チートなお家と精霊とスローライフ!

青空鰹

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リィンのガラスのハートにセラの言葉が突き刺さった瞬間であった。

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セラに無理やり着替えさせられたリィンはリビングのソファーの上で横になっている・・・・・・え! くつろいでいるの? ううん、違う。セラにまた拘束されてるんだよ。今度は拘束魔法でね。

「んー!! あーっ!?」

セラの拘束を解こうと、もがいているけどビクともしない。膝枕は気持ちいい特約といいってもいいけどぉ、断じて容認出来ないことが一つだけあるっ!!

「・・・・・・リィン様、動かないでください」

「んーーーッ!! ひゃっ、ひゃれヘぇ~~~!?」

こんなことされるのは、誰に聞いたって絶対恥ずかしいって言うよ!!

「ひゃっ、ひゃひふぁひふ」

「歯磨きぐらい自分で出来るって言いたいんですね。でも危ないのでダメです」

そう、セラに歯磨きをして貰っているのだっ!! と言うよりもされているって言った方があっている。

「ん~~~~~~っ!?」

お口からシャカシャカとリズミカルな音が聞こえる中、羞恥心でいっぱいのリィンはどうやってこの状況を打開しようか考えていたんだけれども・・・・・・。

「はい、終わりました。お口を向こうでゆすぎましょうね」

お、終わった! 終っちゃったんだぁ~。結局今回は無駄な抵抗で終わっちゃったけど次こそは! って、ん? セラ、なんで付いてきてるの? 歯ブラシ置きに来たの?

「コップにお水を入れますので少し待っていてくださいね」

違った!? 今度はゆすぐのを手伝う気だ。

「むぅ~~~~~~っ!?」

リィン、もう怒ったもんっ!!

洗面所に中にペッと洗剤を吐き出すとセラに顔を向けて睨むと、セラは少し驚いたのか少し目を見開いた。

「リィンだって前世で十六年ぐらい生きてたから歯磨きの一つぐらい一人で出来るよ!」

「さ、さようでしたか・・・・・・リィン様のためを思って歯磨きをして差し上げたのですが、逆に迷惑をかけてしまいましたか。すみません」

「わかってくれればいいよ。リィンだって子供じゃないからね」

「いえ、背が低いので充分子供ですよ」

グサッ!?
リィンのガラスのハートにセラの言葉が突き刺さった瞬間であった。

「で、でも・・・・・・前世でね。ちゃんと」

「それよりも、口をゆすいでください・・・・・・ね?」

う、うわわわわわわっ!? ニッコリした顔でこっち見てくるんだけど、恐いよ。セラがとっても恐いよぉ~・・・・・・。

「う、うん」

いまのセラに逆らっちゃいけない。あのときのお姉ちゃんのようになりたくないから・・・・・・うん。

そう思いながらコップを受け取ると口をゆすいで歯磨きを終えると、セラがリィンの口もとをタオルで拭いてくれる。

だから子ども扱いは、って言っても無駄かぁ・・・・・・お姉ちゃんだって絶対、あっ!?

「そう言えばさ、お姉ちゃん帰って来ないね。お仕事忙しいのかな?」

「どうでもいいです」

・・・・・・はい? セラさん、なにをおっしゃってるのですか?

「性犯罪予備軍の阿婆擦れ馬鹿のことは気にせずに寝ましょう」

お昼のときよりも呼び方がヒドくなってるよぉぉぉぉぉぉっ!?

「あの、その、セラね・・・・・・お姉ちゃんの呼び方をさ、もうちょっとよく言ってあげて、ね?」

「リィン様がそう言うのでしたら、う~~~~~~ん」

えっ!? その、う~~~~~~ん って唸り声は呼び方考えるの? 普通に呼べばいいんだよセラ。

「あ! じゃあ性犯罪者予備軍とスティアのことを呼びますね」

「遂にお姉ちゃんのことを呼び捨てにしちゃってるよっ!?」

はぁー・・・・・・お姉ちゃんが帰って来ても大丈夫かなぁ? リィン、不安しか感じないよぉ。

ピンポォーン!!

「うにゅ?」

こんな時間にインターフォンが鳴るってことは、お姉ちゃんが帰って来たのかな?

「なんですか今の音は? はっ!? もしや敵襲!!」

「いやいやいやいや、違うよ! 誰かが玄関の外にいてインターフォンを押しただけだよ!」

「インターフォンは存じませんが、家の前に誰かがいることはわかりました。なので」

「なので?」

「不逞な輩を私が排除して来ます!」

「ちょっ!? ちょぉ、ちょぉ、ちょぉーっと待って!!」

思考が危なすぎるって! あとその剣どっから出したの!?

ピンポォーン!!

「ああ、もうっ! 待たせるといけないから行こうセラ!!」

「承知しました。リィン様」

慌てながら玄関前行きドアの前に立つと、用心しながら声をかけようとする。なぜそんなことをするかって? それはもちろん、相手が不審者かどうか確かめるため。

「すんまへん、スティアはんを担いで連れて来たんや。ドアを開けてくれますぅ?」

「あ、はい」

あれ? この喋り方って京都弁だよね。てか、誰?

そう思いながらもドアを開けたのだが、衝撃的な光景がリィンの目に入るのであった!

なんと女神スティアがケモ耳を生やして着物を着た女性に担がれているのだ!! しかも、世界の終わりが来たかのような顔をしながらグッタリして動かないのでリィンはオロオロしてしまう。

「お、お姉ちゃん!? お姉ちゃんがぁ~~~・・・・・・」

オーバーワークのせいでこうなったの? ・・・・・・ハッ!? もしかして、パワハラとかのハラスメント系のせい?

「なに思ってんのか知りまへんが、スティアはんがこうなった理由はリィンはんが想像していることとちゃいまっせ。よっと!」

「ほえ!?」

なんでリィンの名前を知ってるの? って、意識がないお姉ちゃんをその場に降ろしちゃったから玄関で寝そべっちゃってるよ。どうしよう・・・・・・ほっといても大丈夫なの?

「ウチの名はイズナ、稲荷の神様やってるんや。よろしゅうな」

「あ、ご丁寧にどうも。リィンです! となりにいるのは契約精霊のセラです」

「リィン様と契約精霊のセラフィストです。以後お見知り置きを」

おぉ~、セラの優雅に礼をする姿は礼儀作法を弁えている証拠だぁ~! とても素敵な姿でした。まるで物語に出てくるお姫様を想像しちゃったよ。

「ここでの話しもなんですから、リビングの方で移動しましょう。お茶もお出ししますよ」

「いや、すぐに帰るからそこまでせんでええよ。で!」

「で?」

「なんでスティアがこうなってるかっちゅうと。妹たちを回収されたからやで」

「妹たちを回収されたから? ・・・・・・あっ!?」

そう言えばお姉ちゃんがリィンの他にも姉妹がいるって言ってたね。まさか!?

「その様子やと察し付いたようやから詳しい説明は不要そうやなぁ。さっき言ったことを、そのまんまスティアはんに言ったらな。ギャアアアアアアアアアっ!!? ちゅうて叫んだあと目を開けたまま失神しよったんや。失神すんならホムンクルスを勝手に作ってしもうた反省文を書いてからにして欲かったわ!」

うわぁ・・・・・・相当ホムンクルスを大事にしていたんだねぇ~。てか、ホムンクルスって勝手に作っちゃいけなかったんだ。ってあれ?

「そうなるとお姉ちゃんに作られたリィンはどうなるの?」

まさかリィンを死なせてから身体を回収って話をしないよね?

「リィンはんの場合は、特別サービスっちゅうことで回収せえへんで。リィンはんの場合はウチらミスもあったし、能力も人並みぃ・・・・・・よりちょっと低いぐらいに抑えられておるからなぁ」

ちょっと! いま目をそらしたよね? うわぁ、この子よわぁ~。って思ってる顔だったよ!!

「それと、上首としてウチからお詫びとしてこの子を受け取って貰いたいんや。一刀、おいでや!」

イズナさんの目の前でポンッと言うような音が鳴ると煙の中から白い小狐が現れたではないか!

「キュ~」

「か、かわいい!!」

な、なんて愛くるしいの! ぁぁぁああああああっ!! あの子を抱きしめたい! あの身体をモフモフしたい!

「今日からあの子、リィンはんと一緒に住んでなぁ」

「コンッ!」

元気のいい返事をしながら首を縦に降る姿。胸がキュンキュンしちゃうよぉ~!!

そんなことを思っていると小狐のイットウはこっちに歩み寄って来て身体を擦り付けてきたので、しゃがんで身体をナデナデ始める。すると、イットウは気持ちいのか目を細めた。

「リィンはね。リィンって言うんだよ。よろしくねイットウ・・・・・・くん?」

名前が男の子っぽいからオスだよね? でも、イットウかぁ~。どっかで聞いたことある名前だけどぉ・・・・・・なんだっけ?

「その子はオスやから合ってるで」

「コンッ!」

うん、このまま抱きしめても大丈夫かな? 嫌がられたらやだなぁ。

「うんうん、仲も良さそうやし預けても大丈夫やなぁ。リィンはん、その子を大事にそだててなぁ」

「ありがとうございますイズナさん! この子を大事にしますね!!」

あァ~手に伝わるこのモフモフ感、最高だぁ~~~!!

「・・・・・・リィン、ちゃん」

「ん?」

おお、お姉ちゃんの意識が戻ったぁ! ・・・・・・けど、なんか様子がおかしい気がする。

「エヒッ、エヒッ! イヒヒヒヒッ!? ウヒッ!? ウヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョ!!?」

様子がおかしいどころの話じゃない! お姉ちゃんが危ない人になってるよぉっ!? うわぁ、目が・・・・・・目がヤバい!? だって、マジで病んでんだもん!!

リィンとイットウくんはスティアの異常な様子に怯えてしまったのか、セラの後ろに隠れて共に抱きあってしまう。そして、イズナもスティアの様子に気味が悪いと感じたのか後ずさりしながらスティアから離れて行く。

「リィンちゃん・・・・・・リィィィィィィィンちゃぁぁぁぁぁぁっん!!?」

ヒィィィッ!? こっち来てる!! リ◯グの貞◯みたくずりずり音を立てて這いずりながらこっち来てるよぉ~~~っ!?

「リィィィィィィィン、ちゃん・・・・・・こっちにぃ、こっちにおいでぇ~。わたしとぉ・・・・・・仲良くしましょぉ~。イヒィィィイイイィィィッ!!?」

ヒィィィィィィッ!? 顔が、顔がヤバいよぉぉぉぉぉぉっ!! もし捕まったら、きっと・・・・・・イヤァァァァァァッ!?

リィンは目に涙を溜めながら、恐怖で身動きが取れない。そんな中、スティアは這いずるのをピタリと止めると、その場でノロリ・・・・・・ノロリ・・・・・・とゆっくり立ち上がったのだ。

「ウフッ・・・・・・ウフフフフフフッ、ジュルリ」

お、おおおお姉ちゃんは一体なにをするつもりなの?

「リィィィ~~~~~~ンちゅあああぁぁぁぁぁ~~~~~~~ん!!?」

スティアはなんとリィン目掛けてルパ◯ダイブを仕掛けたのであった! その跳躍の速さ608km/h 新幹線N700系の最高速度の約二倍の速さっ!! しかし、スティアは自分がミスを犯していたことに気づいていなかったのだっ!!

ゴォォォイイイィィィィィィ~~~~~~ンッ!!?

「ヘブシッ!?」

そう、スティアは天井に頭を勢いよくぶつけてしまったのだ! そしてそのまま殺虫スプレーを吹き掛けられてしまった蚊のごとく床へ落ちて行き、ピクリとも動かなくなってしまったのだった!!

「・・・・・・気を失ってる」

「ホンマ、アホ丸出しやなぁ~」

「これが女神だと思うと・・・・・・頭を抱えてしまいますね」

「キュ~」

三人と一匹は呆れた顔でスティアを見つめていたのであったのだった。

「このまま簀巻きにして外に出しておきましょうか・・・・・・邪魔ですし」

「セラ、ヒドいッ!?」

・・・・・・そして、スティアに冷たいセラフィストであったのだった。
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