テイマーと錬金術の職業で冒険したい!

青空鰹

文字の大きさ
8 / 101

サシャさんのお仕事……気にしない方がいいかもしれない

しおりを挟む
 私の名前は サシャ 。名も無い開拓地で生まれたヒューマンで、物心が付いた頃に両親が行方不明なってしまい、誰も私の引き取り手が居なかったのでスラムの孤児になってしまった。
 路地裏でその日の食べ物を探すのが当たり前だった私に声を掛けてくれたのが、殺しを専門とした闇ギルドだった。普通なら断っている誘いだが、当時の私は今の生活から脱せれば何でもやると思い、闇ギルドに入って暗殺者の職に就いた。
 頑張って魔物を倒して暗殺者のレベルを上げて、初仕事をボスから貰ったまでは良かった。
 目的地へ向かう途中に魔物に襲われてしまい、深傷を負ってしまった。もうここで死んでしまうんだろうなぁ。と思っているところにバルグ様に拾われて命を救われ、その恩返しに仕えているのだ。
 そして現在、メイド長としての地位まで上り詰めたのだが、何とその旦那様が亡くなってしまった。と言う知らせを受けた。

 「旦那様が……嘘ですよね?」

 「いいえ。冒険者達を逃す為に、自ら囮になられたようです」

 私はその言葉に悲しみを感じて、その場に崩れ落ちてしまった。

 「私が……私が付いて行けば……こんな、こんなことには……」

 「しっかりして、サシャ!」

 「そうよ! 今アナタが悲しんだら、奥様が大変なことになってしまわれます!」

 ハッ⁉︎ そうだ! このまま落ち込んではいられないんだった!

 他のメイド達の言葉を受け、立ち直ったサシャは改めて冒険者ギルドの職員の女性に顔を向ける。

 「失礼致しました。奥様には私から伝えます。なので、このままお帰り頂いても構いません」

 「……はい。私は、冒険者ギルドに戻ります」

 「わざわざここまで来て頂き、有り難うございました」

 ギルド職員の女性は申し訳なさそうな顔で屋敷を出て行くのを見送ると、奥様の元へ行き、旦那様が亡くなったことを伝えたら、私以上に泣いていらっしゃいました。
 その姿を見て、旦那様が大切にしていたものを、私が守ろうと改めて決意をしたのだったが……。

 「旦那様が生きていらっしゃったぁっ!⁉︎」

 「はい! 今、布団に包まった女性と共に屋敷に向かっているそうです!」

 どう言う事? 女性? 布団に包まったって……まさか!

 「旦那様が、奥様に黙って合い挽きをして……」

 「イヤイヤイヤイヤッ⁉︎ その人がバルグさんを助けた張本人らしいです!」

 「そうなのですか?」

 「はい、何でも濡れた服を乾かす為、焚き火の側で服を干したら燃え移ったみたいで……」

 にわかに信じられない話と思えてしまう。まぁ、こっちに来ていらっしゃるのでしたら、お出迎えするのが筋。なので、使用人達に言い聞かせて来客の準備をさせるが、みんな旦那様が生きていた事に感激しているのか、泣きながら仕事をしている。なので旦那様が着くまでに、涙目を何とかするようにも言っておいた。
 そして旦那様が黒髪でブラウンの瞳の女性と共にお帰りになられた。

 思っていたよりも、可愛い顔をしていますね。それにワンちゃんを引き連れているとは……。

 私がそんなことを思っていると奥様が2階から降りて来て、いつものお帰りの挨拶をした。私達は慣れているから平気だが、お客様である黒髪の女性には刺激的なものだったらしく、顔を赤らめていた。ホント、こればかりはお客様の前でやらないで貰いたい。
 ……っと! 話が逸れてしまいましたが、私達は黒髪の女性を見て、この女性が何処か他の国、または商会から来たスパイ。最悪の場合、暗殺者かもしれんないと考えながら警戒していた。因みに、そのワンちゃんがフェンリルの幼体だった事に、表情には出していないが使用人のほとんどが驚いていた。
 そんなこんなで、旦那様が私に向かって声を掛けて来た。

 「まぁまぁ、細かい事は後で私から話すよ。それよりもサシャ、彼女にお召し物を渡してあげて下さい」

 これは! 相手を見定める千載一遇のチャンスッ‼︎

 私はカイリと言う名の女性に向かって殺気を放ちながら近付き、布団に手を掛けて引っ張った!

 ……ん?

 普通の暗殺者とかスパイなら、私の行動に気付いて避けたりするところだが、彼女は全く避けなかった。それどころか、私の行動に驚いている。

 もしや、これも演技?

 その後も、お風呂場に連れて行き、背後に回ってブラのホックを取ったり、身体を洗っている時に手刀の真似をしてみたのだが、全く反応しなかった。
 因みに、パンツに手を掛けるのは流石にやり過ぎと思ったので、やった本人を後で叱りました

 ……カイリ様なら心配はしなくていいかもしれない。

 そんな気持ちで監視を続けてみたら、驚くような行動を見せた。

 指輪が形を変えた! やはりあの指輪は装飾化武装だった! あの持っている物は何なのかしら? 見たことがないわ。

 その後も、アイテムボックスから手紙を取り出し、何かぶつぶつと話した後、アイテムを取り出した。

 薬草とぉ……水でしょうか? アイテムボックスを持っている事は、聞いていたのですが、彼女はあの2つを使って何をする気なのでしょうか?

 疑問に思っていると、カイリ様の掛け声と共に部屋の中が輝き出し、輝きが収まると、緑色の液体が入った瓶が現れた。

 「これが……ポーション」

 「……ポーション?」

 一瞬でポーションを作ったと言うのですか? 私が知ってるのは、薬草を潰して鍋に煮詰め……考えるよりも、確かめた方がよさそうですね。

 私は屋敷の警備を装い、カイリ様が作ったと思わしきポーションを回収して、改めてカイリ様が作ったポーションを見つめる。

 「ムゥ~……ホント、これは中々の品物ですね」

 店で売られているポーションは、作り手によって変わるものだから、瓶の形が不揃いで、回復効果もバラ付きもある。しかも、練金術ギルドや薬剤ギルドが認可していない物になると、水増しした粗悪品を掴まされる可能性があるのだ。
 その粗悪品のポーションを見分ける方法については、基本的に色合いで見分けられる。色が濃ければ間違いないが、飲もうものなら苦くて青臭い。それだけじゃなく、傷口にポーションを掛けると、凄く滲みて泣き叫びたくなるほど痛い思いをする。
 逆に水増ししているものなら、色が薄くて回復効果も薄まる。

 色がキレイで薬草の粉が舞ってない。しかもあの光は魔法……つまり、彼女は魔法で作ったって事ですよね? 彼女は一体何者なのでしょうか?

 カイリに対して不信感を感じている中、背後に気配を感じ取ったので振り返る。

 「いい反応ですね! メイド長!」

 「マナ。悪戯は止めて下さいと、言ったではありませんか」

 私の目の前で耳をピョコピョコさせる発育のいい猫人族の女性は、私の直属の部下でもあるマナで、屋敷の掃除屋兼諜報員である。

 「ねぇねぇ、メイド長が持ってるのってポーションだよね? 倉庫から盗んだの?」

 「何をバカな事を仰っているのですか。アナタも見ていたんでしょう。カイリ様の様子を」

 「アハハッ⁉︎ バレてたんね! あの子凄いよねぇ! ピカッと光らせて、一瞬でポーションを作るんだから!」

 やっぱり、見てたのですね。この性格が何とかなれば、メイドとして完璧なんですけど……。

 「ハァ~…………」

 私が深くため息を吐いている間、手に持っているポーションをジロジロ見つめて来る。

 「カイリちゃんが作ったポーションは、品質がよさそぉ~!」

 「カイリ様が作ったかどうかは、判断出来ませんよ」

 「どうして?」

 「外に出していた薬草と水を、ライトの魔法で光り輝かせている間にアイテムボックスの中へ戻してポーションを外に出した。その可能性が……」

 「ないと思うよ」

 口の聞き方にイラッと感じてしまうが、ここは堪える。

 「こんなにいいポーションは、中々手に入らないと思うし、何よりもここでそんなことするメリットはないよ。
 持ってるなら、もう既にご主人様に見せてるよ」

 「確かに……それは言えてますね」

 「って言うか報告なんだけど……ここに向かっている虫が3匹いるから、駆除の準備した方がいいよ」

 「ッ⁉︎ それを先に言いなさいっ‼︎」

 私がそう言うと、マナは一歩下がった。

 「そんな怒らなくてもいいでしょぉ~。それに追加なんだけど、その3人はご主人様を見捨てた張本人だよ」

 「……本当ですか?」

 「本当だよ。多分、腹いせに旦那様の元に来たんだろうね…………こうなったのは自分達のせいなのに」

 メルの声に怒気を感じさせる。このまま私が行けと言ったら、即座にその人達の元へ行くでしょう。

 「まぁ落ち着きなさい。他の者を呼んで、準備を整えなさい。いい、いつも通り旦那様達が起きる前に、庭園の手入れをするのですよ……マナ」

 「かしこまりましたぁっ‼︎」

 マナが目の前から消えたのを確認すると、私もポケットから手袋を取り出して準備に取り掛かる。

 「さて……屋敷に来る虫を歓迎をしましょうかぁ」

 こうして、真夜中にノコノコと屋敷にやって来た虫を私達は駆除をした……声が聞こえた? 何を仰っておられるのですか、虫が声を出す訳ありませんよ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...