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あなたがあなたである限り
しおりを挟むもっと、もっとと貪欲に唇を貪り合い、寝室のベッドへなだれ込んだ。上着を脱ぐ余裕すらないまま、ユーレクは汗だくでキャンの身体を弄り、中途半端に脱がせたドレスは腰のあたりで溜まったままだ。
身体を起こし素早く自身の上着を脱ぎ後ろ手に投げ捨て、シャツの首元を緩めながら横たわるキャンを見下ろす。
身体の下に組み敷いた真っ白なキャンの肢体が、ほんのりとピンク色に染まっている。ユーレクは自分に余裕がないのを十分承知していたが、今にも暴発してしまいそうな己を律するので精いっぱいだった。
(もっと優しく……ゆっくりしたいのに、クソ)
横たわるその身体に覆い被さり、細い腰に見合わない豊かな胸の先端で主張する果実を口に含みコリコリと甘噛みすると、ひと際高い声が上がり、その声にユーレクの半身がズクリと疼く。その感覚を無視して目の前の愛しい人に意識を集中させる。
果実を舌でねっとりと舐め上げ、口の中で激しく弾けば白い身体がびくびくと痙攣し、時折腕に絡みついてくる艶やかな尻尾を先端から指で辿り根元を扱けば、愛する人は首を仰け反らせ甘い声を上げた。柔らかな身体がしなやかに反り、豊かな胸がふるりと震える。
軽く絶頂を迎えたのか、目を瞑り呼吸を荒くしている。腰のリボンを解きドレスを抜き取れば、コルセットと絹の靴下だけの扇情的な姿が現れる。コルセットに押し上げられた豊かな胸に指を沈めると、唾液にまみれ濡れそぼった赤い蕾がキュッと立ち上がった。
今にもはち切れそうな半身がトラウザーズを押し上げている。痛いほど硬くなり先走りで気持ちが悪いそこを、ベルトを緩め取り出して、ユーレクは投げ出された白く美しい脚の間に宛がった。ぬるりと蜜を纏わせ、十分に濡れているのを確認する。
腰を揺らしてぐちぐちと花芽を刺激するとキャンからまた甘い声が上がった。
キャンの脚を大きく開き、ひくひくと痙攣して蜜を滴らせるそこに、己の鋩を当てる。ふうっと息を長く吐き出し、ユーレクは天井を仰ぎ見た。汗が額から流れ落ちる。
「キャン、ごめん俺もう……余裕ない」
「ん、ぁあっ!」
鋩を当てただけで蠢くそこに吸い込まれるように、ユーレクはその隘路を貫いた。
「く……っ」
吸い付くように絡みつく隘路を貫いただけで腰に走る射精感。
ぐっとこらえ歯を食いしばり目を瞑っていると、ふわりと頬に優しく掌が添えられた。目を開けると、ユーレクを見上げるキャンが浅い呼吸を繰り返しながら、ポロリと一粒涙を零した。
「……ユーレクさん」
その囁くように名を呼ぶ声に、ユーレクの中で愛しさが溢れていく。
「キャン、痛くないか」
そう話す己の声は掠れ、余裕のなさが現れている。そんな自分にユーレクは内心苦笑した。
そんな様子に気がつかず、ふるふると首を振り震える腕を柔らかに伸ばすキャンに応えるように身体を倒して、ユーレクは柔らかな身体を己の腕の中に閉じ込めた。
肌と肌が触れる感覚が気持ちいい。互いの熱を分け合いながら、ゆるりと腰を動かすとキャンの口から甘い声が漏れる。
キャンの頭を抱き込むように腕の中に閉じ込め、汗で額に張り付いた前髪をそっと横に流す。そのままミルクティ色の艶々と輝く耳を撫でると、ふるりと揺れた。
「キャン」
何度、この時を夢に見ただろう。
何度、早くこの腕の中に閉じ込めたいと思っただろう。
会いたかった、会いたかった。
言葉では伝えきれない、胸の中に閉じ込めていた想いが溢れてくる。
「ユーレクさん」
小さな唇から甘く香りが立ち昇る。
その甘い香りに誘われる蜜蜂のように、ユーレクにはもう理性をかき集めることなど出来なかった。
必死にしがみ付き己の名前を呼ぶキャンの声に答える余裕はなく、ただひたすらに貪るように口付けをして腰を打ちつけた。堪えていた射精感は信じられないほどの快感に抗えず、結局あっという間にキャンの奥を白濁で満たした。
ぶるりと身体を震わせ腕の中の愛しい人を抱き締めると、己の身体にじんわりと温かさが広がる。
愛しさや郷愁、腕の中にいるという安堵、言葉に出来ないずっと欠けていた何かが満たされていく感覚。
柔らかく口付けを落として暫く抱き合ったまま、互いの体温を分け合う時間。
(ああ、本当に……)
腕の中にいるキャンの顔を覗き込んで、ふわりと口元が緩んだ。目許を赤く染め浅い呼吸を繰り返すキャンが、美しい輝きの瞳を潤ませユーレクを見返す。言葉がなくとも互いの思いが伝わる幸せを噛みしめ、ユーレクはキャンの唇に口付けを落とした。
「ちょっと余裕なかったけど、もう大丈夫だから」
「え?」
「ごめんな、俺ばっかり」
「あ、あの私……あっ、ま、まって……ぁっ!」
自分の中にいたままのユーレクがグッと硬くなるのを腹に感じたキャンが声を上げる。ユーレクはその声にまた熱量を取り戻し、キャンを抱き込んだまま腰を動かし始めた。まだ力が出ないキャンは揺さぶられるまま甘い声を上げる。
キャンを抱え込みその頭にある小さく震える耳を撫で、熱い口付けをいくつも降らせると、キャンの尻尾がするりとユーレクの背を撫でた。
その刺激にぶるりと身体を震わせて、ユーレクはキャンを抱き込んだまま体を起こす。正面で向かい合い抱き合ったまま腰を動かせば、キャンが腕の中で必死にしがみ付いた。
掌をキャンの滑らかな背中に這わせそのまま腰を撫でて、つややかな尻尾の付け根を指で擦るとぎゅっとキャンの密壺が痙攣しユーレクを締め上げた。
「く……、キャン、ここ触られるの気持ちいいな」
「ぁ、あ、だめまって、そこダメ……!」
「ダメじゃない大丈夫、ほら……もっと気持ちよくなって」
尾の付け根を指でカリカリと引っ掻くように掻くと、キャンの身体がますます震え激しく腰を揺らすユーレクを締め付ける。またも走る射精感に耐え、ユーレクはキャンの中を切っ先で擦りつけた。信じられないほど気持ちがいいこの快感は、番だからなのだろうか。キャンの中は、絡みつきユーレクを刺激し、射精を促すように蠢き吸い付く。
やがてキャンの背中がしなり、びくびくと大きく痙攣した。真っ白な脚がピンと伸びてキュッと丸まるつま先がシーツを蹴る。強く締め付け痙攣するキャンの中でユーレクは眉根を寄せ堪え、やがてふわりと身体の力が抜けたキャンを、繋がったままそっとベッドに横にした。小さな痙攣が続いているキャンを見下ろして、その力の出ない美しい脚を片方肩に担いだ。
驚いた顔のキャンがユーレクを見上げるが、声も出ず息が荒い。
「キャン、そのままでいいから」
ユーレクはそう言うとまた、キャンの甘く蜜の滴る秘所に己を強く打ち付けた。
*
先に白い世界から浮かび上がったのはキャンだった。
ぼんやりと目を開け、視界に飛び込んでくる見慣れない天蓋のカーテンの柄を見つめる。のろのろと視線を周囲に向けると室内には光が差し込み、夜ではないことが窺えた。
(さっきは暗かった気がするけど……)
もうどれだけユーレクの腕の中で気を失ったか分からない。怠い身体をなんとか横に向けると、すやすやと寝息を立てたユーレクの顔がすぐそばにありキャンの心臓が大きく鳴った。
(び、びっくりした……!)
激しく打ち付ける胸を両手で押さえ息を殺す。よく見るとお互い服も着ないまま、布団の中で裸で抱き合って眠っていた。暖炉のパチパチと火がはぜる音が時折聞こえてくる。ユーレクの逞しい腕は自分の腰に回され、素肌が触れ合っている身体は温かい。
落ち着いてきたキャンは、じっとユーレクを起こさないようにその姿を観察した。
濃く長い睫が伏せられいつもの美しい瞳は見えないが、精悍さを増したその顔つきの美しさは失われていない。戦いの中に身を置き酷い惨状も目にしてきたはずのこの人が、変わらない強さと優しさと愛情を持ち合わせていることに、キャンの胸は苦しくなった。
会いたいとただそれだけでここまで来た自分と、人々を救うために駆け抜けてきたユーレクは決して対等な立場ではないが、その誇りと思いはキャンも他の人々をも勇気づける。
これからどうなるのか、何が起きるのか。
キャンには何一つ分からないが、もう二度と自分を置いていくような真似はさせないと、腕に抱かれている間何度も言った気がする。
目の前ですやすやと気持ちよさそうに眠るユーレクに愛していると言われ、自分も好きだと言った気がする。いや、間違いなく言った。だが、それ以上を伝えただろうか。
キャンはそっとユーレクの瞳にかかる前髪を優しくどけた。部屋に差し込む陽の光はさらさらと手触りのいい真っ青な髪を照らし、白皙の肌を美しく柔らかく浮かび上がらせる。
そのままユーレクの頬に手を滑らせて、キャンはそっと薄く開いた唇に掠めるだけの口付けを贈った。
「……私も愛してます、ユーレクさん」
聞き取れないほどの小さな声で囁いたキャンの言葉は、次に大きく開いた口の中へ吸い込まれた。
「!?」
ガバッと覆いかぶさられ組み敷かれ、強く合わされた唇からキャンの呻き声が漏れる。
口端から唾液が溢れ、やっと離れた唇から空気を求めて息を大きく吸うと、涙を浮かべたキャンの眦にちゅっと口付けが落とされた。
「やっと言ったな」
見上げると口端を上げたユーレクが嬉しそうに瞳を輝かせキャンを見下ろしている。
「い、いつから……!」
「キャンが目を開けた時から。いつ口付けをしてくれるのかと思って待ってたんだけど」
「寝たふりしてたんですか!?」
「違う違う、目を開けるタイミングを見失っただけだ」
そう言うとまたちゅっと口付けを唇に落とす。
「ちょっと物足りない口付けだったけど、嬉しい言葉が聞けたから良しとしよう」
「き、昨日も言いました……」
「言ってない。好きは聞いたけど」
ユーレクは面白そうにキャンを見下ろしたままふにっと柔らかな唇を指で押した。顔を赤くしたキャンの瞳が潤んでいくのをじっと見つめる。
「愛してるよキャン」
「!」
「もう一回聞きたいなぁ」
そういうユーレクの嬉しそうな、それでいて切ない声にキャンの身体が震える。
「……愛してます。私も、あなたを愛してます。もう絶対離れたくない」
キャンはそうしてユーレクの首に腕を回し、強く、ユーレクの唇に噛みつくように口付けを贈った。
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