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妖精国からの知らせ
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「まぁ私達が帝国のことを考えても何も得はないから、考えるのを止めましょう」
「そうですね。念の為に聞くんですけど……その帝国から来た人達の仕事場はちゃんとあるんですか?」
俺は錬成ってスキルがあるから何処でもポーションとかを作れるけど、普通の錬金術師は俺と違って専用の道具がないと全くポーション作れない。だから空いているアトリエを提供してあげたり、何処かの貸してあげてもいいよ。と言ってくれる錬金術師のアトリエを探さないといけないらしい。
「そうね。現状はアトリエがあるところを間借りするか、私達錬金術ギルドが所有しているアトリエを提供してあげる感じね。錬金術に必要なアイテムに関してはぁ~……買うなり採って来るなり自分達で何とかして貰いましょう」
場所さえあれば何とかなるでしょ? と遠回りに言っているような気がするけど、俺自身は錬金術ギルドの職員じゃないから気にすることじゃないな。
「~~~♪」
「ファニーは何て言っているのかしら?」
「ブンゼの店はどうなったの? みたいなことを言ってます」
最近ルル達が俺と同じようにレベルアップしたせいか、話している内容が以前よりもハッキリしている気がする。
「ああ~……私が聞いた話だけど。ブンゼから商会ギルドが買取りした後に競売に賭けられたのよ。立地条件は悪くなかったから、いい値段で買い取ってくれたみたいなのよ」
「~~~♪」
ファニーちゃんが「そうなんだぁ~…」と言いたそうな声を出した後、興味をなくしたのかルル達の下へ行ってしまった。
「あっ⁉︎ ファニーちゃんと話をして思い出した! 妖精族の国からファニーちゃんのことで連絡が来たのよ!」
「ホントですか⁉︎」
それは朗報だ!
そう思い喜ぶカイリなのだがサニーの表情は芳しくない。
「ええ…ただ妖精の国と交流が深いエルフ族経由での連絡だから、ハッキリしたことが言えないの」
「どうして?」
「エルフ族の中には私のように友好的な人が多いのだけれども、一部では友好的じゃないエルフ達がいるの。公言はしてないのだけれども、エルフ至上主義って感じね」
「うわぁ~……厄介そうな人達ですね」
「ホントそうよ。こうやって街で働いている私達も目の敵にしてるし、ましてや私が故郷に帰って来れないようにする為に、色々やろうとしてるのだもの。たまったものじゃないわ!」
サニーさんはそう言うと、ムスッとした顔で机に頬杖を着いた。
「……と、重要なのはここからの話。妖精族の使者がこの街に来て、行方不明になったファニーちゃんかどうか確かめるって連絡が来たのよ」
「おお~…よかったねファニーちゃん」
「~~~♪」
ファニーちゃんが「みんなに私は無事だよと伝えられる!」みたいなことを話しながら喜ぶが、サニーさんは顔を伏せてしまう。
「その付き添いに来るエルフが、さっき話したエルフ至上主義者っぽいのよ」
「えっ⁉︎ それってヤバくない?」
「ええ、ただでさえ多種多様な種族がこの街で暮らしているのに、そんな人が来るとなると問題を起こさないか不安に感じるわね」
サニーさんはそう言いながら、不安そうな顔で天井を見つめる。
「だから私の伝手を使って、その人達だらけにならないようにお願いしたから、大丈夫な筈よ」
「サニーさんがそう言うのなら大丈夫な筈」
そんなことを言っていたら、ルルとプル太郎が俺の足元にやって来た。
「クゥ~ン……」
プルンッ⁉︎
ルル達は「「暇ぁ…」」と構って欲しそうな顔で見つめるので、思わず可愛いと思ってしまった。
「~~~♪」
ファニーちゃんが「私も暇……」と言いたそうな声を出したところで、「ハッ⁉︎」とした顔になる。
「ああ、そうだな。そろそろ広場にでも行って遊ぼうか」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達も「賛成!」と言いたそうな声を上げた!
「カイリは本当に従魔思いのいいテイマーね」
「そうですか?」
「そうよ。一部のテイマーはテイムした魔物を道具のように扱っているからね。場合によっては従魔が死んでも気にしないわ」
「それはちょっと……」
「主人としての自覚がないんじゃないか?」と言いたいんだけれども、サニーさんはテイマーじゃないから言ったところで意味がない。
「カイリはそういう人にならないように気を付けてね」
「分かりました。紅茶、ご馳走様でした」
「またポーションが出来たら持って来てちょうだいね」
サニーさんに礼を言うと、錬金術ギルドを出て広場へと向かった。
広場に着くとルル達が「わ~い!」と喜びながら駆け出した!
「ぶつからないように周りを見るんだぞ!」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達は俺に「はぁ~い!」と言った感じに返事をすると、じゃれ合い始めた。
はぁ~…平和だなぁ~……数日前のことが嘘のようだ。
広場はビッグゴーレムが暴れた場所からは少し遠いが、投石した岩がこっちに来たので敷石が少し壊れてしまった。しかし、そこは職人技。すっかり元通りになっている。
戦ったところは、まだ修復作業は終わってないんだけど、結構進んでいるから後数日で修復が終わるんじゃないかなぁ?
そんなことを思っていたら、見覚えのある人が俺に向かって走って来る。
「カイリ様ぁ~⁉︎ 探しましたよぉ~!」
「ベルスさん。そんなに慌ててどうしたんですか?」
もしかして俺が錬成した剣に何か問題が起きたのか?
「ハァー…ハァ~~~……カイリ様がご注文された品がやっと完成したので探してました!」
「探したぁ⁉︎ 宿の人に明日武具店に来るようにって、伝えるだけでもいいんじゃないんですか?」
「いえいえ! カイリ様は明日もキバネズミの討伐に向かわれるのでしょう?」
「まぁ……そうですけど」
キバネズミの討伐が俺の義務みたくなってるような気がしなくもない。
「ですので、今日の内に試着を済ませた方がよろしいかと思い、探し回ってました!」
「ご、ご苦労様です」
俺だけの為に街中を駆け回ってくれるとは……何か申し訳ないような気がして来た。
「今お暇でしたら、武具屋へ向かいましょうか?」
「ああ~……」
「ルル達を遊ばせてる途中なんだけどなぁ~……」と言いたいところ何だけど、街中を駆け回ってくれた人にそんなことを言うのは流石に失礼だから言いずらい。
「キャンッ⁉︎」
俺達の話を聞いていたルルが、いつの間にか側までやって来て「ベルスのところに行こうよ」と言いたそうに吠えた。
「遊んでる途中なのにいいのか?」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「カイリの為だから!」と言いたそうな感じに吠えたので、思わず眼頭が熱くなってしまった。
やっぱりルルはいい子だ。どこぞの駄女神と違って俺に気を使ってくれるし、どんな時でも何よりも頼りになるしな!
なんて思いながらルルを撫でてあげるとプル太郎が嫉妬した様子でやって来て、次にファニーちゃんが「私もまぜてぇ~!」と言いたそうな感じで飛んで来た!
「ここは天国⁉︎ ……ん?」
「どうかなされましたか?」
「……いや、何でもない」
なんか「どうしてカイリさんは酷いことを言うんですかぁ⁉︎ うわあぁぁぁあああああああああああんッ‼︎⁉︎」って声が聞こえて来たような気がするけど、気のせいにしておこう。聞こえたとしても相手しているだけ無駄! ルル達と遊んでいる方が1000倍重要だし当然得だ!
「……と。ルル達といつまでも遊んでいたら武具屋に行けない。ベルスさん、武具屋に行きましょうか」
「はい。カイリ様」
ルルとプル太郎を抱っこしながら、ベルスさんと共に武具店へと向かう。しかしさっきから駄女神 エイリィンの泣き声が聴こえて来る。……いい歳してるんだから、いい加減黙ってくれよ。
「そうですね。念の為に聞くんですけど……その帝国から来た人達の仕事場はちゃんとあるんですか?」
俺は錬成ってスキルがあるから何処でもポーションとかを作れるけど、普通の錬金術師は俺と違って専用の道具がないと全くポーション作れない。だから空いているアトリエを提供してあげたり、何処かの貸してあげてもいいよ。と言ってくれる錬金術師のアトリエを探さないといけないらしい。
「そうね。現状はアトリエがあるところを間借りするか、私達錬金術ギルドが所有しているアトリエを提供してあげる感じね。錬金術に必要なアイテムに関してはぁ~……買うなり採って来るなり自分達で何とかして貰いましょう」
場所さえあれば何とかなるでしょ? と遠回りに言っているような気がするけど、俺自身は錬金術ギルドの職員じゃないから気にすることじゃないな。
「~~~♪」
「ファニーは何て言っているのかしら?」
「ブンゼの店はどうなったの? みたいなことを言ってます」
最近ルル達が俺と同じようにレベルアップしたせいか、話している内容が以前よりもハッキリしている気がする。
「ああ~……私が聞いた話だけど。ブンゼから商会ギルドが買取りした後に競売に賭けられたのよ。立地条件は悪くなかったから、いい値段で買い取ってくれたみたいなのよ」
「~~~♪」
ファニーちゃんが「そうなんだぁ~…」と言いたそうな声を出した後、興味をなくしたのかルル達の下へ行ってしまった。
「あっ⁉︎ ファニーちゃんと話をして思い出した! 妖精族の国からファニーちゃんのことで連絡が来たのよ!」
「ホントですか⁉︎」
それは朗報だ!
そう思い喜ぶカイリなのだがサニーの表情は芳しくない。
「ええ…ただ妖精の国と交流が深いエルフ族経由での連絡だから、ハッキリしたことが言えないの」
「どうして?」
「エルフ族の中には私のように友好的な人が多いのだけれども、一部では友好的じゃないエルフ達がいるの。公言はしてないのだけれども、エルフ至上主義って感じね」
「うわぁ~……厄介そうな人達ですね」
「ホントそうよ。こうやって街で働いている私達も目の敵にしてるし、ましてや私が故郷に帰って来れないようにする為に、色々やろうとしてるのだもの。たまったものじゃないわ!」
サニーさんはそう言うと、ムスッとした顔で机に頬杖を着いた。
「……と、重要なのはここからの話。妖精族の使者がこの街に来て、行方不明になったファニーちゃんかどうか確かめるって連絡が来たのよ」
「おお~…よかったねファニーちゃん」
「~~~♪」
ファニーちゃんが「みんなに私は無事だよと伝えられる!」みたいなことを話しながら喜ぶが、サニーさんは顔を伏せてしまう。
「その付き添いに来るエルフが、さっき話したエルフ至上主義者っぽいのよ」
「えっ⁉︎ それってヤバくない?」
「ええ、ただでさえ多種多様な種族がこの街で暮らしているのに、そんな人が来るとなると問題を起こさないか不安に感じるわね」
サニーさんはそう言いながら、不安そうな顔で天井を見つめる。
「だから私の伝手を使って、その人達だらけにならないようにお願いしたから、大丈夫な筈よ」
「サニーさんがそう言うのなら大丈夫な筈」
そんなことを言っていたら、ルルとプル太郎が俺の足元にやって来た。
「クゥ~ン……」
プルンッ⁉︎
ルル達は「「暇ぁ…」」と構って欲しそうな顔で見つめるので、思わず可愛いと思ってしまった。
「~~~♪」
ファニーちゃんが「私も暇……」と言いたそうな声を出したところで、「ハッ⁉︎」とした顔になる。
「ああ、そうだな。そろそろ広場にでも行って遊ぼうか」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達も「賛成!」と言いたそうな声を上げた!
「カイリは本当に従魔思いのいいテイマーね」
「そうですか?」
「そうよ。一部のテイマーはテイムした魔物を道具のように扱っているからね。場合によっては従魔が死んでも気にしないわ」
「それはちょっと……」
「主人としての自覚がないんじゃないか?」と言いたいんだけれども、サニーさんはテイマーじゃないから言ったところで意味がない。
「カイリはそういう人にならないように気を付けてね」
「分かりました。紅茶、ご馳走様でした」
「またポーションが出来たら持って来てちょうだいね」
サニーさんに礼を言うと、錬金術ギルドを出て広場へと向かった。
広場に着くとルル達が「わ~い!」と喜びながら駆け出した!
「ぶつからないように周りを見るんだぞ!」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達は俺に「はぁ~い!」と言った感じに返事をすると、じゃれ合い始めた。
はぁ~…平和だなぁ~……数日前のことが嘘のようだ。
広場はビッグゴーレムが暴れた場所からは少し遠いが、投石した岩がこっちに来たので敷石が少し壊れてしまった。しかし、そこは職人技。すっかり元通りになっている。
戦ったところは、まだ修復作業は終わってないんだけど、結構進んでいるから後数日で修復が終わるんじゃないかなぁ?
そんなことを思っていたら、見覚えのある人が俺に向かって走って来る。
「カイリ様ぁ~⁉︎ 探しましたよぉ~!」
「ベルスさん。そんなに慌ててどうしたんですか?」
もしかして俺が錬成した剣に何か問題が起きたのか?
「ハァー…ハァ~~~……カイリ様がご注文された品がやっと完成したので探してました!」
「探したぁ⁉︎ 宿の人に明日武具店に来るようにって、伝えるだけでもいいんじゃないんですか?」
「いえいえ! カイリ様は明日もキバネズミの討伐に向かわれるのでしょう?」
「まぁ……そうですけど」
キバネズミの討伐が俺の義務みたくなってるような気がしなくもない。
「ですので、今日の内に試着を済ませた方がよろしいかと思い、探し回ってました!」
「ご、ご苦労様です」
俺だけの為に街中を駆け回ってくれるとは……何か申し訳ないような気がして来た。
「今お暇でしたら、武具屋へ向かいましょうか?」
「ああ~……」
「ルル達を遊ばせてる途中なんだけどなぁ~……」と言いたいところ何だけど、街中を駆け回ってくれた人にそんなことを言うのは流石に失礼だから言いずらい。
「キャンッ⁉︎」
俺達の話を聞いていたルルが、いつの間にか側までやって来て「ベルスのところに行こうよ」と言いたそうに吠えた。
「遊んでる途中なのにいいのか?」
「キャンッ⁉︎」
ルルが「カイリの為だから!」と言いたそうな感じに吠えたので、思わず眼頭が熱くなってしまった。
やっぱりルルはいい子だ。どこぞの駄女神と違って俺に気を使ってくれるし、どんな時でも何よりも頼りになるしな!
なんて思いながらルルを撫でてあげるとプル太郎が嫉妬した様子でやって来て、次にファニーちゃんが「私もまぜてぇ~!」と言いたそうな感じで飛んで来た!
「ここは天国⁉︎ ……ん?」
「どうかなされましたか?」
「……いや、何でもない」
なんか「どうしてカイリさんは酷いことを言うんですかぁ⁉︎ うわあぁぁぁあああああああああああんッ‼︎⁉︎」って声が聞こえて来たような気がするけど、気のせいにしておこう。聞こえたとしても相手しているだけ無駄! ルル達と遊んでいる方が1000倍重要だし当然得だ!
「……と。ルル達といつまでも遊んでいたら武具屋に行けない。ベルスさん、武具屋に行きましょうか」
「はい。カイリ様」
ルルとプル太郎を抱っこしながら、ベルスさんと共に武具店へと向かう。しかしさっきから駄女神 エイリィンの泣き声が聴こえて来る。……いい歳してるんだから、いい加減黙ってくれよ。
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