チートなお家と精霊とスローライフ!

青空鰹

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絶対セラを怒らせないようにしよう!!

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「これがポーション?」

自分の作ったポーションを色んな角度から見て確認していると、お姉ちゃんとセラがクスクスと笑っている。

「その通り、リィンちゃんが作ったポーションですよ」

「どんな味がするのかな?」

蓋を開けてポーションを飲み始めると、なぜかセラが驚いた顔になる。

「ちょっ、リィン様! ポーションは「美味しい!!」・・・・・・えっ!?」

「メロンソーダみたいな味がする! すっごく美味しいよ!」

このシュワシュ感がたまらないよ! あ!? でもポーションに炭酸が入ってる感じがしないのにシュワシュワしているのはなんでだろう? 魔法のおかげなのかな?

「リィン様、そのポーションを少しだけ私に頂けませんか?」

「いいよ! はい!」

セラはリィンからポーションを受け取ると、そのままビンに口をつけて一口飲む。

「・・・・・・美味しい。しかも飲みやすい」

「酷いわセラフィスト! リィンちゃんに姉である私より先に間接キスするなんて、大問題よっ!!」

「スティア様も飲んでみたいのですか? それならどうぞ」

「そう言う問題じゃないわっ!!?」

「どう言う問題なんですか?」

「いいセラ、私はリィンちゃんが口をつけたビンに口をつけて飲みたいのよ! だからリィンちゃんが飲んだ後にセラが口をつけて飲んじゃったら、リィンちゃん成分を楽しむんじゃなくてセラ成分を楽しみながらポーションを飲むことになるじゃないっ!! わかるセラっ!?」

お姉ちゃん、言ってる意味がわからないよ。

「はぁ・・・・・それなら、リィン様がもう一度このビンに口をつけて貰ってからスティア様が口をつけると言う方法で飲めばよろしいかと思いますが?」

「ダメよっ! そうしたらリィンちゃんがセラフィストの成分をお口で摂取することに」

「もうめんどくさいから、それ飲んじゃおう。セラ、頂戴!」

「はいどうぞ」

セラから飲みかけのポーションを受け取ると、そのままゴクゴク飲み込む。

「イヤァァァァァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?」

「・・・・・・プハッ! あぁー、美味しかったぁ」

「リィンちゃんが・・・・・・セラフィストの成分を摂取しちゃった。リィンちゃんが・・・・・・私のリィンが穢れちゃううううぅぅぅぅぅぅっ!!?」

お姉ちゃんは泣きながらリィンを抱きしめると、「チュウーーーーーーッ!?」と唇を尖らせて言いながらリィンの唇に向けて顔を近づけてくる。

「一体なにをしているんですか、アナタは」

「グエッ!?」

セラが・・・・・・セラがいつのまにかお姉ちゃんの背後に回ってチョークスリーパーを決めている! ある意味女神様に対しての無礼じゃないの?

「な”、な“に”を“い”っでる”の“ゼラ”! ア“ナ“ダがわ”る“い”の“よ”!! ア“ナ”ダがワ“ダジの”・・・・・・」

「少々興奮しているようですね。少しの間だけ眠って頂きます」

ゴキッ!?

お姉ちゃんの首から嫌な音を立てた瞬間、お姉ちゃんは顔を青くしながら身体ダラリと力がなくなってしまう。

「い、いま、お姉ちゃんの首がゴキッ!? って音を立てたよ! 大丈夫? 首を折った音だよね? そうだよねセラ!?」

「大丈夫ですよリィン様。ほら、ちゃんと呼吸だってしていますし」

口から泡を出しながらピクピクしているお姉ちゃんに指さしながら言うので、恐る恐るお姉ちゃんの首のけい動脈に指を当てて生きているか確認する。

「・・・・・・うん、ちゃんと呼吸しているし、首も折れてない。よかったぁ~」

しかしそんな中、リィンは心の中で一つの誓いを立てた。“絶対セラを怒らせないようにしよう!! ”と。

「それよりもリィン様、ポーションを何個か作って私に頂けないでしょうか?」

「どうして? セラ、ポーションが飲みたいの?」

「いいえ、私が飲む為にポーションを欲しいと申し上げてるのはなく、今後の為にお願いしているんです」

「私の今後の為?」

「はい、理由は先程スティア様の少しだけ仰っていたことです」

お姉ちゃんが言ってたこと?

「うーん・・・・・・もしかしてポイント?」

「はい、リィン様のご家庭の拡張したりする為のポイント貯める為です。なにか道具が必要になったとき、ましてやご家庭の拡張をしたいときポイント足りなくて買うことが出来ないとなると困りますからね。なのでポーションとか生産したアイテムを村や街で売って、お金で買える物は買いましょう。そうすれば効率よくポイントが溜まって行くはずです」

「なるほど」

「それに不逞な輩がポーションやお金目的で私を襲いに来ても大丈夫でしょう」

「うん、そうだね」

さっき実力を目の当たりにしたしね。

「あとリィン様に伝えることは・・・・・・あっ!」

「ん?」

「このことを伝え忘れてはいけませんね。錬金術の作業をしているときは、MPの消費に気をつけてください。最もMPのランクがSのリィン様には無関係だと思いますが」

「えっと、理由を聞かせて」

「はい、MPがなくなると気絶をしてしまうからです」

やっぱりそうなんだ。

「MPが切れる前の予兆があります。例えば、気分が悪くなったり、すごく眠くなったりフラフラする感覚に襲われる。とかそういった症状が出たらMP切れ寸前だと思ってください」

「ふむふむ」

「もしMP切れで倒れたら、飛んで来ますよ。あの馬k・・・・・・スティア様が」

いま、お姉ちゃんのことを“馬鹿”って言おうとしたよね?

「う、うんわかったよセラ。リィン無理しない程度に頑張ってみるよ」

「リィン様は良い子ですね」

「エヘヘ」

なんだろう。褒められるのが嬉しいなぁ。姿が子供になったせいかな?

「では早速薬草を摘みに外へ出かけましょうか」

「うん!・・・・・・あっ!?」

「リィン様、どうかなされました?」

「お姉ちゃんを起こさないと可愛そう」

「先程みたく暴走すると思うので、止めといた方がいいと思いますよ」

「・・・・・・うん、セラの言う通りかもね。このままにしておこう。セラ、手を繋いでいい?」

「構いませんよ。リィン様」

そうしてセラと手を繋いまま外に行き、薬草を二人で集めてアトリエに戻って来たんだけれども。

「あれ? お姉ちゃんが居なくなってるよ」

「本当ですね。先程気絶させ、コホンッ! そこで寝ていらっしゃったのに」

いや、寝てたんじゃなくて気絶させてた方で合ってるよ。

「ん? 手紙が机に置いてますね。開けて読みましょうか?」

「うん、お願い」

「えーっと、『セラさん リィンさん、女神スティアが突然居なくなって驚いていらっしゃると思いますが、大丈夫です安心してください。女神スティアは天界での“仕事がまだ残っているので”私の方で連れて帰らせて頂きました。女神スティアは仕事が終わり次第、アナタ方のもとへ向かうでしょう。 長々と失礼しました。 天界の使者より』と、つまりスティア様は仕事のために天界に連れてかれたようですね」

“仕事がまだ残っているので”って書いてあるところだけ字が太くて濃いね。たぶん天界の使者さんが怒っているんだと思う。

「お姉ちゃん・・・・・・頑張って! リィンのところに生きて帰って来てね!!」

「リィン様、あの方場合は女神なので 神殺しの神具 でも使わなければ先ず死ぬことは低いでしょう。それに、うるさい人がこの場にいなくなったので私としては好都合です」

なんて無慈悲な人なんだっ!? 間違えた精霊だった!!

「さぁ、ポーション作りを再開しましょうか」

「・・・・・・うん」

さっきと同じ方法で作業してポーションを作ったが、ドス黒い色をしたポーションが出来上がっていた。

「なにこれ? ポーション・・・・・・だよね?」

なんか、黒い液体の中に茶色のとか赤いのとかが見えるんだけど、毒薬を作ったわけじゃないよね?

「この状態は、ポーションの錬成に失敗した証ですね」

「失敗?」

「はい、鑑定スキルで見ればわかりますよ」

そう言えばリィン、鑑定スキル持ってたっけ・・・・・・レベルGだけど。

「【鑑定】」

アイテム名:おぞましい液体
説明:ポーションなどの薬品の錬成に失敗すると出てくるアイテム。
危険性があるので決して口を付けて飲んではいけません。早めに処分してください。

なんか書いてること不吉! 飲まずにちゃんと処分しようっ!!

「リィン様の錬金術スキルが低いの一つの原因ですね」

「うん、たしかにリィンの調合成功率はGだったもんね」

「それともう一つの原因がありますね」

「もう一つの原因?」

「はい、ポーションを作る作業の中でなにかを間違えた。とか思い当たる節がないですか?」

「うーん・・・・・・あっ!?」

ひょっとして、あれのせいかな?

「思い当たる節があったようですね。よかったら私に話してください」

「うん、ヘラでかき混ぜてるときに魔力を注ぐよね?」

「はい」

「たぶん、そそぐ魔力の量が少なかったかもしれない」

「なるほど、今度は魔力を増やしてかき混ぜてみてはいかがしょうか?」

「うん! 物は試しって言うからやってみるよ!!」

リィンはそう言うと、3度目のポーション製作に取り組む。

「今度は魔力をさっきよりも多めにっと」

錬金釜に入れた水に魔力を込めつつヘラで一生懸命かき混ぜていると、水が光始める。

「来た! セラ、蓋お願い!」

「かしこまりました」

リィンが錬金釜からヘラを取り出すのと同時にセラが蓋を被せる。

セラの手際がいいのは、上位精霊だからなのかな?

「あとは待つだけですね」

「・・・・・・うん」

「どうされました?」

「さっき失敗したから、ちょっと不安」

「大丈夫ですよ。リィン様は錬金術をまだ初めて間もないのですから失敗するのは仕方ないことです。これから少しずつ上手くなっていきましょう」

「少しずつ・・・・・・うん、セラの言う通りだね。だってリィンは色んなところへ行って冒険をすることよりも、お家でゆっくり過ごすスローライフを望んだから、リィンのペースで錬金術を上手くなっていけばいいよね」

レベルを上げないとモンスターにやられてしまうよっ!? って言う訳じゃないし。

「はい」

「セラに頼っちゃうところがあると思うけど・・・・・・セラ、よろしくね」

「こちらこそ、よろしくお願いします。リィン様」

『ピピピピッ!? ピピピピッ!?』

「もう出来たみたいだね。セラ、スイッチをOFFにして」

「はい」

蓋の取っ手を両手で握り、セラが顔をあげるのを待つ。

「ん? まだ蓋を開けてないんですか?」

「セラと一緒に見ようと思って待ってた」

「なるほど、そうですか」

セラがリィンを見つめながら微笑んでいたので、ちょっとだけビックリしてしまう。

セラの笑顔初めて見た。しかも綺麗だったから、ドキッ!? ってしちゃったよ。

「リィン様のタイミングで開いてください」

「う、うん! それじゃあいくよ! ジャーーーンッ!?」

蓋を一気に頭上まで上げてセラと一緒にお鍋の底を見つめてみると、綺麗な緑色の液体が入ったビンが転がっていた。

「やったぁ! 成功!!」

「おめでとうございます!」

「この調子でドンドン作っていこう!」

「頑張ってください。リィン様」

その後、二人でポーション製作の作業に没頭するのであった。
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