推しの速水さん

コハラ

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5話 速水さんとバーベーキュー。

《14》

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ゆりさんに連れて行かれて、みんなに紹介してもらった。今日集まっているのは主にゆりさんとタクヤ君のお友達らしかった。当然、みんな私より年上で恐縮する。

速水さんの近くに行きたいけど、速水さんは離れた場所でお友達らしき人たちに囲まれて談笑している。あの中に行く勇気はない。

緊張していると、タクヤ君が「どうぞ」と、焼いたばかりのお肉を私の前に置いてくれた。

うぉっ! 美味しそうなお肉!

お腹がぐぅーと鳴るとタクヤ君が「どんどん焼くからね」と言って、山盛りのお肉を持って来てくれた。

とりあえず、本能のままお肉を食べる。

お肉に夢中になっていると、「卯月ちゃんって、可愛いね」とタクヤ君に言われてお肉を食べる手が止まる。

タクヤ君のような天上人に可愛いと言って頂けるなんて!

……いや、真に受けてはいけない。社交辞令というやつだ。

「さすが人気俳優さんですね。でも、私にはリップサービスいらないですから」
「リップサービスじゃないよ。俺の本心」
「はいはい。わかりました」
「あ、卯月ちゃん、軽く流したな」

目が合うと、タクヤ君がクスクス笑う。
私もつられるように笑った。

不思議とタクヤ君にはあまり緊張しない。ドラマとか映画でよく見ているからかもしれない。

タクヤ君と速水さんが中学からの同級生だって事を教えてもらった。タクヤ君と同級生って事は速水さんの年齢は30歳! うちのお兄ちゃんより年上だ!

速水さんから見たら私、お子様だろうな。

「卯月ちゃん、こっそり抜けて二人でどっか行かない?」

タクヤ君に言われてびっくり!

冗談だよね?
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