104 / 150
6話 速水さんの気持ち
《3》
しおりを挟む
「ち、近い!」
後ろに仰け反って背もたれにぶつかる。
やばっ。もう逃げ場がない。
タクヤ君が口角を上げ、私を囲い込むように背もたれに両腕をついた。
またタクヤ君の端正な顔が近づいてドキドキする。
「卯月ちゃん、キスする?」
え! き、キス!
目玉が飛び出そうな程、見開くと、タクヤ君がぷっと笑い出す。
「卯月ちゃん、冗談だから」
タクヤ君が私から離れ、お腹を抱えて笑う。
「卯月ちゃんって本当、面白い」
もしかして私、からかわれたの?
笑い続けるタクヤ君にだんだん腹が立って来る。
「からかうなんて酷いです! 私を笑う為にこんな所まで連れて来たんですか? 私、何かしましたか? 私みたいな地味な子が速水さんを好きになった事がそんなにいけない事だったんですか?」
優しいと思ったけど、タクヤ君はゆりさんの使い魔なんだ。私にとどめを刺すために追いかけて来たんだ。
「ごめん。卯月ちゃんを笑う為に連れて来た訳じゃないよ。卯月ちゃんに興味があったから、じっくり話してみたかったんだよ。ごめんね。もうからかったり、笑ったりしないから許してくれる?」
眉尻を下げ、申し訳なさそうに見つめられてドキッとする。
うわっ、この表情はテレビドラマの『俺様上司と内緒の残業』で見た。ヒロインのわかちゃんに怒られて、タクヤ君演じる神崎主任がシュンとした時と同じ表情……。
いつも強気な神崎主任が急に弱々しい表情を浮かべて、その落差でぐっと来たんだよね。
神埼主任の胸キュンの表情をされたら、これ以上怒れない。
「そんな顔されたら、怒れません。許します」
「卯月ちゃん、ありがとう」
「あの、それで聞いて欲しい話とは?」
「あやちゃんの女性関係のトラブルの話。この話を聞けばなんで姉ちゃんが嘘をついてまで、卯月ちゃんをあやちゃんから遠ざけようとしたかわかるよ」
……女性関係のトラブル。
速水さんに一体何があったんだろう?
後ろに仰け反って背もたれにぶつかる。
やばっ。もう逃げ場がない。
タクヤ君が口角を上げ、私を囲い込むように背もたれに両腕をついた。
またタクヤ君の端正な顔が近づいてドキドキする。
「卯月ちゃん、キスする?」
え! き、キス!
目玉が飛び出そうな程、見開くと、タクヤ君がぷっと笑い出す。
「卯月ちゃん、冗談だから」
タクヤ君が私から離れ、お腹を抱えて笑う。
「卯月ちゃんって本当、面白い」
もしかして私、からかわれたの?
笑い続けるタクヤ君にだんだん腹が立って来る。
「からかうなんて酷いです! 私を笑う為にこんな所まで連れて来たんですか? 私、何かしましたか? 私みたいな地味な子が速水さんを好きになった事がそんなにいけない事だったんですか?」
優しいと思ったけど、タクヤ君はゆりさんの使い魔なんだ。私にとどめを刺すために追いかけて来たんだ。
「ごめん。卯月ちゃんを笑う為に連れて来た訳じゃないよ。卯月ちゃんに興味があったから、じっくり話してみたかったんだよ。ごめんね。もうからかったり、笑ったりしないから許してくれる?」
眉尻を下げ、申し訳なさそうに見つめられてドキッとする。
うわっ、この表情はテレビドラマの『俺様上司と内緒の残業』で見た。ヒロインのわかちゃんに怒られて、タクヤ君演じる神崎主任がシュンとした時と同じ表情……。
いつも強気な神崎主任が急に弱々しい表情を浮かべて、その落差でぐっと来たんだよね。
神埼主任の胸キュンの表情をされたら、これ以上怒れない。
「そんな顔されたら、怒れません。許します」
「卯月ちゃん、ありがとう」
「あの、それで聞いて欲しい話とは?」
「あやちゃんの女性関係のトラブルの話。この話を聞けばなんで姉ちゃんが嘘をついてまで、卯月ちゃんをあやちゃんから遠ざけようとしたかわかるよ」
……女性関係のトラブル。
速水さんに一体何があったんだろう?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる