の息吹!」
雷と氷の息吹が中央で交差する。
威力は同等の様だ。ちょうど中央付近で息吹がぶつかりあっている。
「やるわね・・さすが私のライバルね!」
「僕もうやりたくないんだけど。」
「そんなこと言ってられないようにしてあげるわ。まだまだ威力は上げられるのよ!複息吹」
今度は複数の雷閃がアイズを襲う。
「ふーん。君も修業してきたんだね。氷槍!」
アイズが氷の槍を複数出して迎え撃つ。
「ふふふ!やるわね!でも・・まだまだこれからよ!」
・・そして
「はーい、そこまでだよー」
と間延びした声が聞こえてきた。
キース・・いやトールだ。雷神の姿になっている。
「!あなたは雷神トール様!なぜあなたがここに・・」
「魔王様の命令でここにいるんだよ。はいはい、エリス、これ以上は校舎が壊れちゃうからここまでね。」
「むぅ・・仕方ありません。アイズ、この決着はつけるわよ!」
「僕はやだ。」
「!やだじゃないでしょう!子供の頃から散々やりあってきたじゃない!」
「それは子供の頃の話。もう僕はここでベンキョーしてるから。」
「なら私もここで勉強するわ!」
えええ!?
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やがて。
食堂にて。
「と言うわけでエリスもここで勉強することになった。」
キースが言う。
「ロイド学園長もあきらめたように認めてくれたよ。もう竜人族が一人でも二人でも変わらないと思ったんだろうね。」
「エリスと申しますわ!皆さんお見知りおきを!」
エリスがその青髪を垂らして優雅に一礼する。
「エリスは、一応、雷竜族の姫。僕とは幼なじみ。」
アイズが面倒くさそうに紹介する。
「ちょっとアイズ!そんなぞんざいな紹介はないでしょう?もっと優雅とか美しいとか色々あるでしょう?」
「面倒くさい。」
「あなたは、全くもう・・それだから私は・・!」
「はいはーい。そこまでだよー。」
キースが止めに入る。
「そのキース・・なんでエリスを知っているんだ?」
「俺は昔から雷竜王と馴染みなのさ。まぁ雷繋がりというか・・。エリスは子供の頃から知ってるんだ。」
「その・・アイズとライバル関係って・・?」
アカネが聞く。
「ライバルじゃない。昔から僕にちょっかいかけてきては戦いを挑んできてたから相手してただけ。」
「あはは・・ケンカ友達みたいなもんだね?」
アイリスが苦笑する。
「なによ!私があなたをわざわざ相手してあげてたんじゃない!」
エリスが優雅な所作から素に戻る。
「僕は街の人と仲良くしてた。毎回絡んできたのはエリスの方。わざわざ遠い雷竜国から飛んできてはちょっかいかけてくるから面倒くさい。」
「面倒くさいですって!」
「本当の事。」
「やっぱりあなたとは勝負つけなきゃいけないわね!表に出なさい!」
「やだ。」
「じゃあここでやるわよ!」
「はいはーい。だから押さえてってば。」
キースが間に入る。
「んで、エリス、なんでまたロームまで来たんだ?」
一応聞いてみる。
「久しぶりに氷竜国までアイズに会いにいったのですわ。そうしたらなんとロームの人間族の学校に行ったと聞いて、追ってきましたの。まさかトール様までいらっしゃるとは思いませんでしたわ。」
「キースがいなきゃ大変なことになってたな・・」
俺がつぶやくと、
「ちょっとアナタ。ずいぶん偉そうじゃありませんこと?私はこれでも雷竜族の姫なのですよ?」
「ああ、ユージはちょっと特別で・・氷竜王から名誉騎士の位を与えられてるんだ。」
キースがとりなしてくれた。
「え?じゃああなたが氷竜族の反乱を収めたっていう、ユージ・ミカヅチ様ですの?」
「ええ・・うーん・・まぁそういうことになるのかなぁ・・」
「お会いできて光栄ですわ!あのヒューリック将軍を倒したのでしょう?」
ヒューリック・・確か反乱族の首魁だったドラゴンか。
「まぁ俺はとどめをさしただけだ。反乱軍はアイズを含めてアカネやアイリス、ここにいる皆で倒したんだ。」
「皆さま、改めてエリスと申します。以後、お見知りおきを!」
なんかまた個性的なメンバーが加わったなぁ。
「それで、エリスは国を出てきちゃって大丈夫なのか?その・・一応姫なんだろう?」
俺が聞くと、
「ああ、それなら後ほど手紙を送っておきますわ。大丈夫ですわ。」
アイズと言い、エリスと言い、竜人族は放任主義なんだろうか?
――――――――
やがて、エリスは試験を受けて、なんと俺と同じBクラスになった。
朝礼の前。
「おかしいですわ・・私勉強は得意ですのに・・」
エリスはそれでも不満げだ。
「いや、人間族の試験だからだろう。アイズなんかFクラスからだぞ。」
「あの子が勉強なんかに興味あるわけありませんもの、当然ですわ。昔から下々のものと遊んでばかりいて碌に王城にいなかったんですから。」
なるほど。なんとなくアイズが竜人族の皆に慕われている理由がわかった。
「エリスさん、よろしくお願いしますね。私はレイン・コルトンと申します。このクラスの委員長をやらせていただいておりますわ。」
「えっあのコルトン家?是非お近づきになりたいわ!雷竜族も財政が厳しいんですの!」
「あらあら・・ではそのうちにお仕事の話もいたしましょうね?」
「是非、お願いします!ああ、そういえば、氷竜族の国にスキーとかいう新しい遊戯施設ができて評判だとか・・?」
「ああ、それはこちらのユージさんの考えですわ。」
「ユージ様!事業にも通じていらっしゃいますの?」
「ああ、それは・・実は俺は転移者なんだ。それで、俺の故郷にあったものを新しい遊びとして提案しただけだよ。実際の事業はコルトン家、ローム王国、氷竜族がやっているはずだ。」
「我が雷竜族にもなにか提案してくださいませ!」
「うーん・・氷竜族の場合は現地にいったから考えが浮かんだだけで・・雷竜国に行ってみないとなんとも言えないなぁ・・」
「では、是非いらしてくださいませ!」
「まぁ、そのうちに、ね。」
「お待ちしておりますわ!」
エリスは食い気味にそう言った。
雷竜国かぁ・・なにか特徴があればアイデアも出るかもしれないけど・・。
「エリス、よろしくな。私はフレンダ。風紀委員をやっている。風魔法研究部と兼任だがな。」
「おう、俺はダース。家は武器商人だ。」
「さっきも会ったけど、改めて。私はアイリス。アイリス・ローム・ヴァレンティだよ。」
「え?あのヴァレンティ家?」
「あはは・・そう、多分そのヴァレンティ家だよ。私は七女だけどね。」
「あなた様には是非政治面でのご助言をいただきたいですわ!」
「うーん、私は政治に触れてないから・・そのうち家族に紹介するね?」
「是非お願いいたしますわ!ああ、いいクラスに入りましたわ!こんなに人脈ができるなんて!」
フレンダとダースはスルーの方向のようだ。まぁ、姫なんてそんなものなんだろう。アイズは氷竜国の財政に興味を持ってなさそうだったが・・まぁアイズが変わっているのかもしれない。
その点、エリスは逆に雷竜国の事を一生懸命に考えているんだな。そこはむしろ好感をもてるかもな。
エリスは皆と挨拶をかわすと指定された席にしゃなりと座った。いきなりきてアイズと暴れているときはどうなるかと思ったが、こうしてみるときちんとしたお姫様だな。
「やぁもう一部は挨拶は済んでるようだね。今日からこのクラスに加わることになったエリス君だ。皆、仲良くするように。」
マーティン先生が来て皆に伝える。
エリスは立って優雅に一礼すると、
「皆さま、エリスですわ。よろしくお願いいたします。」
と優雅にお辞儀をした。
クラスから「「わぁぁああ!」」と声が上がる。
さっき挨拶できなかった連中だ。
そうだな、いきなり暴れたりしなければ良家のお嬢様風だし。美少女だし。
ダースが
「おい、やべぇ、結構あのクールな感じが俺のツボなんだけど・・。アカネちゃんから乗り換えちゃおうかな・・」
などと話しかけてきた。
いや、多分アカネは何も気にしないと思うぞ。
エリスはその美しい青髪をはらりとかき上げると再び席に着いた。
またこのクラスの美少女偏差値があがったな。
――――――――
「と、まぁこんなことがあったんだ。」
俺は風魔法研究部でアカネに報告していた。
「ふーん。まぁ確かに綺麗な子だもんね。私も初めの暴れっぷりを見てなければ誤解したかもしれないわ。」
「まぁ、一部には既に人気が出てるみたいだしな。」
「ふーん・・ユージも嬉しいんじゃない?そんな子に頼られて?」
「いや、そんなことはない。事業の提案っていっても現地に行ってみないことには何もわからないし・・」
とそこまで言って俺は一つの考えが浮かんだ。
「あ、そうか雷竜・・雷・・もしかしたら・・」
「何か考えが浮かんだの?」
「いや、まだ考えってほどじゃないんだが・・ちょっと信長様に相談してみようかな・・。」
「あなたってなんだかんだ国のお偉いさんと繋がってるわよね。」
「そうかな?うーん・・言われてみれば・・でもアカネも同じだろう?」
「私はユージのおまけみたいなもんだからね。そんなに認識されてないと思うわ。」
「いや、そんなことはないと思うぞ。実際領地ももらってるわけだしな。」
「・・それもそうね。でもそれもユージのおかげだけどね。」
「というかアカネが一緒に戦ってくれてたおかげだ。」
「なんかそう考えるとこれからもずっと戦いが続く気がしてきたわ。」
「うーん、望ましいことじゃないけど、俺一人ではできることは限られてるし、やっぱりアカネには傍にいて一緒に戦ってほしいな。」
「ふふ・・わかったわよ。」
「頼む。」
「ねぇ・・ところで、この前の龍翔戦の後、ベッドに倒れこんだでしょう?」
「ああ、もう意識がもうろうとしてた。」
「それで・・その・・覚えてることって何かない?」
・・頬へのキスのことか!
もちろん覚えているけど・・アカネがモジモジしてるので言わない方がいいかな、と思った。
「い・・いや、覚えてないな・・すぐに寝ちゃったから・・」
「そ・・そう。それならいいんだけど・・」
なんか甘酸っぱいな・・。
そんな話をしていると、ウェイ部長がやってきて、
「お、今日はみな揃っているみたいだな。じゃあ練習をはじめるよ!」
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