恋じゃない。でも、この人だけは手放せない

貴族社会で育った公爵令嬢リリアナには、完璧な婚約者がいる。
同じく、幼なじみの侯爵令息レオンにも婚約者がいる。

――それでも、夜になると、彼は当たり前のように彼女の部屋を訪れる。

同じベッドで眠り、触れ合いながら、けれど決して一線は越えない。

かつて一度、確かめたことがある。
キスをしても――何も感じなかった。

だからこれは、恋ではない。

ただの習慣。
ただの帰る場所。

けれど周囲は言う。
それは普通ではないと。

婚約者たちに突きつけられる“正しさ”。
それでもやめられない、名前のない関係。

恋じゃない。
裏切りでもない。
それでも確かに、手放せない。

――これは、恋人にならない二人の物語。
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