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報告とヤバイ話

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 ルル達が倒してくれた5体と自分が倒した1体。計6体のキバネズミを回収した後、薬草を摘みながらキバネズミを討伐していた。……いたのだけれども。

 「短時間でこれだけ狩れるとは思っても見なかったなぁ……」

 何故カイリはそう言っているのかを説明すると、ちょっと歩いてキバネズミと遭遇して戦い、またちょっと歩いてキバネズミと遭遇しての繰り返しなので、15分ほどでキバネズミを18体も狩れてしまった。

 RPGゲームのエンカウント率よりもたけぇよ……。冒険者ギルドに渡す薬草の回収が間に合わない。と言いつつもルル達の力を借りて薬草を採取して行き、30枚も確保することが出来ていたのだ。

 「数もそれなりに集まったし、冒険者ギルドに戻ろうか」

 「キャンッ⁉︎」

 ルルが「そうだね!」と言いたそうに吠えたので、カイリはルルの言葉に意外そうな顔をさせる。

 もっと狩りたい。って言うと思ってたんだけど予想が外れたなぁ。

 何てことをカイリは思いながら門に向かって歩き出した。

 「帰ったら何しようか?」

 プルンッ⁉︎

 プル太郎が「錬金術ギルド!」と言いたそうに震えたので、カイリは「あっ⁉︎」と気が付いた様子を見せる。

 「そうだった! 錬金術ギルドにポーションとかを渡さないとな」

 「~~~♪」

 今度はファニーちゃんが「忘れちゃいけないよぉ~」と言いたそうな感じで声を掛けて来た。

 「そうだよな。忘れたらサニーさんに怒られるよなぁ~」

 「何でポーションを持って来なかったのぉおおおおおおっ!⁉︎」って泣きながら言うサニーさんの姿が容易に浮かんでしまう。

 「キバネズミ討伐の報酬もすぐ出してくれる訳じゃないから、報酬は後日出して貰うようにして錬金術ギルドにポーションを渡しに行こうか」

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 ルル達は「さんせぇ~い!」と言いたそうな返事をしてくれる。

 「……嬢ちゃん。本当は会話が出来るんじゃねぇの?」

 ルル達と話していたら、いつの間にか門の前までやって来ていたよ。

 「俺の場合はハッキリ聞こえないけど、何となくこう言ってるって感じに聞こえる。何というかぁ……ニュアンス?」

 「そっか……そんなことよりもだ。もうキバネズミを5体倒して来たのか?」

 「ああ…うん。18体も狩れたんで今日はもう帰ることにしたんだ」

 「18体⁉︎ …この短時間でか?」

 「まぁ…うん。ちょっと歩いたらすぐに他のキバネズミが襲い掛かって来る状態だったから、探す手間が省けて有り難いと言えば有り難い状態だった」

 カイリの話を聞いた門番は顔を曇らせた。

 「門番さん。どうしたんですか?」

 「あっ⁉︎ いや何……ちょっと増え過ぎな気がしてな。そんなことよりもだ。
 嬢ちゃん、街中で身長が高くて細っそりした身なりのいいオッサンを見かけたら、関わらないようにしておけよ」

 「背が高くて細っそりしたオッサン? もしかしてその人ってヤバイ人なの?」

 「ああ…貴族を中心に商売している商会長だ。先代の商会長はよかったんだが、今の商会長は稀に見るクズでな。
 商会ギルドはもちろんのこと。薬剤ギルドや錬金術師ギルドも相手にされてない状態なんだよ」

 「その人がやらかした?」

 「やらかしたと言うよりも、やらかしかけたって言った方がいいな。
 そのやらかしかけたせいで、商業ギルドの方は警戒されているからな。待遇はよくないそうだ」

 それなら大丈夫じゃねぇの?

 「…大丈夫そう。って顔をしているけどな。そいつは商売の為なら無理矢理ぶん取ることも辞さないからな」

 「マジッ⁉︎ 犯罪じゃないの?」

 「ああ犯罪だ。そいつが所属している商業ギルドも釘は刺していると思うが注意しておけよ」

 「わ…わかった。忠告してくれてありがとう」

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 ルル達も「ありがとう!」とお礼を言っている。

 「おう! またな嬢ちゃん!」

 門番に手を振って別れると冒険者ギルドへと向かった。そして冒険者ギルドに着き、建物内へ入ると受付け嬢の方からカイリ達の下にやって来た。

 「あれ? カイリさん。もうキバネズミの討伐を終わらせたのですか?」

 「はい。今日は遭遇しやすかったのかすぐに討伐目標数に達した」

 「はぁ……その5匹だけですか?」

 「いいえ。18体です」

 「18匹っ⁉︎ この短時間でキバネズミを18匹も倒したのですかぁっ⁉︎」

 「はい。…それと薬草10枚の換金もお願いしたいんですが。大丈夫ですか?」

 「構いませんよ。ここで話すのも何ですから、カウンターの方に行きましょう」

 話し掛けて来た受付け嬢の案内の下、カウンターへ向かう。

 「えっとぉ……討伐完了の確認の為にギルドカードの提示をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 「えぇ~っとぉ……はい、これ」

 「ありがとうございます」

 受付け嬢はお礼を言うと確認作業を始める。

 いつ見ても水晶にギルドカードをかざす姿が不思議で堪らないんだよなぁ~。これが地球で出来たら大きな技術革命が……。

 「確認終わりました! 本当に18匹も倒したのですね!」

 「まぁ…ね。でも塀の周りを少し歩けばすぐに見つかる状態だったから、ちょっと増えてるかもしれないよ」

 「ちょっと歩けば見つかる状態ですかぁ……」

 受付け嬢が何か思い当たる節があるような顔をさせるので、カイリは不思議そうな顔で受付け嬢を見つめる。

 「あのぉ…受付け嬢さん。何か思い当たる節があるんですか?」

 「あっ⁉︎ いえ…特にはないので気にしないで下さい! それよりも、討伐したキバネズミの素材はこちらで買取る形でよろしいでしょうか? それとも我々の方に解体を依頼しますか?」

 「16体を解体の方でお願いします! 残り2体は作業場で俺がやるんで!」

 ファニーちゃんが魔法の力加減を間違えてズバッってやっちゃったし、ルルもキバネズミの毛皮をボロボロしちゃったからな。分解スキルでやるしかない状態なんだよな。

 「かしこまりました! では解体場にご案内致します。私に付いて来て下さいね」

 受付け嬢の後に付いて行くようにして解体場へと向かうのだけれどもぉ……何か忘れているような気がする。何だっけ?

 何てことを思っていたら解体場に着いた。解体場の人達の方も俺が来たことに気付き、こっちに顔を向けてニッコリと笑顔を向けてくる。

 「おっ⁉︎ カイリ嬢ちゃんじゃないか! 今日もキバネズミを狩って持って来てくれたのか?」

 「はい! 今回は18体狩れたんだけど、その内の2体がダメになっちゃったんで練習用が16体しかないんだ」

 「それぐらいあれば平気だ! カイリ嬢ちゃんも解体するんだろう?」

 「はい! 一部の場所を借りるんですけど…大丈夫?」

 「ああ! どうせみんな暇していたところだから、使っても構わんよ!」

 …何だろう。すぐに終わるんだから貸してもいいや。って感じに聞こえてくるのは気のせいか?

 「ありがとうございます! じゃあこの上に出しますね!」

 「おう! ジャンジャン置いてくれ!」

 現場主任のその言葉に一気にテーブルに置こうかなぁ~。と思ったのだけれども、死んでいるけど雑な扱いをしたら、ちょっと可哀想じゃない? と思ったので1体ずつ置くことにした。

 「…15…16と。こっちの2体は今やっちゃいますね!」

 「おう!」

 許可が出たの売り物にならないキバネズミ2体に向かって手をかざした。

 「【分解】」

 スキルの力で毛皮と肉と牙と骨と綺麗に別れた。

 「よし。前回と同じで牙だけ貰いますね」

 「ああ、わかった。牙だけは売らないな。解体に少し時間が掛かるから向こうで待っていてくれるか?」

 「う~ん…この後錬金術ギルドに行ってポーションを売る予定だから、明日報酬と一緒に受け取るってことで大丈夫?」

 「ああ…キバネズミの解体なら、1日あれば十分だ。お前ら、今の話を聞いたなぁっ?」

 『はい、親方ぁ⁉︎』

 作業場の人達はそう返事をすると、キバネズミの解体に取り掛かり始めた。

 「よし! じゃあ作業に取り掛かれ! カイリ嬢ちゃんは、受付けの子に話を通しておいてくれよ」

 「わかった! 作業頑張って下さいね!」

 カイリはそう言うと作業場を後にしたのであった。
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