働きアリの婚活

鶴山葵土

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9.働きアリと高嶺の花(7)

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水族館の中は既に夜用のライトアップへと切り替わっており、幻想的な世界のように感じられた。
デートスポットとして人気急上昇中というのも納得できる。
まず二人を出迎えたのは、目の前一杯に広がる大きな水槽、そして大小様々な魚たちだった。
色とりどりのサンゴがライトの光を浴び、無数のイワシの奥には巨大なエイも見える。
まるでスキューバダイビングでもやっているように感じられた。

その光景に感動したナオトは、話しかけようとリサを見る。
しかし、リサの表情はとても暗く、とても話しかけられるようなものではなかった。
恋愛経験豊富であれば、彼女の表情を明るくするような気の利いた一言が思いつくのかもしれない。
だがナオトには彼女の表情を変えられるような言葉を掛ける力はなかった。
しばらく水槽を眺めたのち、2人は順路に従い先へと進んでいく。

次はクラゲのコーナーだ。
クラゲというとネガティブなイメージを持つ人が多いだろうが、ライトアップされた水槽の中を優雅に泳ぐ姿には神秘性すら感じられた。
再びナオトはリサの様子を伺うが、前回のような元気の良さは感じられない。

その後、アシカ、コツメカワウソ、ペンギンのコーナーを見て回る。
周囲のカップルがとても楽しそうにしている中、無言で歩き進んでいく2人。
一通り館内を見終わる頃。
このあと15分程でコツメカワウソのショーが始まる時間だ。
ショーを見ようとリサを誘おうと思ったところでリサからナオトに告げられた。
「ごめんなさい。今日は体調が優れないから、ここで解散しよう」
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