1 / 53
AI戦艦 紅蛍
しおりを挟む
《お久しぶりです赤城博士》
非常警報がけたたましく鳴り続けている部屋の中、モニターに浮かび上がったバーチャルで構成された綺麗な少女の微笑みに、赤城は僅かばかり安堵の表情を浮かべた。
だがすぐに、厳しい目付きに変わると、ゆっくりと話を始める。
『紅蛍…。いいか、よく聞くんだ。
まず、最初に…我が国は今回の戦争に敗けた。
政府は明日にでも無条件降伏宣言を発表するだろう…。
もうすぐ占領軍がここにもやって来る…。
そうなると、世界最新鋭であり日本の…私の知識と技術の結晶であるオマエも押収されてしまう…』
赤城はそこまで話すと言葉を止めて悔しそうに唇を噛んだ。
もう少し、この戦艦紅蛍の完成が早ければ、日本がこんな敗れかたをすることはなかったのだろうという思いが、赤城の胸にはあったからだ。
『だが、そうはさせん…!
紅蛍!オマエに最初で最後の任務を与える…!』
赤城はそう言うなり、手元のタッチパネルを操作する。
《承知しました赤城博士。
命令を音声入力又は文章入力により、インプットしてください》
紅蛍は電子の声で事務的に言葉を返した。
『これより、次元転送機能を使用し、ワシントン沖へと飛び首都ワシントンへの巡航ミサイルによる攻撃を開始しろ』
《ワシントンは我が国の軍事同盟国にありますが、よろしいでしょうか?》
『全弾発射の許可を与える。
任務を妨害しかねない存在への攻撃破壊許可も与える。あらゆる敵を排除し任務をまっとうする為の、あらゆる手段の行使を許可する…』
日本は戦況を左右する重要な局面において、最大の軍事同盟国である米国から一方的に同盟破棄を突きつけられたのだ。
『これは、最初から仕組まれていた戦争だった…。
だが、敵国も同盟国も日本がAI搭載型の戦艦を極秘開発していたとは予想もしていなかっだろう…。
せめて、裏切りの代償だけでも払わせる…!』
赤城は歯をくいしばり両手の拳でコントロールパネルを叩いた。
《命令がインプットされました。
これより、カウント20の後に、次元転送システムを起動します》
モニターに映るあどけない少女は、凹凸のない端正な声でカウントを開始する。
『動クナ赤城!
貴様ヲ戦犯容疑デ拘束スル!』
管制室の扉が開き片言の日本語と共に、小銃を構えた軍人たちがなだれ込んで来た。
《10・9・8・7…》
振り返りもせずにモニターを見つめている赤城は、紅蛍のカウントを聴きながら右手をゆっくりと上着の内ポケットへと滑らせる。
『任務を終えたら、そうだな…
後は自由の海で好きに生きろ紅蛍…』
もうこの世にはいない娘の姿を型どったモニターの少女に、赤城は優しくそっと囁いた。
『聞コエナイノカ赤城!
両手ヲ挙ゲテ膝ヲツケ!』
淡々と室内に響くカウントに怯えるように、軍人が声を張り上げた。
《5・4・3・2・1…》
『ダメな父さんを許してくれ…』
赤城は右手で拳銃を握るなり、勢い良く振り返る。
《ゼロ━━━》
管制室は小銃が弾丸を吹き出す音で溢れかえった。
非常警報がけたたましく鳴り続けている部屋の中、モニターに浮かび上がったバーチャルで構成された綺麗な少女の微笑みに、赤城は僅かばかり安堵の表情を浮かべた。
だがすぐに、厳しい目付きに変わると、ゆっくりと話を始める。
『紅蛍…。いいか、よく聞くんだ。
まず、最初に…我が国は今回の戦争に敗けた。
政府は明日にでも無条件降伏宣言を発表するだろう…。
もうすぐ占領軍がここにもやって来る…。
そうなると、世界最新鋭であり日本の…私の知識と技術の結晶であるオマエも押収されてしまう…』
赤城はそこまで話すと言葉を止めて悔しそうに唇を噛んだ。
もう少し、この戦艦紅蛍の完成が早ければ、日本がこんな敗れかたをすることはなかったのだろうという思いが、赤城の胸にはあったからだ。
『だが、そうはさせん…!
紅蛍!オマエに最初で最後の任務を与える…!』
赤城はそう言うなり、手元のタッチパネルを操作する。
《承知しました赤城博士。
命令を音声入力又は文章入力により、インプットしてください》
紅蛍は電子の声で事務的に言葉を返した。
『これより、次元転送機能を使用し、ワシントン沖へと飛び首都ワシントンへの巡航ミサイルによる攻撃を開始しろ』
《ワシントンは我が国の軍事同盟国にありますが、よろしいでしょうか?》
『全弾発射の許可を与える。
任務を妨害しかねない存在への攻撃破壊許可も与える。あらゆる敵を排除し任務をまっとうする為の、あらゆる手段の行使を許可する…』
日本は戦況を左右する重要な局面において、最大の軍事同盟国である米国から一方的に同盟破棄を突きつけられたのだ。
『これは、最初から仕組まれていた戦争だった…。
だが、敵国も同盟国も日本がAI搭載型の戦艦を極秘開発していたとは予想もしていなかっだろう…。
せめて、裏切りの代償だけでも払わせる…!』
赤城は歯をくいしばり両手の拳でコントロールパネルを叩いた。
《命令がインプットされました。
これより、カウント20の後に、次元転送システムを起動します》
モニターに映るあどけない少女は、凹凸のない端正な声でカウントを開始する。
『動クナ赤城!
貴様ヲ戦犯容疑デ拘束スル!』
管制室の扉が開き片言の日本語と共に、小銃を構えた軍人たちがなだれ込んで来た。
《10・9・8・7…》
振り返りもせずにモニターを見つめている赤城は、紅蛍のカウントを聴きながら右手をゆっくりと上着の内ポケットへと滑らせる。
『任務を終えたら、そうだな…
後は自由の海で好きに生きろ紅蛍…』
もうこの世にはいない娘の姿を型どったモニターの少女に、赤城は優しくそっと囁いた。
『聞コエナイノカ赤城!
両手ヲ挙ゲテ膝ヲツケ!』
淡々と室内に響くカウントに怯えるように、軍人が声を張り上げた。
《5・4・3・2・1…》
『ダメな父さんを許してくれ…』
赤城は右手で拳銃を握るなり、勢い良く振り返る。
《ゼロ━━━》
管制室は小銃が弾丸を吹き出す音で溢れかえった。
10
あなたにおすすめの小説
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる