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6話 速水さんの気持ち
《5》
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「ゆりさんは私がその女の人みたいに速水さんに刃物を向けると思ったんですか?」
タクヤ君がポリポリと頭をかき、困ったような笑みを浮かべる。
「卯月ちゃんが刃物を向けるとまでは思ってないと思うよ。ただ、その事件のせいで、あやちゃん、当時付き合っていた彼女と別れる事になったんだ。大学生の頃から付き合っていた子でさ。そろそろ結婚という話も出ていたらしい」
結婚を考えていた彼女と別れたなんて、速水さん、辛かっただろうな。その頃の速水さんを想像したら胸が痛くなってくる。
「さすがにあやちゃん、ストーカー事件の後は塞ぎ込んでさ。それで姉ちゃん、責任感じてさ」
「なんでゆりさんが責任を感じるんですか?」
「実はさ、ストーカーの女をあやちゃんに紹介したのは姉ちゃんなんだよ。だからさ、姉ちゃん、あやちゃんに紹介した事ずっと悔やんでてさ。それ以来、私が速水くんを守るって言って、あやちゃんに近づく女性を片っ端から叩き落としてるんだ」
それでゆりさん、あんなに強い調子で私に速水さんに近づくなと言ったんだ。
「そうだったんですか」
やっぱり速水さんは私を遠ざける為にゆりさんの所に連れて行ったんだ。私の告白を聞いて、刃物を向けた女の人みたいになったら困ると思ったんだ。
ゆりさんにはどう思われても構わないけど、速水さんに刃物を向けるような人間だと思われるのは辛いな。
タクヤ君がポリポリと頭をかき、困ったような笑みを浮かべる。
「卯月ちゃんが刃物を向けるとまでは思ってないと思うよ。ただ、その事件のせいで、あやちゃん、当時付き合っていた彼女と別れる事になったんだ。大学生の頃から付き合っていた子でさ。そろそろ結婚という話も出ていたらしい」
結婚を考えていた彼女と別れたなんて、速水さん、辛かっただろうな。その頃の速水さんを想像したら胸が痛くなってくる。
「さすがにあやちゃん、ストーカー事件の後は塞ぎ込んでさ。それで姉ちゃん、責任感じてさ」
「なんでゆりさんが責任を感じるんですか?」
「実はさ、ストーカーの女をあやちゃんに紹介したのは姉ちゃんなんだよ。だからさ、姉ちゃん、あやちゃんに紹介した事ずっと悔やんでてさ。それ以来、私が速水くんを守るって言って、あやちゃんに近づく女性を片っ端から叩き落としてるんだ」
それでゆりさん、あんなに強い調子で私に速水さんに近づくなと言ったんだ。
「そうだったんですか」
やっぱり速水さんは私を遠ざける為にゆりさんの所に連れて行ったんだ。私の告白を聞いて、刃物を向けた女の人みたいになったら困ると思ったんだ。
ゆりさんにはどう思われても構わないけど、速水さんに刃物を向けるような人間だと思われるのは辛いな。
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