高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。

青空鰹

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訓練をするセリア達

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最初に気付けばよかったなぁ。

 そう、手合わせのときに動きにキレがないのは緊張しているせいだと思っていたが、それは間違いで魔力の補助がないせいで鈍くなっていたのだ。
 リタ曰くアニスに 魔力を遮断した状態で修行するように。 と言われたので、その通りしたそうだ。

 「もうムリィ~~~・・・・・・」

 「ほら、後5回やれば1セットだから頑張るんだ」

 そう、現在は常態起こしの真っ最中なのだ。

 『2人共頑張れぇ~!』

 まるで他人事みたく言うリタ。

 「19・・・・・・20!」

 20回目をやったところで、床にへばり付いてしまった。

 「後1セットがあるんだけど。2人共大丈夫?」

 「もう・・・・・・無理です」

 息も耐え耐えでそう言ってくるセリアに対して、ルノアは青ざめた顔で首を横に振る。無理って言いたいんだな。

 「一旦休憩してから訓練を再開しましょうか」

 「そ、そうして下さい!」

 その横で首を縦に振るルノアがいた。

 「それじゃあ飲み物を用意して来るから、ちょっと待っててね」

 由美子さんはそう言うと、キッチンの方へと向かって行った。

 「まさか、ここまで2人に体力がないとはな」

 「私自身も驚いているよ」

 「む、無意識とはいえ・・・・・・これほどとは思ってもみなかった」

 喋れる程度に回復したか。

 「まぁともかく。2人の今後の課題が見えて来たな」

 「・・・・・・うん」

 「そう、ね」

 兎にも角にも基礎体力を上げること考えなければ訓練もままならない。

 「多分由美子さんからも言われると思うけど、2人共軽くでいいから家で筋トレをするように」

 「「・・・・・・はい」」

 現状を嫌と言うほど理解した2人はそう返事をしたのであった。

 「3人共ぉ。お茶を持って来たわよぉ~」

 「あ、はい」

 「ちょ、ちょっと待ってて下さいね」

 2人は上体を起こしてからお茶を受け取り、俺は頭を下げながら受け取った。

 「すみません由美子さん、わざわざお茶まで用意して頂いて」

 「気にしないで。それよりも2人共」

 「ふぇ?」

 「あ、はい。何でしょうか?」

 「武術を習っているのはわかるんだけれども、基礎体力の方が追い付いてない気がするのよね」

 「アハハ・・・・・・」

 「面目ないです」

 申し訳なさそうな顔でそう言う2人。

 「もしかして武器の扱いの練習ばかりさせられていたから、基礎体力が疎かになっていたのかしら。ねぇ、アナタ達は日常的にストレッチと筋トレをしている?」

 「あんまりやってません」

 「私もルノアと同じです」

 「ストレッチと筋力トレーニングは大切よ。特にストレッチは怪我をしないようにするのに必須だから、武術をやる前にストレッチをするように」

 「「はい」」

 「筋肉も付いてない状態で剣を振るったり的当てばかりしていると変な癖が出ちゃうから、筋トレも欠かさずやらないとダメよ」

 「「はい」」

 うん、俺が言ったことを由美子さん言っているな。

 「今日やった筋トレは明日からやるようにね」

 「「はい」」

 「休憩が終わったら、素振りと弓の引き方の練習をしましょう」

 もしかしたら由美子さんは、このまま筋トレばかりさせたら2人のモチベーションが下がると思ったから素振りを提案したんだろう。

 「「はい!」」

 そうとは知らない2人は笑顔で返事をし、リタはヤレヤレと言いたそうな顔をしていた。

 「ルノアちゃん。片手だけで矢を引っ張っちゃダメよ」

 「えっ、そうなのですか?」

 「そうよ。ある程度矢を引っ張ったら、弓を前に突き出すようにして弦を張らないと。じゃないと疲れちゃうわよ」

 そう、由美子さんが言う通りルノアの矢の引っ張り方はいいとは言えない。何故かと言うと、彼女のやり方は弓を持っている右手を前に突き出したまま左手で矢を引っ張っている為、左手で弦を引っ張っている形になってしまう。
 その為、疲れが溜まってしまう上に余計な体力を消費してしまうのだ。

 「だからこうやって、両手で弦を引っ張るようにすれば楽に早く引けるわよ。やってごらん」

 「あ、はい!」

 ルノアは言われた通りにやると、予想以上に引きやすいと思ったのか驚いた表情になった。

 「軽い!」

 「でしょ。それで早く狙いが定められるように練習をしてね」

 「はい!」

 ルノアはそう返事をして練習に打ち込む。

 「ハァッ! ホッ! ヤァッ!!」

 「攻撃するときに姿勢が崩れているわよ。足下をしっかりさせなさい!」

 「はい!」

 セリアはと言うとフットワークの練習らしく、反復横飛びした後に前に出て攻撃をしている。中途半端に鍛えていたせいか攻撃に転じるときに姿勢を崩してしまい、思い通りの太刀筋になっていない感じが見受けられる。

 『2人共頑張れぇ~!』

 リタがそう言って2人声援を送る。

 「2人のようすはどうじゃ洸夜」

 後を振り返ると、師範がただいまぁ~。と言った感じでこちらに近づいて来る。

 「あ、師範。何処に行っていたんですか?」

 「隣町の道場の方へ稽古をしに行っていたんじゃ」

 「隣町に稽古ですか?」

 もしかしてそこの道場の人が、風邪引いたから変わって欲しいと連絡を貰ったのか?

 「ああ~、実はのぉ。お主がニュースに出てからというもの、空手の道場に入門する者が増えたのじゃ」

 「道場に入門? もしかしてここと同じ沖縄空手の?」

 「そうじゃ。向こうの人も喜んでおったぞぉ~。最近人が減っておったが英城さんのお弟子さんのお陰で入門者が増えてる! とな。
 他のところもおなじようなことになっておるみたいじゃ」

 ニュースの力がスゲェー!?

 「でも教えているのは極真空手じゃないから、オリンピックには出れませんよ」

 中には教えている人もいるけどさ。

 「ええんじゃよ。ワシらは武の道を知って貰うだけで、微笑ましいと思っておるからのぉ」

 とか言いながら、金が増えたぜ! って思っているんだろ。俺が2人をここに連れて来ることを言ったら、うるさく料金を言って来たし。
 その料金は誰が払ったかって? もちろん俺だよ! 2人合わせて8000円!! 値段交渉してなかったら、どれだけ高い金額を払うことになっていたか・・・・・・ああ~、想像するだけでゾッとする。(※元々は2人合わせて16000円)

 「う~む、ところで洸夜」

 「何ですか師範?」

 「お主の彼女はどっちなんじゃ?」

 「赤い髪の方かのぉ? それとも金髪の女の子の方かのぉ?」

 師範がそう言った瞬間、セリアがピタリと動きを止めた。

 「コ、コココ、コウヤくんの彼女ぉ!」

 頬を赤く染めた状態で、こっちを向いて来た。

 「ほぉ~、なるほどな」

 『セリア、手が止まっているよ』

 「ハッ!?」

 セリアは我に返ると練習を再開させた。

 「・・・・・・洸夜」

 「何でしょうか」

 「部外者のワシが言うのも何じゃが、彼女とは仲がいいのか?」

 「はい、仲がいいですよ」

 それが何か?

 「そうかぁ・・・・・・その、何だ。彼女の気持ちも考えてあげるようにの」

 「え? あ、はい」

 此奴はどうのこうのとブツブツ言い始めた師範を怪訝そうに見つめている中、由美子がセリアに近づき耳打ちをする。

 「え? ええっ!? 無理です! 私そんなこと出来ません!!」

 「あの子は昔から鈍いところがあるから、そうしないと気付いて貰えないわよ。それともこのままでいいと?」

 「あ、いや・・・・・・そのぉ」

 「まぁ今決めることじゃないし、よぉ~く考えてタイミングを見定めなさい。遅過ぎると取り返しの付かないことになるわよ」

 「・・・・・・取り返しの付かないこと?」

 セリアはそう言うと、不安そうな顔で洸夜と由美子の顔を交互に見つめる。

 セリアは何を不安がっているんだ?

 「私はアナタのことを応援しているから頑張ってね」

 由美子さんはそう言うとルノアの元へと行き、セリアは今にも泣きそうなぐらい目に涙を溜めて赤面をしていたのだった。
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