Al戦艦と異世界ドラゴン

やるふ

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行方不明のドラゴン

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『クフィール隊長~』

離着陸場に降り立ったクフィールを待っていたのは、部下の飛竜騎士のナンシーだった。

『あら、ナンシー。
ウェイビーさんは、もう来てるの?』

『基地本部に来てますよ~。
今、ラッジストちゃんが応対してます~』

フワリとした金髪が特徴の可愛らしいナンシーは、ほんわかとした喋り口調で微笑んでいる。

『そう。
ラッジストは怒ってた?』

クフィールは飛竜のゾイルの頭を撫でながら訊ねる。

『はい!
もう、めっちゃこんな感じで!』

ナンシーはそう言うと、ラッジストの目を真似るように、指で両目の端を吊り上げて見せた。

『でも、ラッジストちゃんが怒ってるのはいつものことですよ~』

『ふふ…。それもそうね』

ナンシーの言葉に、クフィールは口許に指を添えながら笑った。




『お久しぶりですね。
遅れて申し訳ありません』

部屋に入ってきたクフィールは、正面の椅子に座っている白髪の老人に敬礼と挨拶をした。

『うむ。相変わらず良い体をしておるな。
御主に跨がられるドラゴンが羨ましいわい』

ウェイビーはそう言うと、クフィールのショートパンツから伸びる白い太股に視線を這わす。

『ウェイビーさんこそ相変わらず、お元気そうでなによ…』

『遅い!!』

扉に背を向けて座っていたラッジストは勢いよく立ち上がると、クフィールの言葉を遮り振り返った。

『海竜軍総司令官を、たかが離島の部隊長風情が待たせるとは何事か!』

ラッジストの声量の大きさに、クフィールは慣れた様子で両耳を塞ぐ。

『まあまあ、もうよい。
話があるから、二人ともかけてくれ』

ウェイビーが困ったように溜息をつくと、握っている杖の先で床を叩いた。

『話?
そういえば、明後日から海竜軍との合同訓練が始まるんでしたね』

クフィールはラッジストの肩に手をかけながら椅子に座ると、何事も無かったかのように話を始める。

『ああ、だが…その前に、1つ頼みがあってな』

『頼み…ですか?』

ウェイビーの神妙な面持ちにラッジストの表情が緊張の色に変わる。

『実は、この島に到着する前の海域で*中型水竜*が一頭だけ行方不明になってな。
御主ら飛竜隊に捜索を頼みたいのじゃ』

中型水竜とは海中に潜り行動できるドラゴンで、海戦では主にこの中型水竜が攻撃用として使われる。

これとは別に*大型水竜*と呼ばれるドラゴンは中型水竜よりも巨大で、海面に浮かびながら行動するので、物資や人員を運搬することに使用されている。

『訓練や偵察の名目で領海外にドラゴンを放ち、近隣諸国と揉め事を起こそうとするのは、シーナ帝国海竜軍の悪い癖ですね。
で、放ったドラゴンが帰って来なくなって困ってるってところですか?』

『姉上…!何を…』

クフィールの言葉にラッジストが慌てる。

『はて…何のことやら…?
無用な詮索は為にならんぞ。
直ちに捜索隊を編成し、ドラゴンを発見せよ』

ウェイビーはそう言うと、鋭い目つきでクフィールを見つめたのだった。
















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