雨宮課長に甘えたい

コハラ

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佐伯リカコの本心

《4》

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私は拓海さんと佐伯リカコがいるテーブルから三列離れた席に移った。そこには今日子さんと望月先生がいた。

望月先生が私のグラスにビールを注ぎながら、「佐伯リカコに嫉妬している顔だな」と笑った。

ドキッとして、望月先生を見るとさらに可笑しそうに笑う。

「先生、人の恋路を邪魔しては何とかって言いますよ。真剣な気持ちを揶揄してはいけませんよ」

今日子さんが注意する。

「中島さん、ごめんなさい。先生は意地悪な所があるから」

私の気持ち、望月先生にも今日子さんにもわかっちゃったの? 
今夜は上司と部下の距離でいるのに、なんでわかったの?

「その顔はなんでと書いてあるな。お前さんはわかりやすいって事だ」

豪快に先生が笑った。

望月先生が鋭いのか、私がわかりやすいのか……。

気持ちが顔に出ないように気をつけなきゃ。

「中島さん、あのイケメン上司も中島さんに気がありそうだぞ。もしかして」

考えるように望月先生が私の顔を見つめる。
整った顔立ちに見つめられ、緊張する。

「な、なんですか?」
「耳を貸せ」

言われた通りにすると、望月先生が私の耳の中で囁いた。

「イケメン上司と不倫中か?」

どうして私がそんな風に言われなきゃいけないの。
不倫をしているのは佐伯リカコの方なのに。

心が痛い。

「な、中島さん、ごめんなさい。こっちへ」

今日子さんが私の手を取り、引っ張った。
言われるままお座敷を出て、誰もいない隣の客間に入った。
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