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僕は此の世のAYAKASHIだろうか?。

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メスティアさん・・・。
聞きたい事が有ります。

「私は余計な事を言ってしまいましたか」

僕はこの世界では妖怪なのでしょうか。

「あやかしでは無いですよ」

あの人が年老いて死ぬ頃には僕は何歳ですか?。

「・・・人はつまらぬ物に拘りますね」

何歳ですか?。

「肉体的には二十歳前・・・ですね」

エルフっていますか?。

「いますが、あれは人では無く精霊とか妖精の類いです。人とは合間見えません」

交わるモノでは無いと。

「魔素を核とし幻影を肉体に見せる別の生き物です。・・・魔素は宇宙空間に浮遊していたる処に降り注ぐもの。地に染み込み、水に染み込み、空気に染み込む。そして思念に染み込みます」

僕は違うの。

「身体が有り寿命も有ります。ただ再構築の時に遥かに長く生きる様に創られています」

それは・・・他の人からしたら化け物でしか無いですね。
彼女にそれを伝えて良いですか。

「・・・既に過去に三人ほど伝えていますから同じ事でしょう。ですが私は出来れば繁殖行動をとって欲しかったです」

今は考えが纏まりません。
無理だと思います。

「もう覚めますね。朝ですので宿の部屋に転送します」

また意識が消え、日の光で目覚めた。
ベッドから起きると着替えて朝食の為に一階へと向かう。


飯を済ませハンターギルドヘ向かう。


「マーレおはよう」
「崇おはよう」
    


彼女は呆気に取られていた。
そりゃそうだ。
いきなり宇宙母艦に来たのだから。
「何この鉄の塊の部屋は」
「ここは格納庫だよ」
「巨大な空に浮かぶ船って言ってたけど、ここがそうなの?」
「うん、これから司令室に向かうね。操縦は基本メスティア号の頭脳任せだけど、今はこの星の軌道上を星の自転と同じ速度で回っているから、動いているようには見えないよ。司令室に行ったら外が見れるから解ると思うけど」
「分かったわ・・・判んないけど」

僕が特殊な人間で有る事と、僕が彼女を好きな事。結婚も考えた事(この世界平均寿命は五十歳に届かないので早婚だ)。
そして一人だけ歳を取るのが遥かに遅くて、一緒に暮らすのが怖いヘタレだと言う事で、結婚は諦めた事。
全てを話してこの船に来て貰った。

「情けないけど、パーティーとして一緒にはいたい」
「私も貴方が今は好き。正直言うと子供を作って幸せな家庭を夢見てた。未だ吹っ切れないからもう少し一緒にいさせて」
「ごめん優柔不断で」
「それは私も同じ」


「でも想像出来ないなあ。私がお婆ちゃんで年老いて死ぬ時に、側には若々しい貴方がいる。きっと嫉妬して当たり散らすんだろうな私」
「・・・前にね瀕死のハンター三人を再構築したメスティアさんに、どうして僕と同じ寿命に出か無いのか聞いたらね。最初に創造した時に、この星の人間には最高寿命を決めていて、それより上には行けない様にしたんだって」
「そうなんだ私と崇は一緒に生きられないんだ」
「ごめんね」
「謝る事じゃ無い。謝るなら一つだけお願いが有るの・・・」



それは僕との間に一人だけで良いから子供が欲しいと言う事だった。
その夜僕達はお互い初めての繁殖行為をした。
それからは幾度か身体を合わせた。
そして半年後彼女は妊娠した。
五年経って彼女はメスティアさんの用意した養育費を受け取り僕と別れた。
五年の間は避妊をした。
淡々としているが・・・心は。
「情けない男で本当にごめん」

22歳の彼女と(16歳)の僕がそこにはいた。

それがパーティーとしての終わり。

メスティアさんからちょくちょく報告は受けている。
子供も元気に育ち彼女は別の男性と結婚した。
連れ子の長男も可愛がられ幸せな家庭だった。

メスティアさんに聞いてみた。
どうして繁殖を望んだの?。
「この世界にご主人様の遺伝子が欲しいと神が望みました。私にはご主人様の感情が汲み取れませんでした。人と人との寿命の格差でその様な事が起きるとは思いませんでした。申し訳有りません」

「それは単に僕がヘタレだから・・・」

僕は今は5つ目の町で露店とハンターをこなしている。
この世界に来て二百十年が過ぎた。
マーレは既に此の世にいない。

僕の姿は18歳くらいに成った。
ここからはもっと歳が変わらなく成るとメスティアさんに言われた。
何歳迄生きるのだろうか?。


それから20年・・・僕には5人の子供がいる。
(オス)の本能が開花してしまった。
恥ずかしい。
そしてまた新な女性と関係を持った。
本当に情けない奴だ。
結婚もせずに養育費と手切れ金をまた渡すのだろう。
あの頃の純な僕は何処へ行った。


メスティアさん僕はそろそろ宇宙へ行きたい。
「そうですね。もう種まきは充分でしょう」
「・・・・お恥ずかしい」


今回はスリープ機能を使わない。
身体に損傷が有るがもうDNAの種蒔きは済んだからね。
老化が進むらしい。
「ご主人様は前世で幼少の頃に病原菌にに冒され6歳迄でしたが、幸いにDNAは損傷しておりませんでした。スバネティのヒト族にはDNAに重大な欠陥が発見され神が困っていました。それでご主人様のDNAが欲しかった訳です。生き物はより良いDNAに惹かれる仕組みに成っていますから、ご主人様のDNAはより拡散されるでしょう」
「そう言う事なのね」
「ですのでこの宇宙航行でDNAが損傷を受け老化が早まっても問題無いのです」
「あはは、それは言って良いのかな」
「・・・良い旅行をお楽しみ下さい」
「メスティアさん・・・変わったね」
「人の感情を少しは読めたかと」
「ふふふ」


宇宙航行を堪能して・・・あっ、ハ○ロックみたいな事は一つも無かったよ。一つだけ生物のいる星が有ったけど未だ、それは発達した生き物では無かった。
だから延々退屈な宇宙航行だった。


「お疲れ様でした」
「僕の寿命は後何年」
「30年前後かと・・・」
「じゃあ家庭持って過ごしたいなあ」


幸運な事に好きな人が出来て、30手前のおっさんだけど家庭も持てた。
子供2人目が15の時に寿命が来た。


嫁さんがマーレに似た人だったのは偶然。



            完
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