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番外編
《13》
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リビングに出て行くと、エプロン姿の雨宮課長がキッチンに立っていた。
「奈々ちゃん、そこに座ってて」
雨宮課長に指示されたダイニングテーブルに腰を下ろすと、課長がテーブルの上に料理を並べた。
明るいブラウンのダイニングテーブルの上に並んだのは親子丼とお味噌汁に、かぼちゃの煮物だ。
雨宮課長が私の向かい側に腰を下ろし、二人でいただきますと手を合わせてから食べ始めた。
まずは親子丼に箸を伸ばし、半熟の卵が絡まった鶏肉を口に入れる。
その瞬間、出汁と醤油とみりんが丁度良く混ざった少し甘めの割り下の味がして、大きく目を見開いた。
この割り下が柔らかな鶏肉と絡まって、めちゃくちゃ好みの味だ。
割り下の染みたちょっと茶色くなったご飯も美味しい。
お味噌汁はカツオ出汁のいいお味だし、カボチャの煮物は私の好きな甘さ。
どれも病院で食べたご飯の百倍は美味しい。
お母さんの言った通り、雨宮課長は家事上手。
「雨宮課長、お料理上手なんですね」
素直な感想が出た。
向かい側で同じように親子丼を食べていた雨宮課長が口の端をあげて、ニコリと微笑む。
「ありがとう。奈々ちゃんに喜んでもらえて嬉しいよ。初めて奈々ちゃんに作ってあげたのが親子丼だったんだ」
そう言われて思い出そうとするが、全く覚えていなかった。
こんなに美味しいものを食べた記憶がないのはショックだ。
「奈々ちゃん、大丈夫?」
黙ったままの私に雨宮課長が心配そうな視線を向ける。
「はい。大丈夫です。本当に美味しいな」
これ以上、雨宮課長に心配をかけたくなくて、明るく振る舞った。
そんな私を見て、雨宮課長がクスリと笑う。
「奈々ちゃんの胃袋は掴めたかな?」
「はい、もう」
ぷっと雨宮課長が笑った。
目尻を下げて笑った顔が優しくて、心臓がぎゅっと掴まれる。
「私、何か変な事言いました?」
「いや。奈々ちゃんは奈々ちゃんだなと思って」
「それってどういう意味で?」
「食べる事が大好きな所は変わらないって意味。俺、奈々ちゃんが幸せそうな顔をして食べる顔が好きなんだ。いつも奈々ちゃんは俺の作ったご飯を本当に嬉しそうな顔をして食べてくれるんだ」
目を細めてどこか遠くを見つめる雨宮課長に切なくなる。
今、雨宮課長が思い浮かべているのは、ここにいる私ではなく、記憶を失くす前の私……。そう思ったら、申し訳なさでいっぱいになる。
「すみません」
「なんで謝るんだ?」
「だって私……、雨宮課長の事、覚えていないから」
なんで覚えていないんだろう。
昨日から問い続けているけど、答えは見つからない。
「奈々ちゃん、自分を責めないで。奈々ちゃんは悪くないから。ね」
正面から大きな手が伸びて来て、ネットで覆われていない部分の頭を撫でてくれる。手のひらから大丈夫だよっていう雨宮課長の気持ちが伝わって来て、目の奥が熱くなる。
記憶のない私にも優しくしてくれる雨宮課長を見て、心から私のことを大切に思ってくれているんだと感じた。
「奈々ちゃん、そこに座ってて」
雨宮課長に指示されたダイニングテーブルに腰を下ろすと、課長がテーブルの上に料理を並べた。
明るいブラウンのダイニングテーブルの上に並んだのは親子丼とお味噌汁に、かぼちゃの煮物だ。
雨宮課長が私の向かい側に腰を下ろし、二人でいただきますと手を合わせてから食べ始めた。
まずは親子丼に箸を伸ばし、半熟の卵が絡まった鶏肉を口に入れる。
その瞬間、出汁と醤油とみりんが丁度良く混ざった少し甘めの割り下の味がして、大きく目を見開いた。
この割り下が柔らかな鶏肉と絡まって、めちゃくちゃ好みの味だ。
割り下の染みたちょっと茶色くなったご飯も美味しい。
お味噌汁はカツオ出汁のいいお味だし、カボチャの煮物は私の好きな甘さ。
どれも病院で食べたご飯の百倍は美味しい。
お母さんの言った通り、雨宮課長は家事上手。
「雨宮課長、お料理上手なんですね」
素直な感想が出た。
向かい側で同じように親子丼を食べていた雨宮課長が口の端をあげて、ニコリと微笑む。
「ありがとう。奈々ちゃんに喜んでもらえて嬉しいよ。初めて奈々ちゃんに作ってあげたのが親子丼だったんだ」
そう言われて思い出そうとするが、全く覚えていなかった。
こんなに美味しいものを食べた記憶がないのはショックだ。
「奈々ちゃん、大丈夫?」
黙ったままの私に雨宮課長が心配そうな視線を向ける。
「はい。大丈夫です。本当に美味しいな」
これ以上、雨宮課長に心配をかけたくなくて、明るく振る舞った。
そんな私を見て、雨宮課長がクスリと笑う。
「奈々ちゃんの胃袋は掴めたかな?」
「はい、もう」
ぷっと雨宮課長が笑った。
目尻を下げて笑った顔が優しくて、心臓がぎゅっと掴まれる。
「私、何か変な事言いました?」
「いや。奈々ちゃんは奈々ちゃんだなと思って」
「それってどういう意味で?」
「食べる事が大好きな所は変わらないって意味。俺、奈々ちゃんが幸せそうな顔をして食べる顔が好きなんだ。いつも奈々ちゃんは俺の作ったご飯を本当に嬉しそうな顔をして食べてくれるんだ」
目を細めてどこか遠くを見つめる雨宮課長に切なくなる。
今、雨宮課長が思い浮かべているのは、ここにいる私ではなく、記憶を失くす前の私……。そう思ったら、申し訳なさでいっぱいになる。
「すみません」
「なんで謝るんだ?」
「だって私……、雨宮課長の事、覚えていないから」
なんで覚えていないんだろう。
昨日から問い続けているけど、答えは見つからない。
「奈々ちゃん、自分を責めないで。奈々ちゃんは悪くないから。ね」
正面から大きな手が伸びて来て、ネットで覆われていない部分の頭を撫でてくれる。手のひらから大丈夫だよっていう雨宮課長の気持ちが伝わって来て、目の奥が熱くなる。
記憶のない私にも優しくしてくれる雨宮課長を見て、心から私のことを大切に思ってくれているんだと感じた。
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