白い結婚が貴女のためだと言う旦那様にそれは嫌だとお伝えしたところ

かほなみり

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旦那様は大きな手のひらで私の両胸を下から掬い上げるように持ち上げ、ゆったりと捏ねるように揉みしだいた。

「んあっ! あっ!」

 その繰り返される甘い痺れに、声を抑えることができない。しがみつく旦那様からも、先程までとは違う荒い息遣いが聞こえてきて、お互いに身体に火が灯っているのだと思うとお腹の奥がキュンと痺れた。
 やわやわと揉みしだき時折指を沈めていた旦那様の手が、段々と激しい動きへと変化する。胸の頂きの周囲をくるくると指先がなぞり、その焦らすような動きにまた無意識に腰が揺れた。
 私の肩に顔を埋めていた旦那様は次第に下へ下へと降りていき、唇を胸の谷間に這わせ柔らかな部分をきつく吸い上げた。その刺激に背中を反らせると、大きな手のひらが背中を支え、旦那様が私の胸の頂きを口に含んだ。

「ああっ!」

 熱い口内に吸い込まれた頂きは、舌先で舐められ吸い上げられる。舌がクルクルと頂きをなぞり、そして激しく何度も弾いた。感じたことのない刺激に腰が浮き、逃れようと身を捩っても大きな手のひらが私の背中を押さえそれを許さない。
 もう片方の空いた手で反対側の頂きも摘まれ、カリカリと引っ掻くように刺激を与えられて、身体が痙攣する。

「あっ、んんっ、だ、だんな、さま……っ」
 
 じんじんとお腹に甘い痺れが溜まっていくのを、どうしたらいいのか分からない。ただひたすらに首をのけぞらせ声を上げて、その甘い痺れを全身で受け止めた。
 ちゅぱっと音を立てて頂きから離れた唇が、今度は反対側へと移動する。
 上がる息を整えながらぼんやりと見下ろしていると、こちらに視線を向けた旦那様と目が合った。
 琥珀色の瞳は私を見上げながら舌を出し、ぺろりと頂きを舐める。舌先で何度も頂きを弾き、唇に含んでちゅうっと吸い上げた。

「……っ、んうっ」

 唇を噛み締め声を我慢すると、旦那様はそんな私を見つめながら今度は大きく口を開き齧り付くように胸を口に含んだ。口内でまた激しく頂きを弾かれ、その刺激にぎゅっと目を瞑り身体をのけぞらせた。繰り返される快感に、段々と意識が霞んでくる。

(髪が……)

 美しい濡れ羽色の髪が私の胸元で動いているのが視界に入った。そっと抱え込みその髪に鼻先を埋めると、湧き出る温泉の湯の香りと爽やかな森の香りがした。

(旦那様の香りだわ……)

 遠い記憶に眠る、あの夜の香り。あの美しい夜――

「サーシャ」
「……っ、あ」

 名を呼ばれ、ふと思考が上昇する。
 旦那様が身体を起こし、私を見つめていた。
 
「少し意識が飛んだか。……大丈夫か?」
「……初めて、旦那様にお会いした夜のことを思い出していました」
「ああ。あれは美しい夜だったな」

 ふっと微笑み、無骨な手が私の髪を耳にかける。

「でも、覚えていないこともあって」
「貴女はまだ幼かったからな」
「残念です。……すべて覚えていたいのに」
「では、またこれから美しい思い出を共に作ろう」
「……はい」

 ふわりと柔らかく口付けをして、どちらともなくふふっと笑い合う。
 柔らかな口付けを繰り返しながら、旦那様の髪をスルスルと撫でていると、旦那様が私の結い上げていた髪を解いた。

「美しい髪だ」

 旦那様は私の髪を掬い上げると、その髪にも口付けを落とす。

「旦那様の髪のほうが、私は好きです」
「私のはただの黒髪だ」
「黒曜石のようで美しいと思います」
「はは、そんなことは初めて言われた」

 旦那様はもう一度柔らかく私に口付けを落とすと、耳元でそっと低く囁いた。

「――寝室に移動しよう」

 その言葉に顔が熱くなるのを感じながら、私は琥珀の瞳に向かってひとつ、小さく頷いた。
 
 *

 外から見えないように大きなマントの下に私を抱き抱えた旦那様が、夜のひんやりとした空気の中を走るように駆け抜ける。火照った身体に夜風が気持ちいい。マントの隙間から見上げれば、旦那様の美しく精悍な横顔と空に輝く月が見えた。
 まるであの日のように、自分が風になったかのように、自由な夜。

『またこれから美しい思い出を共に作ろう』

 私はここで、この美しく逞しい人の妻として生きていくのだ。これから二人で、たくさんの美しい思い出を作りながら。

(嬉しい……)

 私はマントの下でそっと、旦那様の胸に顔を埋めた。

 
 旦那様は、あっという間に螺旋階段を駆け登り、どう移動してきたのかすごい速さで部屋に辿り着いた。旦那様が不在の中、これまで一人で使っていた大きなベッドに、優しくそっと降ろされる。

「ここまで、誰もいませんでしたね」
「ああ、それは……気を利かせたのだろう」
「でも……、んうっ」

 旦那様はマントを脱ぎ捨てると、すぐに私に覆い被さり深く口付けをした。ぐちゅぐちゅと口内をかき混ぜられ、あっという間に身体が熱を帯びる。
 辛うじて巻かれていた浴布もすぐに取り払われ、大きなベッドの上で裸の身体を触れ合わせた。

「サーシャ」

 低く甘い声に何度も名前を呼ばれ、身体が期待に震える。
 口付けは次第に下へ下へと降りていき、分厚い舌は私の身体を丹念に舐めあげた。散々吸われ弾かれた頂きは、最早ヒリヒリと痺れる痛みを感じるほど。
 ぐったりとベッドで横たわり息を整えていると、身体を起こした旦那様が私の脚を大きく開き、そこに陣取るように身体を割り入れた。

「あ……っ」
「胸だけでイケるようになったが、貴女の痛みを取るほどではない」

 旦那様はそう言うと、長い指で脚の付け根をなぞった。敏感になった身体はそれだけで大きく跳ねてしまう。身を捩り逃れようとする私を宥めるように大きな手のひらが腰を撫で、旦那様が私に覆いかぶさった。

「サーシャ。貴女の細い身体では痛みが強く出てしまうかもしれない」
「……構いません」

 無骨な手が何度も脚の付け根を往復し、やがてくぷり、と指を沈めた。

「んん……っ」
「熱いな。それに……よかった、こんなに潤っている」

 旦那様の指が脚の間でくちゅくちゅと音を立てて動いている。ぬるぬるとした感触に、そこをすっかり濡らしているのだと恥ずかしくなった。

「あっ、あ……っ、わ、私……っ」
「大丈夫だ、そのまま受け入れて」
「ああっ!」

 指が何度も出し入れされ、やがて自分でもほとんど触ったことのない小さな膨らみを旦那様の指が捕らえた。
 それは、これまで感じたことのない刺激。ビリビリと甘く苦しい痺れが全身を駆け抜け目の前がチカチカする。
 ぬるぬると蜜を纏わせた旦那様の指が私の小さな膨らみを擦り、指で挟む。潰すようにぐいっと押し付けられ激しく指で弾かれると、目の前が白く霞んできた。
 遠くで、まるで自分のものではない甘い声が聞こえる。

「大丈夫だ、そのままイッて」

 耳元で低く落とされたその声に、目の前が白く弾け、足の爪先まで何かが駆け抜けた。

 
「――サーシャ…」

 甘い声が私を呼んでいる。
 その声に呼ばれ閉じていた目を開くと、目の前で琥珀色の瞳が私を覗き込んでいた。

「……わた、し」
「少しだけ気をやった……大丈夫か」

 その言葉に何が起こったのか分からないまま、コクリと小さく頷く。旦那様はそんな私にふっと微笑むと、額に柔らかく唇を押し当てた。

「これで少しは楽だと思うが……それでも痛むかもしれない」
「……だいじょうぶ、です。旦那様、どうか……」
「サーシャ」

 旦那様の手が私の髪を、頬を大きく撫でる。

「名前を。私の名を呼んでくれ」
「……クラウド、様」
「サーシャ」

 グッと脚を大きく開かれ、旦那様の硬い楔が当てられる。その切っ先はゆっくりと、私の身体に沈み込んできた。

「……っ!」
「サーシャ……を見て」

 ギュッと目を瞑る私の直ぐ側で、旦那様の、クラウド様の声がする。目を開けば目の前にあるクラウド様のお顔。長い髪が私を覆い隠すように下がり、クラウド様の額に汗が光った。

「痛むか」
「……いいえ、大丈夫です」

 思っていたよりは痛くない。ピリピリとした引き攣れる痛み、そしてお腹の中が苦しい感じ。

「では……もう少し進めよう」
「っ!」

 グッと身体を押し付けられて、さらにお腹の中が苦しくなる。クラウド様は私をじっと見つめながら少しだけ進み、また私を観察した。
 だんだん引き攣れるような痛みが引いていき、ほうっと息を吐きだすと、それを見たクラウド様が、ふっと安心したように息を吐き出す。額の汗が流れ、私の頬にパタッと落ちてきた。
 ぎゅうっと握りしめていたシーツから手を離し、そっとクラウド様の頬に触れると、驚いたように少しだけ琥珀の瞳が見開かれた。すると、私のお腹の中がきゅうっと縮み、中にいるクラウド様を締め付ける。

「く……っ」
「……っ、あっ」

 クラウド様がぐっと眉根を寄せた。また、パタッと汗が落ちてくる。

「……クラウド様」

 そっと名前を呼ぶと、クラウド様はふーっと浅く長く息を吐きだし、私の頬に落ちた汗を親指で拭った。

「動くぞ」
「……はい」

 クラウド様はそのままゆったりと腰を動かした。身体を重ねているので、クラウド様の腹部が私の小さな膨らみを刺激し、その快感に声が上がる。
 やがて速さを増していくその動きに、私の中が大きくうねりクラウド様に絡みついた。出て行こうとするのを止めるように、クラウド様に吸い付き離さない。

「……っ、サーシャ……っ、サーシャっ」

 名前を呼ばれ、答えたいのに甘ったるい声しか出てこない。
 そんな私にクラウド様は何度も口付けを落とし、激しく腰を打ち付けた。

 言葉もなく、ただ互いの身体を重ね合わせ、指を絡め繋ぐ。私を求めるクラウド様の熱も視線も、名前を呼ぶ甘く低い声も、そして掠れた吐息も荒い呼吸も、すべて私に向けられている。

(夫婦に、なりたかったから)

 想い合う、愛し合う夫婦に。
 逞しい腕の中に抱かれ、名を呼ばれ求められるこの幸せを、私はクラウド様に求めていた。

(嬉しい……)

 何度も身体の奥を突かれ、優しく激しく求められて、私は霞む意識の中でクラウド様の熱を全身で受け止めた。

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