チートなお家と精霊とスローライフ!

青空鰹

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先手必勝っっっ!!?

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 リィンはただいまとても困った状態でいる。理由を簡単に説明すると鏡の前のイスに座らされていて、セラたちがリィンを囲むように立っているから逃げる方法がまったくない。

 「みなさん・・・・・・もう、止めてくれませんか?」

 「ダメよ。もう少しで出来るから待って」

 「ん・・・・・・さっきより可愛いの出来るから・・・・・・じっとしてて」

 髪をまとめたり、編んだり、止めピンで前髪を分けたりして遊ばれているのだ。正直言って、こんなに髪をいじってたら、髪が千切れちゃうんじゃないのかな?
 それにだんだん頭が痛くなってきたよぉ~・・・・・・。

 そう思いながら鏡ごしにみんなの顔を見るけど、気づいていないのか、それともスルーされているのか誰もなにも言わない。

 「おおおおおおおおおおお~~~~~~・・・・・・・」

 あ! ちなみにお姉ちゃんはと言うと、リィンがセラに身体を拭いて貰っていたときよりも少し進んでいて言葉とポーズが変わっている。

 「ここをこうしてぇ~・・・・・・こうすればぁ~。はい、完成! 可愛く出来たわっ!!」

 「ん・・・・・・我ながら上手く出来た・・・・・・リィン、自分の姿を鏡で見て」

 「んにゅう~・・・・・・おお!」

 鏡に映る自分の姿を見て、目を見張ってしまった。なんせ髪型を整えるどころか、化粧までされているのだから。

 「もみあげ部分の髪を三つ編みにしてから後ろで軽くゆわいてみたのよ」

 「そして結び目についているリボンは、私の方で用意したのを止めてみた・・・・・・どう? 気に入らない?」

 「とてもいいです! 気に入ってます!! ですが、いいんですか? リィンのためにリーザさんのリボンを使っちゃっても」

 「ん・・・・・・安物だから気にしなくても大丈夫・・・・・・あと、いつでも買える物だから」

 気にしなくても大丈夫って言うけれども、貰い物だから大事にしておかなきゃリーザさんに失礼だよね。

 「化粧の方はウチとセラで軽くやっといたんや」

 軽くって、本当に軽くやったの? なんか、ガッツリメイクしたような感じに見えるけどぉ~・・・・・・うん! イズナさんの言葉を信じよう!

 「いかがでしょうか、リィン様?」

 「う~ん、そうだねぇ~・・・・・・自分の顔が、いつもよりも明るく見える」

 「そりゃあまぁ明るい色のパウダーを使っちょるからなぁ~。それよりもや」

 それよりも?

 「女の子らしゅうことをやってみた感じはどうや?」

 えっ!? もしかしてっ!!

 「リィンに女の子らしいことを体験させてたの?」

 「そうです。リィン様の今後のためになると思い、やりました」

 「そうだったんだぁ~・・・・・・」

 お母さんがリィンと出かける時に時間をかけていた少しだけわかったような気がする。
 それにお化粧に使う道具を揃えるのにもお金がかかりそうだなぁ~。まぁ毎月いくらぐらいかかるのかは、人によると思うけども。

 「ウチらが他人から、 美しゅう人。思われるために苦労しているのがわかったかぁ?」

 「はい、身をもって知りました」

 あ! でも毎日毎日こんなことをするわけじゃないはずだよね。普段は軽くし済ませて、バッチリ決めたいときは時間をかけてバッチリ決める人が多そうなぁ~・・・・・・。

 「私はリィンちゃんの髪型を整えるのを楽しんでいたわ」

 「ん・・・・・・私もメディーラと同じく・・・・・・楽しくリィンの髪をいじってた・・・・・・満足」

 うん・・・・・・なんか、イズナさんの言葉がウソに聞こえてきたよ。ま、まぁ気にしないのが身のためだよね? なんか、セラとイズナさんの 私たちは楽しんでませんよ。 って威圧感を出してるしね・・・・・・うん。

 「さてと、リィンはんのおめかしも終わったことやし、スティアはんにかけた呪術を解きましょかぁ~」

 「「エエエエエエ~~~~~~~~~~~~ッッッ!!?」」

 メディーラさんとリーザさんが不満があるのか、イヤそうな顔をしながら二人同時にブーイングをする。

 「えっ!? 自分たちの姉の呪術を解くのが、そんなにイヤなんか?」

 「「はいっ!!」」

 今回も即答で答えた! お姉ちゃんはどれだけ妹たちに嫌われてるのっ!?

 「一生・・・・・・このままでいいと思う」

 一生って、そこまで放置したらお姉ちゃんが可哀想だよ。

 「この世界が終わるまで呪術を解かなくていいです。その方が私たち、いや・・・・・・リィンちゃんたちの平和にも繋がります」

 ・・・・・・・・・・・・それはないと思うよ。

 「コンッ!?」

 えっ!? なに? いま、 そうかもしれない。 ってリィンは思ってたでしょ? だって?

 「あ、いやぁ~・・・・・・別にそんなことは思ってないよ、イットウくん! ただちょっとぉ~・・・・・・ほんのちょっとだけさ、お姉ちゃんの愛情がしつこいって思っただけだよ。だから、 もうちょっと遠慮してくれれば助かるなぁ~。 って思っているだけだよ。本当だよイットウくん、リィンを信じて」

 「クゥ~ン?」

 ホントォ~? いまウソを言っていた気がするよぁ~。 ってイットウくんに言われてしまった。完全にウソ吐いているのに気づいているよ、この子は。

 「私もメディーラ様たちと同じく、このままでいいかもしれないと思ったのですが」

 「ですが、なんや?」

 「私的にはこのままだと声がうるさいので、この場で亡き者にしましょうか」

 セラはそう言うと剣を取り出してお姉ちゃんに向かって構える。しかもいまにもすぐにでも殺しそうなぐらい、殺気を身体から出している。

 「イヤイヤイヤイヤッ!? ダメだよセラ!! って言うか、その剣をどこから出したの!?」

 「リィン様の目の届かないところに置いていました。それと触っていけませんよ。ケガをしてしまいますからね」

 「あ、うん。そうだね。その剣重そうだし・・・・・・って、そうじゃなくって!!」

 今度はセラを睨みながら話しだす。

 「さすがにお姉ちゃんを亡き者にするのは、人として容認出来ないよっ!!」

 「リィンちゃんの言う通りよ、セラお姉様!」

 「ん・・・・・・私たち人じゃなく女神だけど・・・・・・セラねぇがやろうとしていることは容認出来ない」

 セラお姉様? それにセラねぇ。っだってぇ?

 「二人とも、セラの呼び方変わってないですか?」

 「そりゃあ・・・・・・だってねぇ~・・・・・・メディーラ?」

 「あの素早い動きと見事なまでのジャーマン・スープレックスを見たら、上下関係明白になるじゃない」

 あ、セラたちは桃園の誓いをリビングでしたんだよね。

 「そうそう・・・・・・セラねぇと対等だと思っていた私たちが・・・・・・間違っていた」

 「だから、私たちは親しみ込めてこう言うの・・・・・・セラお姉様と」

 「そ、そうなんだぁ~。フゥ~ン・・・・・・」

 ぶっちゃけ言っちゃって、そんなことはどうでもいいです。早くお姉ちゃんを殺そうとしているセラを止めてください。

 「それよりも、セラお姉様!」

 「なんでしょうか、メディーラ様?」

 「目の下にムヒを塗ったり、今度こそ水性ペンじゃなくマジックペンで顔を落書きをしたりするのはわかるけど、そこまでするのはよくないと思いますわ!」

 メディーラさんこそ地味によくないことを言ってるじゃないですかっ!? まさかやろうしてなかったよね?

 「メディーラの言う通り・・・・・・いくらスティアねぇ様が、キモくてウザくてイヤになるのはわかるけど・・・・・・亡き者にするのは間違っている」

 それ、もしかしてさ・・・・・・リーザさんがお姉ちゃんに対して思っていたことを言ってるんじゃないよね?

 「鼻の中に紙縒りを入れてクシャミさせたり・・・・・・口の中にワサビを大量に入れて地獄を見せたりするのはわかるけど・・・・・・殺害するほどじゃない」

 こっちもヒドいことを考えているっ!? ま、まさかお姉ちゃんにやろうとしてわけじゃないよね?

 「・・・・・・そうですか。わかりました」

 おっ!? 思い止まってくれたかな?

 「イズナ様、スティア様の呪術を解いてください」

 「なにもせんまま解いても、ええんか?」

 「ええ、構いません。もしスティア様が暴れるようなことをしようとしたら、私が全力を持って阻止します」

 セラは自分の顔の目の前に片手を出すと、握ったり開いたりしてゴキゴギと音を鳴らしてアピールをしだす。

 「まさかセラ、 止めるつもりが誤って死なせてしまいました。すみません。 って言うつもりじゃないよね?」

 「・・・・・・・・・・・・そのようなことはいたしませんよ」

 いまの長い間はなに?

 「まぁセラはんがそう言うんなら、呪術を解くで。全員準備はええな?」

 「ええ」

 「構いませんわ」

 「・・・・・・バッチコォーイ」

 なぜかみんなお姉ちゃんに向かって身構えながらイズナさんに返事をした。

 セラたちは一体なにをするつもりなんだろう?

 「じゃあ解くで、ホイッ!!」

 イズナさんがそう言うと、お姉ちゃんを包んでいた紫色の薄い膜が霧のように霧散していった。

 「れぇー!!? 一体なにをした・・・・・・あれ?」

 お姉ちゃんは、なにが起こったのかわからなそう顔をしながら辺りをキョロキョロと見回した瞬間だった。

 「先手必勝っっっ!!!?」

 メディーラさんはそう言いながら、お姉ちゃんのお腹に向かってラグビータックルを喰らわせて床に倒すっ!!

 「ヘブシッ!?」

 「いまがチャンスッ!!」

 セラはそう言うとお姉ちゃんの身体に素早く太いワイヤーを巻きつけるっ!!

 「ちょっ!? なにぃ? アナタたちは、一体なにをしているの?」

 「そぉーい・・・・・・」

 やる気があるのかどうかわからないけれども、リーザさんはそう言いながら猿ぐつわをお姉ちゃんの口につける。

 「ンーッ!? ンー、ン~~~ッッッ!!?」

 てかそれ・・・・・・なんで持ってるの?

 「「「これでよしっ!!」」」

 三人の意気にあった連携により、お姉ちゃんを見事に拘束したっ!! ・・・・・・じゃなくって!!?

 「イヤイヤイヤイヤッ!? お姉ちゃんが可哀想だよっ!!」

 「せやけど、こうせえへんとスティアはんがまた暴れるで」

 「たしかにそうだけどぉ~・・・・・・」

 なにもここまでしなくても、いいんじゃないかなぁ~?

 「大丈夫ですよリィン様、このまま放置するのも可哀想なので私が駄目が、コホンッ! スティア様を持っていきますから」

 「そ、そう? でもさ、考えてみたらね」

 「考えてみたら?」

 「呪術を解いてから拘束するんじゃなくて、拘束してから呪術を解けば楽だったんじゃないの?」

 「「「・・・・・・あっ!?」」」

 セラとメディーラさんとリーザさんは、 たしかにその通りだった。 って言いそうな顔をしている。

 「・・・・・・リィンちゃんに回復石の作り方を教えたいから、アトリエにいこっか」

 メディーラさんはそう言うとリィンの手を掴んで脱衣所を出ようとする。

 えっ!? なんか、さっきの言葉をスルーされた気がするよっ!?

 「ちょっ!? まっ!!」

 「・・・・・・リィン」

 リーザさんがリィンのことを呼んだので振り向いたら、そこには普段は無表情のリーザさんが笑顔でこっちを見つめていた。

 「気にしたら・・・・・・負けだよ」

 「あ、はい・・・・・・わかりました」

 これはもう追求しない方が身のためだ。 とリィンは思ったので、黙っでリーザさんたちについて行くことにしたのだった。
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