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受付け嬢が怖いです
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カイリはベルス武具店で働く店長と店員の2人に睨まれながらも、強化した鉄の剣をベルスに売った。
50レザのボロい剣が新品同様になって強化能力を把握出来て、しかも攻撃力も上がったのをベルスさん達が買えると言うwin-winな関係の筈なのに、何で俺が怒られているような気持ちにならなきゃいけないんだ?
「~~~♪」
ベルスさん達が怖いって? ……ファニーちゃんが言ったことをベルスさん達に伝えたら、もっと怒りそうだから伝えないようにしておこう。
「キャンッ⁉︎」
ファニーちゃんを見つめてそう思っていたら、今度はルルが近付いて来て「お外で遊びたい!」と言いたそうに吠えた。
ああ~……そうだよな。俺ばっかの用事に付き合わせてるからな。
「この後冒険者ギルドに行ってキバネズミの討伐を受けるから、それまで我慢してくれるか?」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「はぁい!」と元気な返事をしたので、心がキュンッとなった。やっぱりルル可愛い子!
「カイリ様お待たせ致しました。こちらが買取金額の900レザです」
ベルスさんはそう言ってテーブル900レザを置くが、いかんせんマーヤさんと同様に「有無も言わせないぞ」と言う顔をしている。のでカイリは黙って受け取った方が身の為だと察した。
「あ…はい。どうもありがとうございます」
ベルスさん達にお礼を言うと900レザをアイテムボックスの中へと入れたら、マーヤさんが話掛けて来る。
「特注の道具に付いては、出来次第冒険者ギルドに連絡を入れるので、楽しみにしていて下さいね」
「わかりました」
念の為ベルスさん達に参考用として弾薬1つとスピードローダー付きの弾を渡しておいた。道具を作り終えたら一緒に返してくれるらしい。
「道具の製作も頼めたことだし、それじゃあ俺はこれで……」
「カイリ様! ちょっと待って下さいっ‼︎」
……まだ何かあるのか?
「先ほども話しましたが、くれぐれも強化を人前で使用しないようにして下さい。変な人に目を付けられたら……」
「俺を利用しようって考えを持った人が現れるかもしれないってことですよね?」
カイリがそう言うとベルスは真剣な表情で頷いた。
もう耳にタコが出来るんじゃないか。ってぐらいにしつこく話されたから、覚えちゃったよぉ~……。
「私達もカイリ様に時々依頼するかもしれないので、その時はよろしくお願い致します」
これもねぇ~……5回目だよ
「はい、わかりました。……みんな行こうか」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
イスから立ち上がったら、プル太郎がいつものポジションと言わんばかりに頭の上に乗って来た。
……プル太郎はホントそこが好きだね。
「それじゃあ、ありがとうございました!」
「こちらこそ、またのご来店をお待ちしております!」
ベルスさん達にそう言うと、お店を出て冒険者ギルドへと向かう。
「ダンジョンに行ったおかげでレベルアップしたから、今日のキバネズミの討伐は楽になりそうかな?」
プルンッ⁉︎
プル太郎が「1ぐらいしか上がってないじゃん!」と言いたそうに震えた。
「レベル1でも大きな変化だと俺は思っているぞ。ましてや俺達はチームで戦っているんだから、全員レベルアップしていたら差は歴然だと思うし」
……プルンッ⁉︎
プル太郎は「そうかなぁ?」と言いたそうな感じで震えた。
「俺はそうだと思ってるよ。そしてその検証も兼ねてキバネズミの討伐を受けるんだから」
なんてプル太郎と話していたら、冒険者ギルドに着いてしまった。
「さてと…冒険者ギルドに着いたんだし、気を引き締めて依頼をこなそう!」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達とエイエイオー! 的な感じで右腕を上げた後、冒険者ギルドへと入る。
あれ? 何だか今日は人が少ない気がするなぁ……。俺の気のせいか?
そんなことを思いながら依頼が貼ってあるボードの前に行く。
そしてそのボードは冒険者ギルドではクエストボードと呼ばれていて、ランクごとに分けてあるので自分に見合った依頼を見つけやすいのだ。
ああ~……庭の雑草取りや荷物の積み下ろしの仕事がまだ貼ってある。こういったのって人手不足から来ているのか?
「~~~♪」
ファニーちゃんが「この依頼受けないの?」と言いたそうな声を出しながら、キバネズミ討伐の依頼書を指さしてる。
「そうだった。見つけてくれてありがとう。ファニーちゃん」
カイリがそう言うと、ファニーは嬉しそうにカイリの周りを飛んだ。
そしてクエストボードからその依頼を引っぺがし、受付けへと持って行く。
「すみません。この依頼を受けたいんですけど」
「はい。冒険者ギルドカードの提示をお願い致します」
受付け嬢に冒険者ギルドカードを見せたら、受付け嬢が驚いた表情を見せる。
「しょ…少々お待ち下さい!」
彼女はそう言うと急いだ様子で受付けから離れてしまった。
「あの人一体どうしたんだ?」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「アンジーが来る!」とか言いたそうに吠えたので、俺は思わず苦笑いする。
「まさかぁ…キバネズミの討伐依頼を受けるだけなのに、アンジーさんが対応するなんて……」
「そのまさかの私、アンジーがカイリさんの対応をさせて頂きます」
「……」
本当にアンジーさんが来たよっ! しかもファニーちゃんとプル太郎も同じことを思ってたらしく、同じように驚いていたっ‼︎
「どうもカイリさん。ここからは私が対応させて頂きます」
そう言ってペコリと頭を下げるが、頭を上げた時にニッコリとした表情にカイリの背筋がゾクッ⁉︎ とした。
「あ…はい。どうも……よろしくお願い致します」
「今回のご依頼はキバネズミの討伐でよろしいんですね?」
「……はい! その通りです!」
「では手続きをするので、こちらの依頼書にサインとカイリさんのギルドカードを渡して下さい」
「はい!」
この人怖い! さっきの受付けの人がよかった! マジで戻って来てくれぇえええええええええええええっっっ‼︎⁉︎
カイリはそんなことを思いながらアンジーに言われた通り、受諾書にサインと冒険者ギルドカードを渡した。
クエスト受託の手続き自体はスムーズに終わったが、カイリからしてみればとても長く感じた。
「……はい確かに。受理致しました」
やっと終わったぁ~……。
「ところでカイリさん。お願いがあるのですが、聞いてくれますか?」
「えっ⁉︎ お願い? まさか無理難題を……」
「そんな無理難題は言いませんよ」
「え? じゃあ何ですか? 話し次第で無理だと思ったら断るけどぉ……」
カイリがそう言うと、アンジーはちょっと困った様子で頬に手を当てて話し出した。
「今回のキバネズミ討伐依頼なのですが、この間のように多めに狩って来てくれますか?
もちろん討伐規定の5匹だけ狩って来ても以来達成ですから大丈夫なのですけど」
多めに狩って来て欲しいって、どういうことだ?
プルンッ⁉︎
「……プル太郎がアンジーさんに対して、どうして? って言いたそうにしている」
「理由は単純明快で、この街にいたEランクから上のほとんどが遠征に行ってしまっていて、街の近くにいる魔物を狩ってくれる人が少ないんですよ。
何でも鉱山を掘っていたらダンジョンに当たって繋がってしまったから、その対応しなきゃいけないそうです」
ありゃま、それは大変だ。
「じゃあランクの高い人達のほとんどが、ダンジョン攻略に行っちゃったんだ」
「はい。早い人になれば今日の夜か、もしくは明後日辺りに帰って来るようです」
「そうなんだぁ~……」
まぁキバネズミぐらいなら俺達で対応出来るしな。
「わかった。出来るだけ多めに倒すようにするよ!」
「ありがとうございます。カイリさん」
「それじゃあ、行って来ます!」
「気を付けて下さいね!」
カイリ達はアンジーに見送られながら、冒険者ギルドを後にしたのであった。
50レザのボロい剣が新品同様になって強化能力を把握出来て、しかも攻撃力も上がったのをベルスさん達が買えると言うwin-winな関係の筈なのに、何で俺が怒られているような気持ちにならなきゃいけないんだ?
「~~~♪」
ベルスさん達が怖いって? ……ファニーちゃんが言ったことをベルスさん達に伝えたら、もっと怒りそうだから伝えないようにしておこう。
「キャンッ⁉︎」
ファニーちゃんを見つめてそう思っていたら、今度はルルが近付いて来て「お外で遊びたい!」と言いたそうに吠えた。
ああ~……そうだよな。俺ばっかの用事に付き合わせてるからな。
「この後冒険者ギルドに行ってキバネズミの討伐を受けるから、それまで我慢してくれるか?」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「はぁい!」と元気な返事をしたので、心がキュンッとなった。やっぱりルル可愛い子!
「カイリ様お待たせ致しました。こちらが買取金額の900レザです」
ベルスさんはそう言ってテーブル900レザを置くが、いかんせんマーヤさんと同様に「有無も言わせないぞ」と言う顔をしている。のでカイリは黙って受け取った方が身の為だと察した。
「あ…はい。どうもありがとうございます」
ベルスさん達にお礼を言うと900レザをアイテムボックスの中へと入れたら、マーヤさんが話掛けて来る。
「特注の道具に付いては、出来次第冒険者ギルドに連絡を入れるので、楽しみにしていて下さいね」
「わかりました」
念の為ベルスさん達に参考用として弾薬1つとスピードローダー付きの弾を渡しておいた。道具を作り終えたら一緒に返してくれるらしい。
「道具の製作も頼めたことだし、それじゃあ俺はこれで……」
「カイリ様! ちょっと待って下さいっ‼︎」
……まだ何かあるのか?
「先ほども話しましたが、くれぐれも強化を人前で使用しないようにして下さい。変な人に目を付けられたら……」
「俺を利用しようって考えを持った人が現れるかもしれないってことですよね?」
カイリがそう言うとベルスは真剣な表情で頷いた。
もう耳にタコが出来るんじゃないか。ってぐらいにしつこく話されたから、覚えちゃったよぉ~……。
「私達もカイリ様に時々依頼するかもしれないので、その時はよろしくお願い致します」
これもねぇ~……5回目だよ
「はい、わかりました。……みんな行こうか」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
イスから立ち上がったら、プル太郎がいつものポジションと言わんばかりに頭の上に乗って来た。
……プル太郎はホントそこが好きだね。
「それじゃあ、ありがとうございました!」
「こちらこそ、またのご来店をお待ちしております!」
ベルスさん達にそう言うと、お店を出て冒険者ギルドへと向かう。
「ダンジョンに行ったおかげでレベルアップしたから、今日のキバネズミの討伐は楽になりそうかな?」
プルンッ⁉︎
プル太郎が「1ぐらいしか上がってないじゃん!」と言いたそうに震えた。
「レベル1でも大きな変化だと俺は思っているぞ。ましてや俺達はチームで戦っているんだから、全員レベルアップしていたら差は歴然だと思うし」
……プルンッ⁉︎
プル太郎は「そうかなぁ?」と言いたそうな感じで震えた。
「俺はそうだと思ってるよ。そしてその検証も兼ねてキバネズミの討伐を受けるんだから」
なんてプル太郎と話していたら、冒険者ギルドに着いてしまった。
「さてと…冒険者ギルドに着いたんだし、気を引き締めて依頼をこなそう!」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達とエイエイオー! 的な感じで右腕を上げた後、冒険者ギルドへと入る。
あれ? 何だか今日は人が少ない気がするなぁ……。俺の気のせいか?
そんなことを思いながら依頼が貼ってあるボードの前に行く。
そしてそのボードは冒険者ギルドではクエストボードと呼ばれていて、ランクごとに分けてあるので自分に見合った依頼を見つけやすいのだ。
ああ~……庭の雑草取りや荷物の積み下ろしの仕事がまだ貼ってある。こういったのって人手不足から来ているのか?
「~~~♪」
ファニーちゃんが「この依頼受けないの?」と言いたそうな声を出しながら、キバネズミ討伐の依頼書を指さしてる。
「そうだった。見つけてくれてありがとう。ファニーちゃん」
カイリがそう言うと、ファニーは嬉しそうにカイリの周りを飛んだ。
そしてクエストボードからその依頼を引っぺがし、受付けへと持って行く。
「すみません。この依頼を受けたいんですけど」
「はい。冒険者ギルドカードの提示をお願い致します」
受付け嬢に冒険者ギルドカードを見せたら、受付け嬢が驚いた表情を見せる。
「しょ…少々お待ち下さい!」
彼女はそう言うと急いだ様子で受付けから離れてしまった。
「あの人一体どうしたんだ?」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「アンジーが来る!」とか言いたそうに吠えたので、俺は思わず苦笑いする。
「まさかぁ…キバネズミの討伐依頼を受けるだけなのに、アンジーさんが対応するなんて……」
「そのまさかの私、アンジーがカイリさんの対応をさせて頂きます」
「……」
本当にアンジーさんが来たよっ! しかもファニーちゃんとプル太郎も同じことを思ってたらしく、同じように驚いていたっ‼︎
「どうもカイリさん。ここからは私が対応させて頂きます」
そう言ってペコリと頭を下げるが、頭を上げた時にニッコリとした表情にカイリの背筋がゾクッ⁉︎ とした。
「あ…はい。どうも……よろしくお願い致します」
「今回のご依頼はキバネズミの討伐でよろしいんですね?」
「……はい! その通りです!」
「では手続きをするので、こちらの依頼書にサインとカイリさんのギルドカードを渡して下さい」
「はい!」
この人怖い! さっきの受付けの人がよかった! マジで戻って来てくれぇえええええええええええええっっっ‼︎⁉︎
カイリはそんなことを思いながらアンジーに言われた通り、受諾書にサインと冒険者ギルドカードを渡した。
クエスト受託の手続き自体はスムーズに終わったが、カイリからしてみればとても長く感じた。
「……はい確かに。受理致しました」
やっと終わったぁ~……。
「ところでカイリさん。お願いがあるのですが、聞いてくれますか?」
「えっ⁉︎ お願い? まさか無理難題を……」
「そんな無理難題は言いませんよ」
「え? じゃあ何ですか? 話し次第で無理だと思ったら断るけどぉ……」
カイリがそう言うと、アンジーはちょっと困った様子で頬に手を当てて話し出した。
「今回のキバネズミ討伐依頼なのですが、この間のように多めに狩って来てくれますか?
もちろん討伐規定の5匹だけ狩って来ても以来達成ですから大丈夫なのですけど」
多めに狩って来て欲しいって、どういうことだ?
プルンッ⁉︎
「……プル太郎がアンジーさんに対して、どうして? って言いたそうにしている」
「理由は単純明快で、この街にいたEランクから上のほとんどが遠征に行ってしまっていて、街の近くにいる魔物を狩ってくれる人が少ないんですよ。
何でも鉱山を掘っていたらダンジョンに当たって繋がってしまったから、その対応しなきゃいけないそうです」
ありゃま、それは大変だ。
「じゃあランクの高い人達のほとんどが、ダンジョン攻略に行っちゃったんだ」
「はい。早い人になれば今日の夜か、もしくは明後日辺りに帰って来るようです」
「そうなんだぁ~……」
まぁキバネズミぐらいなら俺達で対応出来るしな。
「わかった。出来るだけ多めに倒すようにするよ!」
「ありがとうございます。カイリさん」
「それじゃあ、行って来ます!」
「気を付けて下さいね!」
カイリ達はアンジーに見送られながら、冒険者ギルドを後にしたのであった。
応援ありがとうございます!
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