東京PMC’s

青空鰹

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紫音と謎の男

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 辺りを警戒しながら道路を進んでいると、ファミレスのボロボロの看板が見えたので近づき、スマートフォンのマップと照らし合わせて確認する。

「ここで合ってるみたい」

 天野さん達はもう来てるかなぁ? と思いながら辺りを見回すけどいなかった。

 「・・・・・・どうしよう。このまま待っていればいいのかな? それともこのお店の中に入って見た方がいいかな?」

 慌てた様子でお店の前をウロウロし始める紫音。普通なら、自分はどうすればいいのか? と自身が持っているスマホで、仲間に連絡をして確認をすればいいのだが、この時の紫音は恐怖心と慌てているせいで正常な判断が出来ずにいた。

 「ん?」

 今、お店の中で何かが落ちる音がした。

 「誰かが中にいるのかなぁ?」

 そういい、M327 R8 を手に持ったまま入ってお店へと入って行く。

 「ッ!?」

 中に入った瞬間に、余りの血生臭ささに思わずに鼻を摘んでしまった。

 やっぱり天野さんが言ってた通り、その人死んでるのかもしれない。でも物音がしたから、誰かいる筈だよね? 

 恐る恐る周りを気にしながらお店の奥へと向かって行くにつれて、その血生臭ささが強くなっていく。

 ん? ここら辺、獣の臭いが混じってる。も、もしかして、この奥にウルフがいるのかなぁ?

  S&W M327 R8 を構えるが手が震えているせいで照準が定まってない。しかし、恐怖心せいなのか。それとも好奇心せいなのか、紫音は奧へ奥へと通路をゆっくり歩いて行く。

 「・・・・・・あ」

 L字に曲がった通路の先に横たわっているウルフと、奥の壁にもたれ掛かっている人がいた。その姿を見て一目見た紫音は、もう亡くなっているのを悟る。

 「やっぱり天野さん達の言う通り、もう亡くなってたんだ。ってあれ?」

 亡くなった人の事も気になったけど、ドアの破片が通路に散漫していたのも気になったので、横たわっているウルフのところまで行く。

 「うわぁ~・・・・・・」

 どれだけ数を撃ったのかはわからないけど、ドアが穴だらけになっていて向こう側が見える様になってしまっている。

 「あっ!?」

 その弾丸で空いた穴から弾薬が入ったケースが見えたので思わず声を出してしまった。

 「弾薬があるって事は、もしかしたら銃があるかもしれない! あ、でもぉ~・・・・・・」

 正直言って他人の物を勝手に使うのは気が引けてしまう。しかし、今持っている S&W M327 R8 と壊れた AK74u だけでは心持たない。

 「借りるだけ。借りるだけならいいよね?」

 自分に言い聞かせる様にしてドアを開きながら更衣室に入って行くと中の様子に絶句してしまう。
 何故かって? テーブルの上はガンパーツやクリーニングキッドだらけで汚い。さらには開いたロッカーの中から弾薬が入ったケースが床に散らばっていた。しかも弾薬の種類も色々ある。

 「うわぁ!? 空薬莢が床に落ちてる。しかも火薬臭い。整頓とか掃除を定位的にしなかったのかなぁ?」

 かなり的外れな予想しつつ、使える銃がないかテーブルの上を探して見るが分解されたパーツしかなかった。
 なので、今度は並んでいるロッカーを左から順番に開いて行く事にした。

 「一つ目・・・・・・・・・・・・何もない」

 そう最初のロッカーには何もない空だった。二つ目は佐島さん達の誰かが使っていたのか私服が入っていたが、余りの臭さに閉めてしまった。
 一応見た限りでは銃は入ってなさそうだったので、もう一回開く必要性はなさそう。

 「三つ目。どうかありますように!」

 そう願いながら開くと一丁だけ入っていた。

 「こ、これは・・・・・・銃だよね?」

 恐る恐るその銃を手に取ると、まじまじと見つめる。

 「これ、使えるかなぁ?」

流石に壊れているAK74uの様な状態だったら嫌なので、ちゃんと使えるかどうか確認をしておきたいが、今の状況の紫音では空撃ち。通称 ドライファイア して確認する事しかないので少々不安がある。

 「それにこれは何て名前の銃だろう?」

 外装が樹脂で覆われていて、ストックは折りたたみ出来るみたい。それにアッパーレシーバーにHKと有名な銃器メーカーロゴが書かれていた。

 「45ACP。サブマシンガン」

 「キミが持っている銃はH&K ヘッケラー アンド コッホ 社が生産販売しているサブマシンガン。 UMP45 だ。
 元になったMP5を軍やなんかに売ろうとしたけれども、値段が高くなってしまう問題が起きた。だから樹脂を多様化して、徹底的なコストダウンをした結果販売に漕ぎ着けたのがその銃だ」

 へぇ~そうなんだぁ~・・・・・・ってあれ?

 「誰っ!?」

 声のした出入り口の方に顔を向けるとフードを被った男の人が立っていて、 自分は無害だ。 と言わんばかりに両手を上げてこっちに歩いてくる。
 銃に夢中になっていたから気づかなかった。

 「おっと! そう警戒しないでくれ。俺はキミに対して何の危害を加えない。俺に取ってキミは大切なビジネスパートナーでもあり、お客様なのだから」

 困惑しながら距離を取る僕に対して、男の人は気にせず話し続ける。

 「それとぉ・・・・・・怪しい相手から距離を取るのは間違ってはいない。しかし、持っている銃を相手に向けなきゃ意味がない。素人丸出しだな」

 「あっ!?」

 男の人の言う通りだ。怪しい人が近づいて来る場合には警戒していても銃を突きつけて、これ以上近づいて来るな。 と言わなきゃいけない。

 「それと、さっきも言ったが警戒しなくていい。俺は土竜モグラの一人、ナンバー188だ」

 そう言ってNo.188と入れ墨された右手の甲を見せて来た。

 「土竜って。天野さんとスラムの人が言ってた土竜?」

 この人はもしかしたら悪い人じゃないかもしれない。そう思ったので警戒心を解く。

 「もしかしてお前、俺達の事を知らないのか?」

 「あ、はい・・・・・・今日がPMCの実戦初めてなので」

 「今日が初めて!? よくもまぁルーキー新兵がここまで来れたな!!」

 フード越しで顔がほとんど見えないけど、驚いているのはわかる。

 「いや、そのぉ~・・・・・・天野さん達のお陰で」

 「天野? お前、JOKERの一員なのか?」

 「あ、はい」

 「ハァ~・・・・・・よくもまぁ、あの面倒くさがりが新米を取ったなぁ~」

 ため息を深く吐いて呆れていた。

 うわぁ~、天野さんの面倒くさがりはここまで有名だったんだ。僕知らなかったよ。ん?

 「まぁいい。交換をしよう。こちらが出す条件は・・・・・・」

 「危ないっ!?」

 ドアの向こうからウルフがナンバー188さんに向かって飛び掛かろうとしたところを、ホルスターに入れていた S&W M327 R8 を素早く引き抜きウルフを撃つ。

 「ぶわぁっ!?」

 「も、土竜さん!?」

 ウルフは死んでいるのか、土竜さんにのしかかった状態でグッタリしていた。

 「大丈夫だ。怪我もしていない」

 下敷きになっていた土竜さんはウルフを退かすと、立ち上がってこっちを向いて来る。

 「キミに借りが出来たな。だから交渉条件を変えよう」

 「えっ!?」

 「キミが持っているUMP45とロッカーに入っていたマガジンはキミの物だ」

 「えっ!? ロッカーに入っていたマガジン?」

 そう言いながらUMP45が入っていたロッカーを見てみると、上の網棚にUMP45専用のマガジンが5本ほど入っていた。

 「その様子だと、UMP45に夢中になってて気がつかなかったんだな」

 「あ、はい」

 「今度からはよく調べるようにな」

 「はい」

 天野さん達ではなく、他人から指摘されるとは・・・・・・面目ない気がするのは気のせいだろうか。

 「それはそうと、助けてくれたお礼にそのUMP45を無料で分解整備してやる」

 「えっ!? 銃の整備出来るんですか?」

 「ああ、銃の販売、買取、整備点検が俺の主な仕事だからな。それぐらいの銃なら出来るぞ。で、どうするんだ」

 「お願いします!」

 分解整備が余り得意ではない僕としては、有り難い提案だ。

 「後、この店に置いてある残りの物は全部貰う。その代わりにキミが倒したウルフは買い取る。それでいいか?」

 全部持って行かれるのは困ってしまう。

 「あ、あのぁ~・・・・・・」

 「ん? どうした。 何か持ってったらマズイ物が入っていたか?」

 「あ、はい。死んだ人が付けているスマートウォッチを、持って行かれるのはちょっとぉ~・・・・・・」

 「ああ~そっか。考えていなかったな。スマートウォッチはそっちで回収してくれ。
 PMCのは俺には不要品だからな。遺品は死体が身に付けている物で銃と弾薬とマガジン以外なら、持ってても文句を言わない。後他に持って行かれるとマズイ物は何かあるか?」

 スマートウォッチの回収と報告が仕事だから後は何もないよね?

 「後はないので大丈夫です」

 「なら交渉成立だな。それと俺の事は土竜さんじゃなくて、188と呼んでくれ。土竜は店の名前だからな」

 「あ、わかりました。188さん」

 そう言いながら、188さんから差し伸べられた手を握り握手をするのであった。
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