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雨宮課長のミートソース
《4》
フライパンの中でぐつぐつと煮立っているミートソースに課長が慣れた様子でハーブ類を入れていった。
何のハーブか聞くと課長が教えてくれる。
「バジル、ローズマリー、タイム、オレガノ、それからローリエだよ」
なんか課長の作るミートソースお洒落。
「奈々ちゃん、ローズマリーの量は気をつけてね。入れすぎると薬みたいな味になるから」
「そうなの? 沢山いれれば美味しくなると思っていた」
課長がクスッと笑う。
「沢山入れていいのはバジルかな。バジル多めは俺は好きだよ」
「私もバジル好きで、昔、観葉植物代わりに育てていた事がありました」
「家庭菜園か。いいね。それで今は?」
「聞かないで下さい。人には向き不向きがあるんです」
「枯らしたな」と言って、課長が楽し気に笑い、頬にチュッとキスしてくれた。不意のキスが嬉しい。
「さあ、お姫様、あとは20分煮込んで完成。完成までの時間はくっついていようか」
隣に立つ私を課長が抱きしめてくれる。
「……はい」
ミートソースが出来るまでの20分、課長はずっと抱きしめていてくれた。そのせいで少しパスタを茹でる時間が遅くなったけど、課長に沢山甘やかされて幸せ。
課長が作ってくれたミートソースは世界一美味しかった。
美味しいを連発しながら食べていると、奈々ちゃんは本当に作り甲斐があるねって、言ってくれた。
課長が不意に「会社ではありがとう」と切り出した。
一瞬何の事だろうと思う。首を傾げて考えていると、課長がクスッと笑う。
「社食での事」
ようやくピンときた。
「俺を庇ってくれたんだろ?」
「すみません。私、後先考えず余計な事しました。結果的に雨宮課長に頭を下げさせる事をしてしまって」
「嬉しかったよ。だけど」
眼鏡越しの瞳が心配そうに揺れる。
「奈々ちゃん、大丈夫だった? 誰かに何か言われなかった? なんか変な噂を耳にしたけど」
私の手を優しく握りながら訊いてくれる。
心配してくれたんだと思ったら、胸が詰まって、喉の奥に熱い塊がこみあげてくる。
「大丈夫です。中島奈々子は無敵なんです」
おどけて笑って見せると、課長が「俺の恋人は逞しいな」と頭を撫でてくれた。
俺の恋人……。さり気なく言われた言葉に胸が高鳴る。
嬉しい! 嬉しくて堪らない! 課長がハッキリと恋人宣言してくれて、不安だった気持ちが吹き飛んだ。
嬉しさを噛みしめていると、課長に「ほっぺが落ちそうなぐらい緩んでるけど」って優しく頬を摘まれる。
えへっ、だって幸せなんだもの。
何のハーブか聞くと課長が教えてくれる。
「バジル、ローズマリー、タイム、オレガノ、それからローリエだよ」
なんか課長の作るミートソースお洒落。
「奈々ちゃん、ローズマリーの量は気をつけてね。入れすぎると薬みたいな味になるから」
「そうなの? 沢山いれれば美味しくなると思っていた」
課長がクスッと笑う。
「沢山入れていいのはバジルかな。バジル多めは俺は好きだよ」
「私もバジル好きで、昔、観葉植物代わりに育てていた事がありました」
「家庭菜園か。いいね。それで今は?」
「聞かないで下さい。人には向き不向きがあるんです」
「枯らしたな」と言って、課長が楽し気に笑い、頬にチュッとキスしてくれた。不意のキスが嬉しい。
「さあ、お姫様、あとは20分煮込んで完成。完成までの時間はくっついていようか」
隣に立つ私を課長が抱きしめてくれる。
「……はい」
ミートソースが出来るまでの20分、課長はずっと抱きしめていてくれた。そのせいで少しパスタを茹でる時間が遅くなったけど、課長に沢山甘やかされて幸せ。
課長が作ってくれたミートソースは世界一美味しかった。
美味しいを連発しながら食べていると、奈々ちゃんは本当に作り甲斐があるねって、言ってくれた。
課長が不意に「会社ではありがとう」と切り出した。
一瞬何の事だろうと思う。首を傾げて考えていると、課長がクスッと笑う。
「社食での事」
ようやくピンときた。
「俺を庇ってくれたんだろ?」
「すみません。私、後先考えず余計な事しました。結果的に雨宮課長に頭を下げさせる事をしてしまって」
「嬉しかったよ。だけど」
眼鏡越しの瞳が心配そうに揺れる。
「奈々ちゃん、大丈夫だった? 誰かに何か言われなかった? なんか変な噂を耳にしたけど」
私の手を優しく握りながら訊いてくれる。
心配してくれたんだと思ったら、胸が詰まって、喉の奥に熱い塊がこみあげてくる。
「大丈夫です。中島奈々子は無敵なんです」
おどけて笑って見せると、課長が「俺の恋人は逞しいな」と頭を撫でてくれた。
俺の恋人……。さり気なく言われた言葉に胸が高鳴る。
嬉しい! 嬉しくて堪らない! 課長がハッキリと恋人宣言してくれて、不安だった気持ちが吹き飛んだ。
嬉しさを噛みしめていると、課長に「ほっぺが落ちそうなぐらい緩んでるけど」って優しく頬を摘まれる。
えへっ、だって幸せなんだもの。
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