異世界で山家として生きる者。

hikumamikan

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第36話 護衛要員としてクランを組む。

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「護衛要員ですか・・・」
「駄目かアンナ」
「いえ、クランを組めば認められそうですね。ですがギルドマスターの承認が要ります。何せレイナさんはまだ13ですから」
「今まで全部ギルドマスターの承認済みだったんですか」
「いちおうそうですが、護衛と
成るとまた別なんですよね。ほら対人戦闘が有るでしょ。有る意味魔物より知恵が働く人間は厄介なんですよ」


それから私には過去に対人戦闘も有る事から夏の正座とクランを組める様に成った。

「随分と大規模な商隊ですね」
「ああ一年に一度来るのだけどねフラム商会の商隊だね。こうして国中の生産物等を交易に回して把握に努めているらしい。うちの領のミスリルはかなりの利益に成った様だよ」
「まあうちの領も潤ってますから持ちつ持たれつですね」
「レイナ様様だな」
「かく言う私も潤ってますよ」
「・・・随分とオバン臭い言い回しだな」
「ひっ酷い!」
「すまん、すまん」



「あれ?」
私は彼等に手を振った。
「なにレイナちゃん知ってるのあの若い子達」
「ええ、イシタント様の祠を掃除に行った時に、インペリアル・ブルに一人が襲われたんです」
「へっそんな魔物あんな所にいないでしょ」
「今は全く見ないですけど、夏にいましたよ」
「まさか攻撃しちゃったとか」
「みたいです。一撃で吹っ飛ばされて瀕死でした。ですから彼は護衛に居ません。私が買い取った家の手入れとか任せてますし、彼等も其処で寝泊まりしてますよ。いちおう私は家賃を取ってますけどね」
「あれ?レイナちゃん何処で暮らしてるの」
「今は宿に」
「・・・どうして?」
「ん~イシタント様の祠付近に仮小屋でも建てて住もうなかと。あの魔導師のお爺さんも領主様に許可を後から取ったそうですから。私も山の裾に住みたいし、アルフレッド様には土地の買い取り許可も貰って私有地も有ります」
「ニューラには来ないの?」
「いえニューラには一時間で行けますよ」
「そんなに近いの」
「私は豚さん車ですから」
「あっ!、歩いたら1日だわね」
「2日に一度は確かめにニューラのギルドには行くつもりです。護衛依頼があればクランが組める様にね」
「助かるわ。護衛は数日先に出発するから、それなら連絡着くわね」

ここら辺は雪も殆ど降らないので冬でもニューラに行ける。
「困ったら僕が転移魔法で連れてってあげる」
「えっキィちゃんそんな魔法使えるのって・・・」
「大丈夫今のは念話だから他の人には聞こえ無いよ。レイナの声も直ぐ遮断したし」
「ごっごめん」
私も頭の中にイメージする形でキィと念話する事にしよう。

「おーい、出発するぞお~」
私は豚さん車で後尾につけた。
前に行くと豚さん車の脚が、いや車輪が速すぎて・・・ね。
でも何故カリーナさんが乗っているのかな?。
「護衛よレイナの」
「・・・」
要りませんとは言えなかった。
「楽だわあ~、お尻痛く無いし」
「そっちかあ~ぁ」


私は町を出る事と土地の買い取り(領主と商業ギルドの許可が必要)の許可申請時、アルフレッド様から未成年には土地の売買許可が下りない事を聞かされた。
だからニューラの家の土地は、冒険者ギルドが成年になるまで保管義務を負っている。お金は前払いしているが、土地は私の物では無い。
今回許可が下りたのは国王陛下が私にある要請をした事で、成年迄国が預かると言う名目が有るからだ。
その要請とは街道の野営地に一つづつ、神様の祠を置く事。
これは教会との仲を保ちつつ、旅行者の怪我人や病人の一時的な保護に有る。
魔物から守れる強度や魔物を近付けない性能を買われてのものだ。
だから祠と言っても小さな祭壇に小さな神様の像が有るだけで、ベッドに釜戸それに井戸には手押しポンプも設置していく。
既にかなりの祠をインスタントで作り置きしている。
これは国王陛下に言われる前から、私が自主的にしていたもので、国王陛下の偶然の要請には感謝している。
まあ井戸の無い野営地も有るのだが・・・そこは着いてからだね。


ニューラから最初の野営地は
ムスクナへ向かう街道に有る。
「ここの野営地は便利ですね。祠にベッドもあり三人なら寝られる。神の祠と言う事で魔物も入れないそうですよ。それにあの手押しポンプは便利ですね。今は急速に国に広められていますが、何かいまいち良くないらしいです」
商人さんとゴドルフさんが話していたが、良くないとは何だろうか?。
私がインスタントで出したポンプはどうも無いのだが。
「それはどうしてですか?」
ゴドルフさんナイスJob。
「腐食が激しいらしいです」

タッタタ。
「それ!、銅と鉄を直接繋げているでしょ、駄目ですよ何かパッキン入れないと。腐食する筈です」
「へっ?」
「ああ、フナンシェルさんこの娘は山家で有能な山師でもあります。今のは多分正解だと思いますよ」
「そっそうなんですか。でも何でこの娘は護衛に?」
「私どものクランです。優秀な冒険者ですから御心配なさらず」
「そう・・・ですか」


既にこの街道はジュンベルグ迄私が勝手に祠と手押しポンプを設置済みだ。
本当に勝手にしたけどね。
1ヵ所は細い川筋に有り、狭い為に井戸が無かったので、私が地中に土管を這わせ、川から水を汲み上げる方式だ。
5メートル位の高さで助かった。


ムスクナを過ぎてジュンベルグへと向かう街道は肌寒かった。
少し登り道だから高い位置に有るのだろう。

一旦商品をジュンベルグの店に卸して、新たな積み荷を載せ出発した。
街道がジュンベルグと少し離れているのは川幅のせいだ。
強固な橋を架けるため出来るだけ川幅の狭い所を選んだから。
ジュンベルグに流れ込む川は正式には運河で人工物。
だから狭く橋が渡せる。
本流は渡し船での渡河になるのだ。


さてさて、こっから先は山家として当然来た領地だけど、町には入った経験が無い。
どんな所になるのやら。
しかもあの盗賊男爵から賄賂を貰ってた領主だし。

街道は整備されていた。
「道普請はされてますね」
「周りの領民が定期的に行ってるよ」
カリーナさんが説明してくれたけど、領民がですか。
「この辺りの領民にとって街道は大切だからね、雪掻きも定期的にするよ。領主に命令されなくてもね」
「そうなんですか」
「作物の運搬とか有るし、領主も山の資源が有るから、兵隊さんも道普請はしている」
「持ちつ持たれつですね」
「領主だけでは手が回らない。そんなものさね。賄賂を貰ってたけどここも貧乏だからね」
「・・・そうですか」
「だからって盗賊は駄目だけどね」
「分配金とかは?」
「もちろん税金で補助は出るよ。それでも飢饉や水害に天災が起こるとねえ。どこも大変になるから」

町や街道を見て私に出来る事は、アルフレッド様から国王陛下に提言しよう。
盗賊が少しでも減るように願って。


そして最初の祠の設置と手押しポンプ設置を見て、商会の人はあわてていた。
後で土下座された。
どうも国王陛下からある程度の話は有った様で、ただそれが私だとそしていつかだとは聞いて無かったみたい。
商人さんいわく、私は伯爵相当の貴人扱いだとか。
う~ん、要らないよそんなの。









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