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第5話 意外な事実
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同じホテルに勤めるその彼はさくらと同じ年で、つき合って一年になるらしい。
さくらにつき合っている人がいたなんて全く知らなかった。
しかもいきなり結婚って……。
僕の知らない所で話が進んでいた事がショックだった。
さくらとは何でも話し合う親子だと思っていたのに。
急にさくらが遠くに行ってしまったような寂しさに襲われた。
しかし、これでさくらがお嫁に行くまで見守るという真由美との約束が果たせる。
そう思ったら、喜ばしい事なんだと思えた。
さくらに打ち明けられた一週間後、彼に会った。
彼は家に上がると真っ先に仏壇の前に行き、真剣な表情で長々と手を合わせていた。ホテルマンらしく礼儀正しい青年だった。ケチのつけようもなく、彼との結婚を認めるしかなかった。さくらがいい人に出会えて嬉しいが、彼がさくらの事を「さーちゃん」と呼ぶたびに寂しい気持ちになった。
素直に娘の結婚を喜べないのは父親としての心境だろうか。
悪戯が好きで僕を困らせてばかりいたさくらが結婚か。そう思ったら泣きそうになる。慌てて席を立ちリビング隣の仏間に行った。
真由美に報告するふりをしながら、こっそり涙を拭った。その時、真由美の位牌の後ろに何かがある事に気づいた。何だろうと手を伸ばすと、見覚えのない位牌だった。位牌に記された文字には一年前の日付が記されていた。
それは――僕の位牌だった。
二人の会話が聞こえてきた。
「さーちゃんには見えるの?」
「うん」
「今も目の前に?」
「今はいないよ」
「そっか」
「見えない?」
「うん。残念だけどね。きっと、さーちゃんにしか見る事が出来ないんだよ」
「どうしてかな」
「すごく好きだからじゃないかな」
「私が?」
「さーちゃんとお父さんの両方が」
ハッとした。
慌てて二人の前に戻った。
「さくら、彼に僕の姿は見えないのか?」
さくらの顔色がみるみる青白くなった。
さくらにつき合っている人がいたなんて全く知らなかった。
しかもいきなり結婚って……。
僕の知らない所で話が進んでいた事がショックだった。
さくらとは何でも話し合う親子だと思っていたのに。
急にさくらが遠くに行ってしまったような寂しさに襲われた。
しかし、これでさくらがお嫁に行くまで見守るという真由美との約束が果たせる。
そう思ったら、喜ばしい事なんだと思えた。
さくらに打ち明けられた一週間後、彼に会った。
彼は家に上がると真っ先に仏壇の前に行き、真剣な表情で長々と手を合わせていた。ホテルマンらしく礼儀正しい青年だった。ケチのつけようもなく、彼との結婚を認めるしかなかった。さくらがいい人に出会えて嬉しいが、彼がさくらの事を「さーちゃん」と呼ぶたびに寂しい気持ちになった。
素直に娘の結婚を喜べないのは父親としての心境だろうか。
悪戯が好きで僕を困らせてばかりいたさくらが結婚か。そう思ったら泣きそうになる。慌てて席を立ちリビング隣の仏間に行った。
真由美に報告するふりをしながら、こっそり涙を拭った。その時、真由美の位牌の後ろに何かがある事に気づいた。何だろうと手を伸ばすと、見覚えのない位牌だった。位牌に記された文字には一年前の日付が記されていた。
それは――僕の位牌だった。
二人の会話が聞こえてきた。
「さーちゃんには見えるの?」
「うん」
「今も目の前に?」
「今はいないよ」
「そっか」
「見えない?」
「うん。残念だけどね。きっと、さーちゃんにしか見る事が出来ないんだよ」
「どうしてかな」
「すごく好きだからじゃないかな」
「私が?」
「さーちゃんとお父さんの両方が」
ハッとした。
慌てて二人の前に戻った。
「さくら、彼に僕の姿は見えないのか?」
さくらの顔色がみるみる青白くなった。
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