伝説の勇者が二人も現れるなんて聞いてません!

鶴山葵土

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5.処刑執行!(4)

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黒猫の目が一瞬光りを放つ。
すると、シンヤの両腕にはめられていた錠がボロボロと朽ち果てる。
久しぶりに得た自由だったが、空腹で満足に動くできない。
目の前に横たわるヒトの死体に目を移す。

腹は減っている。
しかし、ヒトを食べるなんてできない。
元の世界にいた頃には色々な悪さをしてきた。
恐喝、強盗、詐欺。
人殺し以外なら何でもやってきた。
死体を見る機会も何度か経験してきた。

当然、人の死体を食べるなんて経験はない。
躊躇するシンヤだったが、既に空腹で限界を迎えていた。

「ほら、どうした。こいつを食べるんだ。腹一杯になって、その苦痛から解放されたいだろう」

ためらうシンヤの背中を押す黒猫。
黒猫に促されるまま、シンヤは這いつくばりながら死体へと近寄る。
目と鼻の先に死体が横たわっている。
血の香りがする。
生臭くて鉄っぽい匂いが鼻をつく。
だが不思議なことに嫌な気はしない。
いや、むしろ血の香りを嗅いだことで口元はゆるみ、よだれがしたたり落ちる。
身体が目の前の血肉を欲しているのだ。

床に散っている血をぺろりと舐める。
その瞬間、シンヤの脳に強烈な衝撃が走る。

「うまい」

自然と言葉が口から漏れ出す。

「うまい、うまい、うまい、うまい」

そう言って血をなめ回すシンヤ。

「そうだろう。ヒトは旨いんだよ。さぁ、その血肉を食すんだ」

黒猫の一言が、シンヤの理性をぶち壊す。
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