推しの速水さん

コハラ

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5話 速水さんとバーベーキュー。

《13》

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ゆりさんが苦笑を浮かべる。

「お恥ずかしい話なんだけど、橋本卓也は私の弟なの。卯月ちゃん、びっくりしたよね」

「い、いえ」

えーと、タクヤ君は速水さんのお友達で、ゆりさんの弟……。速水さん、ゆりさん、タクヤ君の関係が何となくわかった。

そうか。高校の先輩としてだけではなく、友達のお姉ちゃんっていう関係もあるから速水さんとゆりさんは親しいのか。いくちゃんとうちのお兄ちゃんも親しいもんね。

「卯月ちゃん、あっちで親交を深めようか。お肉焼いてあげるよ」

タクヤ君が私の肩をさり気なく抱き、バーベキューブースの方へと連れて行く。

「卓也、こら! 気安く卯月先生に触るな!」

速水さんが私とタクヤ君の間に割って入る。
私をタクヤ君から守るように速水さんが私の肩を抱いたからびっくり!

ど、どうしよう。

嬉しいけど、速水さんが近くて緊張する。

「ゲストをもてなすのは俺の仕事だ」

タクヤ君が私に近づく。

「卯月先生は僕の客だ。卓也はあっちで肉焼いてろ」
「なんだと」

速水さんと卓也君が激しく言い合う。

「2人ともいい加減にしなさい! 卯月ちゃんがびっくりしてるでしょ」

ゆりさんが入って来て、止める。

「卯月ちゃん、こっちよ。みんなに紹介するから」

ゆりさんに腕を引っ張られて、速水さんと引き離されてしまった。

ああ、速水さんが遠くなる……。
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