異世界で山家として生きる者。

hikumamikan

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第29話 流刑。

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「えっ、アルフレッド様が蟄居」
「いや正確には流刑だな」
「流刑・・・何故何処に?」
「ミスリル鉱横流しの罪でセントエレモ島に幽閉されている」
「アルフレッド様がそんな事する訳無いじゃないですか」
「そんな事は国王様も百も承知だ。無論私もだ。どこぞの貴族が坑夫頭を賄賂で抱き込んで横流ししたと聞く」
「じゃあその坑夫頭を・・・っ、ひょっとしてこの世の人ではないとか」
「残念だがその通りだ。そしてその坑夫頭の死体の手に、アルフレッドとの密訳書が握らされていた」

「・・・ふう~」
「落ち着いたか?」
「すいません取り乱しました」
「その割には坑夫頭が殺された事を見事に推理したがな」
「いや私なら消すと思いまして」
「怖いな」


「真犯人の見当は?」
「流石に未だ無理だ」
「そうですか・・・」
「だが島に暫く流されている間に動くだろう。横流しの量もそんなに多くは無かったからな」
「大量だと目立ちますもんね」
「ああだが今度はどんな方法で持ち出そうとするかな」
「アイテム袋は要りますね」
「とうぜ・・・何を考えている?」
「追跡機能付きアイテム袋・・・です」
「そんな物・・・ってまさか」
「作れるんですよ。エヘヘ」
「怖いな」


「インスタント、インスタント、インスタント、インスタント、インスタント、インスタント、インスタント、インスタント、インスタント、インスタント・・・」
「もういい!」
「はい・・・ふう~」
「小袋の様だがどのくらい入る」
「重さなら鉱石百キロかな」
ポーチだったので重ね掛無しでも底は抜けていなかった。
「お前これだけで一生食えるな」
「ヤバいですよね」
「怖いな」


追跡機能が劣化版でいまいちだったので、結局そこだけ重ね掛する羽目に成ったけどね。
「それでこれがポーチの在処を検知する魔道具です」
「何で豚さんの縫いぐるみなんだ?」
「・・・いや何となく」
「そうか」
それで終わりなのか?。

「この縫いぐるみの腕が方向を指します。距離は王都位の範囲でしょうか」
「よしそれじゃあ一つ金貨25でニューラの魔道具屋に卸そう」
売値は金貨30枚となり、これはお上からの下げ卸しと言う事で、儲けは金貨5枚と商人にはおいしくない。
ニューラへは金貨5枚入り、製作者の私には金貨20枚だ。
私からしたらボッタクリだが、そこはスキルだから仕方無い。
「だがこの豚さん縫いぐるみ・・・指差ししても気付くかな?」
確かに、黙って動く縫いぐるみでは気付かないかもなので、「あっちだよ」って声をインスタントで付与した。
「怖いな」


何でだよ。
まあそれは良いとして、私のアイテム袋の時は底が抜けたが、これは大丈夫だよね。
アイテム袋の機能自体にはインスタントの重ね掛はしていない。
なので試しにアルフレッド子爵家の庭石を入れてみた。
結果は大丈夫そうだ。
でもこれ、百キロ無いかも。
まあ大丈夫だよね。
フラグじゃ無いよね。
「怖いわね」


豚さん縫いぐるみは無償で十個作った。
まあ探索用だからね。
因みにミスリル剣みたいに高純度のミスリルには反応しない様にして有る。
何でかって。
私のショートソードに反応しまくったからだよ。
「あれ怖いわっ」


数日してまたアルフレッド様のお屋敷にウェッド様からお呼びがかかった。
「売れましたか?」
「ああ見事に十個同じ日にな」
「馬鹿ですか」
「お主割りと辛辣だな」
「だって普通怪しむでしょ」
「欲に目が眩むとわからんのだろうな」
「・・・貧すれば鈍する」
「面白いなその言い回しは。確かに貧しておる貴族かもな。そこの処は調べて有る」
「見当が付いておいでですか?」
「証拠が無いから泳がせておるがな。ポーチを買って行ったのはソルドールと言う男爵の家の者だ。あそこの土地は山間部で貧乏なのは解らんでも無いが、他人に罪を着せたからには、改易に死罪だろうな」
「死罪・・・」
「ミスリル鉱石の窃盗だけでも罪が重いし、まして他国への横流しは戦争犯罪と同じだ。それだけでも首が飛ぶ。そこへ他貴族へ罪を擦り付けたからには、打ち首は間違いない。一族は貴族籍剥奪で近親と成ると死刑かもな」
「子供は?」
「流石に15歳以下は他貴族の預かり後に平民として生きていけるだろう」
「16だと・・・」
「それ以上は申すな。法は曲げられん」
「・・・」


「私セントエレモに行っても良いですか」
「構わんが船は不定期だぞ。民間人は住んでおるが少ないからな」
「それは自前の船を造れば」
「・・・待て、それは待て。確かにセントエレモは外洋では無いが、割りと安全に行けるが、それでも待ってくれ」
「セントエレモって何処に有るんですか?」
「お前なあ~。はあ・・・オンスより東に3日行った所にカーフと言う港町が有る。そこから船でぐるりと囲まれた岬の切れる手前に有るのが、セントエレモ島だ。風待ちの港としてとても安全な小さい島なのだが・・・お主が行くのは、正直勧められん」
「遊郭ですか」
「ぶっ・・・」
ウェッド子爵は飲んでいた紅茶を吹いた。
「察しがいいな」
「13でもその位解ります。安全な港なら水主達の溜まり場としてそうなるでしょう。・・・そんな所にアルフレッド様を入れたらウハウハじゃあ無いですか」
「いやいや、蟄居の身だからそれは無い」
「生殺しですか」
「お前なあ~、まあ良いか。取り敢えず水行に詳しい者を付けるから、ちょっと出立を待て」


それから10日。
「速いですなこの乗り物は」
「ナットラムさん取り敢えずここで船を出しますね」
私は随行者のナットラムさんにインスタント5回掛けの船を、人気の無い街道脇で出して見せた。無論倒れない様に木枠をインスタントで作って。
「へえ~、・・・ウェッド子爵から話は聞いてましたが凄いですね。しかしこの船は」
「駄目ですか?」
「いやいや、外洋にも耐え得る船で凄いなと」
「じゃあセントエレモに行けますね」
「で、操船はどなたが」
「あっ・・・」


「ウェッド子爵のおっしゃる通りですな」

──────────────

桜花賞
⑱の単勝五百円です。
只今金欠病です。
これワクチンって有りませんかねえ。
「無理か🤣」











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