東京PMC’s

青空鰹

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紫音と両親の真実 前編

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 暴れるだけ暴れ後、ラボに置いてあった刀を持ち出して行方を眩ませてしまったサイボーグ。名称はクアッド。
 現在、PMC本部が全力でその行方を探そうとしているのだけれど。

 「どうして、僕だけここに?」

 そう、あの戦闘終わった後に工藤さんに呼ばれたので、付いて行ったら個室に入れられて質問攻めにされているのだ。

 「やっぱりお前には心当たりがないのか?」

 「はい、僕には心当たりがありません」

 「まぁ、そうだろうなぁ~」

 工藤さんはそう言うと席を立って扉の方へ行く。そしてドアノブに手を掛けると一気に引っ張って開けら、色んな人が雪崩れのように倒れて来た。

 「そこで聞き耳を立てているんだったら、中に入って来い!」

 「だから言ったじゃないですか。このような事をするのでしたら、 失礼します。 と言って部屋に入った方がいいですよ。って!」

 「でもオネエちゃん。ジャマって言われる可能性があるじゃないですかぁ」

 「事の経緯を聞いているだけなのだから、そんなに気にしなくていいのよ」

 みんな立ち上がると、気まずそうな顔で睨んでいる僕を見つめて来た。

 「あの、おじさん」

 「な、何じゃ? シオン?」

 「おじさん、あのサイボーグの事をギリア国王って言ってましたよね? 誰何です、その人は?」

 「それはぁ~・・・・・・」

 おじさんは隠し通したいのか、目を泳がせている。

 「そだだけじゃないです。オズマさんもリガードさんも知り合いだった感じですか?」

 「ああ~、そのぉ~・・・・・・」

 「何ていうか、なぁ?」

 2人はどう答えるべきなのか、目と目を合わせている。もう何かを隠しているのがバレバレな状態なのに、この様子では怒りたくなる。

 「ギリア国王。第三次世界大戦の引き金役となった人物で、サウスアーラム公国の国王だった男。記録では他の国を従えてこの世界の軍と戦ったのだが、戦火の中で行方不明になってしまい、死んだと言われている」

 「だぁ~が。そのギリア国王には不可解なところがあってなぁ。死の目前を誰も見ちゃいないし、増してやギリア国王は最後の戦い以外は戦場に出ていないみたいなんだぁ」

 「どういう事ですか?」

 火を点けていない煙草咥えている天野さんと、188さんにそう言う。

 「俺達に聞くよりも、コイツらに聞いた方が早いんじゃないのか?」

 「ああ、天野の言う通り、コイツらの方がギリア国王の事を知ってそうだなぁ」

 天野さんと188さんはそう言ってオズマさん達を見つめる。

 「・・・・・・オズマ。いい加減、話すべきじゃないかのぉ?」

 「しかし、それでは紫音が・・・・・・」

 「シオンもいい歳じゃ。それにこんな事になったのに、話さない方がおかしいじゃろう?」

 おじさんがそう言うと、絶対に話さないと言う意思表示なのか、オズマさんは歯を強く噛み拳を握りしめた。

 「オズマ、シオンにヒューリーの事を話そう」

 「リガード、お前までっ!?」

 「彼にとって来るべき時が来たんだ。俺やお前じゃなくても、他の連中が教えるだろう」

 そう言ってリガードさんが見つめたのは、何とリュークさんとリトアさんだ。

 「彼らはヒューリーの事を知っているけど、誤解があるからな。シオンに変な事を吹き込まれるぞ」

 「・・・・・・わかった。正直に話そう。お前の両親の事と、ギリア公国の事を。話が長くなるから座ってもええじゃろうか?」

 「ああ、構わないぞ。他のヤツらも座っていいぞ」

 オズマさん達は空いている席に座ると、僕の顔を見つめる。

 「工藤、灰皿は?」

 「禁煙だからしまえ!」

 「ハァ~・・・・・・昭和の時代が羨ましい」

 天野さんはそう言いながら、煙草をしまった。

 「紫音、これから話す事は心して聞くんだぞ」

 「あ、はい!」

 真剣な眼差しでそう言うので、姿勢を正してオズマさんに耳を傾けた。

 「ヒューリーは公国の軍に入隊した後に、グングンと頭角を現わせて騎士団の隊長の座に就任したんだ。公国でも異例なスピード出世とも言われるぐらいにな。
 ワシはヒューリーと同期で入った身じゃが、ヒューリーとは違って軍のままでいて小隊長の座にいた」

 「ヒューリー隊長とオズマ小隊長は敬遠の中で、顔を合わせる度に口喧嘩をしていたんだ」

 「えっ!? お父さんとオズマさんが?」

 日頃仲良くしていたのに。喧嘩をしていたなんて信じられない。

 「あの頃はお互いに軍を背負っておったからな。引くに引けないところがあったんじゃ。
 話を戻すがヒューリーは政略結婚をしたんじゃが、この嫁がよくなくてなぁ。ヒューリーの悩みの種子じゃったんじゃ」

 「どういう事ですか?」

 「結婚相手の名はマイル。まぁワシの元義娘じゃが、金の使い道が荒くて、しょっちゅう出掛けておった。ヒューリーがワシに資金援助して欲しいと頼むぐらいにのぉ」

 「そんなに酷いんですか、その人?」

 そう言うと、オズマさん達は同時に頷いた。

 「ヒューリーと結婚しているのに、他の男とほっつき歩くわ」

 「酒場で呑んだくれていて、ヒューリーが連れて帰った時にあった」

 「挙げ句の果てには駆け落ちまがいの家でをしたからのぉ。あのクソ義娘は」

 おじさんが暴言吐いた!?

 「話の続きじゃが、その結婚から半年後に異世界異変が起きたんじゃ。その後はお前さんが知っての通り、戦争へと発展してしまった」

 「サウスアーラム公国も異世界異変に巻き込まれた国と共に戦争に参加した。しかし惨敗が続き、参加した国が次々と陥落していく最中、ヒューリーが機転を利かせた」

 「どんな機転を利かせたのですか?」

 「攻めるのではなく守りに徹したのだ。そうした途端、この世界の国との交戦がぐんと減ったのじゃ」

 守りに徹したら、交戦がぐんと減ったぁ?

 「どういう事ですか?」

 「なるほど、こっちの世界の軍は世間体を気にしつつ戦わないといけないからな。一気に攻めたところで人権問題に発展しかねないかもな」

 「それに、向こう側から降伏宣言するのを待っていたんだろうなぁ。どんぱちして勝利をするよりも、そっちの方がわだかまりがないからなぁ」

 確かに、戦争に対してよくないと非難をする人達がいるのは当たり前だよね。

 「ああ、その防御体制をとってから1ヶ月後に、ヒューリーも流石に限界を感じて降伏宣言を国王に提案したんだ」

 「まぁあの時はもう国境を包囲されている状態で、ろくに物資を集められなかったからな」

 「リガード。それって大変な状態だったんじゃないのか?」

 「ああ、神崎が言う通り大変だった。作物は何とか供給出来たけど、国中にある金属という金属をかき集めて武具にしたからな。石を削って作った包丁と木を削って作ったフォークを使う家庭がザラだった」

 もしかしたらお父さんは、これ以上国民を苦しませないようにする為に国王に言ったのかな?

 「それで、国王に降伏を申請したヒューリーはどうなったの?」

 「もちろん棄却されたが、それだけではない」

 「ヒューリーにスパイの容疑が掛けられたんじゃ」

 「ス、スパイッ!?」

 お父さんにスパイ容疑が? なら国を捨てて逃げるのもわかる話だよね。

 「紫音、先に言っておくがヒューリーはスパイじゃなかった」

 「そうだ。ヒューリーは容疑が掛けられていても国の為に頑張っていた。だけれども、ある日突然自分の部下に殺されそうになったんだ」

 「部下に殺されそうになった?」

 「ああ、これは後から聞いた話なのじゃが、そやつは騎士団のナンバー2で騎士団長の座が欲しかったらしいんじゃ。
 それで、信用がガタ落ちしている今のヒューリーを殺せば自分が騎士団になれると思い、襲ったらしいんじゃ。まぁ結果はわかっていると思うが、返り討ちにされてしまった」

 その話を聞いていた人達は目を丸くしていた。

 「ちょっと待って! 部下を殺して逃げたって話は?」

 「合っておるのじゃが、部下を殺した理由がそういう事なのじゃ」

 「な、なるほど。ヒューリーくんにとってその状況を見られたら、間違いなくスパイと疑われるからぁ・・・・・・」

 「そのバから逃げるしかなかったのですねぇ。シオンのおトウさんかわいそうですねぇ」

 今度はとても悲しそうな目で僕を見つめながら、話始める。

 「そう、これが公国にとって最大の過ちの始まりだったんじゃ」

 過ち? 一体どういう事なんだろう?

 紫音はオズマの顔を真剣に見つめてながら、そう思うのであった。
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